俺たちの住む商店街は治安が悪い   作:有苑

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今回は割と闘います。

登場ライバー

尾丸ポルカ 博衣こより 沙花叉クロヱ ラプラス・ダークネス 鷹嶺ルイ 風間いろは


強襲と同盟

本屋

 

PM1:00

 

厄介な連中を追っ払った日から更に3週間後。俺と尾丸は2階のカフェが満席になったのを確認した後、1階に降り箒を片手に軽い掃除をしていた。

 

「良いんですか店長さん?2階のカフェほったらかして。」

 

尾丸が俺に聞いてくる。

 

「大丈夫だ。うちのカフェに来る客は総じて長居するし、それに合わせてコーヒーカップとかも普通の喫茶店より大きくしてある。それに各席に呼び出しのベルが置いてあるから何かあってもすぐ対応できるようになってる。」

 

「へー、なんやかんやで用意周到なんですね。」

 

「これでも6年近くやってるからな。」

 

「……にしても最近お客さん多いですよね。」

 

「そりゃ夏休みシーズンだからな。受験勉強で来る人が多いのは当たり前だ。」

 

「そうですねー。あ!夏休みと言えばポルカたちの大学も始まったんでこれからシフト増やせますよ。」

 

「じゃあ頼む。シフト増やすんだったら本1週間に2冊やるよ。」

 

「マジですか⁉︎ありがとうございます!」

 

俺と尾丸がそんな事を話していると、見知らぬ客が1人来店した。桃色の頭髪、獣人の代表的な特徴である耳や尻尾を生やしながらも白衣を着て試験管などを様々な所に取り付けてあるその装いは見るからに科学者のそれだ。

 

「どちら様ですかー?」

 

尾丸が獣人に問う。

 

「ん?こよの事は気にしなくて良いよー。それにしても⋯⋯⋯ふーん、君がいろはちゃんのフィアンセかあ。」

 

獣人は意味不明な回答をする。刹那、俺は背後に妙な寒気を覚えた。

 

「ポルカ!伏せろ!」

 

俺は叫び目の前にいる獣人を無視して振り返る。その勢いに任せて箒を横に思いっ切り振ると、背後に振り下ろされたナイフと接触する。俺は踏ん張りを利かせ相手を弾き返し後退させる。

 

「嘘、マジで!?絶対当たると思ったんだけど〜。」

 

急に現れたそいつは銀髪でシャチのような模様が入った厚手のパーカーを着て謎の仮面をつけており、余裕綽々といった感じで一切の緊張感がない。

 

だが、玄関付近にいる獣人が妙なことを言わなければ俺もその気配に気付かなかった。正確には完全に獣人に意識が集中していた、だが。

 

「何やってるのクロたん〜折角こよが隙作ったのに〜。」

 

「ごめんってこんこよ〜次は当てるからッ!」

 

そう言って銀髪の女はピンポン玉サイズの球体を地面に投げつける。するとそこから煙が発生し銀髪の女の姿を捉えられなくなる。

 

⋯煙幕か。確かに動きは悟れねえがある程度だったら予想できる。1度でも力比べをした上に煙幕だって張ったんだ、恐らくナイフか何かを投擲してくる筈・・・ここは俺たちを中心としたT字路のような場所になっていて、背後に桃髪の獣人がいる以上前方からの投擲はできない。左側はすぐ近くがカウンターで壁際だから安全圏から投擲するには距離が足らない・・・・・・右側の通路か。

 

「ポルカ⋯彼奴は右側の通路から来る、俺が動いたら左に45°回転。分かったか?」

 

「今⋯ポルカの名前⋯2回も⋯⋯。」

 

「⋯今それどうでも良いだろ⋯⋯もう1度聞く、分かったか?」

 

「はっ、はい。分かりました。」

 

1秒にも満たぬ沈黙の後、右側の通路から足音が聞こえる。しかしその後に聞こえてきたのはナイフが空気を裂く音ではなく、地面を強く蹴り上げる音だった。

 

⋯なぜだ?まさか横からの奇襲で接近を仕掛けようと⋯⋯いや違う、上だ!

 

次の瞬間、ナイフは煙を裂き斜め上から降ってくる。降ってきたのは5本、それがほぼ一切の間髪おかず同時に降ってくる。

 

よくそんな一気に投げれんな⋯だが弾き切ればそれで終わり!

 

俺は箒を使い降ってきたナイフの軌道を1つ1つ逸らしていく。5本全てを逸らし切り一安心と油断した次の瞬間、今度は2本のナイフが俺目掛けて地面と平行に飛んできた。

 

どんだけナイフ持ってんだ此奴!?普通4本でも十分嵩張るだろ!だがやることは変わらねえ、2本とも弾いて⋯⋯は?

