俺たちの住む商店街は治安が悪い   作:有苑

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そろそろヘルニア潰すかー

登場ライバー

白上フブキ 沙花叉クロヱ ラプラス・ダークネス 鷹嶺ルイ 博衣こより 風間いろは 尾丸ポルカ 雪花ラミィ 獅白ぼたん


ガダルカナル

ショッピングモール

 

AM11:00

 

昨日の約束通り、俺と正爾(まさちか)そして白上はショッピングモールに集まっていた。

 

「うわ〜、広いですねぇ。白上こんな大きいお店初めてですよ。」

 

人生初のショッピングモールに心を躍らせる白上。そんな白上を見て疑問を持った俺は正爾に問う。

 

「白上の奴、お前と此処に来た事なかったのか?」

 

「まあ、どちらかと言えば買い物よりも散歩する事の方が多いからな。」

 

「でも水宮の話だと白上は2年前からネットで活動している。それに俺たちが高校時代の時に撮った写真も残っていた事も考えると、白上が1度もこのショッピングモールに来た事がないのは不自然じゃないか?」

 

俺の疑問点を聞いた正爾は『確かに⋯』と言いながら考える素振りを見せる。

 

「白上はただ初めてここに来るなら3人が良かったから、ずっと我慢してただけですよ?」

 

いつの間にか俺たちの目の前まで近づいていた白上がそう告げる。その顔は満面の笑みで、心の底から楽しんでいる事が伝わって来る。

 

「じゃあ、今日はフブキのワガママに付き合わねえとな。」

 

『どこに行きたい?』という正爾からの問いに白上は辺りを見回しながら考え込む。

 

「えーっと、そうですねえ⋯あっ!白上、あれがちょっと気になります!」

 

白上はそう言うととある店を指差すと、それは某高級チョコレート店系列のカフェだった。『カフェか⋯』などと言葉を零したが、正爾と共に白上を先頭としてその店へ向かって歩き出す。

 

少し歩くと入口付近に設置されている看板が目に入る。そこには中々に豪華なパフェがデカデカとプリントされており、白上が気になっている物を俺たちは悟った。それと同時に俺と正爾は少し苦い表情をしながら顔を見合わせる。

 

「なあ頼、お前今日金いくら持ってきた?」

 

「⋯一応下ろせばいくらでもあるぞ。」

 

俺たちがこんな会話をしたのはパフェの値段が目に入ったのが原因である。そのお値段、なんと2000円以上!流石にその値段のパフェ3人前は社会人としてもキツイ。白上もその値段に気付いたのか途中で立ち止まり、恐る恐るといった様子でこちらに振り向く。

 

「あ⋯そうだフブキ!2人でシェアしねえか?」

 

「そっ、そうですね!白上も丁度正爾君と一緒に食べたいって思ってたんですよ〜。」

 

俺もパフェではなく小ぶりのアイスを注文して出費を抑える事を2人に告げると、俺たち3人は店内に入った。店内はミルクチョコレートのような色使いで、少し暗いが洒落が効いており尚且つ落ち着いた雰囲気を醸し出していた。

 

壁際のテーブル席に案内されると、正爾と白上は肩を寄せ合うように片方のソファに腰を下ろし、俺はその2人と向かい合うもう片方のソファに腰を下ろす。ソファに手を当てて力を込めて手をソファに埋め、うちの店とは違う、こういうカフェ特有のソファの感触を楽しんでいると、片手にハンディーターミナルを携えた店員がやって来た。

 

「ご注文は何でしょうか?」

 

俺たちは事前に決めておいたフレーバーのパフェとアイスを注文する。その5、6分後に注文した品物が、セットで頼んでいたコーヒーやカフェラテと共に運ばれて来た。

 

「正爾君♪はい、あ〜ん♡」

 

白上はスプーンでパフェの上部分を器用に掬い、隣りに居る正爾の口元まで運ぶ。正爾も白上のノリに乗じて『あーん。』などと言いながら差し出されたスプーンのつぼを咥えた。

 

「どう?美味しい?」

 

「ああ、美味いよ。なあフブキ、そのスプーン貸してくれないか?」

 

正爾は白上からスプーンを受け取ると、それを使ってパフェの上部分を再び掬い白上の口元に運ぶ。その正爾の顔はイタズラっぽくニヤリと微笑んでいた。

 

「はい、あーん。」

 

白上は顔を赤らめ、目を瞑ってスプーンのつぼを咥えた。

 

「美味いか?」

 

「はっ、はひ//美味しいれふ//」

 

そんなやり取りを見ていた俺はアイスよりも先にコーヒーに手を伸ばす。何も食べていないにも関わらず甘ったるくなった口内を1度リセットすると、今度こそという意気込みでアイスを食べ始めた。

 

目の前の2人のやり取りの甘ったるさとアイスの上品な甘さとコーヒーの香りが上手くマッチしてて美味しかった。しかし、コーヒーがもう少し欲しかったというのが、食べきった感想である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲームセンター

 

AM11:45

 

アイスやパフェを食べきり会計を済ませた俺たちは、白上の提案で3階のアーケードコーナーに向かった。

 

「ゲーセンなんて水宮と来た時以来だな。」

 

それを聞いた正爾は『俺もだよ』と零す。仕方ない、俺たちは学生ではなく社会人なのだから。

 

「それでフブキは何やりたいんだ?」

 

正爾にそう聞かれた白上は胸を張って堂々と答える。

 

「勿論クレーンゲームです!」

 

白上の自信満々の回答に正爾は恐る恐る質問をする。

 

「フブキ⋯お前クレーンゲームやったことあるのか?」

 

「これでもオンラインのクレーンゲームを配信でやったことがあるんでよねぇ。」

 

右手の人差し指をピンと立て『だから白上は案外得意なんですよ〜〜?』と言うと、キョロキョロと辺りを見回す。

 

「よし!あれにしましょう!」

 

そう言ってピンと立てた右手の人差し指をそのままとある筐体に向ける。そして、確かな足取りでその筐体に向かって歩いて行った。

 

「俺は一応フブキの事見とくけど、お前はどうする?」

 

「⋯まあ、メダルゲームでもやっとくわ。」

 

そんな会話をした後、俺たちは一時的に別れた。

 

 

 

 

 

 

15分後

 

「ふー、結構集まったな。」

 

『金魚すくい』や『釣りのゲーム』を遊び、メダルカップが7分目程貯まったあたりで俺は一息つき、正爾たちの様子を見に行く事にした。

 

「わぁぁああああッ!なんで獲れないんですかあッ!」

 

俺が割と貯まったメダルカップを右手で持ち、左右に軽く揺らしながら満足げにクレーンゲームエリアを歩いているとそんな声が聞こえる。何が起こったのか容易に想像できてしまった俺は、若干苦笑いを浮かべながら、白上が狙った筐体がある通りへ顔を出した。

 

案の定、そこには恐らく1個も景品を獲れなかったがあまり、クレーンゲームのコントロールパネルの上に突っ伏して項垂れる白上と、その白上の肩を優しく叩く正爾の姿があった。

 

「⋯ほら、オンラインと実際とじゃ話変わってくるから⋯⋯仕方ねえだろ?」

 

