おじさん、ファンタジーはもうこりごりなんだけど 作:ピンク髪大好きニキ
日記の部分でアルたちの話を最初に出して最後にユメ先輩拾ったって話でしたが、アレ逆算するとアルたちまだ高校生じゃないんですよね()
クッソガバりましたがそういうもんだと流して、いやごめんて
それと昨日の感想で「明日も三人称の他生徒視点だから(意訳)」って書いてましたが、よく考えたら昨日の更新がそれだったんですよ、なのに明日もこんな感じだぜ! って完全な嘘になってしまうんですよね
なので必死こいて書きました() 何とか間に合いました
4.5話って表記されてるのはそういう理由です。 なおそんなポカやらかさなかった場合今日の更新からアビドス編でした、間に合ってマジでよかった
ミレニアムサイエンススクールの明星ヒマリ、そしてセミナーの会長調月リオの双方にとって物部カナタという人物は──『未知を内包した興味深い人物』と『扱いさえ間違えなければ利を齎す存在』という印象であった。
切っ掛けはC&Cが介入したオークション。 その映像を確認したリオはすぐさまヒマリの所へと赴いた。 何時ものように皮肉を言い始めるヒマリを無視し、その顔面にタブレットを投げつける。
「痛ッ!!? リオ、貴女は人の話を聞かないし善意を受け取らないし自分が正しいと思えばどのような方法を用いても目的を達成しようとする徹底的な合理主義者とは思っていましたがまさかこのような直接的な方法をとってくるとはこの超天才にてミレニアムにおいて全知の名を冠し流れる清流のようで可憐さを内包した誰もが羨む」
「申し訳ないけれど今日は貴女の話を逐一全部聞くつもりはないわ。 先ずは黙ってこれを見て頂戴」
「何ですか何なんですか今日はやけに私に対して当たりが強いですね。 それだから友達がいないのですよ」
「………………別に、不確定要素で揺らぐ存在なら最初からいなくても困らないわ」
嘘である。 内心滅茶苦茶ダメージを負っていた。
「……これ、加工ではありませんよね?」
「私がそんなくだらないことをするとでも?」
「いえ、確認のために聞いただけです。 ……成る程、これは」
「映像はオークションが始まる前から全て確認したわ。 その上で会場に何かしらの細工を行っている様子は皆無、見ての通り何もないはずの場所からあり得ないほどの氷を生成した」
「……実に興味深いですね。 この方は?」
「候補は幾つか。 その中でも一番可能性が高いのは……」
リオはそこで言葉を区切り、とあるサイトを表示する。 そこには最近D.U近辺で口コミが上がっていた食事処のホームページであった。
「『木漏れ日亭』ですか。 何とも在り来たりな名前ですね」
「店主は男性、少し調べてみたけれど……この経歴、巧妙に改竄されているわ」
「経歴不明の謎の人物、ですか」
「ヘイローが無い辺りキヴォトスの外から来たのは間違いない」
「重要なのはあの現象を引き起こした手段、と」
「ええ、そうよ。 ……あの現象を利用できれば」
「リオ、貴女の言いたいことは分かりました」
そこでヒマリは溜息を吐き、リオを見据える。
「言いたいことは分かりましたが、理解は出来そうにありませんね」
「どうしてかしら? 手札は多いに越したことはないわ」
「まずは相手との信頼関係の構築でしょう? 何故貴女はそう短絡的に物事を考えるのですか」
「短絡的ではないわ。 行動していくにつれて自然と構築されていくわ」
話は平行線のままだ。 さてどうするかとヒマリは考えていたが……どの道、実際に会ってみなければ人となりは分からない。 故にヒマリはカナタの端末へ要件を記入したメールを送り、様子を見てみることにした。
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結論から言うと、カナタはヒマリにとって好印象の人物であったと言えるだろう。
こちらの意図を汲んだように魔法と言う現象や異世界の物品を見せられ、ヒマリは興奮を抑えられなかった。 ……反対に、リオの機嫌はみるみる悪くなっていったのだが。
そんな変化に気付いたのか、不意にカナタが口を開いた。
「時にエルフちゃん」
「ヒマリです、明星ヒマリ……このくだり、何回しましたか?」
「おじさんって生き物は人の名前を覚えるのが苦手なんだよ」
「まったく……それで、何のお話でしょうか?」
「そうそう、キミの背後にいる子の事だけどさ」
ヒマリは表情には出さなかったものの、内心驚きを隠せなかった。 何故なら今この場にいるのはヒマリとカナタの二人のみ……だというのに、カナタはこの場にいないリオの事を人物名までは出さなかったが言い当てたのである。
これも彼の持っているというスキルの効果なのだろうか? そんなことをヒマリが考えていると……
「その子めっちゃ人付き合い苦手じゃない?」
「分かります????? 本当にリオと言ったら」
(名前を出すなんて……)
「何と言うか、雰囲気で分かる。 警戒心が強いのは感心するけど、交流の第一歩としてはあんまり褒められたもんじゃないよね。 せめて顔くらいは見せたほうがいいと思うけど」
「ほらリオ、言われてますよ? 素直に顔合わせくらいはしてもいいのではないですか? ただでさえ貴女は一方的にカナタさんの手札を見せてもらってるだけで自分は何も提示しないのですから」
『……けれど、もしものことがあった場合を考えたらこれが一番理にかなっているわ』
「分からんでもないけどさ、じゃあキミは『ケーキを予約したいです、訳あって名前も住所も電話番号も何時に受け取りに行くかも言えませんが良いですか』って話が通ると思う?」
『何故例えがそれなのかしら。 絶妙に伝わりにくいのだけれど』
