人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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?【はい、確かに回収したわよ】

ニャル【ありがとう。さすがに仕事が早くて助かるな】

?【いいのいいの、カルデアにいる以上働かなくちゃね。というわけで…】

クトゥルフ【ぬぅ……】

インプモン【いつまでもやられっぱなしって訳じゃ、ないんでしょ?】

ニャル【あぁ。ひとまず夜を越え、朝を迎えさせる。…サバフェスの最終日が決着となるようにな】

(神格を奪われたか……ならば最後に立ちはだかるのは…)

【……どうあれ、お前の選択で首の皮1枚が繋がったぞ、クトゥルフ】

【こんな短期間で父親になるとは…良い妻と、娘に恵まれたものだ】




異能の一刀

「───………ここに、剣士がいる気配がしたんだけど…」

 

ハワイ、森林エリア。深き森が広がり、一寸先も見えない程に鬱蒼としたエリアに、ふわりと現れる影が一つ。

 

「夜の帳が落ちてみれば、どこもかしこも魑魅魍魎だらけ。ここは一体どうなってるの…?」

 

納められた刀を携え、何故かメイドの格好にて森にいる不可解な淑女。瀟洒な姿ながら、その鋭い剣気は抜き身さながらのもの。

 

彼女の名は、河上彦斎。こことは別の世界からこのハワイにやって来た、謎多き人斬りなる淑女である。河上彦斎とは、汎人類史における幕末の四大人斬りにおける名前だ。

 

「当然、こんな場所にも敵ばかり。……アトラクションとは聞いていたんだけど、こんなにも真に迫るもの?」

 

辺りに漂うゴーストや、疾走するウェアウルフ。辺りから聞こえる戦闘音。夜のアトラクションアルバイトと聞き、いつ消えるかわからない身空にて路銀を稼ごうと飛び込んだ彼女だが……

 

「ヒィーン、助けてぇ〜!」

 

「…!」

 

間の抜けた、助けを呼ぶ声。それもまたアトラクションの一環であるのか。

 

しかし…なんとなく、見捨てる気にもなれない。この雰囲気、万が一という事もある。

 

「どちらにせよ、報酬は貰ってる。前払い分は働かなきゃ」

 

人斬りながら、いや人斬りだからこそ律儀で真面目な倫理の下に、声を聞いた先に移動する彦斎。

 

「あわわわわ、幽霊は管轄外なのぉ。たすけてぇ〜!」

 

見れば、ゴーストタイプのエネミーに取り囲まれ、亀のように丸まった白い髪の少女がべしべしとリンチされている現場に…

 

「───ふっ!」

 

魔猪、大猪タイプのエネミーに身の丈を遥かに越えた太刀を振るい、怒涛の勢いで斬り伏せている現場に彼女は出くわした。

 

「ルゥちゃん様、もう少し堪えてください!ゴーストタイプエネミー担当に救援送りましたんで!」

「わ、解ったよぉ!でもこれ大丈夫かなぁ!どんどん集まってないかなぁ!」

「ルゥちゃん様って生命力の塊ですから、引き寄せちゃうんですよね!ハンターなんでオカルトはちょっと!」

「雷槌はハワイ吹っ飛んじゃうし、魂は輪廻してほしいから…ヒィン、こうして囮になるしかないよぉ〜!たすけてぇ〜!」

 

丸まった亀のように耐え忍ぶ少女に、巨大な猪を斬り捨てていく太刀を使う青年。

 

(あの大太刀を、あんなに素早く迅速に振るうなんて。幕末でも、あんな曲芸は無かったかも)

 

少女は勿論、彦斎はハンターを名乗る彼の太刀筋に注目を惹かれる。

 

「グゴォオォオォオォオ!!!」

 

身の丈以上はゆうにあり、振り回すことすら難儀に見えるそれを抱え、身を翻しながらまるで乱舞するように振るうその技術に。

 

「すうっ─────」

 

「!」

 

瞬間、彼の懐から何かが飛び出し、そして腰溜めに構えた彼の前方に輝く線を無数に描く。それは、虫の糸。

 

「グゴォオァァァァァァ!!」

 

一際巨大な魔猪が突進し、その糸に、つまり彼の間合いに侵入した次の瞬間。

 

「──────はぁっ!!!!」

「!」

 

一閃。いや、それは閃きと言うより豪断に近い一撃だ。肉体をゆうに超えるであろう太刀が翻り、閃き、魔猪の肉体に叩き込まれる。

 

「グゴォオ……──」

 

分厚い毛皮と筋肉で固められた屈強な肉体を持つはずの魔猪が、まるでスライスハムのように両断される。鋭い刃、分厚い刀身、そして卓越した技術を持つ者しか至れない領域の、一閃。

 

(凄まじい腕前。彼も、位持ち…?)