「そう言うお前の方は割と集まったんだな。」

 

俺は取り敢えず白上をフォローするが、正爾に10枚から始めたとは思えないメダルの量を見られながらそんな事を言われ、気まずい笑みを浮かべる。

 

「⋯まあ、白上と違ってやった事はあるからな⋯そっちはどんな感じだった?」

 

「2000円使い切ったあたりで折れて4、5分間この状態。」

 

「うぅ、グスン⋯だってぇ、折角白上と正爾君でお揃いのぬいぐるみ獲りたかったのにぃ、全く獲れないんだもん⋯うぅ⋯⋯。」

 

完全に折れてしまった白上を俺と正爾で慰めていると、遠くの方から声が聞こえた。

 

 

 

 

「うわッwラプラス下手すぎでしょwもっとちゃんと狙いなよwww。」

 

「はあッ?うるせえしッ!今度こそ絶対獲ってやるよッ!」

 

 

 

明らかに軽い喧嘩の最中であろう交わされる言葉に、正爾はそれを話題に出してフブキを励ます。

 

「ほら、フブキもあれぐらいの度胸で挑めば良いんじゃねえか?⋯て言うか今の声クロヱじゃね?」

 

正爾の言葉に俺と白上は『え?』と声を上げて先程、声が聞こえた場所に目を向ける。視線の先には鋭い眼光でクレーンゲームのアームを睨みつける角ガキと、それを横から嘲るような表情で見る沙花叉を始めとした秘密結社の面々がそこに居た。

 

「あれ?店長くんたちじゃ〜ん、何してん⋯⋯本当に何してんの?」

 

視線に気付いたのか、沙花叉が俺たちを見る。いつも通りの何か企んでいるような表情でこちらに来たが、白上が項垂れているのを見て珍しくも少し真剣な顔つきで聞いて来る。

 

「フブキの奴が、その⋯これが欲しかったんだが、全く獲れなかったらしくてな⋯それで拗ねてる。」

 

沙花叉は『成程ね〜』と相槌を打ちながら正爾が『これ』と言って指さした筐体の中にある狐のぬいぐるみを観察する。

 

「あ〜確かにこれムズいわ。」

 

そう言いながらポケットからシャチ柄の財布を取り出す沙花叉。中身を漁り100玉を1枚拾い上げると、それをクレーンゲームを操作するジョイスティックの横にあるコイン投入口に落とす。そのままジョイスティックを軽く握り、慣れた手つきでアームを操作する。時々筐体の横から中を見て奥行きの調整をすると、躊躇無く『落とす』ボタンを押した。アームは狐の胴をガッチリと掴む。そしてその狐を捕らえたまま獲得口に落ちた。その一連の流れは誰が見ても感嘆の声を上げる見事なまでのホールインワンだった。

 

「う、嘘!?⋯し、白上の2000円は一体何の為に⋯⋯。」

 

沙花叉の神技を見て白上は余計にショックを受ける。それを見た沙花叉は柄にもなく励まそうとした。

 

「ほっ、ほら!彼女さんが2000円分も頑張ってくれたお陰で、沙花叉もこ〜んな簡単に獲れたんだからさ?」

 

「⋯それ、白上が獲ろうとしてたやつじゃないです。」

 

「あー⋯⋯⋯マジ?」

 

白上を元気付けようとした沙花叉の言葉は白上の傷を抉るだけであった。

 

「⋯取り敢えずあげるわ、これ⋯⋯何でそんなこれ欲しかったの?」

 

「正爾君にプレゼントしたくて⋯⋯。」

 

それを聞いた沙花叉はニヤリと笑みを浮かべた。

 

「じゃあそれ彼クンに渡す?」

 

「いや、人に獲って貰った物を渡すのは⋯⋯。」

 

「だよねえwwwそれにそれを彼クンに渡しちゃったらぁ、彼女さんからじゃなくて“沙花叉から”のプレゼントになっちゃうもんねwww」

 

そう言われた白上は少しムッとした表情をする。だが、それも沙花叉の計画のうちだろう。

 

「じゃあさ、”沙花叉が”頑張ってがんば〜って獲ったそのぬいぐるみどうすんのwww?やっぱ要らないwww?だったら沙花叉が貰ってあげよっかwww?」

 

「しっ、白上も2000円失うだけは嫌ですから貰います!獲ってくれてありがとうございます!」

 

「はーい、どういたしまして〜〜大切に使ってね〜〜www」

 

 

 

沙花叉とはこういう人物なのだろう。煽り合いも相手を元気付けたり、対人関係を円滑にする為のコミュニケーションの一環であって、他人をバカにしたい訳じゃない。角ガキから沙花叉の過去について聞いた所為か、その性格やコミュニケーションすらも、過酷な人生故のものと思えてしまう。

 

「⋯にしても、まだこの街に居たんだな。」

 

俺の言葉に鷹嶺が『ええ。』と返し、続ける。

 

「もう明日ぐらいにはここを発とうと思っています。」

 

「成程な⋯。」

 

俺たちが話していると、正爾が会話に入ってくる。

 

「その⋯悪い、俺とフブキがクロヱとルイ以外の奴ら⋯いやいろはは俺も知ってんだけど、知らない奴も居るから名前教えてくんねえか?」

 

「⋯確かに。」

 

「⋯そうですね。3人とも、こっちに来なさい。」

 

「フブキ、クロヱ、悪いが一旦集まってくれ。」

 

鷹嶺と正爾が号令を掛けると、全員がその場に集合する。

 

「あれ絶対もうちょっとで獲れた!」「多分フィギュアが入ってる箱はああいうやり方だと一生獲れないよラプちゃん⋯⋯。」「ルイ姉、どうしたでござるか?」

 

「初対面だと思うから自己紹介して下さい。」

 

鷹嶺はいろはたちに指示を出す。その姿は正に母親のようなものだった。いろはたちもそれを了承し、それぞれが順番に自己紹介をする。

 

「風間いろは、侍でござる。よろしく。」

 

「吾輩はコイツらのボス!ラプラス・ダークネスだッ!」

 

「こんこよ〜、ホロックス唯一の科学者。博衣こよりだよ〜。」

 

余りにもイロモノすぎる自己紹介に正爾たちも少し困惑する。

 

「⋯ホロックスって何だ?」

 

「吾輩が創った秘密結社だ!」

 

角ガキの発現を俺は少し訂正を加える。

 

「やってること規模がデカいだけの慈善団体だから気にすんな。」

 

「おい!余計なこと言うんじゃねえッ!」

 

「お前たちも自己紹介したらどうだ?」

 

俺は角ガキの文句を軽く躱して話を変える。

 

「そうだな⋯水宮正爾、こよりって奴と同じく一応研究職だ。」

 

「し、白上フブキって言います。職業は巫女をやっています。」

 

「そんじゃ挨拶も終わったし、いい加減遊ばね?」

 

沙花叉の提案を呑んだ俺たちは、クレーンゲームコーナーを抜けてメダルゲームなどで遊ぶことにする。だが、ただ遊ぶだけでは詰まらないので、4チームに分かれて所持メダルが多い方が勝ちというルールで遊ぶことにした。

