1月17日:長くなりました。
さて、やる気満々で駆け出したはいいけど、誰を相手どるか……。
そう考えていた時、目に入ったのはガントレット使いの女。その口元には、血を拭ったような跡があった。
何かしらの原因でダメージを負ったようだが、しかし、囚人達が彼女に攻撃を仕掛けた様子はない。時計頭の管理人には明らかに戦闘能力はないし、他二人に傷はないのに私達が攻撃を仕掛ける前にダメージを負うような状況とすると……バスに跳ね飛ばされたとか……。
いやけど、こっちは13人だし、何とかなるか?全員ちゃんとした武器持ってるし……。
てか、何で車に轢かれて平然と立ってるんだよ。
……あぁ〜クソッ!弱気になるな私!今更、撤退なんて選択肢はないんだ。為せば成る、為さねば成らぬ、何事も、だ!!!
狙うは──唯一負傷していてつけ込める隙がありそうなガントレット女!
数的有利のこの状況、早々に仕留められれば、此方が有利になる筈。
そう判断し──相手の懐へと飛び込んだ。
意気揚々と戦闘を開始してから、何の成果もなく
ガハハ。
絶え間ない連撃が迫り、背後から容赦なく鋭い突きが放たれ、当たれば即死必至の破壊力を有する打撃が振るわれる。
それら全てをすんでのところで【回避】する。
「……鬱陶しいな、そろそろ当たって、倒れてくれない?」
「はぁ、対して強くもないから、最後に残しておいたが……すばしっこいな、鼠みたいだ」
「あ〜だから、目に付かなかったのかもな!」
クソッタレな状況で、どうにかこうにか生き残っていた私は、光輪を武器に纏わせて攻撃してくる敵を見て思わず顔を顰める。
……まさか、強いとは思ってはいたが望を使ってくるとは……ということは十中八九、心も使えるだろうな、クソ。
最初は、あいつらが高い身体強化施術を受けているのだと思った。その場合それなりに高い施術代を払えるだけの立ち位置、1から3級の高ランクフィクサー程の実力者ということで、キツイはキツイがやりようによってはまだ付け入る隙があると思っていた。
だが、よりにもよって、心と望が使える推定1〜3級フィクサー程の実力者だ。
それだけでも、もう状況が終わってるってのに、私達はとことん運に見放されたようで、何故か私を含めた全員の動きが妙にぎこちなく、囚人達は思うように動けないといった様子だった。
そんな状態の私達を見逃す程、相手は甘くはない。
あっという間に、一人また一人と囚人達は敗北し、最後に残っていたファウストも時計頭の管理人に何かを言い残して呆気なく命を散らしてしまった。
「<そ、そんな……。意気揚々と登場しておいて死ぬとか……>」
今、私が生き残っているのは、か細い運の糸を掴みとった結果だ。
……けど、いつまで続ければいい?私のナイフじゃ、決定打にはならない、いつまでも相手の攻撃を【回避】し続けるなんて……絶対に無理だ。
こんなやつら相手に……まして三対一じゃ、隙も見出せないし……。
「<1人だけ残ってたって……こんなに強い奴ら相手に、どうしようもないじゃないか……>」
明確に、自身の終わりが背後まで迫ってきていることをひしひしと感じる。
今までも、何度も死にそうな状況には遭遇してきた……、でも、そこには常に何かしらの打開策があった。
私はいつだって、それを見つけ出すことが出来たから、この狂った都市で生き残ってきた。
だけど今は……あぁもう、畜生ッ!だから、人間相手は嫌なんだよッ!これだったら
「<それに、何をどうしろって?>」
どうすればいい?どうすれば……。
「<……もう、駄目だ。……私は……これで死ぬのか>」
黒い森の中で意味も分からずに記憶を失って、意味も分からず私は殺されかけていた。
そこに、突如現れたバスから降りてきた人達が、私の代わりに戦ってくれるっていうから、訳も分からないまま、ファウスト……名札にはそう書いてあった人の言う通りに彼らに戦いを任せたけど。
そこから先は、ほぼ蹂躙だった。
最初の余裕そうな態度は何だったのか、胸を穿たれ、胴体を横なぎに斬り飛ばされ、地面に叩き潰され陥没し、当のファウストも死に際に意味深な言葉を残して死んでしまった。
唯一残った人も、きっとすぐに死んでしまう。
私には、どうすることもできないから。
「<──私は……これで死ぬのか>」
思わずそう口から溢れでた、けど仕方ないと思う。
どうすればいいんだ、こんな奴ら相手に──。
「<え?>」
その声色は怒気をはらんでいた。
ずっと敵である彼らをまっすぐに見据えていて、それどころではない様子だった彼女は、以前として余裕そうには見えないが、それでも聞き逃せなかったと言わんばかりに口を開いた。
「こっちが必死こいて──ッ!あんたを守る為に戦ってるってのに、当の本人が何簡単に諦めてんだよ!──あっぶねッ!」
「<……でも、どうしろって言うんだ。君1人でそいつらに勝てるのか?>」
