人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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イザナミ「あなや……このままではバカンスが大変すごい大変な事になってしまいます!」

タケちゃん「落ち着け、語彙力が低めだぞ大母よ」

将門公(無言でお土産屋の鎧になっている)

イザナミ「この高天原日本視点で見守っていましたが、いよいよ神霊干渉の恐れ!静観ラインは越えたもうとおばば思います!」

将門公(無言でお土産屋の鎧になっている)

イザナミ「かくなる上はリッカちゃんらに頼もしい応援を!安心なさってくださいハワイもまた日の本!」

タケちゃん「?」

イザナミ「今こそ来たれ!ハワイを導く頼もしきお方ぁー!」

将門公(無言でお土産屋の鎧になっている)

タケちゃん「これは…──!」


女王の憤慨、魔女の大切

「じゃんぬさん、どうなさいましたか?」

 

朝御飯を終えた後、マシュやグドーシたちと合流したリッカ達。そんな折にすぐさまマシュはじゃんぬに労りの声をかける。

 

「えっ?…何よ、どうしたって。何かあるっていうの?」

 

「いえ!ですがなんとなく考え込んでいるかのような雰囲気を感じまして!」

 

目敏くなったマシュに、じゃんぬは驚き笑みを零す。彼女は気遣われる側から気遣う側になったのだ。改めてその事実を体感する。

 

じゃんぬの懸念は、やはり位の話に起因する。位という人理最高峰の剣の極みにして、それの至る先。

 

(リッカも位を持ってる。…あの生えてきたメイドの言うには、位を極めた存在はこの世界から消えるって)

 

極めた先には、この世界からの解脱が待つ。勿論それを鵜呑みにする理由はどこにもなく、杞憂と断じてもいいのかもしれない。

 

しかし、それを与太話にするには彼女の剣は最早凄絶を極めていた為、楽観的な観測が出来なかった。

 

(冗談きついわよ、やること極めたらいなくなるだなんて…!)

 

まず間違いなく、リッカは迷わないだろう。自身の力を、我が身惜しさに出し惜しむような娘じゃない。

 

だとするなら、世界を救った果てに極みにたどり着き、そのまま消え去ってしまうというのか?

 

それが、リッカに定められた宿命とでも?

 

(納得できるかっての、そんなの…!)

 

苛立ちと憤慨に、歯噛みを隠せずにいた刹那に声がかかる。

 

「じゃんぬ殿」

 

「!」

 

それは、グドーシの柔らかな笑みと声。

 

「心配は無用にござるよ」

 

短い言葉。励ましとも慰めともとれる言葉。

 

「あなた……」

 

グドーシは多くを語らなかった。何が気掛かりで、何を憂いているのかを聞くことも無く。ただ、彼女を見つめ微笑むのみ。

 

しかし、その言葉には優しい確信と確かな天啓があった。何も心配することはない、大丈夫だと。

 

「………ま、まぁ。あんたほどのグドーシがそういうなら…」

 

何故かその振る舞いを見たのみで、胸に渦巻く疑念と不安が吹き払われたかのような感覚を受け、じゃんぬに平静が戻る。

 

彼はリッカ絡みで気休めや、でたらめを言わない。自分よりリッカの付き合いが長い相手だ、間違いない。

 

「えぇ。バカンスを歪ませるような事は起こり得ません。どうか御安心下さるとよろしいかと」

 

「??よくわかりませんが、グドーシさんが大丈夫というなら大丈夫です!」

 

「えぇその通り。リアル覚者なんですよ?グドーシさんは」

 

マシュとカーマの言葉に、じゃんぬも頷く。

 

「───えぇ、そうよね」

 

そもそも自分だけで迷う必要などないのだ。

 

カルデアには、頼れる連中がごまんといる。なんなら、そいつらにも相談すればいい。

 

(きっとなんとかなる…いいえ)

 

きっと、なんとか『する』し『できる』。彼女は自然と、そう思うことが出来たのだった。

 

「それではサバフェスの動向のお話となりますが、やはりサーヴァントブースで強いのはメイヴの展開する場所ですね。お抱えの連中と口コミで、安定さと新規取り込みを高いレベルで両立しています」

 

1位のサークルには聖杯を授与されるサバフェスの争いは、メイヴがその座に最も近付いているとカーマが分析する。

 

「ファン層は皆負けず劣らずなんだけど、やはりネズミ算式にファンを日増しに増やせるのは流石の女王といったところかしら」

 

「マシュ☆コンも追い縋ってはいるのですが…!一日ごとに倍で相手方にファンが増えていくのはあまりにも無法と感じます!」

 

無念げにマシュが唇を噛むほど、メイヴはポイントを席巻していた。それはアイドルと女王、求心力とファン統率力の違い。

 

「もう撮影ブースでは巨大な円が出来てるくらいよ。男を掌握する術において独壇場だった、と言わざるを得ないわね」

 

「このペースをひっくり返すには、各自サークルにはとんでもない隠し球が必要になるかもしれません。ね、じゃんぬさん?」

 

カーマの言葉に、じゃんぬは意を察し反する。

 

