人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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イザナミ『おーい!『ぺれ』様!ぺれ様やーい!』

彦斎「ぺれ…?」

武蔵「確かハワイの女神様の名前でしたね?まさかガイドというのは…」

ペレ『おはようございます。ガイド、ペレです。皆様へ、縁たる場所へお招きいたしましょう』

リッカ「ホントにペレ様!?」

ペレ『うふふ、ペレです。そうですね…』

『浜を散策してみるのは、いかがでしょう?』


意外な縁は浜にて

『よろしくお願いしたもー!』

 

イザナミの召喚により現れたとされるガイド。その者とはペレ…ハワイの女神、ペレと名乗りリッカ達の案内を受け持つこととなる。

 

「イザナミお祖母様ったらいよいよハワイの神霊まで取り込み始めたのかしら…?」

 

「まぁ…それだけの格はあるし……」

 

「創世の女神ってすごーい!」

 

そんな所感を告げるも無理からぬ程に、目の前の存在を招いた離れ業に三人は言葉を呑む。

 

『ハワイですもの。一柱くらいは地元の案内人がいらっしゃらなくては…ね?』

 

そう告げるペレが招きし浜…つまりハワイのビーチ。やや早い時間帯のそこは、先に死合を果たした様子は何処にもないほどに整えられていた。

 

「あっという間に手直しがなされておりますね!流石お大尽ハワイ!」

 

「確かにちょっと暴れすぎた…反省」

 

「まぁまぁ!あそことは離れた場所だし流石に…ん?」

 

リッカはその時、浜にとある女性の影を捉える。

 

「あれは……永琳さん?」

 

赤色と青色の水着、パラソルの下で静かに佇む賢者。幻想郷の薬師、八意永琳その人がハワイのビーチに現れていたのだ。

 

『あちらの御方、ライフセーバーを請け負う八意永琳様でございます。イザナミ様にお誘われし、ハワイへと』

 

「…知り合い?」

 

「うん!下手したらイザナミおばあちゃん並の長生き!不老不死なんだ!」

 

……知り合いでいいの?と武蔵に驚愕のアイコンタクトを送る彦斎。良いのです、と自慢げに武蔵は首を縦に振る。

 

「あら…。リッカちゃんとその戦友さんね。おはよう」

 

「永琳さん、永遠亭からわざわざハワイに!?凄い遠出じゃないですか!」

 

「ふふ…伊奘冉に強く誘われてね。兎たちに留守を任せて出てきたのよ。たまには竹林以外の景色も見ておこうと、ついでに…」

 

もしかしたら怪我人も出るかもしれないから、医療班として。そう、彼女は柔和に笑った。

 

「あなた…イザナミ様を呼び捨てだなんて。リッカの言は本当なのかしら」

 

「あら、あなたは…見ない顔ね」

 

永琳の不思議げな顔に、彼女は名乗る。

 

「河上彦斎。先日ここに来た用心棒。…イザナミ様とはどういう関係?」

 

信仰している神への気安さに、剣呑さが顔を出す彦斎。

 

「勿論、我等日の本が崇め奉る偉大なる大母…」

 

「その割には、畏敬の念が薄く感じるけれど」

 

「それはそうね。古くからの付き合いだもの。天照や月読がまだまだ現役だった頃合いから」

 

「それはつまり…貴方も、もしや?」

 

「ええ。八意思兼神…天岩戸で神々に入れ知恵した神だといえば伝わるかしら?」

 

天岩戸伝説。素戔嗚の狼藉に天照が傷心し、天岩戸に引きこもってしまった逸話。

 

太陽が無くなり困り果てた神々は、天岩戸の前で宴を行い、気になった天照を無理矢理引っ張り出した伝承。

 

そのアイデアを出したのが、思兼神…即ち、永琳だと言うのだ。

 

「あまこーと同期!?」

 

「それは大変な長生きですね!?」

 

「月読から話は聞いているわ。ぐっすり眠るときや、静かに独りの時間が欲しいときに月読の社によく来てくれて嬉しいって。彼女の友人として、礼を言うわね」

 

「ツクヨミちゃんと友達なのですか!?」

 

衝撃な事実が次々飛び出す最中、笑みを浮かべながら永琳は告げる。

 

「そう。月の都…私の古巣を共に創り上げたのも、月讀命…要するに、彼女との交友のきっかけなのよ」

 

月の都。月の裏側にある、永琳がかつて住んでいた地たる場所。

 

そこは生命における寿命、穢と呼ばれるものなき独自の科学が発達した場所であり、幻想郷と度々交流がある場所だ。剣呑な案件ばかりだが。

 

「私が都を作る時、月讀命に話を持ちかけたのがきっかけよ」

 

太陽や地球に比べ、月は無骨で地味だと月讀命は寂しげに憂いていたという。

 