 

「うッ⋯痛っ⋯⋯⋯。」

 

痛みに耐える呻き声が上がる、声の主はポルカだった。投げられた2本のナイフの内、俺目掛けて飛んできたのは1本目だけだった。2本目のナイフは俺の左横を通過し、ポルカの左腕の二の腕を掠り肉を裂いたのだ。

 

「よっしゃ隙あり〜〜。」

 

ポルカが怪我を負い俺たちが怯んだ所で銀髪の女はナイフを片手に飛び出してくる。

 

「【魔術解放】天変地異」

 

はっきり言って俺は今ので割とムカついた。此奴らの正体はなんとなく分かっている。態度からしていろはの仲間だろう⋯だとしても、一般大学生に手を出すのは⋯絶対に違うって分かってんだろ⋯⋯流石においたが過ぎんだよ。

 

「【ポルターガイスト】」

 

俺がそう唱えると、辺り一帯に散乱したナイフが独りでに浮き上がり7本中2本は銀髪の女が持っているナイフと鍔迫り合いをさせ、4本は獣人に向かわせる。俺の読みだと獣人は銀髪の女よりも身体能力は低いが動体視力が良い、適当な太刀筋なら避け切れる筈。

 

「嘘ッ!?普通こよに攻撃するぅ?」

 

俺の狙い通り獣人はナイフを避けながら移動する。それにより正面玄関とその横にある2階に上がる階段への道が開かれる。

 

俺はポルカの右肩を持ちながら立ち上がり、唯一血が付着している最後のナイフを自分の手に持ってくる。

 

「ポルカ⋯頼みがある。2階に上がれるか?」

 

「どっ、どういうことですか?」

 

「2階にいる人たちに『強盗が入ってきたから裏口から逃げろ』って伝えてくれ。そんでお前も逃げろ。」

 

「⋯分かりました。店長さんも⋯⋯気を付けてくださいね。」

 

「ああ、俺は大丈夫だ。それよりも腕平気か?」

 

「⋯はい⋯⋯これぐらいの傷なら塞がります。ちょっとまだ痛いですけど⋯⋯⋯。」

 

「そうか⋯⋯悪い、無理させる。」

 

ポルカは『行ってきます。』という言葉を残して玄関付近まで走り2階に上がって行った。俺は【ポルターガイスト】を解除し、着ていたエプロンを脱ぎ捨てる。

 

「おい、てめぇら⋯うちのバイトに手ぇ出して⋯ただで済むと思ってんのか?」

 

「いろはちゃん居ながら『うちのバイト』とかウケるんですけど〜あんたってもしかして浮気性〜?」

 

銀髪の女はケラケラと笑いながら歩み寄る。互いのナイフの間合いに入った次の瞬間、銀髪の女は地面を強く蹴り一気に距離を縮めてくる。

 

俺はナイフの持ち方を逆手持ちに変えながら銀髪の女の右手首を掴みナイフを止める。そのまま俺はナイフの柄尻を銀髪の女の腹に叩き込む。

 

「あがッ⋯⋯。」

 

そのまま右横腹に蹴りを入れると銀髪の女は左側に吹っ飛んだ。

 

「よくもクロたんを⋯これでも喰らえ〜〜!」

 

声をした方を見ると獣人が何処から取り出したか4連式のロケットランチャーを装備しこちらに照準を合わせている。

 

「んなもん打ち込んだら此処が大惨事だし請求は全部お前らにさせるぞ、それでもやんのか。」

 

「もちのろん!」

 

そのまま間髪入れずに全弾を俺に向け発射する。

 

「【霧中霧散】」

 

俺がそう唱えるとロケットランチャーの玉は全て消え去った。

 

「嘘!そんなのありぃ!?ズル過ぎでしょッ!」

 

今回に関しては喧嘩を売る相手が悪かったな。

 

俺は左手で銃の形を作り獣人に向ける。さあ威力1割未満だ、耐えてみろ。

 

「【降雷】」

 

次の瞬間、左手の人差し指から光線のような雷が発生し獣人の脳天を通過する。

 

「あ⋯⋯ああ⋯⋯⋯⋯。」

 

獣人は白目をむいて倒れた。その状況を見て流石にヤバいと判断したのか、立ち上がった銀髪の女は息を殺してナイフを逆手で持ち、俺の背後に迫る。だがそれに俺が気付かぬ筈もない。銀髪の女の右手首を背を向けたまま左手で掴み引き寄せる。そのまま銀髪の女の脇腹に右肘を入れる。

 

「グハッ⋯⋯!」

 