 

 

 

 

 

 

 

「おい角ガキ!なけなしのメダルでデカいの釣ろうとすんなよ!」

 

「よし来た!絶対釣ってやる!」

 

「おい!⋯それ逃したらお前もう無一文だからな!」

 

「それぐらい分かってるぞ!安心しろ!絶対釣って、あ⋯⋯⋯。」

 

「⋯こんのッ、バカ野郎ぉおおおッ!⋯はあ、俺の10枚やるから『金魚すくい』で集め直して来い。」

 

「⋯分かった。」

 

 

 

 

 

 

「正爾君、見て下さい!ジャックポットですよ!」

 

「よっしゃ!これで大幅にリードした。これなら勝てるぞ!」

 

「ぐぬぬ⋯マズイよクロたん。相手にツキが回って来てる。」

 

「絶対逆転するよこんこよ。新婚夫婦に負ける訳にはいかない!」

 

「くッ、何でこういう時に限ってなんにも揃わないの!」

 

 

 

 

 

 

 

「皆楽しんでるでござるなあ。」

 

「良いんじゃないですか?偶には⋯あ、7枚全部揃った。」

 

「いつもこんな気もするでござるが⋯ていうか7枚揃ったってマジでござるか!?240枚でござるよ!?」

 

「いろはも後1枚じゃない。」

 

「⋯その後1枚が難しいんでござるよぉ。やっぱりズルいでござるよ、その“ホークアイ”ってやつ。」

 

 

 

 

俺たちは年甲斐もなく、約1時間を目一杯遊びに使った。勝負の結果は、風間いろは・鷹嶺ルイチームの圧勝だった。

 

(マジで何したんだ?4カップ全部満パンとか集められるか普通⋯⋯?)

 

因みに最下位はどこぞの角ガキの所為で俺たちのチームだった。

 

 

 

 

 

 

 

PM0:50

 

アーケードコーナーを後にした俺たちは、3階の通路を歩きながらこの後何をするかを話し合っていた。

 

「もう腹減ったしフードコートで適当に済ませねえか?」

 

「お、良いじゃんそれ〜。」

 

「白上もそれが良いです。」

 

その後、正爾の提案に全員が賛同し、フードコートに行く事となった。

 

「じゃあさっきのゲームで負けた店長くんの奢りでよろしく〜〜www」

 

「え⋯マジで言ってる?」

 

「マジマジ〜〜wwwだってラプラスじゃ払えねえもん。」

 

沙花叉の無茶な罰ゲームを俺は渋々引き受けた。そんな時、館内放送が流れる。

 

『お客様にご案内申し上げます。まもなく午後1時をお知らせ致します。ご来店の皆様、ランチタイムのお食事はいかがでしょうか?別館3階のフードコート、及びレストラン街ではバラエティ豊かな⋯』

 

その後も放送は続く。

滅多に来る事はないが、いつも通りの放送なのだろう。

何気ない日常

何気ない平日の昼時。

皆、大した事も考えず、今日の夕飯の食材に悩み、ちょっと奮発して少し高い肉や魚に手を伸ばす日常。

俺も考えているのはこの後全員に奢るお金の事とかで、大した事と言えばポルカへの返事くらいだし、それも今はあまり深くは考えたり、悩んだりしていない。

大した事も考えずにフードコートへ身体を運搬するその足は、突如として止まった。

 

 

その場に居た全員が目を見開く。自動小銃を抱えた黒ずくめ20人以上が隊列を組み、前方の通路を横切る⋯かと思いきや、其奴らは通路の丁度真ん中で立ち止まり、手前や奥の方に身体を向けた。抱えていた自動小銃の銃口すらも身体と同じ様に上げると、そのまま躊躇無く引き金を絞った。

 

 

この街は俺たちの住む商店街を始めとして、治安が悪い。暴漢が暴れるのも、強盗が起きるのも、少し特殊な日常と言えてしまう程に。

日常に溶け込んでしまった危険は、そう簡単には見えない。だが、確かにそこにある。そしてそれは、些細な事がきっかけで再び結晶として現れてしてしまう。危険が再び結晶化すれば、いつも通りの日常は怨恨殺伐の地獄絵図(非日常)へと姿を変える。きっかけと言えば様々で、連続殺人が起こったりとか、偽札が大量に刷られた挙げ句それがこの街にばら撒かれたりとか、本当に色々ある。

少なくとも、今回のきっかけは日常を切り裂く銃声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PM1:05

 

「⋯正爾ッ!」

 

「分かってるッ!」

 

俺は黒ずくめの連中が引き金に指を当てた瞬間、正爾の名を叫びながら前方へ飛び出す。どうやら後方にも黒ずくめの連中が居たらしく、正爾は俺の呼び掛けに応えながら踵を返し、俺たちの最後尾に着いた。

 

「【魔術解放】天変地異ッ!」 「【魔道解脱】リクリセントッ!」

 

「【壁陣】ッ!」

 

俺は前方へ飛び出し固有魔術を発動すると、左掌を突き出し【壁陣】を展開して飛んできた銃弾を全てガードする。

 

「【降雷】」

 

俺は【壁陣】を展開したまま左手で銃の形を作り【降雷】を発動すると、左手の人差し指から雷のような光線が放たれ、黒ずくめの連中の脳天を通過する。黒ずくめの連中は突如として脱力し、その場に倒れた。

 

 

一方正爾はと言うと、固有魔法の能力で地面と天井を引き伸ばして防壁を作り銃弾を防ぎきった後、自動小銃を変形させる事で連中を無力化していた。

 

だが、それでも微かな銃声が止まる事はない。至る所で発砲がまだ続いていたのだ。俺は振り返って白上たちを見ると、身を寄せ合い警戒している。その中心に白上が居る事から、白上を落ち着かせる為だろう。俺は角ガキの側に近づいて話しかける。

 

「此奴ら⋯もしかしなくてもヘルニアか?」

 

俺の問いに角ガキは頷いて見せる。

 

「ああ、ここまで派手にやって来るとは思わなかったけどな⋯⋯。」

 

正爾もこちらに歩いて来て、口を開く。

 

「⋯取り敢えず、今の発砲で負傷した人を治してから、フブキと一緒にどこか安全な場所へ転移させて、白銀自警団に通報してもらう⋯それで良いか?」

 

正爾の提案に皆が頷いて見せる。唯一闘えない白上を避難させて俺たちは一般人の救助に当たる⋯この上ない最適解だ。

 

俺たちの周りには未だに混乱している一般人が大勢居る。正爾は大声を上げ、その人たちに現状を伝える。

 

「落ち着いて下さい!先程、自動小銃を持っていた連中は無力化しました!負傷した人はこちらへ!私が手当をします!ですので落ち着いて下さい!」

 

正爾はそう言うと地面に倒れ込んだ人たちの元へ駆け寄り、1人ずつ固有魔法を応用して傷を治していく。俺はふと辺りを見まわすと、通路の奥の方⋯ここから約30mの地点に先程と同じ自動小銃を持った黒ずくめと手を前に突き出して『待て⋯待ってくれ!』と命乞いをする男女2人の姿が見えた。

 

「【霹靂】」

 

