人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
ガブモン「滅茶苦茶楽しいじゃん!皆楽しくていい奴だし!」
ギルモン「おーいー」
アグモン「あ!ギルモン!」
ギルモン「お菓子とか、いっぱい貰ったー」
ブイモン「向こうのブースとか凄いよ!デカいドラゴンと戦えるんだ!」
アグモン「ほら!やっぱりカルデアは悪い組織じゃないんだって!」
ガブモン「あいつらも来れば良かったのになぁ〜」
ブイモン「仕方ないよ。ほら、ロイヤルナイツって…」
ギルモン「自由だからね〜」
それは、アグモンやガブモン達がこのハワイにやって来る前の事。
デジタルワールド・イグドラシル。その管理コンピューターたる『イグドラシル』からの通達が、そのデジタルワールドを守護する最強のデジモン達『ロイヤルナイツ』へと下る。
『今回の敵はちょっと手を焼きそうだし、規模も規模だから…『カルデア』を主軸に各々方針を定めて』
上司たるイグドラシルの命を受け、『ロイヤルナイツ』は一堂に介し…文字通りの『議決』と『対話』を開始することとなる。
「イグドラシルの指令の通り、我々ロイヤルナイツは人理保障機関『カルデア』への接触や交友、或いは敵対の議論を行う。各自席につけ」
ロイヤルナイツのまとめ役たる、黒き人獣が如きドゥフトモンが一同を取り仕切る。
「イグドラシルからのデータを共有したな?天使型デジモンを簒奪した敵、偽りの神とやらに真っ向から抗い、活躍しているリアルワールドの旗印。それがこのカルデアだ。なんでも、人類の全てを懸けて戦う組織だとか」
「それなら僕達も協力しよう!」
真っ先に協調の姿勢を見せたのは、最速のスピードを誇るアルフォースブイドラモンだ。
「その人達と、僕達ロイヤルナイツが力を合わせればきっと勝てる!」
「私も賛成だ」
次いで手を挙げしは、最後のロイヤルナイツたるオメガモン。彼もアルフォースブイドラモンに同調する。
「カルデアの善き人々は、かつて私が力を借りた子供たちと同じ奇跡を何度も起こしたと聞く。私達の正義は、同じ未来を目指せるだろう」
「それに、カルデアは善悪の是非に囚われずに正しきことを為すという。信を置くに相応しい相手だ」
聖騎士デュークモンも、二人に続く。
「デジモンが奇跡を見る時、必ずそこには人がいる。未曾有の敵ならば、我等も人と力を合わせなくては立ちいくまい」
「えぇ。人の作るもの…特にスイーツは素晴らしいですからね。世界とそこに生きるスイーツ職人は守らなくては」
奇跡のアーマーを纏うマグナモン。彼らはカルデアを信じ、共に戦わんとする協調派閥だ。
「手放しに善良と測るは早計かもしれんぞ、お前たち」
しかし、そこに頑固で厳格なガンクゥモンが待ったをかける。
「カルデアの製作者、並びに所長は魔術師と呼ばれるものらしい。聞けば、目的の為には外道な手段も厭わぬとか」
「可能性の話ではありますが、我々の様な規模のデジモンは、相手に良からぬ邪心を抱かせてしまうやもしれません」
その弟子、ジエスモンもまた慎重なスタンスを見せる。
「人間がロイヤルナイツの力を悪用するってこと?そんなわけないじゃん!カルデアの旅路アーカイブ見てないの!?」
「騒ぐな。ジエスモンは可能性の話をしているのだ」
巨大なドラゴンたるエグザモンは神妙に頷く。
「我個人としては…中核の娘がドラゴンを推しているのは気分が良いがな!」
「人間どもの善悪の是非はともかく、私はカルデアが有する土地には興味があるな。疾走してみたいものだ」
神馬たるデジモン、スレイプモンは蹄をいななかせ奮う。
「なんにせよ、信を預け戦うのならば礼節を以て当たらねばならん。魔術師連中、果たしてそれに当たる者らかどうかを見極めなくば…」
紫の鎧たるクレニアムモンは、暇そうに寝ている愛馬アンヴァルモンの傍らにて厳かに腕を組む。
「フン。カルデアの連中がどんなものか、どんな輩か、どんな善悪を有しているかなどはどうでもいい」
そんな中、全てのナイトモンを統べるロードナイトモンは声を上げる。
「問題なのはそこに崇高なる精神が、真なる正義が、高貴なる騎士道が備わっているかどうかだ。聞けば頭領たる英雄王ギルガメッシュは自らを至上とする暴君だと言うではないか。此度の騒ぎ、ヤツが世を乱すための仕込みではないのか?」
「口を慎め、ロードナイトモン」
