「人外魔境新宿決戦にて」五条・宿儺「「ーーー極の番」」虎杖「ーーっ!?」 作:ワーテル・Θ・
濛々と巻きあがった粉塵に
五条の呪力が伝播し付帯される。
半身を翻し跳躍した五条はその中に滑り込む。
更に六眼による精密観察で自身が纏う呪力を
周囲と同じ出力に調整した。
呪力の迷彩により宿儺は五条を視覚、気配共に見失う。
宿儺「(此奴ーーーいつから俺の狙いをーーー)」
体勢を立て直した宿儺は五条に追い縋るため
およその方向に目途をつけ疾走する。
対して五条は右手で刀印を切った。
五条「ーーー術式順転・“蒼”」
ーーー引力の奔流が宿儺を粉塵ともども飲み込んだ。
それは旋風となって轟々と渦巻き速度を上げる。
宿儺は上下感覚を失い砂塵と共に振り回される。
更に術式で制御されているため
外側に脱出することができない。
宿儺「(ーーであれば「肆行御膳」(わざ)を
使うまでだーーー)」
もうすぐ四秒(インターバル)が終了する。
その前に宿儺は「御前」発動のため五条を索敵する。
だがーーー
宿儺「(術式対象に…選択できないーーー!
これはーーー)」
粉塵に込められた呪力に隠蔽され五条本体の呪力を
探知できない。旋風の圏内からあえて出ないことで
捕捉を免れている。
暴風を操作することにより自身を影響の受けづらい
位置に配置し続けているのである。
ーーー宿儺の術式拡張により静止空間との
認識が部分的に接続したため五条にも
干渉の余地が発生していた。
五条は宿儺が「仕掛けた」ことに感づき先手を打った。
「逕庭拳」ーーー
虎杖悠二の独自技(オリジナル)である。
通常であれば「ジャストミートを外す」特性は
威力が減衰し決定打に欠ける悪手である。
だが「攻撃が当たらない可能性が高い」という
特殊な局面「追の手の方が威力が高い」状況においては
欠点は利点へと変わる。
五条自身宿儺の狙いを完全に見抜いていたわけではない。
趨勢の嗅ぎ分け、術師の直感がこの技を選択せしめた。
そして五条の当初の狙いが「この状況」にあった。
五条「(気付いたか宿儺、僕の狙いはーーーー)」
宿儺「(奴自身がーーー
「攻撃後に跳ばされない状況を作る事」か!)」
五条悟、刹那の奸計。天賦の才格が窮地を翻した。
猛風の中で宿儺は手掌を正面に構えた。
親指をL字に立てて両手の隙間に四角を作る。
写真の構図をとるような形である。
宿儺「ーーー「解」・格子の戸(こうしのと)」
自身の背後ーーー「五条悟の潜伏場所」に当たりを
付けて文字通り格子状に斬撃を張り巡らせた
範囲型の「解」を放つ。
五条「(ーーーちっ!)」
不可侵による防御が常態化している五条に
斬撃によるダメージはない。
だが周囲の呪力を纏った粉塵は高密度の「面」の
斬撃により消し飛ぶ。
粉塵旋風に四角形の穴が空き呪力の流れが乱れる。
それを補完する五条本体の僅かな揺らぎを
宿儺は見逃さなかった。
宿儺「(ーーー掴んだ)」
五条の呪力を捕捉した。「肆行御膳」ーーー発動。
宿儺「(ぐっーーー)」
ギリギリと脳髄が荒縄で締め上げられるような感覚に
襲われる。先刻の術式拡張の後遺症である。
だが怯んでいる場合ではない。
宿儺「(このまま奴を「四秒後」に跳ばしても
「烈火」の小休止が終了するだけーーー
ーーーならば)」
術式対象を「二人」に選択する。
宿儺は「自身と五条悟」を「四秒前」に逆行させた。
ーーー合一した意識が状況を認識する。
「四秒前」は先の攻防の開始直後
五条の拳が目前に迫っていた。
とっさに反応が遅れ正拳が頬を抉るが方向を合わせて
身体を回転させ受け流す。辛くも回避に成功した。
だが五条にはもう一つの「仕込み」がある。
すれ違いに身をかがめ平手を地面に構えた。
石火の速度で呪力を練り上げる。
宿儺「(ーーー「捌」・蜘蛛の糸)」
高出力の斬撃が地面を引き裂いた。
宿儺を中心に文字通り蜘蛛の巣のような形に爆ぜる。
予想外の動きに五条は僅かに傾く。
立ち上がった宿儺は迅速に領域展延を纏う。
「藍引」の呪力を帯びている五条の腕に
足刀を叩きこんだ。
五条「(この動きーーーそれに残穢ーーー
つまりは)」
ーーー行き場を失った「藍引」が暴発する。
五条は咄嗟に術式を発動し呪力の導線を作る。
外側に放たれた呪力は轟音と共に爆散
周囲の建物を粉砕した。
互いに距離を取り、体勢を立て直す。
両者、インターバルは共に八秒。
五条「もしかして僕、
「また」なんかやっちゃったかな?」
宿儺「ーーークハッ、さてな」
ーーー戦いは最終局面を迎える。
To Be Continued . . .