そう唱えて足に力を入れて走り出すと、3秒で黒ずくめの横に立つ。そのまま右手で黒ずくめの顔面をぶん殴り、1発で気絶させた。それを確認すると、男女2人の元へ駆け寄る。20代前半のカップルか、若い夫婦だった。

 

「大丈夫ですかッ!怪我は?」

 

「わっ、私は大丈夫なんですが⋯美祢(みね)が⋯妻が撃たれてしまって⋯⋯。」

 

俺はそう言われると、女性が履いているブラウンのロングスカートに目を落とす。右足の脹脛があるあたりの生地に穴が1つ空き、真っ赤な鮮血で染まっていた。穴から覗く皮膚も赤黒く染まっていて、奇妙に盛り上がっている。

 

「正爾!来てくれ!」

 

俺が大声で正爾を呼ぶと、何故か顎に手を当てていた考える素振りを見せていた正爾は、ハッとした表情をしてこちらに駆け寄ってくる。

 

「この人の右足の脹脛が撃たれた、治してくれ。」

 

「分かった⋯申し訳ないですが傷の治療をしたいので、スカートを傷が見える辺りまでたくし上げてもらえますか?」

 

正爾は女性を威圧しないよう、丁寧に優しく促す。女性も「は、はい」と言いながらスカートの裾を掴んで右足の傷を露出させると、正爾が右掌をその傷に翳す。傷はものの数秒で完治した。

 

「⋯歩けますか?」

 

「は、はい!」

 

「本当に⋯ありがとうございます!」

 

「正爾、この人たちも白上たちと同じ様に避難させてくれ。」

 

俺の進言を聞いた正爾は、苦虫を噛み潰したような顔をして首を横に振る。

 

「⋯駄目だ。」

 

それを聞いた瞬間、俺の心中に焦りが生じる。

 

「は?駄目ってどういう⋯⋯。」

 

正爾は1度俯く。再び顔を上げると、俺の目を見て答えた。

 

「【転移魔法】⋯及び【転移魔術】が使えなくなってる。」

 

正爾の発言に、俺は焦りよりも疑問が勝った。

 

「何でだ?何で使えなくなってる?」

 

「⋯このショッピングモールを取り囲む強力な【空間魔法】が展開されている。その影響で通信網も完全に遮断されて、外部への連絡もできない。しかも俺の予測だと、その【空間魔法】を展開しているのは魔法使いではなく魔法道具だ。それが【空間魔法】よりも外に設置されていた場合、俺やお前でも破壊できない。」

 

それを聞いて頭を悩ませる。今の俺たちは袋小路だ⋯逃げ場がない。すると、ポケットに入れておいたスマホが振動する。

 

(⋯こんな時に一体誰だ?)

 

少し邪険に思いつつも、スマホを取り出そうとした所で手が止まる。

 

(いや待て、正爾の話じゃ外部との通信網は遮断されている筈だ。にも関わらず着信が来た⋯つまり俺に電話を掛けた相手は、このショッピングモール内に居る誰か!?)

 

そう頭が結論付けた瞬間、急いでスマホをポケットから取り出し画面を見る。そこには『尾丸ポルカ』と表示されていた。

 

サーッと血の気が引く。気付けば俺は、応答ボタンをタップして早口でポルカに問い質していた。

 

『ポルカッ!大丈夫か!今何処にいる?』

 

『て、店長!ポルカ⋯い、今ショッピングモールに来てて⋯⋯。』

 

ポルカは息が上がっていて、声からは疲労と焦りが感じられた。焦っていたのは俺もなのだが。

 

『それは分かってる!ショッピングモールの何処に居るんだ!』

 

『え、えっと⋯フードコートです。お昼食べてそろそろ行こうかと思ったら、変な人たちが来て⋯急に銃とか魔法撃って来て⋯一緒に来てたラミィさんや獅白が被害を抑えてるんですけど、結構苦戦してて⋯それで撃たれてる人も居てッ!叫んでる人とか⋯もう動かなくなった人も居て⋯⋯⋯。』

 

『⋯分かった。すぐ向かう。もう少し辛抱してくれ。』

 

様々な感情がごちゃ混ぜになった俺は、震える手で通話終了ボタンをタップして、ポケットにスマホを突っ込む。

 

「⋯誰からだ?」

 

いつの間にか俺の側に来ていた角ガキから恐る恐るといった様子で質問される。

 

「ポルカたちがフードコートで此奴らと同じ集団に襲われた⋯⋯行って来る。」

 

フードコートは別館の3階にあって、ここから全力で走れば3分で着く。早く加勢しようと思い立った俺は、正爾たちに背を向けた。

 

「待てッ!」

 

そんな俺を正爾は静止する。

 

「何でだ!早く行かねえと犠牲者が増えるんだぞッ!」

 

焦りのあまり、俺は大声で反論する。だが正爾はいつも通りの冷静さを持って返した。

 

「⋯白銀自警団に連絡ができない以上、このショッピングモール内での最高戦力は俺たちだ。そんな俺たちがバラバラに行動する訳には行かない。より効率的に動いて、被害者を救出する必要がある。」

 

「救出って⋯どうやんだよ!脱出する方法もねえんだろ!」

 

俺の言葉に、正爾は笑みを浮かべながら首を横に振った。

 

「⋯俺を誰だと思ってんだ、魔法学の天才だぜ?1度ぐらいなら、【転移魔法】を発動させる事だってできる。」

 

正爾の自信満々の発言に、俺も不意に笑みが零れる。

 

「⋯フッ、分かった。作戦を教えてくれ。」

 

俺は若い夫婦を落ち着かせようと、ずっと話していた白上たちを呼び集合させると、作戦会議が始まった。

 

「これからの作戦を手短に話す。まず、俺たちの最終目標は一般人を救出し、此処から脱出させる事。だが【空間魔法】が展開されている事により、基本的な転移系の魔法や魔術は通用しない。よって、脱出は俺が無理矢理【転移魔法】を発動させる方法に縛られる。さらに【空間魔法】自体が強力な事から、恐らく1回が限度だ。その為、一般人を1箇所に集めてから【転移魔法】を発動する必要もある。」

 

俺たちに課せられたタスクをスラスラと喋る正爾の言葉を、角ガキの疑問の声が遮った。

 

「どうやって人を集めるんだ?転移系の魔法や魔術は使えないんだろ?」

 

「いや、頼がさっきポルカと通話していたように、この【空間魔法】内に限れば、電波も届くし、【転移魔法】等も発動できる。転移系の魔法や魔術を使ってより効率的に救出活動を行う為に、4チームに分ける⋯【転移魔法】か【転移魔術】が使える奴、手ぇ挙げろ。」

 

正爾の号令にそれぞれが答える。

 

「知っての通り、俺には無理だ。」

 

「【転移魔術】だったら吾輩は使えるぞ。」

 

「私も【転移魔法】なら使用できます。」

 

「こよもできるよ〜。」

 

「沙花叉は身体強化一筋だから無理〜。」

 

「風間も無理でござる。」

 

「⋯白上もできません。」

 

正爾の号令に正爾含めて4人が手を上げる。

 