天照は朗らかに月讀命を愛していたが、月讀命はそんな姉を羨ましくやや卑屈げに僻んでいたとされる。

 

現に、天照は神々にも人々にも愛されるが、月讀命は人望も信仰も姉の影すら踏めない。

 

いっそ神の座から降りようかな…とネガっていた最中、思兼…つまり永琳は説き伏せた。

 

地球から飛来物を引き受け、傘として護るからこそ地上は安寧を保たれる。

 

月があるから、地球と太陽は仲良しでいられる。地球は地球であれる。

 

月は決して無くてはならない太陽と星の橋渡しだ。自信を持ちなさい、と。

 

月讀命はその言葉にピコやる気と感激を見せ、良かったら友達を前提とした知り合いとなることを願い、良かったらお願いを聞かせてほしいと示した。

 

なら私は、月に命と明かりを根付かせたい。月を死の石塊ではなく、神秘と夢の星へと作り変えたい。

 

力を合わせましょう。いつか星々の命が、あなたを神秘と見上げるように。

 

そう願った思兼の言葉を受け、彼女が願う都と命を、彼女と共に月讀命は創り上げた。

 

それが今の月の都の始まり。月の兎の伝説や、月の信仰の起こりにして形なのだとされる。

 

「本当なら、月の都の御本尊にもなってほしかったんだけど…『天照姉さんみたいな陽キャ統治とかマヂ無理…引き篭もろ…』と、私に神格や領域を託して隠れてしまったのよ、彼女」

 

「ツクヨミちゃんすっごい陰キャだった!いや知ってたけど」

 

「…天岩戸からの生き証人だなんて…あなたは一体何歳なの…?」

 

「ふふ、私はもう年を数えるのをやめてしまったの。だから答えられないわ。ごめんなさいね」

 

そして彼女は、頭を下げる。

 

「社から出るのも、神威を見せるのも厭っていた彼女が今やアルバイトまでしているのはあなたのお陰よ。これからも月讀命をよろしくね」

 

「勿論!ツクヨミちゃんの社の、あの喋っているのか頭の中に浮かべてるのか分からなくなるくらいの月夜の空間は本当にお世話になってますから!すっごくよく眠れるんだ!」

 

「本当ですかリッカさん!なら私もお団子片手にお邪魔しちゃおうかな〜!」

 

【おお、月讀より言の葉あれり。『くんな』とす──】

 

「!?イザナミ様…喋れたの…!?」

 

【御告げにてのーかんなり…死人に口無し伊奘冉言有り…】

 

「月讀様から拒否られたんですけど!?」

 

「だって武蔵ちゃん酒入るとうるさいし!」

 

「流石に自重しますってばぁー!」

 

「ふふっ……あら?」

 

そんな折、リッカが肌身離さず持つ矢を永琳は見やる。

 

「リッカちゃん、それは?」

 

「あ、これですか?なんだか起きたら部屋にありました!」

 

「矢、よね。…確か、それから八つの雷が出ていたわ」

 

「そうですそうです!倶利伽羅を止めておりました!」

 

それを見た永琳が、ふむと思案する。

 

 

「……もしかしたら、これは、八雷神の加護を受けた矢かもしれないわ」

 

「八雷神……あ!イザナミおばあちゃんから生まれた雷神達のこと!?」

 

八雷神。やくさのいかずちのかみ。その神の来歴は……

 

【黄泉にて我が……もうお腹とかそんな領域じゃない場所からぽこぽこと産んだ八の雷神也…】

 

「もう喋ることを躊躇わないのね…」

 

「そんな雷神の一柱の力を感じるわね。少なくとも…あなたには力を貸してくれているわ」

 

「あ、やっぱり!力を貸してくれてるって思ってたんだ!」

 

「でも、一柱以外は…」

 

思案の最中、永琳はそっと首を振る。

 

「いいえ、今気にする必要はないわ。ただ、この雷神はあなたを必要としているわ。それだけで今は十分よ」

 

大切にしてあげて。その言葉に、リッカは嬉しげに頷く。

 

『それでは皆様。コラボエリアとサーヴァントエリアに参りましょう』

 

「おー!いやぁ、将門公の勾玉といい、素敵な縁起物が増えていきますね!」

 

「そんなのも持っているの…?」

 

「そだよ!じゃあ永琳さん!またねー!」

 

手を振り、三人はガイドに導かれる。

 

「…八雷神」

 

先には告げた彼女が、想いふける。

 

「これは…報告しておきましょうか」

 

彼女は既に…

 

その真相に、思い至っていた。

 




リッカ「ガイドさん!行ってない場所はどれくらい?」

ガイド『はい。次は…』

『ギリシャのオリンピアエリア、そしてポケモン・デジモンエリアなどといったところですね』

『そしてご依頼が。──邪神の娘達の仲良しを、取り持ってほしいと』

リッカ「!?」
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