人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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フリーレン「驚いたよ。わざわざ島まで用意してまでバカンスだなんて」

河上彦斎「リッチと言うか…カルデアはとんでもなく裕福なのね」

カナメ「そりゃあもう。この世の全てを手にした王様がトップですから」

河上彦斎「何それ…」

フリーレン「これもリッカの為…か」



フリーレン「うーん、よく寝た」

(寝過ごしちゃった…まだ朝かな?)

「……はっ」

リッカ「あ、おはようございますお師匠様!ご飯できてますよ!」

フリーレン「リッカ……」

リッカ「はい!」

フリーレン「良かったぁ。老いぼれてない〜…」

リッカ「老いぼれ!?」



フリーレン「ふふ……」

ルゥ「わかるよぉ(うんうん)」

フリーレン「やっぱり?…あ」

ゴースト『『『『『『オオオオオオオオオオオオ!!』』』』』』

フリーレン「…大分始末したと思ったのに」

河上彦斎「一箇所に集まって…?」

骸の怨竜『『『『『『───────!!』』』』』』

フリーレン「ドラゴンになった……」

カナメ「おっ、やりやすくなりましたね!」

『!!』

フリーレン「飛んだ……」

ルゥ『わ!出番!よーし!』

河上彦斎「!?」

ミラアンセス『皆、乗って!追いかけよー!』

河上彦斎「こっちも、竜に…!?」

フリーレン「カルデアは初めてかな?カワカミ」

彦斎「…ここでは」

フリーレン「非日常が、当たり前だよ」

彦斎「…そうなのね」

(ここのカルデアは、色々と違うみたい…)


一夜限りの変で素敵な凸凹パーティー

『『『『『『───────』』』』』』

 

ハワイにて現れし、怨念や怨嗟のゴースト…。否、聖痕を刻まれ生み出された以上『聖霊』とも呼ぶべきであろう存在が、一塊に集まり竜のカタチを成したエネミーがハワイの空を飛翔する。

 

「夜明けは近い。さっさと倒さないとリッカが起きてサバフェスも始まる」

 

ルゥが自らの龍体を晒し、仲間達を乗せて飛翔。距離を取りながら互いの間合いを以て聖霊竜へと対峙する。

 

見れば、水平線の向こうが白んでいる。夜明けはもう間もなくの様相そのものであり、この夜の戦いは間もなく終演を迎えることを意味している。

 

「その為にも、何としても討伐しなくちゃですね!」

 

カナメの言葉と共に、戦況が動く。聖霊竜は雄叫びを上げ、その骸が如き体を以て全力でルゥへと体当たりを敢行する。

 

『わぁ!幽霊なのに質量がある!ふしぎ!』

 

突撃を受け多少身動ぎをするも、彼女にダメージは無い。尻尾にて反撃を叩き込み、場を仕切り直すルゥ。

 

『『『『!!』』』』

 

その一撃で首が刎ねられはしたものの、物理的な衝撃を持ちながら霊的な属性が主たる竜たる特異な属性により、その損傷は即座に回復する離れ業を聖霊竜は披露する。

 

『ダメージに、なってないっぽい…!』

 

「攻撃には質量、防御には霊的作用。これは中々なギミックボスだね」

「ギミックボス…?」

 

「ルゥの知り合い、カナメだったよね。どう?あれは狩れそう?」

 

フリーレンはカナメに問い、カナメは腰溜めに太刀を構える。

 

「攻撃する際には実体を伴うと見ました。そうじゃなかったらルゥちゃん様に触れられない。こちらに干渉できないでしょうし」

「成る程。実体の瞬間に攻撃するしかないっぽいね」

 

「でも、こちらに攻撃する際はどうしてもルゥちゃん様に伝わる衝撃で体制が崩れがちです。…決めるなら、一瞬がいいかと」

 

カナメの言葉に、彦斎は応える。

 

「時間も無い。まだるっこしいのは無しで行こう」

 

「カワカミ?」

 

「私がアレを斬って、物理的にいる状態にする。斬ったらダウンするからトドメは二人で決めて」

 