ロードナイトモンの言葉を、竜人たるデュナスモンが咎める。
「しかし、手放しに力を貸すのは我は反対だ。ギルガメッシュとその財はともかく、魔術師という下賤の輩と手を組む気にはなれん」
彼らはカルデアこそが此度の元凶であり、または魔術師達の下劣な行いこそが世の乱れの呼び水ではないかと提唱する。
「下劣な者が、邪神を始めとした数多の敵を打ち払えるものか!ロードナイトモン、貴様の正義観は何故そうも捻くれている!」
「貴様が人を責められるのか?デュークモン。妄信する正義こそ厄介なものはないのだぞ?このデュークモンは許さない!だったかな?独善は、カルデアからお断りだそうだぞ?」
「貴様…!」
「よせ、デュークモン」
「そうだよデュークモン!ウィルス種だからそういう物言いしかできないんだよ!」
「アルフォースブイドラモン!貴様ウィルス種差別か!デュークモンもウィルス種だろうが!」
「君ほど性根曲がってないもんねー!真っ直ぐだもんねー!」
「やめろアルフォースブイドラモン。本当の事を言うのは」
「デュナスモン貴様まで…!もういい外に出ろ!!貴様らに決闘を申し込む!」
「そういえば、キヴォトスとやらの話は聞いていたな。学園都市とやらは正しがいのある者らに事欠かなそうだ」
「ガンクゥモン師匠、それはどういう…?」
「どうだろうかクレニアムモン?奴ら、巨大な竜は好ましく思うであろうかな?」
「そうだな。きっと気に入ってもらえるであろう」
「ぬぉお、再び食べ歩きがしたくなってきたぞ!アキハバラ、また行きたいものだ!」
「分かりますよスレイプモン…私も地下街のスイーツの美味しさが忘れられなくて…!」
「よし!今度は二人で行こうではないかマグナモン!美食はよい!生きがいだ!」
「落ち着け貴様ら!議題はカルデアに関する方針であろうが!」
ドゥフトモンが必死に場を取りまとめんとするが、自我と実力が極まったロイヤルナイツに火が入ればもう止まらない。
「ではこのオメガモンが先行してカルデアとその開催中のお祭りに参加しよう」
「は!?」
「仲間となり、共に歩まねばわからないこともある。イグドラシルにも『ニンフィアゲットするまで帰ってくるな』と言われているしな。それでは行ってくる!」
「おい!あいつそれっぽい口実付けてお祭り参加しに行ったぞ!」
「僕の前で抜け駆けが出来ると思うのかい!?待てーっ!オメガモンーっ!!」
「偽神…。神の名を騙り、自らを至上と嘯くもの!このデュークモンが許さない!!」
「あ、じゃあ私もアーマー進化体だから行きます」
「どういう理屈だ貴様!おい待て!せめて退化方法は把握してから行け!」
ドゥフトモンの静止はどこ吹く風。オメガモン、アルフォースブイドラモン、デュークモン、マグナモンが颯爽とリアルワールドへ疾走していく。
「ジエスモン、我等は我等でカルデアを見極めるぞ。まずはアーカイブの総読み上げだ」
「はい、師匠!」
「では我はカルデアのオススメ食事処を調べるか!クレニアムモン、貴様も来い!」
「食べ歩きの旅か…アンヴァルモン、楽しみではないか?」
『別にいいけどよ、俺にのったまま食うなよな』
「馬鹿な奴らめ。人類悪や邪神を擁する組織のどこが正義なものか。いずれ我が薔薇の彩りにされる定めだ」
「位を持つ武士、というのが我は気にかかるな。我が騎士道、そして武士道。雌雄を決する事は叶うのだろうか」
ロイヤルナイツの、緊急会議の結果は何時も通りの正義の衝突による分裂。
「……………はぁ…」
この場に参加していないアルファモンも含め、分かりきっていた議会の結末に…
まとめ役にして苦労人のドゥフトモンは、大きな溜息をつくのであった。
サバフェス会場
アグモン「それでこうして参加してみたんだけど、やっぱりこういう素敵な催しをする人たちが悪人なわけないよねー」
ガブモン「頭固いやつは損だよなー」
ギルモン「もぐもぐ」
ブイモン(アルフォースブイドラモン)「次はあっちに行ってみよう!」
ブイモン(マグナモン)「すいーつじゃんぬ、出品なし!そんなぁ…」
アグモン「ガブモン、ほらニンフィア探さなきゃ!」
ガブモン「くそぉ、ロイヤルナイツって戦闘集団だから会えなくねー?」
ギルモン「おいしー」
五体のロイヤルナイツ…オメガモン、ギルモン、ブイモンたちは使命をそっちのけでブースを楽しんでいるのだった。