人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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アスモデウス【ぐすっ…ううっ…】

シンデレラ『…何故、泣いているの?』

アスモデウス【これが、泣かずにいられますか…!貴方は、本当に本当に辛い目に遭っていて…こんな…】

シンデレラ『……私の為に、泣いてくれるのね』

『ありがとう。あなたの優しさと気持ち…美しいわ』

アスモデウス【ひっく…。でも、あなたは今ここにいるわ】

【お話には、続きがあるのでしょう?】

シンデレラ『えぇ、勿論』

『物語は、ハッピーエンドで終わるものよ。…だから』

『この物語は、終わっていないの』


涙に濡れたハッピーエンド

『待ってくれ!ルイ、頼む!待ってくれ!』

 

シンデレラの自害を止めたのは、ルイの発砲を止めたのはエイブ。シンデレラの生みの親。

 

『私達の…シンデレラの物語がこんな終わりであってたまるものか!ルイ、お前もそう思っているはずだ、そうだろう!?』

 

『エイブ…?』

 

シンデレラを庇い立て、エイブは叫ぶ。

 

『オールドテイルズが…シンデレラが!どれほど努力していたか!どれほど勝利と希望を夢見ていたか!お前は知っている筈だ!そうだろう、ルイ!』

 

『……………』

 

『シンデレラにお前は言っていたな。お前は何よりも美しいと!私もそうだ、同じ想いだ!仲間達も、私も、シンデレラの姿と美しさを目標にここまでやって来た!』

 

ルイの銃の前に立ち、懸命に訴える。

 

『私とお前だけなんだ…!この物語の汚れを拭い去り、再び彼女たちを輝かせる事ができるのは!』

 

『…どうして、そこまで…』

 

『決まっているだろう、シンデレラ…!』

 

エイブは、彼女の涙の跡を拭う。

 

『お前が──私の、私達の。勝利の女神だからだ…!』

 

『───!!』

 

勝利の女神。

 

今の自身が、汚れてしまった物語の登場人物の自身を、勝利の女神だと。彼女は告げた。

 

『汚れがなんだ、穢れがなんだ。そんなもの、こうしてしまえばいい』

 

彼女の涙を拭い、涙の跡を拭き取る。

 

『私は、お前達の活躍を誰よりも待ち望んでいた観客なんだ。最強のニケに、傲慢だが誠実な指揮官。その瞬間の為に、全てを捧げてきたんだ』

 

『そこまで…私達の事を…』

 

『汚れなど、私が何度でも拭いてやる。穢れなど、私が何度でも払ってやる。だから立て。だから舞え、シンデレラ』

 

強く、誰よりも優しい激励が響く。

 

『お前はいつも、いつまでも。私の、勝利の女神なのだから…!』

 

シンデレラは自身の武装、磨き抜かれた鏡を見る。

 

そこには、刻み込まれた涙の軌跡。青い瞳。

 

しかし、そこにもう涙は無い。

 

『────指揮官。私の王子様』

 

シンデレラは、無言のルイを見つめ返す。

 

『お願い…お願いよ、王子様。私にもう一度、チャンスをちょうだい』

 

『────』

 

『汚れてしまったけれど。魔法はもう解けてしまったけれど。私達には、まだ最高の観客が付いてくれているのよ』

 

シンデレラの言葉に、覇気が戻っていく。

 

『物語を書き直すわ。私達でクイーンを倒して、ラプチャーを倒して、地上に平和を取り戻す。最高のハッピーエンドで、物語を終わらせるの』

 

『シンデレラ…』

 

『その為には、あなたの力が必要よ。指揮官。小さい頃からずっとずっと、私を見つめてくれた王子様』

 

彼女は立ち上がった。構えた銃の手をそっと重ねて下ろさせ、胸に身体を預け。

 

『お願い…。貴方がいないと、ハッピーエンドを迎えることが出来ないの』

 

『……』

 

『私には──王子様が、必要なの。だから、お願い…』

 

シンデレラの願い。エイブの想い。

 

指揮官…ルイは、そっと銃を手放す。

 

『ようやく、美しい君が戻ってきたね』

 

『…!』

 

『勿論さ。君は僕より美しいのだから、僕が力を貸すのは当然だとも』

 

彼は笑った。

 

