おじさん、ファンタジーはもうこりごりなんだけど   作:ピンク髪大好きニキ

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更新遅れてすまんの……まさかセミナー副会長の方があそこまで読まれるとは思わなんだ

アレの影響もあって更新結構ばらつきあるかも、今のうちにストックは貯めるつもりだけど、盆休み終わったら執筆時間なんて限られてくるからね


9話「年頃の女の子って分からないな、と思うおじさん」

 

 

目の前の不良生徒に接近し、屈んだ状態からレミニセンスを振り上げる。 てっきり撃たれるとばかり思っていた生徒は顎を銃身で殴られ、その勢いのまま後方へと飛ばされる。

 

 

「──ふっ!!」

 

 

その隙を見計らっていたホシノが、俺の肩を足場にして飛翔。 今しがた飛んできた不良生徒で隊列の乱れた丁度真ん中地点に降り立ち、盾を背中に背負ったまま連続射撃を繰り出す。 俺はホシノの背後にいる生徒を優先的に撃ち続け、時に盾を用いた跳弾で確実に不良生徒を気絶させていく。

 

 

「──ッ!」

 

「………」

 

 

銃を構えたまま俺に振り返って来るホシノ。 そしてまだ銃を構えたままの俺。

 

お互い銃を下ろすことなく、躊躇うことなく引き金に力を籠め……互いの背後にいた不良生徒を撃ちぬいた。

 

 

「ふぅ、お疲れさま」

 

「いやお疲れ様じゃないんだが??? 今少し頬に掠ったんだが???」

 

「終わり良ければ総て良し、ってねぇ」

 

「やらかした側に一番言われたくない言葉だ……」

 

 

……ちょっと問題はあったが、不良生徒との戦闘は終わった。 身体強化切ってたら怪我してたぞオイ。

 

 

”お疲れ様。 これで全部かな?”

 

「残りはさっさと撤退していったからなぁ、全部なんじゃない?」

 

「生き残りは縛って空き教室に放り投げておこう」

 

「勝手に殺すな、みんな生きてるからな」

 

 

戦闘が終わったことで気が緩む先生たち。 俺も少しだけ気を緩めつつ──不良生徒が捨てていった銃を手に取り、片目を瞑る。

 

……断言するには少ない、か。

 

 

「それで?」

 

”え? 何かな?”

 

「追撃はするのか、って思って」

 

「つ、追撃ぃ?」

 

「そそ、俺的にはした方がいいんじゃないかって思うけど」

 

 

ユメが言ってた弾薬が心許ないってメール、恐らく何度もヘルメット団に襲撃されているのだろう。 ……何で校舎を? とは思うがその理由を見つけるためにも本拠地を直接叩いた方が何かと都合がいいはずだ。

 

そんなことを考えつつ顔を窺っていくが……シロコは準備万端、セリカはやや不安気、ノノミは静観……ホシノは、良い顔をしている。

 

 

「先に言われちゃったかぁ。 おじさんも追撃したほうがいいって思ってたんだよね」

 

「でもホシノ先輩……」

 

「何も考え無しに言ってるわけじゃないよ? 今は弾薬も十分にあるし、ユメ先輩が校舎にいる。 カナタさんもいるなんてこれ以上ない好条件、動かない理由はない」

 

「ん、それに向こうは追撃されるなんて思ってもないはず」

 

「背後から更に叩いて、一気に殲滅しちゃおうって事ですね♧」

 

 

各々の意見を聞いたセリカも「まあそう言うことなら……」と言った表情になる。 なら決まりだ、このままぶっ叩いて仕舞いにするとしよう。

 

 

 

────────

 

 

 

「R.I.P……南無……」

 

「だから勝手に殺すなって」

 

”あ、圧倒的だったね”

 

「余裕の殲滅力って奴ですよ、馬力が違うんです」

 

 

ヘルメット団を殲滅した。 一切描写されることなく消え去った彼女達には酷なことを言うようだが、ぶっちゃけ今更ただのヘルメット団如きに苦戦する理由が見当たらないのだ。

 

俺が来なくても、ホシノなら単身で終わらせられるだろうけど……後進の育成の為かな?

