人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
アグモン「見てガブモン!モンスターボール貰った!これでポケモンに投げるんだよね確か!」
ガブモン「ピカチュウいねーかな!ピカチュウ探しに行こうぜピカチュウ!」
ボルシャック『なんで炎技最強がだいもんじなんだ?大の字の炎なだけじゃね?』
バザガジール『かみなり、ハイドロポンプに対して…なんというか、京都だな』
ボルメテウス『リーフストームにも繋がらないし、やはり京都人がいたのではないか』
ボルシャック『すげぇな京都…』
ボルバルザーク『おい貴様ら!メガシンカを知っているか!?自らを傷つける程のパワーを発揮するようだぞ!戦わねばなァ!!』
ボルシャック『いやポケモンの力を借りろっつの。自分でやるな自分で!』
モンモンブース。様々なモンスター達が世界を超えて交流するブース。
ルゥ『むふふ…』
その立案者にして主導であるルゥ・アンセスには狙いがあった。
『むふふぅ』
邪悪な笑みを浮かべ、メガデンリュウに扮し見つめるその真意とは…。
「これが…モンスターボール。これを投げて、ポケモンをゲット…」
モンモンブースの一角にて。ポケモンコーナーに訪れたリッカ達は思い思いの触れ合い方でエンジョイし、楽しんでいた。彦斎は受け取ったモンスターボールを静かに見つめている。
「手にしたポケモンは、面倒を見なくちゃいけない。生き物だから当たり前だけど…」
先程からポケモン達の個性豊かなフォルムには、仏頂面で冷静な彦斎も顔を綻ばせる程に堪能していた。
(思い出す。任務や依頼の潜伏の日々…動物達だけが、私に優しかった)
暗殺の依頼にて、ターゲットを待つ際や。政府などに追われる際…彼女は物乞いに扮し日々を過ごしていた経験がある。
何処の誰にも、卑しい物乞いと疎まれ爪弾きにされていた日々の癒しこそが猫や犬との触れ合い。血腥く、鼻の曲がるような死臭の中で…
(あの子達との触れ合いだけが、私の平穏だった…)
野良猫や野良犬。心通わせ、また離れなければならなかったあの日。
今回は、自身が主となる動物と触れ合う機会がここにある。
「……」
しかし、彼女には由々しき事態があった。
「──!」
『『『『!!』』』』
モンスターボールの構えに入る際、気合が入りすぎてポケモントレーナーにあるまじき殺意が溢れてしまい、ポケモン達が蜘蛛の子を散らしたように逃げ出してしまうこと。
思えば剣にてしか人の触れ合いをしてこなかった。桂小五郎という馬糞入りの辛味入り汁掛け飯を食らった黄土色の頭の中に脳味噌が詰まっているかわからない詐欺師にいいように扱われた事が最後。
優しくしてこなかった。だから優しい接し方も忘れてしまった。
「…」
やはり、私には…。モンスターボールをしまう彦斎。
こんな私に飼われる動物なんて、不幸な存在は…
【クォンッ】
「!」
すると、響く鳴き声。顔を上げてみれば、そこにいるのは白い毛皮と刃の形をした前髪めいた部位を持つ四足のポケモン。
「あなたは…」
アブソル。わざわいポケモン。わざわいの兆しを敏感にキャッチし、人に知らせる賢く優しいポケモンが、彦斎の下に現れる。
【……】
「…あなたは怖がらないの?」
彦斎を見つめるアブソルは、彦斎の戸惑いを他所に彼女に寄り添う。
「あなた…」
【クォンッ】
アブソルは何も言わず、彼女の傍で目を閉じる。
まるで、望まぬ評価、望まれぬ事など気にするなど言わんばかりに。
「…もしかして、あなたも私と同じ?」
【…】
「ううん。…あなたは、孤高なのね」
誰かと逸れ迷うのではない。
己の道を信じるもの。
彦斎はそんなアブソルの在り方を見出し、そっとアブソルを撫でる。
【……】
「…。暖かいね…」
彦斎は拒絶されることなく、アブソルに触れられる。
それもまた、彼女への優しい気遣いのようで。
「…ありがとう。えっと…けんしん」
【!…】
「なんとなく、名前。どう?」
【クォンッ】
アブソルはそれを否定することなく…。
ただ、彦斎の傍らにて身を委ねていた。
〜
「はぁあぁあぁあぁあぁあっ!!!」
「レイッ!!」
無数の剣戟、無数の斬撃。今、それらが交錯する戰場の刹那。
「ポケモン侮りがたし!まさかこれほどの使い手がいるとは!」
宮本武蔵。ポケモンブースにてしのぎを削るは数多のポケモン。
「──!!」
エルレイド。両手に備わるブレードで気高く戦う刃のポケモンと、武蔵は歓喜の剣戟を行い交わしていた。
「人とは違う在り方!絆を結んで極みへと!ならば仲良くなるには手合わせ死合が一番ですものね!」
「レイッ!!」
武蔵ちゃんの風格を読み取ったか、腕に覚えのあるポケモンたちが武蔵ちゃんの挑戦の為に列をなす大盛況ぶり。彼女としても未知の手合わせに歓喜に剣が振るわれる。
