おじさん、ファンタジーはもうこりごりなんだけど   作:ピンク髪大好きニキ

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昨日も書きましたが盆休みに入ったんで土日も更新します

今日からアビドスです、言わなくても分かるとは思いますが存在自体が理不尽の塊みたいなやつを作ってしまったせいでメインストーリーの半分はお亡くなりになります


マジでごめん、コイツ設定盛りすぎたわ


Abydos Dreamer「ユメは途切れず、ホシは輝く」
5話「マジで話題に尽きないな、と思うおじさん」


 

 

 

「店長さーん! この料理ってすっごく美味しいですよね! どんな高級食材使ってるんですか?」

 

「ははは、別に高級食材なんて使ってないよ。 そこら辺で買える普通の野菜だよ」

 

「えーっ? でもこんなに美味しいのに……まさか、店長さんの真心がこもってるとか?」

 

「そうだね、真心は込めてるかな(ゴーレムが)」

 

「キャー! 店長さんったら大胆! 私達にも真心こめてくださーい!」

 

いや姦しいなオイ、おじさん最近のJKのノリについていけないんだが

 

 

かいちょーちゃん……いや連邦生徒会長が行方不明になって早数週間。 緩やかにキヴォトス全体の治安が悪くなってきていた今日この頃俺が何していたかと言うと……いつも通り店舗兼自宅にて必要のない接客で暇を潰していた。

 

連邦生徒会長の頼んだことを早速反故にしてるって? いや違うんだよ、別に俺は反故にしてるわけじゃなくて時期を見計らってるだけなんだよ。 本当は行方不明になってすぐさま行動に移そうと思ったけど、それはいい結果にならないって俺のサイドエフェクトが言ってるんだよ。 サイドエフェクトじゃなくて【直感】スキルだけども。

 

今まで直感が外れたことはない、厳密に言えば少し違うが……こういう悪いタイミングの時の直感は素直に従った方が結果的にいい方向に向かっていくってこれまでの経験で理解してる。 だから俺は待った、その時ってのがやってくるのを。

 

 

「あはは、店長ちゃんおもしろーい! その見た目でおじさんはないでしょ!」

 

「いや、俺これでも三十路近いぞ?」

 

「えっ」

 

「全盛期を維持させる為に老化が極端に遅れてるだけで、俺もう20…8? 9? だぞ?」

 

「え、その見た目で?」

 

「うんうん。 だから俺はお前らから見ればおじさんなんだよ」

 

 

店の片隅で仲良く野菜炒めを食べていた……何て言ったか、そう、便利屋68だ。 ずっとあうとろーちゃんとかでしか呼んでなかったから正式名称忘れてたわ。

 

前まで見なかった新しい子もいるし、それなりにアルも頑張っているんだろうと言いたかったが……この店で一番安い野菜炒めを4人で食べてる辺り儲けてはいないんだろうなぁ。

 

 

「ほら、これでも食え」

 

「わっ、すっごい量のお肉! ……は、いいんだけどこれ何の肉?」

 

「エルダードラゴンとランドサーペントの肉……だったはず」

 

そこを疑問形で言われると凄い怖いんだけど。 え、ドラゴン?

 

「少なくとも俺が持ってる肉は全部食用だよ。 食べるとたまにバフがかかるけど」

 

何て?

 

「多分それ喰えば永続的に筋力と敏捷が上がるぞ」

 

 

目を白黒にしていた便利屋68のみんなだったが、一口食べた瞬間奪い合うようにして肉の山が消えていく。 ふふふ、美味しかろう……向こうじゃその肉を食いたいがために貴族が大金払って依頼してくるレベルなんだからな。 まあその代わりに年に数百人は死んでるんだけど。

 

至高の食材は数多の冒険者の血で出来ている。 向こうじゃよく聞いた言葉だ。

 

 

「こ、こんなおいしいお肉初めて食べたわ……あ、ありがとう」

 

「俺からしてみればもっと肉をつけろって言いたくなるくらい細いからなお前ら。 もうちょい考えてお金を使いな?」

 

「うっ……それを言われると耳が」

 

「まあ、社長も理解はしてるんだろうけどもさ。 そこは社長なりに考えがあってのことだから」

 

