なんちゃってシスターは神を騙る   作:ココア@レネ

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第46話:新たな武器(棒)

 ネグロさんの所で依頼の話をしてから三日後。

 

 この三日間、アーサーと共に準備を進めた。

 

 先ずは二つの舎弟……パーティーに連絡を取るよう、マチルダさんにお願いした。

 

 ライラには墓場の掟の間引きをお願いし、シラキリは更に三日間、ミリーさんにみっちりと勉強を仕込まれた。

 

 シラキリの物覚えは凄まじく、後は自分で本を読んで学べば主席入学も出来るだろうと太鼓判を押していた。

 

 また、ミリーさんが言っていた推薦状の当てはネグロさんだったそうだ。

 

 その件で話へ行ったついでに、その場でシラキリに勉強を教えていたみたいだ。

 

 散らかっていた本は、ギルドにある資料室から拝借していたので、帰る時にしっかりと返却をしておいた。

 

 そんな勉強を頑張っていたシラキリだが、拙かった言葉もかなり流暢になり、なんだか堅くなった。

 

 一日毎に、まるで進化するように変わっていくシラキリを見ると、一種の恐怖を感じた。

 

 予定通り色々と学んで役に立ってくれそうで良いのだが、なんだかなー…………。

 

 ライラの方は特に問題なく、一人で間引きをしっかりとやってくれた。

 

 安心と安定のライラだ。

 

 さて、この三日間俺が何をやっていたかというと、ちょっとした実験やダンジョン用の装備を整えていた。

 

 実験の内容は、ライラとアーサーの武器に付与した、祝福についてだ。

 

 あの時はアンデッド特効として使ったが、もしもポーションに付与し、呪いの解除が出来たとしたら?

 

 だが、そんな事は既に他の人が試していてもおかしくない。

 

 なので先ずは雑貨屋やミリーさんにそれとなく 聞いてみたのだが、どうやらそんな魔法は無いらしい。

 自分の武器に付与は出来ても、他人の武器や物への付加は見たことがないそうだ。

 

 一応聖水や除霊札と言ったものもあるが、教会からの販売なのでどの様に作っているかは不明らしい。

 

 教会独自の技術としてはあるが、一般には広まっていないのだろう。

 

 そんな訳で少しだけ高いポーションを買い、廃教会で祝福を掛けてみた。その結果……。

 

「出来ちゃいましたねー」

 

 淡く光るポーションが完成した。効力は試しようも無く、人目に触れる様な持ち歩きは出来ないので、服の下に隠れる様なポーションホルダーを自作した。

 

 皮の裁縫は初めてだったが、案外どうにかなった。

 

 また、ポーションや武器には付与することが出来たが、何故か服や防具には出来なかった。

 

 おそらく祈りの内容を変えれば、出来るかもしれないが、祝福については一旦切り上げた。

 

 服や防具に祝福しなくても、上層なら問題ないからな。

 

 その後はひな鳥の巣でちょこっと保存食の事を話し、そこそこ長持ちするおにぎりを作って貰った。

 

 焼き串やサンドイッチなどは売っているのだが、おにぎりを売っている店は一つもなかった。

 

 ご飯を食べる文化はあっても、おにぎりを作るまでは考えが及んでいなかったみたいだ。

 

 居合わせた客に聞いてみた所、少し食べにくいが腹に溜まるので、選択肢に入ると答えてくれた。

 

 どれくらい長引くか分からないが、出来るなら一気に解決してしまいたい。

 

 つまりダンジョンに入ったが最後、解決するまで帰れませんって事だ。

 

 一応マチルダさんに、その事を他の二パーティーにも伝えるように言ってあるので、準備はしてくるはずだ。

 

 上層なので外に帰っても良いが、時間は節約するに限る。

 

 これで道具と食べ物は揃ったのだが、あと一つ足りないものがあった。

 

 そう、武器だ。

 

 いつまでもギルドの物を借りるわけにはいかないので、何かしら武器を用意しなければならない。

 魔法が駄目だった代わりに、力の制御が出来るようになったので、普通の武器も使えるはずだ。

 

 俺もライラやシラキリの様に剣を振り回せる…………何て思ったりしたが、シスターが刃物を持つのは駄目だろうと結論に至った。

 

 だがメイスは少しリーチが短いので、何か良い物がないかとドーガンさんに相談してみた。

 

 出来ればなるべく安いもので。

 

「なら棒とかどうだ。少し面白いギミックがあるのを作ったんだが、中々売れなくてな」

「棒ですか?」

 

 そう言ってドーガンさんが見せてくれたのは、一メートル位の少し太い棒だった。

 

「こいつは伸ばすと二メートル程になり、分割する事も出来るんだが、素材の関係で魔法の補助は出来ないし、かなり重くなっちまったんだ」

 