霊的状態の防護を切れる。揺るぎなく、彦斎はそう断言した。

 

『斬れるんだ!アレ!』

「斬るべきものを私は必ず斬る。リッカの恩義があるなら尚更。いけるでしょ?カナメ…だったかしら」

 

「物理的なものでモンスターであるなら任せてください!」

 

「とんがり耳。見た感じあなたは奇術師、遠距離ならお手の物でしょ」

「奇術師…魔法使いと呼んで欲しいなぁ」

 

彦斎が言葉にしたのは、それまで。

 

「各自最善を。あの幽玄は…私が斬る」

 

彦斎の目が淀み、そして刃に手をかける。

 

『作戦会議はオッケー?よーし!じゃあやろう!』

 

勝負どころを測ったルゥが一際大きく羽ばたき、天へと飛翔する。それらは、聖霊竜を遥かに上回る制動と飛翔力。

 

「白いの、ぐるっと回ってアイツに向かって飛んで!」

『オッケー!任せてぇ!』

 

白み始めた空に、宇宙の始まりより生きる龍が舞う。それはともすれば息を呑むほどに美しき光景。

 

『『『『『『『オオオオオオオオオオオオオオ!!』』』』』』』

 

気運を図ったのは竜も同じであった。自らから無数の聖霊を放ち、ルゥへ向けて撃ち放つ。

 

「私はドラゴンにソロで挑むような真似はしないけど……」

 

フリーレンが立ち上がり、自らの杖を掲げる。

 

「それが霊的なものであるなら、得意分野だ」

 

そして空中に展開されるは、かつての冒険で託されし『カーリアの王笏』。

 

「私の大切な弟子の邪魔は、させないよ」

 

杖を振るうに呼応し、彼女がかの冒険で集めた魔法杖の数々が一斉に展開される。

 

「カルデアでの戦いなら、こっちの魔術の方が馴染み深い」

 

膨大な魔力を数多の杖にて展開し、彼女…千年生きた魔法使いの本領を、此処に発揮する。

 

「何体いようと関係無い。全て叩き落とす」

 

その杖から放たれしは、星と月を巡る魔術の源流。

 

「『滅びの流星』。そして『レナラの満月』」

 

狭間の地によって学んだ、最高位の魔術達が聖霊竜に牙を剥く。

 

『ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!?』

 

聖霊竜を、その眷属達を打ちのめす遥か宇宙を疾走する流星団。

この魔術を手にした魔術師は、全てが終わり滅びたがフリーレンは事も無げに操ってみせる。

 

「カワカミ、いけるかな?」

「任せて、とんがり耳」

 

弾幕で巨体を圧倒する中、満を持したと彦斎が飛び立つ。

 

「浮世に迷い出たならば、また常世に送るまで」

 

ハワイの空に、幕末の人斬りが飛翔する。

 

抜刀せし刃は、星の煌めきにも似て。

 

「奉公の一太刀、その身を以て味わうといい──!」

 

『!!!』

 

魔術的な干渉を受けているため、聖霊竜はその身を翻すこともかわすことも叶わない。

 

それはひたすらに斬る事に特化した異能。技術、剣術とも異なる『異能』。

 

斬ると決め、斬ったのならばそれは斬れる。その刃、正しく神や理すらも斬って捨てる。

 

それこそが、このハワイに紛れた河上彦斎という『異物』。

 

「『抜刀・神威』─────!!」

 

寸断。両断。或いは豪断、柔を断つ一撃。

 

そのどれでもありどれでもない『一刀』にて、聖霊竜の幽玄の衣は断ち切られた。

 

「……!」

 

カナメは見ていた。その一撃は『空間』すらも断ち切るにたる一撃だと。

 

「リッカの国はあんなのが当たり前なんだね。コワー」

 

『私から言わせてみれば、千年ぽっち生きただけでそんなに強いエルフも怖いよぉ』

「せ、千年ぽっち……」

 

瞬間、聖霊竜から血が噴き出る。血が出る、即ちそれは霊的存在から物質的な存在に零落を果たしたと言うこと。

 

『今だよカナメ!あれなら『討伐』できる!』

 