「よし、分かった。じゃあ(らい)とルイがフードコートがある別館全フロア制圧。」

 

正爾の采配を俺と鷹嶺は簡潔な言葉で了承する。

 

「任せろ。」

 

「承知しました。」

 

「こよりとクロヱは主に3階、終わったら1階のメインエントランスに一般人を集める場所を設けるから、そこの護衛を頼む。」

 

自分たちの役割を命じられたこよりとクロヱは、少し軽いがしっかりとした返事を返す。

 

「了〜解。」

 

「3階やれば良い訳ね、オッケ〜〜。」

 

「俺とラプラスが2階を秒で制圧してから1階に降りてそこも制圧する。いろはにはさっきも言った通り、1階のメインエントランスに一般人を避難させる安全地帯を設けるから、誰よりも速くそこを制圧して、それを連絡して欲しい⋯できるか?」

 

正爾の問に、いろはは迷いなく答える。

 

「任せるでござる。」

 

その答えを聞いた正爾は『それと⋯』と言いながら白上の方を見る。

 

「フブキ⋯悪いが、今回のお前はどう足掻いても闘えない一般人だ。だから1階のメインエントランスが制圧し終わったら、この人たちと一緒にそこで待っててくれ。」

 

正爾の言葉に白上は少し悲しそうな顔をしながらも、精一杯の覚悟で答える。

 

「はい。頑張って守ってもらいます!」

 

その答えに正爾は微笑を零す。

 

「その意気だ⋯フブキ。それと、俺の固有魔法なら、脳が損傷しない限りはどんな傷でも治せる。だからどれだけ重症でも取り敢えず止血して転移してくれ。『心臓を撃たれた』とか『脈が浅い』とかの“負傷者が生死を彷徨っているレベル”だったら俺に電話しろ。俺が直ぐ転移して秒で治してやる。」

 

「それで話は終わりか?」

 

一通り話し終えたであろう正爾に、俺はフードコートへ向かおうとする。

 

「最後に1つ。念の為、亡くなった人の人数も覚えておいてくれ。」

 

「⋯分かった。」

 

俺はそう答えると、鷹嶺と目を合わせた。

 

「走れるか?」

 

「沙花叉程じゃありませんが、身体能力には自信があります。」

 

そんなやり取りを終え、俺と鷹嶺はフードコートのある別館を目指して走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PM1:15

 

俺とルイは足を止める事なく走り続ける⋯いや、走り続けられている。奇妙な事に黒ずくめの連中は疎か、一般人も人っ子1人見当たらないのである。

 

「⋯全く居ないな。」

 

「平日とは言え、少なすぎますね。」

 

つまり、何処か別の場所に人が集中しているのだ。この時間帯を加味すれば、それは確実にフードコートやレストラン街がある別館という事になる。

 

「⋯急ぐぞ。」

 

「ええ。」

 

鷹嶺がそう答えたのと同時に、左側から発砲音が聞こえた。今俺たちが走っている通路と、それが横切る通路が交差する場所に立ち止まる。そこから左側を見ると、自動小銃を構え呆然としている黒ずくめ。頭部を撃ち抜かれてぐったりと地に伏せる獣人の母親。そしてその身体を必死に揺らす獣人の子供の姿があった。

 

「ヤベえ⋯【降雷】!」

 

いつも通り左手で銃の形を作りそう唱えると、黒ずくめの頭部を撃ち抜く。黒ずくめが倒れたのを確認すると、俺たちは2人の元へ駆け寄る。

 

「お母さん⋯お母さん!しっかりして!」

 

獣人の少年は半泣きになりながらも母親が息を吹き返すのを願って母親の身体を揺らす。

 

「どうしますか?これ⋯⋯。」

 

『脳を損傷すれば、正爾でも治せない』それを聞かされているからこそ、鷹嶺は対応に迷う。俺はと言うと、その母親を抱えて頭部に手を翳していた。

 

「⋯何を?」

 

「お兄ちゃん、何やってんの?」

 

「【治癒魔術】」

 

俺がそう唱えると、母親の頭部に空いた穴が塞がっていく。

 

「俺の【治癒魔術】なら、頭部の損傷も治せる。彼奴が脳を治せないのは固有魔法の“制限“だが、俺の【治癒魔術】は練度の問題だからな。」

 

魔法や魔術にも適用範囲に限界があったり、デメリットがあったりする。俺が【空間魔法】の範囲を設定できないのも、ある種の“制限”だ。

 

そうこうしている内に、獣人の母親は目を覚ました。

 

「ん?ここは⋯⋯。」

 

「お母さん!」

 

「る、ルカ!?どうしたの⋯。」

 

獣人の少年が母親に抱きつく。母親は困惑しながらも抱き返し、頭を撫でた。

 

「お兄ちゃんが助けてくれたの⋯お母さん、死んじゃうかと思った⋯良かったぁ⋯⋯。」

 

「そうなの?ごめんねぇ⋯?」

 

そんな2人に俺は声をかける。

 

「落ち着きましたか?」

 

「はい、ありがとうございます。助けて頂いて⋯。」

 

「いえ⋯鷹嶺、後の説明と対応頼む。」

 

角ガキと似たような感じで、俺も鷹嶺に丸投げする。鷹嶺は溜息を吐きながらも了承した。

 

「はあ、分かりました。今から、貴方がたを安全な場所に転送します。そこで安静にしていて下さい⋯では、行きますよ。【転移魔法】テレポート」

 

鷹嶺がそう唱えると2人の足元に紫色に光り輝く魔法陣が展開され、対象である2人を眩い光が包み込む。その数秒後、転移は完了した。

 

「じゃ、行くか。」

 

俺がそう言って立ち上がった次の瞬間、通路に冷気が吹き抜ける。その寒さには覚えがあった。

 

(今のは⋯ラミィの【空間魔法】!?どんだけ追い詰められてんだ⋯彼奴ら。)

 

【転移魔法】を使用して俺たちをフードコートまで飛ばすのは、鷹嶺自身が此処のフードコートに1度も来た事がない為できない。俺は更に速度を上げる事にした。

 

「鷹嶺⋯スピード上げるぞ。【身体強化魔法】を使ってでも追い付け。」

 

「⋯承知しました。」

 

 

 

 

 

 

 

それから少し走ると右側に連絡通路が見えたので、其処を通り別館へ向かう。

 

「鷹嶺、別館に着いたら負傷者の応急処置と転移を頼む。戦闘には参加するな。」

 

そう言って鷹嶺を一瞥すると、鷹嶺はコクリと頷いた。視線を前方へと戻すと、全開になった扉の内側に丸みを帯びた壁が見え、それが【空間魔法】の外壁だと確信する。外壁は何の設定もしなければ、内側からも外側からも入れない。

 

侵入の手段は空間系の魔法や魔術を発動して塗り潰し合いに勝利し破壊するか、外壁の一部を破壊するという主にこの2つ。俺は迷うことなく後者を選んだ。

 

「【臨界】」

 

走りながら右拳に青白い光を纏わせると、そのまま拳を外壁に叩き付けた。すると、外壁の一部にヒビが入り人1人入れるサイズの穴が開く。中に入るとすぐ其処は目的地のフードコートだった。入った途端にさっきとは比べ物にならない氷気を感じる。

