探索者が逝くSAN値直葬の地獄巡り   作:遊心喜一

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EP0-4「ウオオオ! すごい力がみなぎっ……」

 「──はぁ……

 「──貴様、さっきの行動は何だ!止血一つ満足にできんとは……。その上、貴様のような役立たずが、あろうことか、管理人様かんりにんさまに要らぬ心労を掛けおって……!分かっているのか、愚か者めッ!全く、これだから若輩者は……

 

 ──戦闘を終え、傷口を押さえながらバスに乗り込んだ私に待ち受けていたのは、役立たずを見るような目で見るヴェルギリウスと、ウーティスの耳に痛いお小言だった。

 

 ちくしょう……脇腹も心もてぇよぉ……。

 

 「<だ、大丈夫……?>」

 「……うん……ハァー……うし……!ヴェルギリウス、ちょっといい?」

 

 気を取り直してヴェルギリウスに声をかけると、怪訝そうな顔をして、此方こちらに振り返った。

 ……露骨すぎる。

 

 「……なんだ?」

 「この傷、もう一度自分で対処したいんだ。そのために一度、部屋に戻ってもいいかな?」

 「──そんな傷、管理人さんに直してもらえばいいんじゃないですか?」

 

 そのやり取りを切るように、イシュメールの声が割り込んできた。

 

 「んー……、確かに、ダンテに頼んだらすぐなのかもしれないけどね……。ああいう埒外な、技術?がデメリットもしってことはないだろうし……」

 「だから自分で?でも、あまり経験はないんですよね?さっきも、お世辞にも手際が良いとは言えないお粗末な出来だったじゃないですか」

 「うん、まぁ確かに医療に関する【技能】は私の専門外だよ。でも大丈夫だって!さっきはまともな道具がなかっただけで、部屋には色々揃えてるし……慣れてないだけで、知識だってちゃんとある。やってみれば、案外なんとかなるかもでしょ?」

 

 我ながら楽観的な言葉を返したものだ、案の定、彼女は呆れを隠そうともせず、深いため息を吐き出した。

 そこに、低く掠れた声が割り込む。

 

 「……あー、俺がやってやろうか?」

 

 振り向けば、そこに立っていたのはグレゴールだった。

 

 「……え、いいの?」

 「あぁ……まぁ、慣れてんだ。で、どうだい?」

 

 ヴェルギリウスが短く息を吐く。

 

 「……許可する。すぐに済ませてこい」

 


 

 カチッ……カチッ……

 

 「ッ……ふっ……く……っ、はぁ……はぁ……ぐ……っ!
 「ッ……ふっ……く……っ、はぁ……はぁ……ぐ……っ!…………

 

 カチッと音がなるたび、脇腹に激痛が走り、痛みに悶えそうになるが、歯を食いしばって耐える。

 

 「動くなよ。後ちょっとだから……」

 

 グレゴールの大きな手が痛みで僅かに震える身体を押さえつける。

 そして──握ったホッチキスの先端を傷口に押し当て──カチリと打ち込むと、肉と肉が無理やり閉じ合わされていく。

 

 「っ、く、ぅああッ……!
 「っ、く、ぅああッ……!…………

 

 グレゴールは顔色一つ変える事なく、冷静に次の針を打ち込む。

 

 「よし……後二回な。耐えろよ」

 

 ──後、ちょっとって言った──んぎぃッ!
 ──後、ちょっとって言った──んぎぃッ!…………

 


 

 「──おぉ……。ありがとう、グレゴール」

 「はは、気にすんな。……にしても、ホッチキスで縫合するなんてなぁ。やってみれば案外良い感じだったな」

 「でしょ?でもグレゴールの包帯法があってこそさ。だから、こんなに良い具合に体が動かせるんだ。ほんと助かったよ」

 「へっ、……ん?」

 

 グレゴールの応急手当が終わった後、私はグレゴールに感謝を伝え、たわいもない会話を弾ませながら廊下からバスの方へと足を進めた。

 前方を歩いていたグレゴールがドアを開けると、何かを見たようで一瞬声を出した。

 それで気になって、前方に視線をやると──イシュメールを前にダンテがファウストと何事かを話しながら手元にある端末をいじっていた。

 

 何をしているのか気になって声をかけようとした瞬間──

 

 ──突如としてイシュメールの姿が、草臥れた様相に全身傷だらけで血みどろな姿へと変わった。

 

 「……え、なんそれ

 

 興味半分、不安半分、私は思わずダンテに声をかけていた。

 

 「<ん?あぁ、えーと、これはね……>」

 「──これは人格。鏡の中に映る無数の分岐した可能性を抽出し、私達の自我へ部分的に上書きすることで、その人格が持つ技能を使用できるようになる技術です」

 

 「……危険じゃない?」

 「無用な心配です。人格の力はあくまでも借りるだけ、自我が失われるような設計にはしていないので」

 

 「へー……、良いねぇ。つまりバリバリに戦闘をこなせる私の人格をかぶれば、向かうところ敵なしってことだね」

 「そこまでじゃねぇだろ」

 「おぉん?なんか言った〜?」

 

 「あ?今とそんな変わんねぇだろって言ったんだよ。弱っちいんだから」

 

 ……こ、こいつ。悪びれもしねぇで、さも当然の如く言い切りやがった……。

 ふ、ふふふ……。ビークール……ビークールだ、私ィ……。ここでキレ散らかしても、何の……意味もな、いィィィ…!ンンンッ、チクショォォ…!

 

 だぁれがッ!
 だぁれがッ!…………

 

 将来性0のッッ!!
 将来性0のッッ!!…………

 

 クソ雑魚だァァァッッッ……!!!
 クソ雑魚だァァァッッッ……!!!…………

 

 こいつっ、こいつぅぅぅっ……!絶対に!その言葉撤回させてやるかんなぁ……!
 こいつっ、こいつぅぅぅっ……!絶対に!その言葉撤回させてやるかんなぁ……!…………

 

 「ダンテェッ!」

 「<うわぁっ!!な、なに!?>」

 

 「私にも人格被せてっ!どうせ今から戦うんでしょ!?私はやるよ!私はるよ!!

 「<あっ、いや、えぇっと……>」

 

 「<ごめん……ランディの人格、抽出出来てない……>」

 「…………」




尚、戦闘は人格抽出出来た組で行なった模様。
かわいそ。

前回、ファンブル出したせいで今回割と想像と妄想が全面に出た展開になっちゃった……。一昨日の私は面白いって思ってたんだ。話考えるのクソ大変だった。
まだ1章入ってないのに前途多難だァ。
次回からようやく1章突入です。ほんとお待たせした。
まぁ、こっから更に話書く時間で待たせるんですけどね。失踪はしないつもりだから気長に待ってください。お願いします。

グレゴール……調べた感じ他者回復のパッシブ一番持ってるぽいし、G社人格とかでも包帯してるし(衛生兵とかがやった可能性の方が高い…のか?)、応急手当できるんじゃないかなぁ……。
グレゴールに傷口を縫い合わせてもらいたい人生だった……。

1月18日時点で施した修正










・よみあげ機能でおかしくなる単語に、透明ルビ追加。
・細かな文章の修正と文字の追加。
・ウーティスの台詞変更。
・イシュメールとランディが会話する台詞の変更。
・ブチギレランディの描写をちょっと修正。
・スマホで見た時、ここの折りたたみギミックが上手く作動してなかったので修正。
・「震える」や「揺れ動く」タグが永遠と動き続けないようにしました。

ランディのどんな人格がみたいですか?「恒常〜S1」(投票が多い人格が優先)

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