人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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彦斎「さてと…リッカ。あなたは確かバカンス中だった筈よね」

リッカ「うん!まぁ今でも凄い楽しいんだけどね!」

彦斎「それは良かった。なら私は貴方の用心棒になる」

武蔵「おやおや!これは頼もしい連れ合いが出来ましたねリッカさん!」


リッカ「やたー!」

イザナミ『良かった〜!落着したようで何よりです〜!あなや嬉しき〜!』

彦斎「!イザナミ様…」

イザナミ『あぁ、畏まらないで〜!妾、ただのおばあちゃんですから!気楽にしてたも〜!』

リッカ「イザナミおばあちゃんすごいよ!この彦斎ちゃん、おばあちゃんの力借りてる!」

イザナミ『はい!妾も把握したので…』

『色々、お力添えを成そうかと!具体的には、お化粧とお祖母ちゃんの知恵袋〜!』

「「「?」」」

(感想メッセージは明日以降行います!)


語られぬ位

『位、というものは今話し合ったばかりのもの!それに対応する方々、実はこの場所にお二人いらっしゃるのです!おーい!』

 

創世の女神、イザナミが朗らかに切り出した話題にて、リッカ達の席に招かれたる者が二人。

 

『位を冠する後継者が三人、か』

『実に、壮観なり』

 

「将門公!タケちゃん!」

 

坂東の守護神、平将門公。そして日本の誇る大英雄、日本武尊。その二人が、尻を擦りながら席へと現れる。

 

「平将門…それに…」

 

『ヤマトタケルと言う。…まさか、黄泉の大母を降ろす担い手がいるとはな』

 

『将門君、それにタケちゃんも『位』にあたる境地の到達者!それぞれ立派な格を歴史に刻んでおられるのです!あなや凄し!』

 

「そうだったの!?」

 

リッカの驚愕に、二人が神妙に頷く。

 

『位というが…我等のものは、後に続き様の無いもの故伏せていた』

 

『我においては、継いではならぬもの也』

 

「……それは?」

 

『まずはタケちゃん!タケちゃんのは『皇位』!数多無数の怪を斬り、数多無数の神を伏せ、人の生きる世界を広げし唯一無二の功績を讃えるものにてございます!あなや凄し〜!』

 

日本武尊。日本の大英雄にして、武の尊きもの。その活躍は、怪を越え神すらも当たり前の様に下し、そして今なお続く世界最長の王室たる制度の祖たる者。

 

その力と勇。『剣と武にて人の世界と未来を切り拓いた』として、彼が…今なお彼のみが戴く位こそが、皇位であると語られる。

 

「……納得。ヤマトタケルの格や古さ、偉業や伝説は尊すぎて、続くものなんてあり得そうにない」

 

『そう悲観するものでもない。皇位は継がれている。お前達が『天皇』と呼ぶ者らと、泰平の世全てにな』

 

ヤマトタケル…武尊は笑う。

 

『血に染まり、親も殺し、怪を斬り、神を伏せた。あまりにも凄絶と血を極めた始まりであったが…日の本に繋がるすべてが、吾の位を紡いだと、信じている。故に今更、鼻にかける事もないと伏せていたまでだ』

 

「……………」

 

『吾を斬るか?絶位の娘』

 

「……いいえ。リッカに力を貸す大英雄を、斬る理由はない。私が斬るのは、悪鬼無道に堕ちた者だけ」

 

『であれば、祟神は如何なるか』

 

タケちゃんの後に、将門公が静かに告げる。

 

『我、時の朝廷に仇なし討たれ、後に首を晒されり。その後に祟を日の本に撒き散らし、畏敬と恐怖を齎せり』

 

「………」

 

『我が有する位『祟位』。世に仇なし、時に仇なし、祟にて世を呪う忌名。そなたが斬り捨てし魔名と類する者也』

 

「そんなこと…!」

「リッカさん」

 

席を立たんとしたリッカを、武蔵が留める。

 

『如何なるや、娘。日の本の三大なる怨霊なりし祟神…斬り伏せる意志や在るか?』

 

静かな問いを、彦斎に投げかける。

 

「……ふふっ」

 

『………』

 

「今の貴方が、祟神や怨霊じゃないことくらい解る」

 

それでも、彦斎は笑いその問いを否定した。

 

「平将門公は、現世にて守護神として祀られている。そしてあなたは、今守護神として彼女に力を貸している。そうでしょう?」

 

『……然り』

 

「なら、貴方は敬われるべき守護神。斬る理由なんて何処にもない。そもそも…」

 

斬られるべきものは、そんなに潔くない。彼女はそう、将門公へと告げる。

 

「位には活人の位と殺人の位に分けられる。貴方方の仰った位は、片方が活人であり片方が殺人に組み分けられるものかもしれないけれど…」

 

『『………』』

 

「それでも、『刻んだ』開祖を排斥することなんて出来ない、それは、あなたたちの生き様にして在り方そのもの。私に、天皇や祟に挑む気概は無い」

 

それに──彼女は結ぶ。

 

「どちらもカルデアの…リッカの大切な仲間なのでしょう?」

 

「彦斎ちゃん…!」

 

『───得心したり。大母も見捨てよう筈が無き』

『あぁ。──礼を言うぞ、娘』

 

「大袈裟。私には、人の罪や在り方をどうこう言う資格が無いだけ」

 

「うんうん!彦斎ちゃんが物分りよくて私は満足です!」

 

「何その上から目線。斬り捨てようか?」

 

「おやおやぁ〜?私には当たりが強いのはツンデレってやつですかぁ〜?」

 

「ほっ……良かったぁ…」

 

『ふふっ。お祖母ちゃんはなーんにも心配していなかったですよ!だって!』

 

みーんな、妾の可愛い子供達なのですから!そう、笑顔と共に皆を抱くイザナミ。

 

当然ながら、彼女には位などない。女神であるし剣士でもない。

 

(素戔嗚の荒位は村正くんが剣士だったらあり得たかも?あなや惜しき!)