内心、少し苛立っていたと思う。目の前で肉塊に変わった人達を見て、自分もあと数分で同じ運命を辿ろうとしている。そんな極限状態で、言うに事欠いて根性論など聞かされても反吐が出るだけだ。
「あ〜いや、それは無理だね!勝てるビジョンが全く、浮かばないも、んッ!……マジで詰んでる、どうしようもねーわ、ハハッ!」
「<えぇ……?>」
あっけらかんと、彼女は言った。勝てる訳がないと、そう言い切った。
あまりに潔く答えるもんだから、思わず唖然とした。多分、私の頭に人の顔が残ってたら、相当間抜けな顔をしていたと思う。
「──まぁけど、……あんたを逃がすってことなら、まだやりようはある」
彼女が、こちらを振り返った。
初めて見るその顔には、死を目前にした者の絶望など微塵もなかった。
「私らが乗ってきたバスがあるだろ?時間を稼ぐからそこまで走って。中には赤い目の窶れたおじさんがいる。その人があんたを助けてくれる筈だから」
「<何で──>」
「……なら何で、そいつと一緒にいないのかって?あの人はバスと運転手ちゃんのお守りではあるけど、私らを守ってくれる訳ではないからね」
なんだそりゃ、私を助けてくれるかもしれないけど、直接向かうことはしないって?
「まぁ、言いたいことは色々あるだろうけど。語り合ってる余裕はない、私が合図したら走るんだ。」
「<……うん>」
「よし、じゃあ……──行け!」
彼女の合図と共に、がむしゃらに走りだす。
「──させるとでも?」
その時、何か背後で
思わず後ろを振り返った時──私を追ってこようとした男が、突如全身に切り傷を負って動きを止めた。
よく見れば、他の2人も同じように、全身に傷を負って血を滴らせていた。
そして──
「……っ……ごぼッ……!」
彼女は口から、大量の血を吐いた。
「あにひてんだ……!はよいへ……ッ!」
「うっ……ぐ……ッ!」
「が……ッ!……ッ、何だ……ッ、お前、一体何をどうしたんだ……?」
「っ……ふぅ……。まぁ、まともにやり合えば、私はお前らに勝てないよ。でも──」
「別に、お前らを殺せる手段がないとは、一言も言ってないだろ?私には
時計頭が走り去っていく、これでいい。
敵は完全に私を警戒して、確実に私を殺してからでなければあいつを追いはしないだろう。
「くっ……はぁ……っ、最後に残しておいた鼠が、ここまで厄介になるとは……予想外だったな」
「窮鼠猫を嚙むって言うだろ?……さぁて、
「見え透いた挑発だな……」
「……あぁ、嘘だと思ってる?なら──試してみようか」
そうして私は、わざと相手の目の前でその言葉を紡ぐ。
私が言葉を喋り出したのと同時に、三人が一斉に襲いかかってくる。
既に、この盤面にチェックを掛けた。後は出来る限りで引きつけておけば良い。
そして、肺の空気をすべて叩き出すような衝撃が走った。 視界が上下に揺れ、次に認識したのは、地面の冷たさと自分の胸に走る焼けるような熱さだった。
「……あ、が……ッ」
喉をせり上がってくる鉄の味。私の胸に槍を突き立てた男が私を見下ろしている。
……あぁ、畜生、結局こうなったか。まぁ、第一目標は達成できた訳だし、御の字だな。
だから私は、精一杯──。
「……ははっ、は……!」
笑顔で笑ってやるんだ。
「……言った、だろ?させざるを、得ないって」
「……イかれてんの、あんた?そうまでして、他の奴らみたいに死にたかったわけ?」
「──人を……自殺志願者みたいな、語弊の、ある、言い方すんなよ……!──ッ!」
男は私の体を、無造作に踏みつけ、その槍を引き抜いた。
ぽっかりと空いた胸の穴から、止めどなく血が流れ落ち、体が次第に重くなり、思考がぶれ始める。
徐に顔を横向けた時、森の暗闇の先に赤い光が見えた。
「げほッ……げほッ……!……ははっ、これでチェックメイト……だな。もう、お前らにあいつは殺せない……」
「確かに、あの時計は遠くに逃げたけど、出来ないと思ってるの?」
「……あぁ、断言しても良いね。あんたらじゃ、絶対に……殺せない。だから……もう帰ったほうが……良いと、思うけどなぁ……」
「馬鹿にしてんの?あんた達に、他に何ができるってんだ?」
「……その通りだね。……私達には、もう……何もできないよ」
「──
瞬間、熱を帯びた剣がガントレット女の腕を吹き飛ばした。
「──ッ!?うッ……!ぐぁあッ……!!」
「……蛇に伝えろ、偽獅子。これは止められない流れだと」
「赤い視線……?どうしてここに──あッ……うッ、ぐぅう……ッ!」
続けざまにもう1人の女の足を切り飛ばし、男は私の前に立って、何を考えているのかも分からない顔で私を見下ろした。
「……やぁ、意外に……早かったね。へっ、へへっ……」
「……」
「……時計は……大丈夫?」
「<……ここにいるよ>」
