人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
タケちゃん『…将門公、あの娘…』
将門公『うむ、面影…否、気質と気風により誤りなし』
タケちゃん『やはり…異なる世界の大母の、子か』
将門公『実子なるか』
タケちゃん『恐らく。だとすれば大母は如何なる心持ちか…』
将門『子を拵えていたならば我等に隠すような真似はしない筈であるが』
タケちゃん『うむ、むしろ受肉した世界にて大父以外と再婚せし子か…?』
将門公『……聖杯戦争で、大母が勝ち残る可能性は零なり』
タケちゃん『断言か…そうだな…そうかも…』
将門公『まずは我等にて様子を…』
イザナミ『其処なるお嬢ちゃん、あなや!』
エリセ「えっ?あ、はい。あなや」
将門公『……………』
タケちゃん『…………』
「えっ、凄い…。こんなに豪華な料理、こんな安値でいいんですか?殆どマックとかのセットとかと変わんないじゃん…」
『良いのです良いのです。日本人は我が…ああえっと!日本人大好きなので!ハワイならではの特別価格なんですよ!』
次はお友達と一緒に来てたも〜!と朗らかに謎の少女と接するイザナミ。
『あなた、お名前は如何なるや?私はイザナミ、略してナミでございます!よろしく頼みます〜!』
「イザナミ…凄い。日本の創世の女神と同じ名前だなんて。私はエリセ。宇津見エリセって言います。今は…その、友達とも、所属してる場所からもはぐれちゃったと言うか、なんというか」
互いに名乗り合い、イザナミとエリセは机にて語り合う。
何故厨房から離れて平気なのかと言うと、この料亭の料理はイザナミが制御した聖杯が作り出すからである。本人の意思と魔力で、制作過程をショートカットした神の恵み形式で無限に料理が出てくる原価ゼロ仕様、黒字しかあり得ない商売なのだ。
厨房にこもらず触れ合いたいといった意向である。
『………なんだかとんでもない綱渡りをしている気がしてならない』
『貴様もか。我も然り』
『わ…なにしてるんだろこのますらお二人…』
神威の衣装と黄金の鎧の男が陰からこそこそ覗く様にツクヨミはちょっと引き気味であった。
『はいお待ちどー!海鮮丼なるやー!』
そして海神の祝福が詰まった海鮮丼がエリセの前に運ばれる。運ばれるというか生成されたのだが細かいことは大体神の御業。
「わ、早すぎ…。どうなってるんだろ台所事情…」
『むふふぅ、伊達に大母やってません!あ、今のルゥちゃん笑いでした。それはともかくささ!お食べしたもうしたもうー!』
満面の笑みで食事を勧めるイザナミ。何故だか彼女に惹かれているのか、いつも以上に押しが強く激しい。気持ち的に。
「あ、はい。……レビューの為にも、調味料は最初御法度でいいか」
『?』
「あ、こっちの話です。……それにしても、イザナミ、が作る料理を頂くなんて縁起が悪いことこの上無いけれど…」
((ぎく…))
『そそそ、そんな事はありませぬ事です!妾は確かに黄泉の女神でもありますが同じくらい創世の女神なので!今回のご飯はとても美味しいのです!』
「……ふふ」
ささ!とあたふたしながら勧めるイザナミに、エリセなる少女は笑う。
「設定、大事にしてるんですの。あ、これが噂のコンカフェってやつなのかな?」
『こん、かふぇ?狐カフェたも?あなや玉藻はアレ狐というより野干、じゃっかるなればビミョーに違うような…』
(大母、ズレているズレている)
(口喧ししは大阪のおばちゃんが如し)
「ふふっ、気にしないでください。…それじゃあ」
いただきます。海鮮丼に箸を持ち、手を合わせ口に運ぶエリセ。
「…………!!」
一切れの鮪を口にした瞬間、その大人びたクールな面持ちはみるみるうちに喜色に満ちていく。
「凄い…!切り身みたいなのに、肉みたいな噛み応え…!一噛みごとに旨味が口いっぱいに広がる…!」
『そうでしょうそうでしょう!赤身全部、大トロなるや!』
「こっちのサーモンもこっちのエビも最高級…!凄い!これが1000円以下!?詐欺じゃなくて!?」
『勿論消費税も無しのぽっきり!美味しく食べる姿で十分満たされますとも!ささ、たくさん食べてたも!たくさん!』
「凄い…!箸が止まらない!これがヨモツヘグイ、伊弉冉命が黄泉から帰ってこれなくなるのも分かるやつ…!」