 

その力量に言葉なく感嘆しながら、ゴースト達の金切り声に正気に戻る。

 

「そうだった。現在進行系で人が襲われていた」

 

不覚、とばかりに彦斎は跳躍し、少女を取り囲むゴースト達の最中に躍り出る。

 

「事情は知らねど、生者に群がる魍魎に大義名分なんてあるはずもなし」

「ふぁ?」

 

月に重なるように飛んだ彼女が、手にした刃を閃かせる。

 

「迷うことなく、冥土に旅立て───!」

 

その瞬間。

 

『『『『『『『────!!!!』』』』』』』

 

ゴースト達が、文字通りの『一刀両断』を受け、一息に霧散する。

 

「……!」

 

ルゥは顔を見上げ、目を見開いた。

 

(今の…技術とか、力とかの一刀じゃない…?)

 

それらとは、全く異なる別次元の異能、はたまたは怪異。

 

斬ると決めたが故に、必ずそれは斬られるものと世界に突きつける類の絶対的な異能。現に放ったのは一太刀でありながら、ゴーストは『全く同時に霧散し消え去った』

 

(世界ごと斬っちゃった…?)

 

ルゥの目には、そうとしか見えない程の凄絶を極めた一撃であった。鍛錬や才能では至れない、至れようのない決定的に違う何か。それがこの、メイドの剣士の一刀には宿っていたと。

 

「…驚かせちゃった?」

 

魍魎が霧散した暁に、彦斎はルゥに手を伸ばす。

 

「あなたみたいな子供がなんでここに?夜は早く寝ないと、大きくなれない」

「あ、ありがとぉ。大丈夫だよ、肉体は可変式なんだぁ」

「…?」

 

その手を掴み、ルゥはホッとしながら立ち上がる。彼女は非実在エネミー相手には無限にターゲットを取れる程のタンクになり得るのだ。

 

「ルゥちゃん様!良かった…!」

 

そして巨大魔猪を叩き切った青年も、ルゥらに合流する。彼と少女は、コンビだったようだ。

 

「………あなたが、子をおとりに戦っていたの?」

 

それは外道の戦法。彦斎の目は淀み、太刀が刃を見せる。

 

「いやいや違います違います!自分達は二人で、大型の魔猪を追い詰めていたんです!」

「そうだよぉ。そしたらゴーストが出て囲まれちゃったの。心配しないでぇ」

 

彼女の笑顔と言葉に、彦斎は一息をつく。

 

「…そう。見たところ、かなりの手練れ。そんな下策を練るわけないか」

 

「ありがとう、解ってもらえて何よりだよ。…時に、君は…?」

 

「彦斎。河上彦斎。別の場所から夜の路銀稼ぎにやって来た…人斬り」

 

人斬り。自らの素性を明かすも、二人は動じなかった。

 

「成る程、新しい仲間って事だね。自分はカナメです。ハンターやってます。こちらは…えっと…」

「ルゥだよぉ。人型の…オトモ!よろしくねぇ」

 

「ハンターに…オトモ?聞いたことがない役職…」

 

そういうのもあるんだ。世界の広さを知りながら、彦斎は頷き尋ね返す。

 

「…カナメ、ルゥ、だっけ。私は『位』の剣士を探してる」

 

「位?」

 

「あなたの腕前、かなりのもの。何か知っているなら、教えてほしい」

 

先の魔猪を一刀両断した太刀捌きは、最早人知を超越したもの。

 

それならば、何か。非常に近しい何かを知っているのではないかと彼女は問うた。

 

「位って…空位とか、雷位とかのこと?」

 

ルゥは彼女の問いに、思い当たる節を出す。

 

「!それ!そういうの!」

 

「あれっ。リッカには会ったのかな?」

 

「リッカ?……うん。おにぎりを貰った」

 

「あー……雷位は分からないけど、空位のサムライは知ってるよぉ」

 

ルゥの言葉に、彼女は問う。

 

「空位。無限を越えて零に至るもの。…知ってるの?」

 

「うん。宮本武蔵。あなたと同じ、異世界トラベラーだよぉ」

 

「宮本武蔵……成る程、二天一流の創始者。不思議じゃない」

 

神妙に頷く彦斎。ルゥはあえて、リッカを慮り雷位を明らかにはしなかった。

 

「もし良かったら、明日にでもその宮本武蔵に……」

 

すると、辺りから無数の敵意が向けられる。

 

「……その前に、ここを乗り切らなきゃダメね」

 

「夜明け前なのにぃ。もう少しなのにぃ!」

「そこら辺が一番暗いって言いますしね」

 

三人は背中を合わせ、辺りに対峙する。

 

「河上彦斎さん、手を貸してもらえますか!」

「メイドは奉仕が仕事。縁を結んだならば是非もなし」

 

「よぉし、笛とか吹くからねぇ!」

 

三人は、襲いかかるエネミーへと対する。

 

(空位、それに雷位…)

 

雷位。あらゆる全てを駆け抜け、斬るべきものに至る霹靂、雷霆。

 

(もしかして、雷位もこの世界に…?)

 

自分は恵まれた世界に来たと、彼女は思案し、刃を抜き放つのであった──。




フリーレン「やぁ。ゴースト対策メンバーだよ」

ルゥ「あ!フリーレン!」

フリーレン「壁際でマジックアイテム売ってたけど、こっちでも稼ぐつもり。手助けは要る?」

ルゥ「いっぱいいるぅ!」

フリーレン「よぉし。……──じゃあ」

ゴースト『『『『『『────!!』』』』』』

「────やろうか」
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