「……良かった……どー、よ、私……凄いだろ……?やれば……できる子ちゃん、だぜ……」
視界が霞んでいく。
「……杞憂だったら、良いけどさ……あんまり気にしない、ようにな……?……都市じゃ、よくある……こと、だ、から──」
その言葉を発したのを最後に視界を暗闇が埋め尽くした。
……。
…………。
………………。
──ふと、遠くの方で時計の秒針がカチカチと鳴る音が……聞こえた気がした。
──目が覚めた時、私は仰向けに横たわっており、硬い地面の感触と周囲の景色が何も変わっていない事に気づいた。勢いよく上体を起こして、反射的に穿たれた筈の胸へと手を当てる。
ぬるりと温かい血液が掌に付着したが、スルスルと肌を伝って開いた穴へと戻っていく。
辺りを見回してみると、同様に息絶えていた囚人達が、一人、また一人と、ぐちぐちと肉が繋がる音を立てながら立ち上がっていく。
服すらも元通りに戻って、完全に再生した。最初から、何事もなかったように。
SANチェック1d6/1d10
【正気度ロール】7 > 成功 > 1d6 > 5
【アイデア】42 > 成功 > 1d10+4 > 1+4 > 5
【一時的狂気】気絶あるいは金切り声
完全な死亡状態からの蘇生、
それを犯した者には、処刑者が来る。しかも、区ではなく頭の禁忌だから、来るのは確定で足爪だ。
憐れ
尚、【検閲済】ターン耐えた。
1月17日:遂に大幅に内容変更するまでに至ってしまった。
前の文でさっくりやられたのに対して男前になりすぎだし、スッゲーシリアスな雰囲気醸し出すように書いちゃったぜ。
という訳でランディの強化ポイント、魔術を使えるようにしました。
前にコメントで魔術師人格に触れられたけど、人格の前に本人が使うようになったよ。
普段使いはせず、基本的にピンチの時にしか使いませんので、囚人人格の変更はないです。
今回使ったのは【幽体の剃刀】、小説内ではちょっと盛ってる部分はありますし、地味に設定違いますがね。
前からクトゥルフ要素が弱いかなということも考えてたし、弱すぎず強すぎず、ピーキーな強さにできてるんじゃないかな?個人的には妥当な強化なのではないかなと思ってます。
因みに、この小説内だけの設定ですが、呪文詠唱時、詠唱文を省略することで速攻で魔術を使えるようにしました。その代わり、詠唱短縮の場合MPとSAN値だけでなくHPも消費します。
幽体の剃刀は本来2Rの詠唱の後に発動する魔術なので、これを1Rで詠唱して使えるようにします。この場合、消費HPは1です。
要するに、詠唱時間が長いやつを詠唱短縮しようとすれば短縮したターン分のダメージを喰らいます。
そして、心と望を知っていることにしました。EDU18、INT17、知識90は伊達じゃない。
実はバス内でファウストとイサンさんの次に賢いやつで、満遍なく都市のことを知ってる。
イメージとしては、LoRで解説役に徹してたローランみたいな感じで、何でお前が知ってんだ?ってことも知ってる謎な人です。
1月7日時点で施した修正
ランディのどんな人格がみたいですか?「恒常〜S1」(投票が多い人格が優先)
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ツヴァイ協会
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シ教会
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センク協会
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リウ教会
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セブン教会
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ヂェーヴィチ協会
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ディエーチ協会
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W社
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R社
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G社
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剣契
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LCCB
-
アヤ