俺は銀髪の女が痛みで脱力し、ナイフを手から零したのを確認する。その後銀髪の女の右腕の下を潜りながら銀髪の女の腕を捻る。

 

「ポルカの分のお返しだ。」

 

俺は逆手で持ったナイフを銀髪の女の右肩に迷いなくぶっ刺す。

 

「ぎゃあああああああああああッ!」

 

銀髪の女が悲鳴混じりの金切り声を上げたのとほぼ同時に真後ろ(丁度正面玄関の辺り)から『そこまでだ!』という声が聞こえた。

 

「⋯⋯どの面下げて正義ヅラしてんだテメエらぁッ!」

 

俺のそいつらに向けた第一声はそれだった。『何の用だ?』とか聞くことは色々あったかも知れないが、明らかに俺が銀髪の女を刺すのを狙っていたようなタイミングに不謹慎さを感じた所為かそんなことを聞くのも苛ついた。

 

それはそれとしてずっと悲鳴を上げ続けている銀髪の女の鳩尾に膝蹴りを入れ気絶させる。

 

「うわー、酷いなお前ー。」

 

真ん中の角が生えたちっこいガキが呟く。

 

「さっきのテンション何処行ったんだよ⋯⋯⋯。」

 

「あー、さっきのは気分で言っただけだぞ。」

 

「気分で仲間が気絶するまで観察してたのかお前?」

 

「まあなー、……吾輩たちはお前をアジトに連れて行くためにここに来たんだよ。」

 

「⋯⋯⋯だろうな。」

 

「それでそこの2人が我輩やいろはの話を聞かずに勝手に行動しやがってなー。そいつら的にも良い教訓になっただろ、我輩的にもいい気味だ。」

 

「絶対そっちが本音だろ⋯⋯で?俺の事はいろはに聞けば大体分かる筈だ。そんなお前らが何故態々此処に来て俺をそのアジトへ連れて行こうとした?」

 

すると、角が生えたガキの左側にいる髪が薄い赤色の恐らく鳥の獣人が話し始める。

 

「話したいというか⋯伝えておきたいことがありまして。ですが部外者に聞かれるのも面倒なので絶対に盗聴されない私たちのアジトに来て貰おうと思いここに来ました。」

 

「⋯なるほどな。俺と話がしたいんだったら2階に上がれ。そいつらが暴れてくれたお陰で今は蛻の殻だ。それと銀髪の方いい加減止血して【回復魔法】でも使ってやれ⋯⋯回復役は?」

 

俺がそう聞くと角ガキは目を泳がせながら獣人を指差す。

 

「⋯⋯⋯そこのコヨーテ。だからお前がやってくれ。」

 

「あー彼奴コヨーテだったのか⋯⋯は?お前何回復役を前線で戦わせてんだ!つうか彼奴回復役だったのか!?滅茶苦茶堂々とロケランぶっ放して来たけど⋯⋯。後俺の専門は【治癒魔術】だから人間には使えねえよ。使えば副作用でもっと危険な状態になる。」

 

「人間がダメならそっちのコヨーテを復活させることはできないのか?」

 

「⋯難儀だ。はあ、分かったやるよ。」

 

俺はコヨーテの獣人に近づき膝をつくとコヨーテの獣人の額に手を翳す。『【治癒魔術】』⋯こいつが失神した原因は【降雷】が脳天に刺さった事により脳に多大な負荷がかかった所為だ。無闇に【回復魔法】を使って起こそうとすれば、記憶障害が残る可能性もある。仕組みを知ってなきゃ脳外科に当たった方が懸命だろう。

 

まあ、今回に限っては俺が治すから関係ないけど。

 

「⋯ん?ここは⋯⋯ハッ!クロたん立って!早く倒⋯⋯⋯あれ?なんでラプちゃんたち居るの?」

 

コヨーテの獣人は飛び起きて早々に大声を上げる。まあ視覚的情報の完結が早いのは良いことだが。

 

「お前らの負けだ。それと速く銀髪の女治してやらねえといい加減死ぬぞ。」

 

「えっ?何言って⋯⋯⋯嘘⋯クロたん!?大丈⋯夫な訳がないけど、どうすれば⋯⋯!」

 

コヨーテの獣人は銀髪の女を見て明らかに焦り出し体を揺さぶる。

 

「揺らすな、起きたらまた騒がしくなる。ナイフは抜いてないから大量出血による失血死には至ってないが、速く処置するに越したことはない⋯⋯まあ焦り過ぎなきゃ治せるだろうよ。」

 

コヨーテの獣人は小さく頷いた後『【回復魔法】』と呟くとコヨーテの獣人の掌から淡い光が発生する。

 