 

そんなことを考えていた俺のところに、ホシノと先生が近づいてくる。

 

 

”それで、確認したいことって何かな?”

 

「妙に考える時間が長かったけど、気になった事でもあった?」

 

「気になった、っちゃあ気になったけども……うーん」

 

「何よ、歯切れが悪いわね」

 

「最初に聞いときたいんだけど、今回みたいな襲撃ってこれまでに何度も?」

 

『は、はい。 ここ最近は頻繁に……』

 

 

頻繫に、か。 ヘルメット団の数だって決して少なくはなかった。 だからこそ

 

 

「変、だよなぁ」

 

「変って?」

 

「固執しすぎじゃない? アビドスに。 言い方は悪いけどそこまでの価値はないだろ?」

 

「そんな言い方……ッ!」

 

「まあ待て、最後まで聞け。 まず最初にハッキリさせときたいんだけど……こいつらの目的って、何だと思う?」

 

 

俺からの質問に「何を分かり切ったことを」みたいな顔で見てくるセリカだが、ホシノは少し俯いた後に顔を上げる。

 

 

「……学校の占拠、って答えじゃ納得いかないってことだね」

 

「ああ」

 

「だったら、何で何度も襲撃してきたのよ!」

 

「お前らってさ、夜はどうしてる?」

 

「え? それは……家に帰ってるけど」

 

「交代交代で学校に泊ってるわけじゃないんだな?」

 

「それは当たり前…………あ」

 

 

そこまで言ってセリカも違和感に気付いたのだろう。 そう、占拠が目的ならあり得ないのだ。

 

 

何で誰もいない夜に占拠しに来ないんだ? 占拠が目的ならそれで済む話だ」

 

「確かに、おかしな話ですね」

 

「それともう一つ……これだな」

 

 

俺はそう言って、持っていた銃を掲げる。 何てことない普通のアサルトライフルに、ホシノは首をかしげる。

 

 

「……それ、妙に綺麗だね」

 

”あ、確かに。 もっと使い古されてるんだろうとばかり思ってたよ”

 

「そうなんだよなぁ。 しかもヘルメット団一人一人、綺麗な銃を当たり前のように持ってるって変だろ。 そんな資金力があるならもっと他の場所に拠点を持ってる方が実入りがいいはずだ」

 

「えっと……どういうこと?」

 

「つまりは、奴さんは学校の占拠が目的じゃないってことだな。 明らかに第三者からの支援を貰ってる」

 

「そんな事って……」

 

 

信じられない、と言った顔でセリカが黙り込む。 ノノミもあまり顔には出していないが、少なくない衝撃を受けているらしい。

 

……あまり言いたくないけど、言っておかないといけないんだろうなぁ。

 

 

「ところでさ、ホシノ」

 

「何かな、カナタさん」

 

カイザーって名前に、聞き覚えは?

 

「────ッ!?」

 

 

あるだろうなぁ、そりゃアビドスが借金しているところがカイザー系列なんだ。

 

 

「カイザーって……何で今ここで出てくるのよ」

 

「銃を【視た】。 ヘルメット団の前にブラックマーケット、その前がカイザーコーポレーションって風に所有者が変わってる」

 

「カイザーからの……」

 

「間に一つ挟んでバレないようにしてるな、仮にヘルメット団の背後にいるのがカイザーなら……」

 

「意味わかんない。 何で、何でカイザーなのよ!? 私達はカイザーに……ッ!」

 

 

今おかしなところで言葉を切ったな? 何か理由が……あ、もしかして。

 

 

「先生に話してないのか? アビドスの現状の事」

 

「あっ、えっ!?」

 

「話してないかなぁ。 というか運ばれてきたばかりだし」

 

「……まさかとは思うけど『アビドスで遭難なんてしないっしょ!』とか軽いノリで出発したら余裕で遭難して死にかけたな?」

 

”ソ、ソンナコトナイヨ”

 

「視たぞ、明らかにバレバレなんだが????」

 

 

コイツ……と言いたいところだがアビドスならまあ仕方なし。 地図の更新もされてるのか怪しいし範囲が広すぎるから初見じゃ目的地にたどり着くなんて至難の業だろう。

 