「まあそこはいいのよ。 ……意図は理解したから、ここからは腹割って話さない?」
『……ええ、分かったわ』
リオの目的は分かっている、言外にそう言われたような気がするリオは溜息を吐きつつモニター越しにカナタと話を続けていくのであった。
……尚、この後自分の人付き合いに対しての指摘を何個も挙げられ続けメンタル的にボロボロになるのだが、ここは本人の名誉のために明記しない方がいいだろう。
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梔子ユメにとってカナタと言う人物は──『命の恩人で、王子様』
小鳥遊ホシノにとってのカナタと言う人物は──『子供のようで大人な、何処か不思議な人物』……そう言う認識だった。
あの日、些細なことで生じた亀裂。 ホシノが気付いた時にはもう既に後戻りできない絶望的な状態──そうなる、はずだったそれは、カナタの行動のおかげで最悪の事態になることなく解決した。
『……ホシノちゃん。 本当にごめんね?』
連日探して見つからなかった先輩。 その先輩が生きていたと知った時、ホシノは溢れる涙を止められないでいた。 どちらからともなく謝り、自らの行いを反省し、二度とこのようなことが起こらないようにと夜通し話し続けた。
その過程で何度も聞いたのだ、ユメが執拗に言い続けた「カナタ君」という名前を。
何だ、お前の彼か? そう茶化して言ったはずの言葉にユメが顔を真っ赤にしたのを見て──「マジかよお前」と叫びそうになったのは一度だけではない。 いやマジかよお前なんて言い方ではなかったが、意味合いは同じであった。
恋愛に疎いユメ先輩が??? 偶然助けてもらった男性に恋愛感情???? ホシノの情緒はもうそれはすんごいことになっていた。 要は野次馬根性が出てしまっていた。
(ユメ先輩には本当に申し訳ないけど……どういう人物か見極めないわけにはいかない)
ユメ先輩からはある程度の話を聞いていた。 本人曰く三十路近い、キヴォトスの外から来た、D.Uで店を開いている……等々。
正直、この段階ではホシノはカナタを信じられずにいた。 理由はアビドスの現状を考えれば当たり前と言える。 ……アビドスをあそこまで衰退させた理由の何割が、それなのかと言われれば何とも言えないが。
「……ここ、ですか」
『木漏れ日亭』とシンプルに書かれたその場所に、ホシノは気づいたら辿り着いていた。 中からは複数の人物の談笑する声が漏れ出ており、それなりに繁盛している様子であった。
人の活気、皆の笑顔。 それだけで少なからずあくどい商売をしているわけではない。 少しだけほんわかしたホシノだったが……店内を覗いた瞬間、その表情は凍り付いた。
「えへへ……カナタくん、また来ちゃった」
「おー、すっかり元気になったみたいだな。 よかったよかった」
「カナタくんの看病のおかげだよ、本当にありがとうね」
「別に特別なことしたわけじゃないからそんなにありがたがらなくてもいいのに……」
「私が気にするんだよっ! 何か頼み事とかあったら言ってね? 私が何でもしてあげるから」
「年頃の女の子がそう言う言い方をしちゃいけません、いやマジで」
(────いや、何でここにいるんですかユメ先輩!?)
ユメ先輩のためにカナタと言う人物を見極めに行ったらユメ先輩がそこにいた。 言ってて意味が分からなくなってしまうが本当の出来事である。
ホシノは即座に店内へと入り、甘い声でカナタであろう男子と距離の近かったユメ先輩の腕を引っ張っていた。
「ユメ先輩! 何いきなり距離を縮めてるんですか!」
「ホシノちゃん? ホシノちゃんもここに来たんだ」
「来ましたけど……いや、本当に何でここにいるんですか」
「何でって、カナタくんにお礼を言いに来たんだよ。 ホシノちゃんもそうでしょ?」
「それは、まぁ……」
お礼を言いに来た訳ではない。 いやそれも理由に入ってはいるが、一番の理由はカナタの見極めである。 だがこうして本人を目の前にしている以上、きちんと礼を言わなければ筋が通らないであろう。
「あの……」
「ああ、ごめん。 ユメから名前は一杯聞かされていたけどちゃんと挨拶してなかったな。 物部カナタだ……毎回言ってるけど、こう見えて三十路近いからそこんとこよろしくな」
「え、あ、はい……小鳥遊ホシノです。 この度はユメ先輩がお世話に……」
「言うほど世話してないぞ? アレはどちらかというとホシノの存在がデカいしな」
「……私、が?」
何かの間違いかと思い、思わず聞き返してしまう。 遭難したのはユメ先輩で、それを助けたのは紛れもないカナタのはずだ。 それなのに何故自分の名前が……そう思っていると、カナタが続きを言う。
「ずっと謝ってた。 ずっと呟いてた。 ……『ホシノちゃんごめん』『まだホシノちゃんといたい』『また二人でお宝を探したい』
……ってな」
「────、」
「……愛されてるな、いい先輩に恵まれた」
「……そう、ですね」
「────私には、勿体ないくらいです」
カナタの浮かべていた笑顔に、釣られて笑顔が零れるホシノ。
本当に、自分は先輩に恵まれたんだなと思う。 この独特な雰囲気にユメ先輩は絆されたのだろう、現に自分も絆されている。
でもコロッと行き過ぎるのはどうかと思う。 ここは私がきちんと見張っておかなければいけない、そう心に誓ったホシノであった。
……尚、その後も定期的に行われた交流でホシノ自身もカナタに思いが傾いてしまったが、当のカナタがクソヘタレすぎて関係が進展することはなかったというのは言うまでもない。
先日の後書きで土日は更新しねぇって書いてましたが、作者盆休みに入るんで今週の土日は更新することになると思います