 

一旦立ち止まり、急いで状況を把握する。別館の3階丸ごとがフードコートとして使われており、テーブルや机の周りを様々な店がぐるりと円形状に取り囲んでいた。

 

その至る所にテーブルや椅子、残飯などが散乱しており、数十人の遺体も同じ様に地に転がっていた。俺から見て左側に黒ずくめの連中が居て、右側に一般人たちが必死に身を隠したり固まっている。その真ん中で、ラミィやぼたんが前線に出て闘っていた。

 

「これで終わりだ⋯【水硤魔法】エナルマサード」

 

黒ずくめ側の集団で唯一被り物をしていなかった男が、右手からサッカーボールくらいの大きさの水の塊を生成し、前方にいるラミィたちへぶつけようとしていた。

 

「【飆風】」

 

それを止める為に俺は全速力で間に割って入り、その水の塊を破壊する。謎の乱入者に呆然としていたその男のガラ空きの胴体にそのまま拳を叩き込んだ。腹を殴られた男は吹っ飛び、テーブルの端に頭をぶつけて沈黙した。

 

「え!?⋯ら、頼さん!?」

 

「あれ?店長さんも来てたんですか?」

 

俺を見たラミィとぼたんの反応は正反対で、ラミィは当然現れ、男を殴り飛ばした俺に愕然とし、ぼたんは『いや〜助かりましたぁ』とかなり呑気な反応を示していた。時間もないので俺は必要事項だけを伝える。

 

「ラミィ、【空間魔法】を解け。俺の仲間が一般人を【転移魔法】で安全な場所まで転移させる。選手交代だ。」

 

「⋯でも【空間魔法】を解いたら、ラミィが闘えなくなっちゃいます。」

 

「お前らも避難させるって言ってんだろ!早く解け、お前の【空間魔法】で低体温症になる奴らも出てくんだぞ!」

 

俺は大声で促すが、ラミィはしつこく食い下がる。

 

「でも!この数相手に頼さん1人は無謀ですってば!」

 

そんなラミィの肩をぼたんが『まあまあ』と優しく叩く。

 

「店長さんならきっとどうにかなるって、な?」

 

ラミィはぼたんにそう諭され、『⋯分かりました』と小さく呟きながら【空間魔法】を解除した。

 

「けど気を付けて下さい!敵は多いですから。」

 

「安心しろ。」

 

そんなやり取りを終えると、ラミィたちは下がり俺は黒ずくめの連中に視線を戻す。

 

「何だ今の!?」「クッソ、だがこの人数差だ。迷わず撃てッ!」

 

突然現れ、リーダー格であろう男を殴り飛ばした俺を警戒した黒ずくめの連中は銃口をこちらに向ける。

 

「【霧中霧散】」

 

だが、そんな状態での発砲を俺が許すわけもなく、【霧中霧散】を使用してその銃たちを消失させる。それを見て困惑する黒ずくめの連中に俺は右掌を向けた。

 

「威力範囲100%拡散———【降雷】」

 

俺がそう唱えると右掌から途轍もない光が一瞬放射され、それを浴びた黒ずくめの連中は軒並み気絶した。俺は振り返り鷹嶺に話し掛ける。

 

「こっちは終わった。そっちはどうだ?」

 

「こちらも終わりました。」

 

最後の1人を転移させた鷹嶺はそう言って立ち上がる。それと同時に奥の階段を上ってくる足音が聞こえた。

 

「ん?何やら程良い寒気を覚えたから来てみれば⋯随分と寂しいフロアだな、此処はぁ⋯⋯。」

 

声の聞こえた方を見れば、其処には白髪で筋骨隆々な中年の男が立っていた。その男はこちらを見るとニヤリと笑みを浮かべて勝手に話し始める。

 

「いやぁ、良いなぁ!下の連中は何奴も此奴も歯応えが無くてよぉ、嬲り甲斐すらねぇんだぜ?」

 

「下に居る人たちは、生きてんのか⋯⋯⋯。」

 

俺は青筋を浮かべ、その男を睨みつけながら問う。

 

「⋯まぁ、生きてんじゃねえか?大半が虫の息かも知んねぇけどな。」

 

「そうか⋯歯ぁ食いしばれッ!【臨界】」

 

俺は先程と同じ様に右拳に青白い光を纏わせ、全力でその男に殴り掛かる。

 

「【魔術解放】ドン・レ・アポピス・ノワール」

 

俺の拳が直撃する直前、その男はなんと固有魔術を発動した。その刹那、男の身体は気体へと変化して俺の攻撃を無効化する⋯と言うよりは肉体に当たる事なく透き抜けた。

 

それに困惑した俺は目と鼻の先にその男が居る状態で足を止める。その数秒後、俺の腹にその男の右掌が触れ、その右手は軽く空気を握った。次の瞬間、動作に見合わない激痛に俺の腹が苛まれると共に、衝撃波が発生し、俺の身体を空中に弾き飛ばした。

 

俺の身体はフードコートの床と天井を繋ぐ一本の柱に背中からぶつかる。その柱はボロボロと崩れ落ちた。俺は【治癒魔術】を発動しながら立ち上がり、思考する。

 

(何だ、今の⋯腹に手を置かれたかと思えば、急に腹を食い千切られて吹っ飛んだ⋯まさか、今のは“空間の抹消”?じゃあその後吹っ飛んだのは、空間の歪みによって発生した衝撃波か!⋯俺の拳を透過した事も考えると此奴の魔術属性は⋯“闇”)

 

相手の魔術属性や先程の攻撃のメカニズムに対する予測を立てた俺は、これからの計画を説明する為に鷹嶺へ向かって叫んだ。

 

「鷹嶺!此奴は俺が相手をする。だから下の階に降りて全員助けろ!それが終わったら俺にそれ伝えてお前も本館に撤退、分かったかッ!」

 

鷹嶺がそれを聞き無言で頷いたのを確認した俺は、鷹嶺が立っている場所の近くに向けて手を伸ばす。

 

「【カルデラ】」

 

俺がそう唱えると小規模の爆発が起き、床に穴を開ける。

 

「おい、待てよ。嬢ちゃんも一緒に楽しも「【飆風】」⋯フッ、危ない事をする坊主だ。」

 

その男も階段から下に降りようとしていたので、男と階段との間に【飆風】を叩き込む。

 

「歯応えのある闘いがしたいんだろ?来いよ⋯まあ俺がお前に噛み砕かれる訳ねえんだけどな。」

 

「いいだろう⋯坊主、お前の名前と種族を教えてくれ。」

 

男の要望に俺は答えるか迷うが、相手の情報を聞き出す為にも素直に答えた。

 

赫羽(あかばね)頼、人間だ⋯お前の名前と種族も教えろ。」

 

「人間?マジかお前ww⋯あぁ、俺の名前と種族だったな。ニクス・チェルノボーグ、種族は悪魔だ。にしても、赫羽頼か⋯じゃあ、倒さなきゃいけねえな。」

 

そう言ってその男⋯もといチェルノボーグは戦闘態勢に入る。それを見た俺も軽く身構えると、ダークパープルに染まった横向きの竜巻がこちらに突撃してくる。

 