 

「まああれもこれも戻ってからにすんべ。 座標指定:【アビドス廃校対策委員会】」

 

「うえっ!? これ何!?」

 

「時短テクニックです」

 

 

多分これがゲームなら序盤から存在してはいけないPCだろう、どこの誰が転移に読心に空間倉庫に魔法にと何でもできるバグキャラを入れようと思うのか。

 

一瞬光った後には、俺たちは見慣れた教室へと戻って来ていた。 のんびりお茶を楽しんでいたらしいユメと、きちんと光景を見て驚いたらしいアヤネがこちらに気付いている。

 

 

「あ、カナタさんおかえり! ホシノちゃんたちもお疲れ様!!」

 

「ありがとうございます、ユメ先輩。 ……まさか、カナタさんと一緒に来るとは思ってなかったですけど」

 

「ホシノちゃんが連絡してくれないからだよ! もっと私達に頼ってくれてもいいのに」

 

「いえ……今でさえユメ先輩に大部分を頼りきりですし」

 

「気にしなくていいの、私はホシノちゃんたちが笑顔でいられるのを見ていたいだけだから」

 

「……ありがとう、ございます」

 

 

会話だけ見ればいい話、で済んだんだろうな。

 

 

「それじゃ借金の話でもしようか」

 

「ッ、借金って……学校の問題は」

 

「私達だけ、で済む問題じゃないよ。 セリカちゃんの言いたいことも分かるけど……卒業したユメ先輩も、何ならカナタさんだってセリカちゃんが知らないだけで助けてもらってるんだから。 先生が入ってもおかしくないでしょ?」

 

”そうだね。 それにここまでの話を聞いて私もはいそうですか、で済ませたくはないよ”

 

「だからって……私は」

 

「セリカッ!!!!!」

 

「ひゃいっ!!???」

 

 

突然大声を出した俺にビクンと跳ねるセリカ。 先生たちも何事かとこちらを見てくるが、別に怒ろうとしてるわけじゃない。

 

 

「そのままだ……そのまま、6秒数えろ」

 

「え、あ、え……い、いち……に……」

 

「アンガーマネジメントってのがあってな、細かいとこは省くけど、人はカッとなった時感情をコントロールするのに6秒くらいかかるらしい」

 

「さん……よん」

 

「キレたいのも分かる、これまで碌な事がなかったのも……それこそお前より知ってる」

 

「カナタくん……」

 

「でもまずは短絡的な考えをしちゃいけない。 今キレても問題の解決にはならないし、かえって気まずさを与えるだけだ」

 

「ご……ろく」

 

「まぁ、6秒数えて怒りが収まったんなら」

 

「……数え終わったわよ」

 

「よし、先生を殴れ」

 

”ええっ!!???”

 

「えっそういう話だったっけ?」

 

「いや生徒の悩みのために向かったはいいが遭難するわ借金問題にしゃしゃり出ようとするとか何かムカつくだろ、殴ろうぜ」

 

”カナタってどっちの味方なのかなぁ!?”

 

 

本気で困った顔をする先生に、思わず力が抜けたように肩を落とすセリカ。 そうそう、それでいいんだよ。 怒る気も失せる方がよっぽどいい。

 

 

「まあ借金だの他にも出てきた疑問だのあるけど、もう今から話しましょうなんて雰囲気じゃないだろ? 送ってやるから話は明日にしよう」

 

”……うん、そうだね。 私も急ぎすぎたよ”

 

「それなら今日はもう解散にしようか。 ユメ先輩、久しぶりに泊まります?」

 

「うん、お言葉に甘えちゃおうかな」

 

 

各々雑談を混ぜつつ、教室から去っていく。 そんな後ろ姿を先生は見守り、俺はと言うと……

 

 

(……あの時は直感が止めたから直接的な事はしなかったけど、今回ばかりはそうもいかないよな)

 

 

若人から青春を取り上げるなんて、許されるわけないもんな。 背後がカイザーでも、はたまたもっと他の何かだったとしても……やれることをやらせてもらおうか。

 

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