ルゥの言葉に、カナメは覇気を更に練り上げる。

 

「了解!なら──」

 

ルゥが更に更に速度を上げ、聖霊竜へと肉薄する。

 

「気炎万丈!!これで────!!」

 

極限まで込められし気迫が、人知を超越した一刀を招く。

 

それは魔術や異能ではなく、無限の鍛錬と人間の可能性を突き詰めた一撃。

 

百竜を薙ぎ、安寧の日々を護るために練り上げられた信念の一閃。

 

それはやがて神秘にも肉薄する『技術』の極致にへと至る。

 

『─────!!』

 

窮地を悟った聖霊竜が離脱しようとするも、

 

「遅いね」

 

フリーレンが展開していた『レナラの満月』が、頭上に直撃を果たす。

 

『行けー!!ハンター!!』

 

ルゥが聖霊竜を、神憑り的な体捌きで擦れ違いし刹那に──。

 

「最後だあああああぁっ─────!!!」

 

安寧の護り刀が、気炎万丈の刃を振るった。

 

『──────』

 

河上彦斎の神威を斬る刃とは違う。

 

位を持った剣士達の、神にも至る刃とも違う。

 

人間の歩みと足跡、そして研鑽と信念を込めた刃。

 

それらが、聖なる力なれど信念なき力の塊に跳ね返せる道理はない。

 

「おぉ────」

 

感嘆げに、フリーレンが息を吐く。

 

「───真っ二つだ」

 

瞬間、聖霊竜はハワイの空に両断され、光の粒子となり解け消えていく。

 

「ふぅ───フゲン里長の領域にはまだ遠いな…」

「今ので?えっ、今ので?」

 

『そりゃあ勿論!フゲンおじいちゃんはアレ3回連続でやるからねぇ』

「まだまだ、ウツシ教官やフゲン里長…目指すべき背中は遠いんだ。これでもね」

「……世界は広いなぁ。人間って線香花火みたいだよね」

 

『とっても綺麗で、素敵だよね!』

「うん。…あれ?何か忘れてるような」

 

「…………………………(ガス欠)」

「ルゥちゃん様ルゥちゃん様!!彦斎さん落ちてる落ちてます!!」

 

『わぁあ反動で動けなくなってるぅ!!』

「落ちちゃいます!!助けてあげてぇ!!!!!」

「迫真すぎる…」

 

こうして、エネミーを断ち切り一同は一区切りを迎える。

 

此度の夜は、水平線から顔を出す太陽にてかきけされ…

 

朝を、迎えるのだった。




彦斎「疲れた…」

カナメ「お疲れ様でした、彦斎さん。凄かったですね!」
フリーレン「ヘラクレスほどじゃなかったけど、いい使い手だったよ」

彦斎「は?そのヘラクレスって誰?」

フリーレン「私の知る、最高の前衛の一人だよ。彼に比べたらあんな一発花火でガス欠してるようじゃまだまだ(笑)」
ルゥ『だめだよぉ!人類史最強の大英雄と比べちゃぁ!』

彦斎「そのヘラクレスってやつも…いずれ斬る」
カナメ「またヘラクレスさんが試練を被っていらっしゃる…」

ルゥ『そ、それはともかく!見てみて!キレイだよ、日の出!』

カナメ「えぇ。…絶景ですね」

戦いを終わらせる、朝焼け。

フリーレン「カワカミ、堪能しなよ」
彦斎「?」

フリーレン「ドラゴンの背中から朝日を見るなんて…私の長い人生でも、無かったからね」
河上彦斎「………何歳?」

フリーレン「カワカミ、今お前の目の前にいるのは千年以上生きた魔法使いだ(ドヤッ)」
河上彦斎「…貧相なクセに、とんだお婆さんだった」

フリーレン「なんだとコノヤロー…!許せない……自害させてやる…」
カナメ「まずいですよ彦斎さん!」
ルゥ『大変だねぇ』

フリーレン「自害させてやるぞルゥ・アンセス」
ルゥ『ヒィン!!???』

即興の、一夜限りの即席パーティー。

誰も欠けることなく、討伐を果たすのであった。
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