「【飆風】」

 

俺も【飆風】を発動してその竜巻に応戦する。結果としてその2者は拮抗した後弾け飛び、辺り一帯の柱や壁を抉った。

 

(【飆風】を相殺する威力⋯悪魔ってのは嘘じゃなさそうだな。)

 

チェルノボーグは空気を引っ掻く素振りを見せた。それを見た俺は身体を回転させ、その勢いを使って急いで左に避ける。次の瞬間、俺の横を形容し難い⋯ただ、俺の肉体を容易に傷を付ける事だけは分かるナニカが、爆風と共に通り抜けた。

 

(今のは“空間の抹消”の応用⋯削り取る形は自由に変えられる上に、距離も関係なしか。)

 

一瞬だけ後ろを振り返るとさっきの攻撃が当たったと思われる窓ガラスは木っ端微塵になっていた。

 

(さっさと無力化しねえと⋯被害が洒落にならん事になる。)

 

そう考え急いでチェルノボーグに視線を戻すが、突如として視界が真っ暗になった。次の瞬間、何かが急接近したのを俺の触覚が捉えたのと同時に俺の腹は再び抉られる。が、吹っ飛ばされるよりも先に俺は動いた。

 

「【霧中霧散】」

 

そう唱え一時的に自身の存在を消してチェルノボーグの背後に移動した。それに気付いたチェルノボーグは振り返り言葉を紡ぐ。

 

「お前も物理攻撃を無効化できんのかよ⋯これじゃあ埒が明かねぇが、どうする?どっちが先に魔力切れを起こすか、我慢比べでもするか?」

 

チェルノボーグはそう言いながら右手を上に上げる。すると、その手の上に途轍もない大きさの球体が出来上がる。

 

「コイツはちょっと特殊でなぁ、接触した物体吸い込んじまうんだよ。さぁ、どうにかしてみせろッ!」

 

そして、それを俺に向かって放った。

 

(マズイ、魔法や魔術で生成した物体は【霧中霧散】で消滅させる事ができない。この物体を破壊する事はできる⋯だがその為には、下の階に人が居ない事が最低条件だ⋯鷹嶺からの連絡があるまで堪え切るしかない!)

 

「【ポルターガイスト】」

 

俺は【ポルターガイスト】を発動して折れた柱をその球体にぶつけて軌道をズラす。しかし、チェルノボーグが動きを決めているのか、結局は柱を取り込んだ後、俺に向かって突っ込んで来た。それを見た俺は諦めてチェルノボーグの周りを走り、避ける事にする。

 

球体が迫ってくるのと同時にチェルノボーグも空間を握って、こちらに爆風や視認不可の斬撃を浴びせて来るのでそれも避ける必要があった。数十秒走り続けていると、下の階から声が聞こえる。

 

「頼さん!全員転移できましたッ!私もこれで撤退しますッ!」

 

それを聞き、俺も大声で返答する。

 

「⋯⋯分かったッ!」

 

俺は直ぐ様振り返ってこちらに近づいて来る球体を見る。

 

「【飆風】【カルデラ】【波及】———【塵灰一掃】」

 

俺がそう唱えると、辺り一帯に斬撃が発生する。それによりほぼ全ての柱が折れて一部の天井が落ち、それすらも木っ端微塵になった。店の電子看板や照明、窓ガラスも甲高い音を出しながら割れて辺りに散乱する。

 

その直後、一瞬だけ大爆発が起きて瞬きをすると視界が真っ赤に染まる。もう1度瞬きをすると物寂しい世界が、其処に現れた。照明が落ちた影響で店内は暗くなり、文字通り色彩が壁や床から剥がれ落ちる。殺風景に廃れ滅茶苦茶になった室内は、窓ガラスが破壊された事により、外界とその仕切が無くなった。そして其処を通った残暑を感じる暖かい風が、俺の頬を引っ掻く。当然、球体も細切れになった後に跡形もなく燃え尽きた。

 

それらを確認すると、今度はチェルノボーグに視線を移す。これだけの猛攻でここまでの被害があったにも関わらず、ピンピンしていたチェルノボーグは、右腕を振り上げ空間を引っ掻こうとする。

 

「フッ、派手な攻撃だな。だが、『当たらなければどうって事はない』ってやつだ。それにこれだけの猛攻、もう“魔力使用の拒絶反応“が起きるんじゃねぇか?」

 

“魔力使用の拒絶反応”とは、魔術師が生命の危機が訪れる程の大量の魔力を消費した時に起こるある種の“生命を守る為の拒否反応”。だがそれは、少なくとも俺には関係のない話だった。

 

「【引力】」

 

俺はチェルノボーグが空気を引っ掻く直前に【引力】を発動してチェルノボーグを自身の足元まで引き寄せる。

 

(目潰しを食らった直後、俺はチェルノボーグが急接近してくるのを感じた。つまり此奴は“空間の破壊”を発動する直前は肉体を闇に変化させる事ができない!)

 

チェルノボーグの弱点を確信した俺は、目線をチェルノボーグを引き寄せた自身の足元まで下ろして構えを取る。その直後、突然引っ張られた事で姿勢を崩して仰向けになったチェルノボーグと目が合う⋯その右手は空気に爪を立てており、まだ攻撃する事を諦めていない様子だったが、それは俺にとって好都合な事でしかなかった。

 

「【臨界】【カルデラ】【鳴動】———【原初の咆哮】」

 

右拳を振り上げ、ガラ空きの胴目掛けて叩き落とす。その衝撃は凄まじいもので、床を2枚とも突き破り、チェルノボーグの身体を1階の床に叩き付けた。その他にもほぼ全ての窓ガラスが割れたりなどかなりの被害が出たが、この国の建物は耐震性が凄いのでなんとか持ち堪えている。

 

俺はチェルノボーグの腹から拳を離して立ち上がり振り返る。鷹嶺の元へと歩こうとした次の瞬間、チェルノボーグが口を開いた。

 

「【空間魔術】レギオン」

 

刹那、風景が真っ暗闇な世界へと変わる。チェルノボーグを見ると、口から血を吐き立つのも大変そうな前傾姿勢で俺を睨んでいた。

 

「ハハハ、油断したな⋯どれだけ手痛い攻撃を食らってもよぉ、魔力はまだ残ってんだよ!」

 

その目は勝ちを確信しギラギラと輝いていた。だが、その確信が実現する事はない。相手がどれだけ策を講じようとも、どれだけ不意を突いて優位に立とうとも、俺はその足元を掬うだけなのだから。

 

「【空間魔術】レギオン」

 

俺がそう唱えた次の瞬間、世界は色を取り戻し、先程居た場所に帰って来た。それに気付いたチェルノボーグは混乱し、喚き散らす。

 

「何故だ!?どういう事だ!?どうしてあれだけの攻撃をしたのに拒絶反応が起きねぇんだよ⋯⋯!」

 

その問いに俺は正直に答える事にした。

 

「それは俺の固有体質が原因だ。俺の固有体質は“執念執着”。どれだけ魔力を消費しても、“魔力使用の拒絶反応”が起きない。」

 