『さぁ行こう、シンデレラ。この世界くらいでは──素敵なハッピーエンドを迎えようじゃないか』

 

『───えぇ!』

 

シンデレラの涙は消えていた。

 

仲間のため。

 

人類のため。

 

美しき勝利の女神は、再び飛翔する。

 

 

『シンデレラ!ルイ!ゴッデス部隊が援護してくれている!宇宙ステーションのエレベーターへ飛び込め!』

 

シンデレラとルイは、数万、数億のラプチャーが犇めくステーションに続く軌道エレベーターへと吶喊していた。

 

状況は最悪に近い。オールドテイルズ部隊のシンデレラを除く全てがボディを失っており、二人だけの突撃作戦。

 

宇宙ステーションに潜むクイーンを討ち果たし、ラプチャーを倒す。作戦とも言えない特攻。

 

しかし、その無謀さを援護する者たちがいた。

 

『内輪もめは終わったんだな?よっしゃ!ケツ叩いてやるから真っ直ぐ進め!』

 

レッドフードの、がさつかつ頼もしい声。

 

『仕方あるまい、露払いは請け負おう。仕損じるなよ』

 

紅蓮の鋭い刃のような声。

 

『失敗は許されません。覚悟なさるよう』

 

ドロシーの、高貴ながら張り詰めた声。

 

『男女二人でホテル…ステーションに…はっ!ご、ご武運を!』

『こんな時に何言ってるんですか!』

 

ラプンツェルの、スノーホワイトの騒がしい声。

 

『サイファー。明星とまで呼ばれた貴方を信じよう』

『雑魚は任せて。セイレーン達に吉報を聞かせてあげましょう?』

 

アンダーソンの、リリーバイスの確信に満ちた声。

 

『ゴッデスが…私達を…』

『主演を任されたんだ。気合を入れなよ?』

 

『────えぇ!』

 

『シンデレラ!ルイ!クイーンはその上、宇宙ステーション内部にいる!』

 

エイブはゴッデスに護衛を受けながら、通信を送る。

 

『間違いなく最強の敵だ…!だが倒せさえすれば、人類の勝利だ!だが万が一の際の対処法を教える!』

 

『エイブ!』

 

『宇宙ステーションの接続部を切り離せ!そうすればクイーンは宇宙に追放され、私達の勝利だ!』

 

『それは美しくないなぁ』

 

『何…!?』

 

『シンデレラがクイーンを倒す。それ以外の結末は考えてないけど?出来る筈だよ。僕のニケなんだから』

 

『──この期に及んで傲慢な奴だ。いいだろう、最も困難な道を行ってみせろ!』

 

『エイブ、大丈夫よ』

 

シンデレラは頷く。

 

『私と、指揮官は…王子様は、勝つわ!』

『──待っているぞ、シンデレラ!』

 

通信を最後に、遂にルイとシンデレラは辿り着く。

 

【─────────】

 

ユニットに接続された女性。黒髪、無数の腕。悍ましい見た目をした人類の敵。

 

『ラプチャー……クイーン…!』

 

【───────!!!】

 

クイーンが、二人を捉え咆哮を上げる。人類の未来を決める戦いが幕を開けた。

 

クイーンの攻撃は熾烈と苛烈を極めた。放たれる一撃一撃が、人間の放つあらゆる兵器を上回る熱量と規模。人間は愚か、あらゆるニケすらも蒸発させる程のもの。

 

『っっ────はぁあぁあぁぁぁっ!!!』

 

その苛烈さは、人類最高峰のニケであるシンデレラすらにこれ以上無いほどの苦戦を強いさせた。ルイの指揮を、呼吸を完璧に呼応し遂行して漸く互角。

 

『強い─────!』

 

いや、クイーンの力は人類の叡智の結晶のシンデレラすらも凌駕していた。ルイの指揮がなければ、とうに五体は消滅し蒸発していただろう。

 

『それでも…!』

 

だが、シンデレラは負けなかった。彼女自身の限界を、指揮官たるルイの指示と戦術、指揮で越えていった。

 

安全なポイント。攻撃パターン。回避行動、反撃タイミング。それらは全て、シンデレラに死中に活を齎し続ける。

 

死の光を束にした光線も、目の前が見えなくなるような弾幕の嵐も。防ぎ、掻い潜り、反撃し、ルイと共に切り抜けていく。

 