 普通は魔法の通しを良くしたりする素材を使って武器を作るのが普通なのだが、この棒はそう言った素材を使う事が出来なかった。

 

 その癖物凄く重く、女性は勿論男性も使い手が現れなかった。

 

 重いだけあり耐久度はピカ一だが、こんな棒を使うならメイスで良いのでは? となるのが普通の思考だ。

 

「このまま有っても邪魔だし、定価十万の所を一万ダリアにしてやろう。どうする?」

「買わせていただきます」

「毎度。そうそう欠ける事は無いと思うが、何かあったら持ってこい」

 

 こうして俺も新たな武器を手に入れる事が出来た。

 

 武器:良い感じの棒

 防具:モフモフグローブと神官服

 

 ライラやシラキリと比べるとかなり見劣りするが、嬉しいものである。

 

 棒の長さは通常時で一メートル程なので、隠し持つことも一応できる。

 

 とは言ったものの、下手な固定方法では棒の重さに耐えられないので、当面の間は背中へ背負う事にした。

 

 これで本当に準備が整ったので、四人でひな鳥の巣に寄ってから冒険者ギルドへと向かった。

 

 

 

 

 

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「お待ちしておりました。既に両パーティーにはサレン様からの依頼の説明をしてあります。会議室にて待機して頂いてますので、此方へどうぞ」

 

 真面目モードのマチルダさんに出迎えて貰い、会議室の一室に入ると、舎弟である計七人が待っていた。

 

「皆さんお久しぶりです。今回は私からの依頼を受けて頂きありがとうございます」

「いえ! サレンさんには助けて頂いたのは此方ですので!」

「僕の方もフィリアを助けて貰ってますからね。それに、雪辱戦になりますからね。頑張らせて貰います」

 

 マイケルとオーレンはどちらも、やる気に満ちた表情で応えてくれた。

 

 空いてる席に四人で座り、マチルダさんは見守るため、壁端にある椅子へと座った。

 

「ギルドから話を聞いていると思いますが、軽く依頼について話させて頂きます」

 

 言葉を切り、全員をゆっくりと見渡す。

 

「依頼内容は、墓場の掟で起きた異変の調査並びに解決の補助となります。依頼金は契約により無しとなりますが、ダンジョンで手に入れた魔石は各パーティーで売って頂いて構いません。また、準備金として渡した金額は返金不要です」

 

 ネグロさんから貰った準備金は、二つのパーティーに分配した。

 

 まだ新人のマイケル達に物資を用意できる金は無いだろうし、前回下手を打ったオーレン達も余裕があるとは思えない。

 

 追加で恩を着せるわけではないが、脆い盾では困る。

 

「出来れば五日以内に解決したいと思いますが、伸びる場合は相談したいと思います」

 

 特に意見や反論は無く、全員頷いて賛成を示してくれた。

 

「ダンジョンでは戦闘を担当するパーティーと、調査をするパーティーに分ける予定ですが、何か意見はありますか?」

「俺達のパーティーは戦闘組で良いでしょうか? まだ調査とかの依頼は受けたことが無いので、役に立たないと思います」 

 

 手を挙げたマイケルは申し訳なさそうに言った。

 

「でしたら僕とフィリアが調査に回り、スフィーリアは戦闘組ってとこかな?」

 

 双竜ノ乱は攻撃に特化しているが、神官が居ないので回復はポーション頼りとなっている。

 なので神官のスフィーリアが入れば、多少バランスが良くなるだろう。

 

「私は戦えないので調査組となります。三人は如何しますか?」

 

 ライラ、シラキリ、アーサー。

 

 誰がどちらに入っても問題ない。

 

 戦力としては一級品であり、視野の広さも申し分ない。

 

「シラキリよ。お前は戦闘組に入れ。他のパーティーと一緒に戦うのは良い経験になるからな」

「分かりました」

 

 ライラの命令に、シラキリは反論せずに応じた。

 

 たかが三日で、元気良く「はい!」と言っていたシラキリは消えてしまった。

  

 たまに素で「はい!」と出る事もあるが、その後に少し顔を赤らめる。

 

 情緒もちゃんと成長しているみたいで、お兄さんは嬉しいよ。

 

 男子、三日会わざれば刮目して見よと諺があるが、女子にも当て嵌まるらしい。

 

「我とアーサーは調査に回ろう。そうすれば人数的にも丁度良かろう」

 

 そんなわけで戦闘組が六人。調査組が五人に分かれた。

 

「それではこれから墓場の掟へと向かいますが、準備は宜しいでしょうか?」

 

 全員の意思を確認し、とうとう出発となる。

 

「馬車の方はギルドで用意してありますので、西ギルドからお乗りください。今回の依頼分の転移門の使用は無料となっていますので、どうぞお気を付けて」

 

 最後にマチルダさんが締め括り、東冒険者ギルドを後にした。 

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