「だとしても⋯固有魔術の使用に【空間魔術】の展開、それに加えてこれだけの技を放てば魔力は底を突くだろッ!」

 

チェルノボーグの指摘を俺は肯定する。

 

「⋯だな。実際、俺はもう後1回技を放てるか否かってところだ。」

 

それを聞いたチェルノボーグは青褪めた表情を見せる。

 

「マジかよ⋯おい赫羽、生命が惜しくないのか!?」

 

その言葉に俺は一瞬疑問符を浮かべたが、直ぐに合点が行く。“魔力は魔術師の生命力そのものから捻出される為、使い切ると本人は死亡する”というのにも関わらず、俺が何の躊躇いもなく魔力を1度に消費し切ろうとする様子に此奴は驚いているのだ。

 

「俺の魔力は“外付け”だからな。幾ら消費しても生命には関わらないんだよ。」

 

俺の説明を聞いたチェルノボーグは『⋯そうか』と小さく呟いた後、不敵な笑みを浮かべて両手を上に上げた。

 

「もういい。これ以上説明されても、何言ってるか理解できねぇだろうからな⋯降参だ。さっさと終わらせてくれ。あばよ⋯坊主。」

 

妙に真っ直ぐな目でこちらを見られ、俺は少し溜息を吐く。そして【空間魔術】の範囲内に鷹嶺が居ない事を願いながら技を唱える。

 

「⋯⋯【人体発火】」

 

その直後、チェルノボーグの身体は炎に包まれ地に伏せた。俺は【空間魔術】を解くと、再び振り返る。そして鷹嶺が居る所に向かって歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PM1:40

 

別館の正面玄関を通って横断歩道を渡ると、目の前に本館が現れる。本館の扉である自動ドアは俺が近づくと難なく開いた。それを変に奇妙がりながらも本館に足を踏み入れると、直ぐ其処に鷹嶺が身体を壁に預けた状態で立っていた。

 

「終わったぞ。ありがとな、急いで転移してもらって⋯お陰で倒せた。」

 

「いえ、ではメインエントランスに急ぎましょうか。」

 

鷹嶺がそう言い切ると同時に、俺のスマホへ電話が掛かって来た。画面を見るとグループ通話になっており、『クロヱさんがグループ音声通話を開始しました』と表示されていた。通話に出ると『あっ、来た来た』という声が聞こえる。

 

『いつの間にグループ作ったんだよ。』

 

『え?今さっきだけど〜、それがどうかした?』

 

沙花叉の質問に俺が『別にだから何って訳じゃねえよ』と答えた所で右下の画面に『正爾さんがグループ音声通話に入室しました』と表示される。

 

『⋯この様子だと一般人の転移と制圧は終わったようだな。お前らは大丈夫か?』

 

正爾の問いに俺は画面から視線を外し、鷹嶺と目を合わせる。俺の意図を理解した鷹嶺が『私は大丈夫です』と小さく呟いたのを見て、俺は鷹嶺に頷ずいて見せる。

 

『⋯俺と鷹嶺は大丈夫だ。』

 

『沙花叉とこんこよも大丈夫だよ〜。と言っても沙花叉ぁ、足折れてるんですけどねぇ』

 

そんな事を軽く言って見せる沙花叉に俺は言葉を零す。

 

『何やったんだよ⋯』

 

『ん?まあ、ちょっと死に掛けて限界を超えたって感じかな〜〜』

 

沙花叉の返答に正爾はかなり低い声で溜息を吐く。

 

『⋯は”あ”、後で治してやる。それと、それぞれの担当場所の犠牲者シュウ⋯悪い噛んだ⋯⋯本当に何やってんだ俺⋯⋯取り敢えず、1階と2階は24人だった。』

 

それを聞いた沙花叉は『彼クンさあ、疲れてんじゃないの?』と少し嘲るように茶化したが、直ぐに真剣な口調に変わる。

 

『3階は32人⋯手遅れだった。もう少し早く制圧できてれば、間に合ったかもしれなかったんだけど⋯沙花叉たちが弱い所為で⋯⋯⋯。』

 

沙花叉の弱々しい報告に過去を知っている所為か、俺はとても申し訳ない気持ちになる。

 

俺も報告をしようと思ったが、闘いに集中していた為それを知らなかった俺は、再び鷹嶺の方を見る。鷹嶺は一瞬疑問符を浮かべたが、直後にハッとした表情に変わると『変わって下さい』とこちらに小声で伝えてくる。俺が鷹嶺にスマホを手渡すと、鷹嶺は報告を始めた。

 

『こちら別館。犠牲者数⋯133名でした⋯⋯⋯。』

 

「⋯嘘だろ。」

 

訳が分からない。ただ心拍が上がっていく。それだけを感じていた。

 

(何でだ?何でこうなった?何でこんな死んだんだ?)

 

俺は頭を掻き毟りながら壁に寄り掛かる。いろんな心の声が俺の中に生じた。

 

(⋯俺がもっと早く動いていれば⋯フードコートの制圧に時間を掛けすぎた⋯ラミィたちが居たんだから、フードコートを後回しにして彼奴を倒しに行けば良かった⋯俺の所為で、大勢死んだ⋯⋯。)

 

133名、そんな取り返しのつかない犠牲者を聞いた正爾は、それでも気にしていない様子で報告を纏める。

 

『合計189名か⋯分かった。この後はメインエントランスで落ち合う、良いか?』

 

正爾の言葉に沙花叉は『オッケ〜〜』とできるだけ軽く流して通話を切った。俺は鷹嶺からスマホを返してもらい、正爾に声を掛ける。

 

『⋯悪い。気ぃ使わせた。俺の所為で大勢死んだってのに⋯⋯。』

 

『別にいい。お前が手子摺ったんだ、相当な相手だったんだろ?それに小規模とはいえ、3階全部を任せた俺の采配にも責任がある。“誰も悪くない”なんて甘ったれた事を言う気はない。だがな、断じて“お前だけ”の所為じゃない⋯分かったか?』

 

その言葉に、俺は安心感を覚える。そして、俺は自分を引っ張ってくれる兄や姉といった存在が大好きであるという事を再認識した。

 

『分かった⋯ありがとう。』

 

俺の言葉に正爾は笑う。

 

『普段の浮き世離れしたお前も嫌いじゃねえが、俺はやっぱ素直なお前の方が好きだな⋯1人で背負わねえから。』

 

その言葉に何処か気恥ずかしさを覚えた俺は『はいはい』と言いながら通話を切る。その直後、沙花叉からメールが届いた。

 

『大丈夫か〜〜?あんまり無理すんなよ(笑)』

 

その内容を見て俺は確信する。沙花叉はあの時、ワザと通話を切ったのだ。その事に気付き、苦笑いを浮かべながらも俺は沙花叉に対し、正爾と同じ様に心強さを感じていた。

 

「さあ、行くぞ。」

 

俺はスマホをポケットに押し込むと鷹嶺にそう告げる。何とも言い表せない温かさを感じながら、俺は鷹嶺と共にメインエントランスへ向かって走り始めた。




後半に続く!

次回予告!『正爾が強ぇ事強ぇ事』そして『沙花叉覚醒⁉︎』
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