『私には、最高の仲間達が…!観客がいる!』

 

ルイに止められ、誰も殺さなかった仲間達。

 

自身を勝利の女神と呼んでくれたエイブ。

 

憧れであり、全てであったゴッデス部隊。

 

そして、最高の指揮官。

 

私の王子様。

 

『だから────私は、負けないわ……!!』

 

皆のために。

 

人類の為に。必ず勝つ

 

『ガラスの靴!フルコンタクト───!!』

【───────!!】

 

シンデレラとクイーン。互いの損害が7割を越えた最後の頃合い。

 

四基あったガラスの靴──光学殲滅ユニットは三基が大破している。

 

クイーンも余すことなく身体を光学兵器に抉られ、最早原型を留めていない。

 

互いに、最後の力を振り絞った決死の一撃。

 

『勝利を、齎して────!!!』

【───────!!!】

 

最後の一基に、自身のコアの動力の全てを込めて。

 

口部に、ステーションのエネルギー全てを込めて。

 

渾身の一撃を、放ち合った。

 

『はああああああああああああああああーーーーーーーッッッッッッッ!!!』

【───────────!!!!!】

 

拮抗する、互いの全身全霊。

 

だが無慈悲にも、拮抗は崩れ始める。

 

『あぐっ!っつ、うっ───!!』

 

クイーンのエネルギー総量は、宇宙ステーション全て。

 

シンデレラは、自身のコアとユニットのみ。ユニットは八割を損失している。

 

単純な、出力の差。シンデレラが、押され始める。

 

【───────!!!!!】

 

クイーンも瀕死であり、全身全霊での排除を試みている。

 

シンデレラは極限に次ぐ極限の中で、クイーンと死闘を繰り広げていた。

 

もう、限界だった。

 

『あ、あっ────』

 

意識が飛びかける。身体が砕けそうになる。

 

『ぁ────』

 

最後のガラスの靴が、砕け散る。

 

『だ、め────』

 

立たないと。戦わないと。

 

私は、勝利の女神なのだから。

 

『私、は───!』

 

その想いは、クイーンの前に砕かれ───。

 

 

 

 

──もう一踏ん張りだよ、シンデレラ。

 

『!?』

 

身体が軽くなった。痛みが引いていく。

 

『──王子様…!?』

 

最後のガラスの靴に、天使の様な羽が幾重にも重なっている。

 

隣にいる指揮官──ルイが、手を添えている。

 

『クイーンのあれは断末魔さ。とっくにあれはもう限界を越えている。ハッピーエンドはもうすぐだ』

 

あぁ、何故気付かなかったのか?

 

普通の人間が、レッドシューズを殺せるはずがない。

 

普通の人間が、セイレーン達のボディを壊せるはずがない。

 

『指揮官…あなたは、本当に…』

 

本当に。

 

遠くの、眩しいお城から。私を迎えに来てくれた…。

 

『───はぁあぁあぁあぁあぁあーーーーーーーーッッッ!!』

 

全身全霊を、限界のその先の力を絞り出す。

 

ガラスの靴は砕けない。美しい羽が添えられている。

 

クイーンに、少しずつ光線が近付いていく。

 

『私は、負けない!王子様が、隣にいるから…!!』

 

青い瞳が輝く。

 

限界のその先へ。

 

絶望の更に向こうへ。

 

物語の、幸福の結末へ。

 

『これで最後よ!クイーン!!』

【─────!!】

 

クイーンはたじろぎ、慄いた。

 

砕け得ぬ鏡に。

 

けして穢れない、美しい『灰かぶり姫』に。

 

『はぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!』

 

──────その瞬間。人類の悲願は果たされた。

 

【─────────!!!!!!】

 

クイーンは穢れなき白と金色の光の中に消えていく。最早跡形もない程に。

 

次いで、無謬の静寂。

 

『はあっ、はあっ、はあっ、はあっ………!!』

 

ガラスの靴は、熱量に耐えきれず融解した。

 

力を使い果たし、倒れ込むシンデレラをルイが受け止める。

 

『王子、様……』

 

『やったね、シンデレラ』

 

『やっ、たの…?私達が…』

 

『あぁ。クイーンの反応は完全に消えた』

 

君が、勝ったんだよ。シンデレラ。

 