『いやぁ、黄泉の食べ物は正直口にした時はクソ不味かったといいますかえっもうこれしか食べられないんですかと詐欺られたきぶゲフンゲフン!!』
「ふふっ、ホントにこだわりのコンセプトカフェ形式なんだ。…まさかいくら聖杯戦争でも、イザナミノミコトなんて最高の格なんて呼べるわけないしあり得ないよね、特異点だって」
『あり得てしまうのがこの世界の不思議な所だな…』
『聖杯戦争では大敗確実、聖杯大戦では勝利確約。ぴぃきぃなり』
『ワフ…?(何をなさっているのですかそちらの方々は…)』
「格が高い方が変なことしてると絵面が倍面白い奴ですねぇ」
大母が女子高生と絡み、日本の皇子と守護神が陰から見守り、二人の天照が怪訝にするというイミフな状況の中、食事は和やかに進んでいく。
「ふぅ…ご馳走様でした、と」
やがて米粒一つ残さず完食し、エリセが手を合わせ一息つく。納得の完食、妥当のご馳走様であった。
『お粗末様でした!いやぁ、とてもよい食べっぷりでした!見ていてこちらも夢いっぱいお腹いっぱいです!あなやうれしきー!』
「本当に美味しかったです…!レビュー星5、つけときますね!一万文字の感想付きで!」
『ありがとうございますー!れびゅう?ほしご?』
(駄目だあの大母、慈愛が先行き過ぎて現代に全く適応できていない)
(情報弱者也)
「おぉ?なんだなんだ、かくれんぼかー?」
「タケちゃんに将門っちがこそこそするとか何事?大百足とか出た感じ?ヤバくね?ここ魔境?」
御満悦なエリセと何故かイザナミ。お互い笑顔でニコニコなまま、会計が行われる。
「…………」
『おや?どうなさいました?』
「あっ、ええと。ごめんなさい。あの…私達、どこかでお会いいたしました?」
((!!))
確信に切り込んだ質問に、二人の背筋が跳ね上がる。
『妾たちですか?ううむ、そうですねぇ。出逢った子供達は皆覚えているので、ピンと来ないという事は…』
「…そうですよね。イザナミノミコトが呼べるわけないし、呼べたとしてもそれは召喚ごとに別人だし…」
例えば、イザナミが現世で受肉し子を成したとして。それは座に還り記録されるまで共有されない。
そして共有されたとして、それは例えるなら『全サーヴァントが受肉した世界でイザナミおばあちゃんが燃え上がって子供拵えた件』といった記録、書物になり保存されるに過ぎない。
つまり、異聞帯案件で呼ばれたこのイザナミと、エリセに縁があったとするイザナミの縁者があればそれは全くの別人なのである。
「…でも、不思議なんだけど。あなたの笑顔や、声とか、態度とかは凄く…」
だが、それでも。その感じた心地は。
「おばあちゃんというか…凄く、お母さんと一緒にいるような感じがしたんですよね…」
『あら本当ですか!あなやうれしきー!!』
その時、イザナミはエリセを優しく抱き寄せる。
「わぶっ…!(胸でかっ!頭埋まる…!)」
『おばばは日本の民みんなを心から愛しております!勿論あなたも心から!あなや、愛しき日の本の民草我が子!』
(躁モードだな)
(普段から此様也)
『是非また会いに来てくださいね!おばば、ずっと待っておりますから!』
「───……」
そう、二人の生きた世界は別のもの。
故にこれは、僅かなほんの悪戯のような出来事。
「…はい。最高のコンカフェとして皆に口コミしますから」
それでも。彼女やイザナミにとっては。
「それまで元気でいてください。今度は…友達とかも、連れてきますから」
『はい!是非是非!』
奇跡のような、偶然だったのだろう。
それを本人らが、把握していなくとも。
『また来てたもうー!ばいばーい!あなやー!』
「あなやー!…ふふっ、面白い人」
笑顔と共に、その別れは円満に。
『ところで…コンカフェとは?如何なる催しなのでしょうや?』
(そこからか…)
(武尊よ、これはいよいよすまほ解禁也)
(それしか無いか…)
『ワフ!(お二人共!配膳なさってくださいな!)』
『『────!!』』
そして二人を見守っていた日本武尊と平将門公は…
ポカポカ慈母の天照大御神に、ケツをちょっと強めに噛まれたのであった。
彦斎「───さて。リッカ。次はあなたのことを聞かせて」
リッカ「!」
彦斎「雷位を得るまでに至った、あなたの半生を。…語れる、半位でいいから」
リッカ「──うん、勿論」
武蔵「リッカさん…」
リッカ「大丈夫!話すと決めたら…私の人生に──恥はないから!」