 

そうしみじみと感じる中、タケちゃんが口を開く。

 

『ならば娘。『冥位』を知っているか?』

 

「冥位?……聞いたことない。というかこの世界にどれだけ位が詰まっているの…?」

 

『だろうな。…時の幕府にすら危険視され、葬られたただ一人が掲げる位なのだから』

 

その言葉に、武蔵が驚愕を表す。

 

「えっ…たった一人が当時の幕府…お上にマークされてたってことなのですか?」

 

『あぁ。……遥か南の対馬にて、蒙古ことモンゴル兵が来襲せし『元寇』を知っているな?』

 

時の大帝国モンゴル。それらが対馬を襲い暴虐を尽くしたとされる鎌倉幕府隆盛の折。

 

『それらは神風により撃退されたとされている。──しかし、真実は唯一人の『武士ならざる武士』にして【忍の祖】たる者が、二度の元の襲来を退けたのだ』

 

「たった一人で神風クラスの活躍した人って事!?」

 

『あぁ。身を隠し、闇に紛れ、あらゆる手段にて蒙古を討ち民を救った大風の英雄……』

 

『その者の名は───『境井 仁』。冥府より蘇りし【冥人】とすらよばれた、弱きを護らんと誉れを胸に懐き戦いし真の勇士也』

 

大風の英雄。冥府より蘇りし武者。それこそが【冥位】を有する無二の侍、境井仁と二人は語る。

 

「そ、そんなに立派な人なのに全然知らなかった…!」

 

「……時の幕府に恐れられたと言うことは、その存在を徹底的に抹消されたのでしょう」

 

『然り。侍ながら、毒を用い、暗器を有し、非道を極め、時の鎌倉武士すら恐れさせしまさに【冥府の侍】なれば』

 

『僅かな者は友と呼び、僅かな者は同志であり、そして誰もが【冥人】と呼んだ。…当然だろう。たった一人で、対馬を救いし非道なる誉れなきもの。容認すれば幕府は成り立たぬ』

 

『故に───対馬より、蝦夷に落ち延び。その後は穏やかなる余生を送れり』

 

「…そんな凄い人が、まだいたのね。そんな位まで有して…」

 

彦斎は頷き、そして呟く。

 

「魔道に落ちながら、決して誉れを捨てなかった侍。……是非会ってみたかった」

 

「うん!なら今度対馬に行ってみようよ!」

 

「えぇ、是非とも手を合わせにいきましょう!一人で幕府を驚かせるとか、ちょっとあまりにカッコ良すぎです!」

 

『フ───そして蝦夷には『怨位』を有する剣士…否、怨霊もまた在れり』

 

「まだ私の知らない位があるの…!?」

 

「意外と彦斎ちゃんガバガバなのではないですか〜?」

 

「黙って。この世界が特殊すぎるだけ」

 

『だが───この位を継ぐものは未来永劫現れることは無き』

 

「そうなの?将門公?」

 

『然り。怨みに生き、復讐に燃えた怨霊は伝説のみを残し、その後に復讐を捨て、生きる道を見出し人へと戻った』

 

将門公は、感慨深げに頷く。

 

『蝦夷に残るは伝承のみ。その怨は絶たれ、名と位を怨霊の墓標にただ立つのみ。その怨み、継ぐもの無きしは善き終の証也』

 

「蝦夷に対馬……。この世界で行かなきゃ行けない場所が増えたわね」

 

「最北端と最南端なのは大変ね〜。でもま!ギルガメッシュお大尽なら素敵な旅にしてくださるはず!」

 

「うん!やることやったら、皆で行こうよ!聖地巡礼!」

 

『はい!あなやおばば、祠や社作っちゃおうかなぁ!』

 

「ふふ……」

 

あっという間に、数多の縁ができた。

 

(不思議ね、ここは)

 

彼女を中心に、縁は結ばれる。

 

この縁が長く続く事を…

 

人知れず、彼女は願うのだった。

 

 

 

 




イザナミ『ふふふ、では彦斎ちゃん!あなたに憑くおばばのお化粧をば!』

彦斎「?」

伊邪那美『出でよ妾ー!』

イザナミ【アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……】

伊邪那美『ぎゃーーーーーーーー!?』

彦斎「!?イザナミが…!」

リッカ「自分で呼んでびっくりしてるー!?」

伊邪那美『ほ、ほら一応妾ですからこれ…見た目が怖すぎるので、黄泉歴10000年くらいの頃の妾になりたもれー!』

伊邪那美が手を翳すと、イザナミに変化が訪れる。

焼きただれた肌は白く。髪は淑やかに、火傷痕は包帯が巻かれ、恐ろしくも荘厳なる黄泉の女神へと。

イザナミ【───────】

伊邪那美『はい完成!これで怖くないでしょう!あー怖かった!こわし!』

彦斎「イザナミ様…」

伊邪那美『妾の黄泉の恐ろしい側面を敬い、感謝です。これよりも彼女は、共にありましょうや』

イザナミ【─────】

彦斎「……ありがとう。迦具土やヨモツヘグイの穢れ神は、忍びなかったから」

伊邪那美『はい!では皆様!ガイドを呼んでおりますから次に赴いたもう~!』

イザナミ【────】

黄泉の女神として、整えられしイザナミは…

彦斎を見つめ、静かに微笑んだ。

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