おじさん、ファンタジーはもうこりごりなんだけど 作:ピンク髪大好きニキ
別サイトでは投稿してたけどハーメルンはこれが初めてなので初投稿です
あらすじ見て分かると思いますが、序盤はマジでブルアカ要素薄いです。 2話以降は多分ブルアカ味出てくるんで気になったら読み続けてください。 途中で切っても私は許しますがトミーガンは許しません
1話「天丼は良くないな、と思うおじさん」
「念天草の目標数は確保、と。 後は魔素を多量に含んだ薬草にカラミダケと……」
草木生い茂る山奥、世間では不帰の森と呼ばれる──『魔素の濃さと魔物の脅威が著しく高く、人が生息するには絶対に適さない』謂わば生存不可域がある。
そんな森の奥深くで、俺は何の事やらと言うように鼻歌を混ぜつつ、一つまた一つと植物採集に勤しんでいた。
「これで一通りの採取は済んだかな……よっこいしょ」
座ったりしゃがみこんだりする時に「よっこいしょ」なんておじさん臭いな、等と内心苦笑しつつも自分自身がその年齢に近づいてしまった……その事実に目を背けたくなってしまう。
「……思えば、あれからもう10年かぁ」
事の発端は、新作のゲームを買いに行こうと滅多に乗らない電車に乗った時だった。 目的地まであと少しと言うところで、動き続けている電車内に巨大な魔方陣が現れ……次に気が付いた時には、大広間のような場所に他の利用者と寝転がっていた。
まさかの異世界召喚。 それはもう何年も色んな小説投稿サイトで擦り続けて来ただろう……ッ! なんて突っ込みは誰にも出来ず、あれよあれよという間に「儂らじゃ魔王倒せないから倒して♡(意訳)」等と言われて魔王討伐へと赴くことになってしまった。
不幸中の幸い、いや巻き込まれた時点で不幸以外の何物でもないのだけれど、勇者は俺じゃなかったし勇者パーティーにいそうな主要なスキルも持っていなかった俺達は、勇者が魔王を倒すまで自由にさせてもらうことになった。
城下町で店を開くもの、犯罪を犯して奴隷になるもの、はたまた冒険者となって世界中を旅するもの……皆それぞれの道を進む中、俺も自分なりにしたいことのために冒険者となった。
「勇者パーティー、とは言わないけど俺もそれなりに使えるスキルが多くて助かったなぁ」
ファンタジー定番のアイテムボックスやら翻訳スキルやら、後は鍛冶に錬金に調合に、身体に影響するスキルやら魔法の数々。 最前線に立つには心もとないが、自分一人の身を守る分には何ら問題ない。まあ旅の途中で出会った人々やら潜ったダンジョンやらで一部凶悪なスキルになったのだが……割愛と言うことで。
「勇者パーティーには早く魔王を倒してほしいと思う反面、もう今更感があるというね」
あの集団召喚から10年も経っているのだ、今更日本に戻ったところで待ち受けているのはマスコミやら検疫やら……間違いなく動物園のパンダより酷いことになるのは火を見るよりも明らかである。
ならこのまま異世界に骨を……と最近は思い始めている。 こうなるなら嫁さんの一人や二人見つければよかったかなぁ……
「採取は終わったし、これから街に行って出会いでも……うん?」
出会いと言う娼館通いでもしようかと思ったその瞬間、魔力が不自然に揺らぐのを感じて咄嗟に『キューブ』を展開する。
10秒、30秒と周囲を警戒してみたが、魔物の襲撃などではなかったらしい。
「となると他に思いつく可能性は……あぁ、アレか」
【集眼】で中距離を見渡していると、そこには不自然に罅割れた空間が見つけられた。
「境界か……成る程ね」
『境界』とは、何処か遠くの空間と意図せず繋がってしまう自然現象の一つである。 大概が魔界やら天界と言った人が足を踏み入れることがない別空間に繋がるのだが、まあ大抵繋がった空間から魔物やら魔族やらが出てきてしまうのだ。
これがクッソ厄介で、出てきた魔族やらは近くの町や国をゲリラ的に襲撃して少なくない被害を与えてくる。 高位冒険者や巻き込まれた召喚組は半ば強制的にこの境界を破壊することをギルドや国から……あぁ、考えてる途中なのに面倒になって来た。
「でも俺がここに行くってのはギルド経由でバレてるからなぁ、放置と言う選択肢は選べない、と」
幾ら面倒とはいえ、見ず知らずの誰かが死ぬなんて展開は俺にとっても見たくないし、さっさとぶっ壊して取っ払うことにしよう。
「今回は境界から近くにコアがあるように……転移できるといっても魔力消費がデカすぎる」
今回は短期決戦、コアを素早く砕いて境界からさっさと退散することにしよう。 そう決めた俺はキューブを展開したまま境界内部へと足を踏み入れた。
この境界を潜る瞬間がなぁ、水の膜みたいなのを通り抜ける感じで毎回慣れない。 入口から出口を繋ぐ数十メートルの空間も、まるで宇宙空間にいるみたいで落ち着かない。
「うへぇ……我慢我慢。 これ終わったら初の娼館デビューしてやるんだ俺は」
少しだけ、いやかなりがっつり邪な決意を胸に、俺は勢いよく出口へと体を潜り込ませる。 そしてその勢いのままキューブを前方に出し魔法を発動させようとして……
「……え?」
目の前に広がった景色に、思わず素っ頓狂な声が出てしまった。
「なにここ……ナニ? 日本か?」
そこにあったのは現代日本、いや地球にあるような近代的な建物の数々。 出てきた場所は路地裏のようだが、それでも建築技術が異世界のそれとは圧倒的に違う。
地球に帰って来たか? いやでも何かがおかしい。
「魔素……いや近いけど違うな。 何か違うものを感じる」
魔素のようで魔素じゃない、でも魔法の発動に利用できる感じの何かを感じる。 魔法の無かった地球にはないであろう現象のはずだ。 いや日本にいたときは魔法なんて使えなかったからあってるか微妙だけども。
「不確定要素が多すぎる。 これは一旦もどっ……」
戻ろうと決めて後ろを振り返ると、そこには既に境界の出口がなかった。
あれ? 俺まだ何もしてないぞ? 何で無くなってるの?