「んー!ポケモンさいこー!!これがホントのポケモンバトルってね!さぁ!どんどんかかってこーいっ!!」
後に『サオリ』と名付けられたカイリキーの超速タックルに叩き伏せられるまで、ちょっとズレた武蔵ちゃんのポケモンバトルは続くのであった。
〜
「まだまだ可愛いの、女子力の導きは遠い…」
リッカはリッカで何をしているのかというと、フェアリー落選に思いを馳せていた。
「あく・ドラゴン…即ちサザンドラ…レベル60くらいで進化してチャンピオンLEAGUE常連みたいなクラス…」
決まってしまった以上名乗るに異論はない。タイプ変更は自分であることから逃げない誓いに反する案件故に。
「果たして、あく・ドラゴンに可愛らしさはあるのか…?可愛らしさとは…?いやアジーカは可愛いけど」
そんな哲学的な物思いにふけるリッカに、トントンと肩を叩くものがいる。
『リュー』
「!!あなたはカイリュー!?」
神速の申し子。優しさの化身。せめて痛みを知らず安らかに死ぬが良いの体現者のカイリューが、リッカを訪ねる。
『リュッ』
「?」
あちらを見てご覧、と促された先、リッカは目を見開く。
「……!!」
そこにいた、いやたくさんいたのは、沢山の『かわいい』であった。
【ドラッ!】【ドラ〜…】【ドララッ】
三ツ首の頭で、仲良くきのみをかわりばんこに貪るサザンドラ…
『ゴガァ…』
体を丸め、のんびりと昼寝するバンギラス…
『グォンッ!』
大きな身体で、小さなポケモン達を乗せて遊ぶガブリアス…
『メタッ〜』
ふよふよと浮き上がり、ぼんやりするメタグロス…
『ゴーン、ゴーン♪』
ぷるぷるとしたぬめぬめボディを、草原でゴロゴロするヌメルゴン…
『リュー!』
かわいいは、こんなに沢山あるんだよと伝えるカイリュー。彼自身も、スタッフの服を着てとても可愛らしい有り様。
「──…!!!」
そう、ヌメルゴンやカイリューはともかく、バンギラス達はカッコいい、たくましいといったイメージを持つポケモンだ。
しかし今の彼らには確かに可愛いが存在している。思い思いに過ごす日常に、確かに可愛いが存在しているのだ。
「私は…私は浅はかだった…!」
リッカはがっくりと項垂れる。そう、可愛いとは額面や数値の値だけではない。
細やかなポケモンスナップの1幕。自然が齎す天然自然の可愛い。そこに確かに、万物は可愛いを宿しているのだ。
フェアリータイプは確かに可愛い。
しかし、あくやドラゴンが可愛くないなんて道理はない。
そうとも。いやむしろ、おそろしいからこそ倍かわいくなれるのではないだろうか!
「カイリュー!あなたは最初からこれを私に…!」
『リュッ』
肯定するかのように、ウィンクするカイリュー。
「きゃわわわわわわ!!」
そう、そんな仕草をするカイリューは問答無用で可愛らしい。
可愛らしいとは、可愛さとは万物に宿るのだ。
ならば、あそこのサザンドラのような可愛くなれる。
いや、なる!そう熱い決意が胸から盛り上がってくるのをリッカは感じた。
「かわいいの道は一つじゃない…!カッコいいもかわいいも、両立共存できる…!」
『リュ〜!』
そう顔を上げたリッカの下に集まる、カッコカワイイポケモンたち。
「皆…ありがとう!私、解ったよ!皆のように、私はなりたい!」
カッコよくも、可愛くもなれるポケモンたちのように。
無限大の可愛さを、追い求めようと。
『リュ〜!』『ゴン!』『メタッ』【グォオッ!】【ゴギャアッ!】【【【ドラッ!】】】
リッカを心配していたのか、心優しいポケモン達はリッカを取り囲み…
「わぁ〜〜!!!」
皆で集まり、リッカを高く高く胴上げする。パワフルな祝辞に、リッカは宙を舞う。
「ありがとう!皆!ありがとう〜!!」
リッカはポケモンとの触れ合いにて…
更に大切な事を、学んだのであった。
ボルシャック『おい見ろよ俺のリザードン超かっけぇ!色違いだぜ色違い!』
ボルメテウス『私達にも手を貸してくれるとは、ポケモンは懐が深いな』
ルゥ『むふふ、成功してるねぇ』
ルゥの狙いとは、異なる世界の皆が触れ合い、素敵な絆が生まれていくこと。
『せっかく奇跡で合わさった縁。いっぱい紡がれるといいねぇ』
様々な世界を渡り歩いたルゥならではの、一夏の奇跡を満足気に見守るのであった。
ルゥ『あっ、そろそろメガシンカ鎮静体験コーナーかな?行かなきゃ!』
アグモン『あ!メガデンリュウだ!』
ガブモン『暴走メガシンカだってさ、ならオレ達も本気でやるかアグモン!』
ルゥ『ふぁっ?』
『『おおおおおおおおおおおおッ!!』』
ルゥ『ファッ!?』
オメガモン『行くぞメガデンリュウ…!ロイヤルナイツの投げるモンスターボールは165キロを超える!』
ルゥ『たすけてぇ!?』
本来ならば創世ポケモンと同格の彼女も…
のんきな一時を、楽しんでいましたとさ。