シンデレラに贈られた、指揮官たるルイの言葉。

 

『ありがとう。おめでとう。最高の、勝利の女神よ』

 

『────あ、ああっ……』

 

目頭が熱くなる。

 

『ああっ…あああっ……』

 

やっと、やっと成し遂げた。

 

クイーンを倒し、ハッピーエンドに辿り着く。

 

皆の、勝利の女神になる。

 

『ああああっ……!ああああーーーっ……!!』

 

嬉しい。叫びだしたいくらいに。

 

それなのに、それなのに涙が止まらない。

 

『どうして?どうして…?涙が、涙が止まらないの…!』

 

『嬉しいときにも…涙は出るんだよ。人間も、女神もね』

 

『王子様…!王子様、王子様…!』

『よしよし、よく頑張ったね。シンデレラ』

 

シンデレラは泣き続けた。指一本動かせない極限状態で、ルイの胸の中で。

 

『────!?』

 

だが、その勝利の余韻は…

 

【宇宙ステーションジョイント部破壊。軌道上から離れます。速やかに避難してください。繰り返します──】

 

宇宙ステーションのアナウンスによりかき消される。

 

『何が、起きているの…!?』

 

次いで感知する、大量の熱源。

 

『どうやら宇宙ステーション自体をクイーンの要塞に変えていたみたいだね。切り離し、シンデレラを取り込んで復活するつもりか』

 

『───!』

 

直後、無数に襲いかかる有線コードたち。

 

『良かったねシンデレラ!次期クイーンに選ばれたみたいだ!』

『美しくなさすぎる冗談はやめて…!』

 

シンデレラは指一本動かせない。

 

ルイはシンデレラを抱えて走る。

 

『やっぱり、王子様──』

 

ニケの体重はトンを超える。

 

最早ルイは、人間ではないことは明らかだ。

 

『脱出しよう、シンデレラ』

『!?ダメよ、宇宙ステーションをなんとかしないと…!』

 

『大丈夫さ』

『…!?』

 

ルイの言葉と共に、辿り着いたのは脱出に使われるゲート。

 

『待って!指揮官、何をするつもりなの…!?』

 

ルイは、一基だけ残っていた非常脱出ポッドにシンデレラをそっと乗せる。

 

宇宙ステーションから、シンデレラは地上へと戻される。

 

 

 

シンデレラ一人を、脱出ポッドに乗せ。

 

『十二時の鐘が鳴った。もう帰る時間だよ』

 

ルイは、静かにポッド越しに笑う。

 

『……嘘』

 

彼の分のポッドは、無い。

 

『嫌、嫌よ!ここを開けて!私は嫌!指揮官を置いてだなんて!』

 

最早半狂乱になりながら、懸命に叫ぶシンデレラ。

 

何をするつもりかは、一目で分かった。 

 

指揮官は、いつもの様に優しく美しく笑った。

 

 

『ハッピーエンドを迎えるんだろ?仲間達の元に帰って、初めてそれは叶うはずさ』

 

こんな状況なのに。

 

あなたは何一つ変わらない笑顔で。

 

『あなたもよ、指揮官!あなたがいないと私達は、私は!!』

 

置いていかれる私達が、どんな顔を浮かべるかも考えずに。

 

『そうだとも。君がいなくちゃ、美しいハッピーエンドにならない。シンデレラは、美しく輝かなくちゃ』

 

もう会えない。

 

もう、あなたの美しい笑顔が見れない。

 

『待って!やめて!!嫌、嫌!離れないで!指揮官!私の指揮官…!!』

 

何より深い絶望が、シンデレラを包む。 

 

『最後のピリオドは任せておいて。指揮官として、最後の仕事をするよ』

 

亡霊の様なクイーンの触手が迫る。

 

一刻の猶予もない。

 

『開けて!ここを開けて!お願いだから!お願い、お願い!お願いだから………!!』

 

魔法が解けた灰被り姫は、家に帰らなくては。

 

──シンデレラ。

──君はとても、美しかった。

 

もう、声もしっかりと聞こえない。

 

 

『いや、いやよ…離れないで…私の傍にいて…!指揮官、指揮官…!私の、私だけの…!』

 

まだ伝えていない。

 

お礼も、感謝も、何もかも。 

 

 

