人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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先刻

アビゲイル「あなたがクトゥーラ!旧支配者、クトゥルフさんの娘様なのね!私はアビゲイルと言うの!どうか仲良くしてくださいな!」

クトゥーラ「お前が、アビゲイル…ヨグ・ソトースの鍵…」

ラヴィニア『ラヴィニア・ウェイトリー。大魔導士エイボンの力を引き継いだもの。よ、よろしく…』

クトゥーラ「あのエイボンの…!」

(共に、お父様が危惧していた者たち…近くにいる事で何かを掴めるなら…)

クトゥーラ「……あぁ。どうかよろしく頼む」

アビゲイル「うふふ、そんなに硬くならなくてもよろしいわ。私達、これからお友達になるのですもの!」

クトゥーラ「お、お友達…?」

ラヴィニア『アビゲイルがそう望むなら、あなたは私達の友達よ。色々思うところはあるかもだけど…よろしくね…』

クトゥーラ「友達…」

(言われてみれば…私に、友達など)

「…ただの一人も、いなかったな…」


ハワイに燃え滾る火

ハワイに突如現れし、ハワイを護る防衛機構が者達。それらは様々な形、姿を取って夜のハワイの全域へと散っていく。

 

それはワイバーンであり、オークでありサラマンダーであり、様々な敵対エネミーの姿を取り進軍を開始し各地で行進を開始する。

 

まがりなりにも聖痕…聖なる力から生まれし者達はハワイの守護者という属性を付与されている。それを倒す者こそがこの地の悪であると。

 

本来ならばここは架空のハワイ。そんな守護者など介在しない筈の者達を、ノーデンスと天使達は再現し、召喚してみせた。

 

聖なる力より生まれし者たちは、例え倒されたとしても大いなるハワイに聖なる力として還元され魔力と化す。つまり、倒せど倒せどハワイに力を与え、守護者の眷属として再誕する。

 

それ故、厄介な特性を持ち故に攻めあぐねる者達と拮抗を重ねる。カルデアが正面から討ち果たされる事はあらねど、千日手の泥沼へともつれ込む。

 

そして、その眷属の中でも一際巨大な存在がキラウエア火山エリアへと構えていた。

 

『ウオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

ギガント・クー。ハワイの戦神の名を冠する、エネミーの首領格。聖なる力で編み込まれたその存在は咆哮を上げ、眷属達を鼓舞していく。

 

それらの巨大さは十メートルを越える巨体。サーヴァント達が手を焼く巨大さ、シンプルな質量を以てその存在を誇示する。

 

巨大な威容を持つこの巨人を倒さなくては、戦況と夜は拓けない。しかし他のエリアでも戦線が張られている今、この巨人への到達は難航を極めていた。

 

ぐはははははははは!!景気よく吠えるものよ、光文明の残りカスが如き独活の大木風情が!!』

 

否。カルデアの戦力は例えマスターやサーヴァントを欠かしていたとしても機能不全に陥るほど脆弱ではない。

 

『ボルシャック!バザガジール!ヤツはこのオレ様が貰う!異論は無いな!!』

 

空を飛来する巨大なる竜達。紅蓮の闘気をみなぎらせる者たち。

 

『おう、任せるぜ!フォローは任せな!』

『どうやら奴が一際強いエネミーだそうだ。抜かるなよ、ボルバルザーク』

 

ボルシャック・ドラゴン。バザガジール・ドラゴン。並びに殿堂王ボルバルザーク。

 

この三者が、戦況の変化を受け静寂を破り参戦を果たしたのだ。彼らは元々目立ちすぎると参戦を自粛していた者達。

 

『コソコソと小賢しい小細工に終止していれば良かったものを!貴様らの失態は!我等に出撃の大義名分を与えた事だァ!!』

 

だが、リッカは地上から遥か上。ハワイ全域が戦闘エリアになった今、彼等特記戦力が自粛する必要は無くなったのだ。

 

『ウオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 

大地を揺るがす咆哮と共に、ギガント・クーがボルバルザークへと戦闘を開始する。その巨大なる四肢を振るい、ボルバルザークへと大いなる一撃を叩き込まんと振りかぶった。

 

『来い!!貴様にオレ様と戦う資格があるか!見極めてやろうッ!!』

 

ボルバルザークは手を広げ真っ向から受け止めんと待ち構える。彼自身もギガント・クーと同等以上に巨大な体躯を持っているが故の対戦の仕掛であった。

 

『ぐぬうっっ!!!』

 

隕石の如き鉄拳が、深々とボルバルザークの顔面へと突き刺さる。衝撃で大地が揺らぐほどの驚異的なインパクト。並の存在は即座に血の花か大地のシミへと化していっただろう。

 

『おいおいボルバルザーク、ワンパンなんて勘弁しろよ!』

 

『ボルメテウスがエルの進化改造を受けている以上、ロングレンジの援護は望めんぞ』

 

ボルシャック、バザガジールが口を開きながらギガント・クーを押し返す援護を執り行う。夜を切り裂く剣閃と爆風が吹き荒れる、ハワイにおける鉄風雷火。

 

『───そんなものか』

『!?』

 

しかし、二体の心配は杞憂だったと言わざるを得ない。顔面を深々と抉られた…

 

『そんなものか!!木偶人形風情がァァァッ!!』

 

否。抉らせたボルバルザークが吠え、咆哮を上げながら鍛え抜いた首の力のみで拳を弾き返す。

 

『ぐははははは!!いくら質量を盛ろうとも!所詮喚び出されただけの免疫機構!そこに信念や覇気、闘気など宿ろう筈もないか!!』

 

ボルバルザークは無傷である。先の巨大な巨人の鉄拳を受けて尚、損害や負傷は微塵も見られない。

 

『オレは強者に挑むが何よりの歓びだが、弱者を踏み躙る事にも抵抗はない。戦場において、オレは何者も差別せん!平等に破壊し、討ち滅ぼすのみ!』

 

『!』

 

『故にハワイを護る貴様らに道理があり、ハワイの地を自らで偽りバカンスの地とした賊軍がこちらと吹聴しようとも!オレは楽園の無理となって貴様ら道理を粉砕しよう!!』

 

ぐらりと、ボルバルザークが腕を振り上げる。

 

『それこそが我がハワイの、サバフェスにおける真理!即ち!!『力こそバカンス』!!デュエルマスターズ・ブース運営の掲げる道理そのもの!!』

 

それは、天を支える柱が如き刀剣。ボルバルザークの武力の具現。

 

『貴様に!!オレを留める道理になる資格など無いわァァァァァァァァッ!!』

 

燃え滾る気炎と共に、ボルバルザークはその一刀を荒々しく振り下ろす。

 

『!!』

 

ギガント・クーは愚鈍ではなかった。体格に見合わない機敏な動きでボルバルザークの攻撃に自身の腕を割って入らせ、受け止めようと画策した。

 

───だが。

 

『寝惚けた様な防御!そんなものではなァッ!!!』

 

ボルバルザークは、そんな小手先の防御を軽々と粉砕し、ギガント・クーの肉体を真っ二つにし滅ぼしせしめた。

 

『うお……相変わらず訳わからんフィジカルしてんな…』

 

『防御の上から五体を砕くなど、お前くらいしか出来ぬ芸当だ』

 

引き気味のボルシャックと頷くバザガジールの言う通り、ボルバルザークの膂力は常軌を逸する程の攻撃力を誇り、攻防の道理すら捻じ曲げた。

 

彼はカルデアにて強者に挑み続けた。自身の世界ではあり得なかった、強者との戦い、試合による研鑽の日々。

 

最強の者がたゆまぬ努力を重ね続ける。それは最早領域外における進歩と躍進を彼に齎した。

 