⋯分かってはいたが精度が悪いな。ただでさえ【回復魔法】は【治癒魔術】よりも小規模な部位の回復しかできねえってのに正爾(まさちか)の3割以下かあ⋯縫合が必要だな。針と糸と⋯後消毒液持ってくるか⋯⋯それと一応これもやっとくか。

 

俺は未だにナイフが刺さり続けている銀髪の女の肩に触れ【治癒魔術】をほんの少し掛ける。

 

「なっ、何やったの?」

 

「【治癒魔術】をほんの少しだけ使った。副作用で肩の痛覚が完全に麻痺してるから今なら抜いても問題ない。傷が塞がらなかった時の為に俺は1度家に帰って糸とか針を持ってくる。もし塞がったら2階に上がって適当な席に座っておけ。」

 

「⋯わっ、分かった。」

 

俺は2階に上がり奥の扉まで歩き扉を開けてスタッフルームに入る。右手に階段があるのでそこから更に3階に上がれば其処が自分の家だ。

 

食器棚に置いてある救急箱の中から消毒液を取り出し自室へ向かう。裁縫箱を見つけ出しその中の1番細長い針と糸を手に取りまた2階は降りて行った。

 

「こっちでこざる。」

 

扉を開けてスタッフルームを出るといろはの声がした。どうやら傷は塞がった様だ。俺は5人が座っているテーブル席に近づきその席に置いてあるコーヒーカップなどを取り敢えずキッチンを見渡せるカウンター席に移動させる。

 

最大6人が目安のテーブル席には俺から見て右側に奥から鳥の獣人、角ガキ、いろはが順番に座り。左側は奥からコヨーテの獣人、銀髪の女で銀髪の女は未だに眠っており2人分の席を占領している。要するに俺が座る席がない。俺は諦めてカウンター席の椅子を持って来て其処に座る事にした。

 

「さっきの闘い見て思ったけどお前いろはに聞いてた以上に強いな。」

 

角ガキは俺が座った途端にそんなことを言って来る。

 

「そうかもしんねえけど、いい加減本題に移らねえか?」

 

「それもそうだな。おい幹部ー、説明は任せたぞー。」

 

「では、私から話させて頂きます。」

 

そんな恐らくボス?の司令を聞き幹部と呼ばれた鳥の獣人が喋り出す。

 

「貴方は最近拳銃を用いた暴動が頻繁に起こっているのをご存知でしょうか?」

 

恐らくヘルニアの事だろう。そんな事の報告で此処に来たのか?

 

「ああ、知ってる。ヘルニアって連中が銃を流してんだろ?」

 

「あー、それちょっと違くてだな。幹部ー、説明頼む。」

 

角ガキは俺の発言を否定しさらに部下にその解説を投げた。

 

………此奴いい加減過ぎるだろ。

 

「違う?知り合いの自警団の人がそう言ってたんだけどな。」

 

「確かにヘルニアはそれらの拳銃を流していますが、それは派閥の一部に過ぎません。よく考えてみて下さい、一端の暴力団風情がそんな大量の拳銃を製造できると思いますか?」

 

「……大元にでけえ組織か何かがいると?」

 

「お察しが早くて大変助かります。貴方の仰る通り巨大な組織が秘密裏に銃などの武器を大量生産し、それを世界各地にばら撒いています。」

 

「つまり何だ?ヘルニアがその組織が造った武器を買って、それを更に個人に売り捌いて行くなんつう卸売業者みてえな事をやってる連中が世界中に居るってのか?」

 

俺の発言を聞いた鳥の獣人は『ええ。』などと言いながら頷き続ける。

 

「そしてその組織の名は厩戸烏(うまやどがらす)…世界征服を目論む悪の秘密結社です。」

 

「秘密結社って言ったらお前らもじゃねえのか?」

 

「吾輩たちは世界の均衡を保つ為にやってるからどちらかというと善側だぞー。」

 

角ガキはまた俺の発言を否定しに割り込む。

 

「誰かから依頼でもされてやってんのか?」

 

「いや、やりたいからやってるだけだぞ。」

 

「それただの慈善団体じゃ…「違う!吾輩が秘密結社って言ったら秘密結社なの!」………。」

 

俺は若干引きながら鳥の獣人の方を見る。

 

「……なあ、もしかしてだけどよお……お前らんとこのボスのご希望で…こんなアウトローチックな組織運営してんのか?」

 

「……はあ、ええ。そんな理由ですよ。」

 

……いろはが用心棒を態々やってる理由が何となく分かる。退屈しねえわこりゃ。

 

「……話を戻しましょう。本題はここらかです。」

 