「今回は参加はなしよ。ヘラクレスもアキレウスもギリシャブースでの参加してるし、私は一般参加枠だもの」

 

そう、今回はリッカのバカンスを楽しいものにするために此処にいるのだ。自身の腕前を披露するためではない。

 

1位を狙うと言うなら、緻密な準備に大掛かりな作品が必要となるだろう。とても今から仕込んで間に合うものではない。

 

「アイツが1位になるならなるでいいじゃない。女王なんでしょ?聖杯もお似合いで──」

 

「全く良くないわ!!」

 

そんなじゃんぬの言葉を遮り、部屋に怒号が響き渡る。

 

「え、ちょ…」

 

「──メイヴさん!?」

 

そこに現れたのは、件の話題の中心にあるメイヴちゃん。水着ではないラフな格好、即ちオフの格好での殴り込みであった。

 

「もう査定の半分が終わっているのに全く動きを見せないからおかしいと思って来てみたら…!どうやら本当に参加しないつもりなのね!?ジャンヌ・ダルク・オルタ!」

 

びしり、と指差す先には当然じゃんぬ。当のじゃんぬも困惑げに周りを見渡すのみだ。

 

「サバフェスにおいてあなたのスイーツは間違いなく優勝を狙える器よ!私のルッキング・ブレイブたちも口々にあなたを讃えるわ!どういうつもり!?」

 

「いや知らないわよ…」

 

「『メイヴちゃんとスイーツ絶対バズるのになー』とか!『あのスイーツとメイヴちゃんで絶対サイコーになる』とか!必ずあなたのスイーツがルッキング・ブレイブの中にいるのよ!私という存在が1位を確約できない、胸を張れない理由はまさにそこにあるのに!」

 

あなたが参加しなくちゃ真正面から叩き潰せないじゃない!たまった鬱憤を、彼女はじゃんぬに突きつける。

 

「別にいいじゃないの。あんたはNo.1、私達はオンリーワン。それで十分でしょ?」

 

「オンリーワンなんて負け犬の慰めよ。頂点を狙える存在が頂点を目指さないのは怠惰というものよ!」

 

「あんたはお山の大将でいたいんでしょうけど、私はそんなの興味無いのよ。私には大切なたった一人がいるの。一生の短い時間を、最高のものにしてあげたいたった一人が」

 

その存在を笑顔にする以上に大切なことは無い。彼女は毅然と口にする。

 

「いいじゃない。アンタはアンタでNo.1ってちやほやされてれば。薄っぺらいSNSだかなんだかの繋がりで、顔も名前も知らない有象無象に愛想振り撒いて、明日には移り変わる永遠の愛だのなんだのを口にする連中に囲まれてされていい気になってなさいよ。バズるってそういうものなんでしょ?」

 

じゃんぬの火を吹くような反論がメイヴに浴びせられる。じゃんぬは復讐者でもある。攻撃に火を吹けばそれは凄まじい火力となる。

 

「じゃ、じゃんぬさん!流石にそれは…」

 

「はっきり言わなきゃ分からない?リッカは今人生で一度しかない十代の大切な大切な時間を思いっきり楽しんでるのよ。それを誰かのエゴや独り善がりで潰されていいわけがないって言ってんのよ!」

 

その為なら、彼女に優先されるものは何もないとすら言えるほどに。それは大切な事で。

 

「あんたが誰に女王ムーブしようと勝手だけどね!リッカには自分だけの人生と大切な日々があるの!見栄だのプライドなんだのの勝手な都合で、やっと掴んだあの娘の日々の邪魔すんな!」

 

それ故に、彼女は自身の全てを懸けてそれを護り助けると決めた。

 

「………。…そう。その為にあなたは勝負を降りたのね」

 

「そうよ。そもそも私は誰が1位とか関係ないし興味もないわ」

 

「哀しいわね。あなた自身を殺してあの娘に仕える。『それで本当にあの娘が悔いなく日々を過ごせるのかしら』」

 

「…!」

 

「いいわ。あなたの言葉にも一理ある。彼女は今を生きる命だものね」

 

メイヴは席を立ち、出口に歩いていく。

 

「リッカの事、頼んだわよ田舎娘。所詮私は女王。誰かを従え侍らせるもの」

 

背中越しに、言葉を贈る。

 

「他者を支配することが使命であり全て。…それ以外の事で、大切な人に触れ合える事なんて無いんだから」

 

そう告げる言葉と共にメイヴは去る。

 

「……なんだったのよ、アイツ」

 

その声音には…

 

一抹の、寂しさが含まれていた。

 

 

 




ビーチエリア

彦斎「ここに、宮本武蔵がいるの?」

リッカ「うん!星条旗ビキニ来てウォーターバイク使って」

武蔵「イェーーーーーーイ!!マイネームイズムサシミヤモトォーーーー!!」

「……ってはしゃいでるの武蔵ちゃんしかいないから!」

彦斎「……リッカ、あなたには熱があるかも」

リッカ「えっ?」

彦斎「宮本武蔵が女性のはずない。目を覚まして」

リッカ「えぇ!?」

人斬りはブーメランも得意であった。
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