「ッ! 座標指定、【イブランシア】」
何かあった時のために設定していた転移先の一つ、俺が召喚された国の王都へと座標を合わせようとしたが何も反応がない。
一つ、また一つと設定していた座標に合わせようとするが……その全てが反応なし。 計128にも及ぶ転移先全てがブラックアウトしていた。
これが示す答えは一つ。
「…………マジで?」
……もしかしなくても、また別の世界?
────────
「はえー、すっごい……」
異世界じゃあり得ない高さのビル群、日本でもよく見たビル群。
そこはいい、そこまではいい。
「犬が二足歩行で歩いてる……」
そう、柴犬っぽいのとかパグっぽいのとか、何ならロボットなんかも普通に歩いてる。
「そこかしこの女の子が普通に銃持って歩いてる、何だここ民度GTAか?」
それかロアナプラか。 と言うか彼女達の頭上にあるのは輪っか? 種族的に天使なのか?
「……いやでも、『眼』には天使とは出ないんだよなぁ」
異世界で沢山お世話になった眼、【神秘の眼】スキルが昇華した【叡智の眼】には大抵の情報が写る。 流石にスリーサイズが見えた時は申し訳なく思ったけど。
眼を信じるならば、彼女達は天使ではなく何かほかの種族と言うことになるだろう。
「はぁ……娼館デビューは立ち消えか」
我ながら下種なことを、と苦笑しつつ今後の立ち回りを考えることにする。
言語は問題ないだろう。 【翻訳】が機能しているから言葉は通じるし見た感じ日本語だ。
通貨は持っていないが、アイテムボックスの中には換金できそうな物が多数ある。
後は戸籍か? ……最悪スキルを多用してハッキングするしかないか。
「換金場所は何処にあるんだ……? それに宿泊施設は? なんか登録したての新人冒険者みたいな気持ちになってくるな」
久しく感じていなかった感覚に心が躍る。 どうやら三十路近くなっても少年心のようなものは失っていなかったらしい。
新しい場所、新しい出会い、そう言った事を繰り返して人は成長していく。
「……ま、好きなことして生きていくか。 どうせ戻れるかもわからないんだって考えてたんだし」
拝啓、日本にいるであろう父親に母親、それと生意気だった妹よ。
元気にしているでしょうか? 俺は元気にやってます。
10年も音信不通で悲しんで……は、いないかもしれないけど。 俺は異世界で好き勝手やらせてもらってます。
「ちょっと【集眼】で探してみるか。 手元に金がないと心許ないし」
そう言って早足で路地裏へと赴きスキルを発動する。 今度は中距離ではなく広範囲索敵状態にして秒間30戸の速さで建物を虱潰しに漁っていく。
目的の建物らしき場所は見つけた。 どうやらこの世界でも治安の悪い、いや中でも特に治安の悪い場所はあるらしい。 明らかにガラの悪い女子生徒ばかりである。
それと……
「……うーん、正直自分から首を突っ込むべきではないんだろうけど」
──不良生徒に包囲されつつある、複数人の女子生徒。
明らかに厄介事だろう。 戸籍のない不審者な俺が介入して大丈夫だろうか?
「困ってますといった様子を見て見ぬふりは、あんましたくないんだよなぁ」
ま、悩むのは後でいいかぁ。
基本後書きに書くことなんてないですけど、設定で気になるところがあるって言われたら一言メモみたいに書き足すかも
なろうとカクヨム履修ニキなら分かるでしょ、お前らも同類だろ(暴言)
説明が必要そうなのは本文内で説明されるとは思うんで安心してください。