「……ヘルニアの裏に厩戸烏っていう組織がいたって事を話に来たんじゃねえのか?」

 

「はい。世界征服を目論む悪の秘密結社厩戸烏。私たちの本題はその世界征服の方法に少し気掛かりな点があった事です。」

 

「世界征服の方法?勝手に武器をばら撒く何ていう馬鹿馬鹿しいものだと思ってたんだが、違うのか?」

 

「ええ。武器をばら撒くのは方法の1つです。武器を世界中に供給させ世界中でテロや紛争を起こせば世界各国の手が回らなくなりますが、当然それ以外にも様々な策を講じています。その中の1つに神の力を奪いその力で世界征服を成し遂げるというものがありました。」

 

「…神の力………成る程な。それを俺に伝えに来たと………分かった…よーく分かった……はあ、神かあ………。」

 

分かるんだけどなあ、スケールがなあ、でけえのが小せえのかよく分かんねえんだよなあ。

 

「今回私たちはその報告ともう1つ、貴方と同盟を結びに来ました。」

 

「同盟?」

 

「はい。共に厩戸烏を壊滅させませんか?」

 

「……俺の利は何処にある?後そんな同盟をただの本屋に持ち掛けんな。」

 

「利益としてはこの町や商店街の平和なひと時が残り続けます。それに毎日が闘いの連続という訳ではありませんし、私たちも気長にやってますから。」

 

世界征服を目論む組織を壊滅させるっていう割とマジな偉業を気長にやるなよ………。

 

「………駄目だ、俺はそんな遠出できねえ。せいぜい此処の町を守るくらいだ。それで手打ちに出来ねえなら同盟は諦めてくれ。」

 

「分かりました。ではもしこの町に何らかの危機が迫った時は共に背中を預ける、という同盟で宜しいでしょうか?」

 

「ああ、それで良い。それじゃあこっちからも1つ良いか?」

 

「何でしょうか?」

 

「今1階軽く大惨事だから弁償だけしてくれ。」

 

「………幾らぐらいでしょうか?」

 

鳥の獣人は目を逸らしながら恐る恐る聞いて来る。

 

「まあ4、50万ぐらいで良いと思うぞ。」

 

「そう……ですか………。」

 

待て秘密結社がその程度の額払えないのは不味いぞ。

 

「もしかして、払えねえのか?」

 

「……はい。最近の出費が多くなっていまして……。」

 

「何買ったんだよ………。」

 

「……………唐揚げです。」

 

はい?待て唐揚げの出費が多いって何だ?

 

「……因みに全体の何割ぐらいを占めてる?」

 

「…3割程……。」

 

駄目だこの秘密結社頼りなさ過ぎる。

 

「…成程…分かった……よしじゃあ弁償は無しでいい。」

 

「本当ですか⁉︎」

 

「ああ。その代わり此処の人手が足りねえってなった時に連絡するから働きに来てくれ。」

 

「承知しました。では私たちはこれでお暇させて頂きます。」

 

「……それと最後に名前だけ教えてもらえるか?」

 

「私は鷹嶺ルイと申します。」

 

「吾輩はラプラス・ダークネスだ。」

 

「こよは博衣こよりでこっちは沙花叉クロヱ。クロたんって呼んであげて〜〜。」

 

「分かった。鷹嶺、角ガキ、博衣、沙花叉、後いろはだな。」

 

「ちょっと待てお前!角ガキって何だ⁉︎」

 

「角ガキは角ガキだよ。よし、お前らもう帰って良いぞ。下の掃除はやっとくから。」

 

「有り難うございます。では失礼します。」

 

「待て!吾輩はまだ納得してないぞ!幹部!吾輩の腕を掴むな!待てお前ーーー!」

 

「はあクロたん背負って帰るかー。よいしょっとぐッ、かなり重「誰が重いってこんこよー!」うわあ⁉︎クロたん起きてたの⁉︎ちょっと揺らさないで!階段から落ちちゃうからあ!」

 

「さっきからずっと起きてげどって、うぎゃあああああああ!」

 

「………うるせえな此奴ら。」

 

「けどまあ退屈しないでござるよ。」

 

「だろうな。お前が楽しそうで良かったよ。」

 

「……厩戸烏、気を付けるでござるよ。」

 

「分かってる。けど無理だろ?神の力を奪うなんて。一体どうするつもりなんだろうな。」

 

「風間に聞くな、風間も帰るでござる。」

 

「じゃあなー。」

 

騒がしい連中は帰って行った。

 

…神と言えば彼奴もだよなあ。未だに籠ってるらしいし……来週になったら行くか。




妙な事になって行く。
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