『ぐははははははは!!だから言ったのだ独活の大木と!!…ん?』

 

瞬間、打ち果たした巨人が光の魔力に霧散し、ハワイへと還元されていく。

 

『これがアビゲイル殿が言っていた光の還元か。やがて再びカタチを保つやもしれんな』

 

バザガジールの危惧は、現状を把握したもの。

 

しかし、ボルバルザークの齎すものは破壊では無かった。

 

『フン、笑止なり!!この程度のカラクリ、我が頭を捻るまでもない!ボルシャック!バザガジール!貴様らはどのように知恵の輪を解くか心得ているか!』

 

『はぁ?』

 

『……普通に絡みを解くが』

 

ボルバルザークの不可解な問いに、二人は返答を返さんとする。

 

『違うな!いちいち謎解きなどする必要は無い!!』

 

だが、ボルバルザークの、殿堂王の返答は違った。

 

 

『小賢しい知恵など!踏み潰せば良いのだァッ!!』

 

瞬間、ボルバルザークは自らの能力を発動した。その能力とは『活力徴収』。自らの周囲の全てから活力を、魔力を、気力を全て無理矢理吸い上げ自身の力とするもの。

 

『大地に還る力と言うならば都合が良い!回帰の理に真っ向から牙を立ててやろう!!』

 

なんと、ボルバルザークは討ち果たされたギガント・クーの魔力を周囲の敵の魔力ごと、龍脈の魔力ごと吸い上げていく。それは最早法外の吸収効率であり、土地が枯れ果てる規模だが…。

 

『そうか!ハワイ中で倒した奴等の分が補填されて土地が枯れねえのか!』

 

『なるほど、こちらも吸収還元できればパワー・シーソーゲームになるというわけか…!』

 

『頭の良い者らに伝えろ!我等にもこの力は有用だ!吸ってみろとなぁ!!ぐははははははは!!』

 

『成る程、脳みそ筋肉も少しは役に立つわけだな!』

 

『そう褒めるな!何も出ぬからなぁッ!!』

 

ボルバルザークが、初手にて対抗策を思案する。

 

ハワイに満ちる力をどれだけ物にできるか。

 

目に見えぬ争奪戦が、巻き起こらんとしていた。




ラヴィニア『えぇ、えぇ。解ったわ、ありがとう…!』

アビゲイル「ラヴィニア、何か分かったのかしら!」

ラヴィニア『えぇ、そうよ。結論から言えば、この光は私達の力にもなる…!』

クトゥーラ「何…!?」

ラヴィニア『私がエイボンの力で、龍脈を操作する。そして、光を私達のバフとして扱えば…』

アビゲイル「押し返せるのね!流石だわ!」

ラヴィニア『その為には、魔力操作に集中しなくてはならないの。アビー、クトゥーラ』

クトゥーラ『!』

ラヴィニア『護衛を…お願いできるかしら』

クトゥーラ『─────』



よいか、我が娘よ。

ヨグ・ソトースの鍵とエイボンの大魔導士はあまりにも危険だ。我が世界にはいらぬ。

隙を見せたなら、即座に寝首を掻くのだ。よいな?



クトゥーラ「────」

ラヴィニア『…………』



アビゲイル「あなたもきっと、わかる日が来るわ!」

ラヴィニア『二人はいいものよ。楽しいことは倍に、悲しいことは半分になるもの』

クトゥーラ「そう、なのか」

アビゲイル「えぇ。これからも私達は一緒よ!ナイアさんにも伝えなくちゃ!」

「大切な大切な、友達が増えたって!」

ラヴィニア『これから、学んでいきましょうね』



クトゥーラ「──────急げ!父の庇護なきこの身、そう長くは保たぬぞ!」

アビゲイル「!」

ラヴィニア『──ありがとう。あなたは友達よ、クトゥーラ』

クトゥーラ(父上…お許しください)

(クトゥーラは『友』を識る為……父たるあなたに背きます……!)
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