───セイレーン、ヘンゼルとグレーテル。エイブによろしく。

 

 

 

『私の、おうじさ────!!』

 

 

───勝利の女神たちの奮闘に、敬意と感謝を。

 

 

 

───さようなら、地上の星よ。

 

 

 

───君達は、心から美しかった。

 

『ぁ─────』

 

地上に向けて、馬車が走り出す。

 

 

『いやああぁぁああぁぁぁぁぁぁっ!!指揮官!指揮官!!』

 

行かないで。

 

離れないで。

 

何処にも行かないで。

 

───ありがとう。誰よりも美しい君。

 

抱きしめて。

 

私の身体も、心も。あなたのものよ。

 

行かないで、行かないで。

 

私を置いていかないで。

 

 

もう、曇っちゃダメだよ?

 

私の。

 

私だけの。

 

たった一人しかいない、私だけの──

 

 

『ッッッ───王子様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーッッッ!!!!!!!

 

 

…シンデレラが最後に見たもの。

 

それは、光りに包まれ消滅していく宇宙ステーション。

 

その光が、地球に向けて無数に降り注いで行く光景。

 

それらは、地上のラプチャー全てを撃ち貫き、一掃した。

 

地上から、ラプチャーは全て消え去った。

 

人類は、ラプチャーに勝利した。

 

『あぁ、あぁあぁ………あぁ、ああっ、あぁぁっ…………』

『シンデレラ!無事か!ルイは!?』

 

シンデレラは、エイブにより回収される。

 

『嘘、嘘よ。こんなのは嘘よ。こんな、こんな終わり方なんてあり得ない……』

 

シンデレラは、馬車の中で啜り泣き続けた。

 

『どうすればいいの?私はこれからどうすればいいの?王子様…私の、私の王子様…嘘、こんなの、こんなのは嘘よ…』

 

人類は勝利した。

 

ラプチャーは、クイーンは消え去った。

 

ルイの尽力により、ニケは人権を保証され、『勝利の女神特区』が作られた。

 

セイレーン、ヘンゼルとグレーテルは降り注いだ光にて、『人間』として新たに生まれ変わった。

 

シンデレラは『人類の大英雄』『勝利の女神』として、人類の永遠の象徴となった。

 

そう、全てはハッピーエンドを迎えた。

 

『こんな終わり方が…ハッピーエンドな筈がないわ…許さない、許さないわ。こんなにも、こんなにも夢中にさせたくせに…』

 

『明星』───ルイ・サイファーの戦死。

 

人類を勝利に導いた、史上最高の指揮官。

 

人類の明けを導いた、明星。

 

そう、永遠に語り継がれし者。

 

『お願いよ…お願いだから……帰ってきて……』

 

全てが、ハッピーエンドを迎えた。

 

『指揮官…私の、王子様………』

 

──永遠に涙に濡れる、灰被り姫を除いて。

 




シンデレラ「私は信じないわ。私の王子様は、あれくらいで死ぬはずがないもの」

アスモデウス【だから、探しているのね…?】

シンデレラ「えぇ。…もう、何年になるのかしら。見つけるわ。何十年、何百年かけても…」

アスモデウス【〜〜〜〜〜〜っ…!】

シンデレラ「私の…王子様だもの。あの人と本を閉じなくちゃ、ハッピーエンドにならないから…」

アスモデウス【こっち!!】

シンデレラ「あっ…どうしたの…?」

アスモデウス【いいから!!】

海の家

ルシファー『はーい、いらっしゃーい!』

アスモデウス【ルシファー様!!】

ルシファー『ん、アスモデウス?どうし───』

シンデレラ『────────────』

ルシファー『あれ、シンデレラ?』

シンデレラ『──────────────お、』

『おうじ、さま……?』

ルシファー『久しぶり!元気だった?』

シンデレラ『──────────』

ルシファー『うわっ、大丈夫!?』

シンデレラは、足から崩れ落ち。

シンデレラ『────あぁっ……あああああっ………!!』

ルシファー『ちょ、シンデレラ…!?どしたの!?』

アスモデウス【ルシファー様!!未来永劫の咎を承知で!】

ルシファー『へっ?』

アスモデウス【この脳焼きお星様ァ!!】
ルシファー『あいた────!?』

渾身の、アスモデウスのビンタが炸裂したのであった。
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