「ならとやかく言わんよ。 金欠になったら何時でも言えよ?」

 

「ふふ、ありがとねカナタさん」

 

 

パンクちゃん、もといカヨコが微笑んでくる。 ああいう女の子もなぁ、食いでがあって非常によろしい。 ……いや、そんなこと考えても手を出せてない時点で俺のヘタレ度が窺えるんだけども。

 

 

「そんでさ、聞きたいことがあるんだけども」

 

「な、何でしょうか……私達で分かることなら、何でも聞いてください」

 

「最近、これまで以上に治安が悪くなってきてるっぽいんだけど……アル達は何か知らない?」

 

「あ、それなら私小耳にはさんだけどね? 何か連邦生徒会長が失踪したんじゃないかって噂が出てるよ」

 

「あぁ、そこまで広まってるのか」

 

「え、何その反応。 もしかして本当に失踪してる感じ?」

 

「してるぞ。 少なくとも失踪初日から気付いてる」

 

「初耳なんですけど!? 何で失踪したのよ!!」

 

「それは分からんけど……予め理由は分かってたっぽいんだよな。 失踪前に店に来たし」

 

 

連邦生徒会長が失踪している、噂でしかなかったそれが本当の事だと知り、店の中は俄かに騒がしくなる。 俺はそんな様子を傍目に、徐々に不良生徒が増え始めた路地に目を向けていた。

 

 

「ゲリラ……じゃ、ないよなぁ。 なーんか微妙にまとまった動きをしてるし」

 

「不良生徒がどうかしたの?」

 

「まるで示し合わせたかのように表に集まってる。 デカめの暴動でも起こすつもりか?」

 

「まあ起こるべくして起こってるようなものじゃない? 学校設備の電力が落ちたり、武器の流通も増えたってブラックマーケットでは専らのうわさだし」

 

「うーん……流石にこれ以上は見過ごせない、か?」

 

 

直感的に「そろそろええんちゃう?」って感じるし、何より店の前で騒がれると普通にウザい。 仕方がないので鎮圧の方向で動くことにしようか。

 

 

「便利屋68、美味い肉をただで喰わせてやった……何て恩着せがましいことは言わないけど」

 

「分かってるわ、不良生徒をどうにかしろって言いたいのね?」

 

「流石、話が早いね。 ある程度雑でもいい、不良生徒の数を減らしてくれれば」

 

「任せて頂戴! 美味しいご飯を食べさせてもらった分の働きはするわ!」

 

「アタシたちも行くぞ! 普段からこの店には世話になってんだ、こういう時くらい恩返しのために動こうぜ!」

 

「「おおっ!!」」

 

 

おお、思わぬところで増援が……それを狙ってやってた店じゃないけど、そう思ってくれるくらい気に入ってくれてるなんて嬉しいね。 これで店の方は心配することはなさそうだ。

 

 

「頼むぞ、俺の方はもう少しデカい方を叩いてくるから」

 

「分かった。 ……全くもって心配する必要はないと思うんだけど、気を付けて」

 

「そっちもね、あんま無理しすぎないように」

 

 

そう言って俺は店の外へと飛び出す。 すぐさま【隠密】と【浮遊】を併用して、大きめの気配がする方へと飛び立っていった。

 

この気配なーんか覚えが……あ、これお面ちゃんじゃん。 狐面少女……確か矯正局とやらに収容されたはずなんだが、脱走したのか? となると他にいた収容者も一緒に脱走しているんだろうなぁ、更に治安が悪くなりそうだ。

 

 

 

────────

 

 

 

『──先生、間もなく目的地……シャーレの部室に到着予定です』

 

”分かった。 みんな、もう少しだけ協力してね”

 

「ええ、お任せを」

 

「了解です、先生は指揮をお願いします!!」

 

 

同時刻、外郭地区にて。 キヴォトスの外からやって来た『先生』と呼ばれる人物と、各学校から集まった生徒たちによる戦闘が行われていた。

 

目的地はシャーレの部室。 連邦生徒会の本拠地から30㎞離れたその場所に、目的のものがあると言う訳でやって来たのだが……それまでの道のりが大変だった。 何せ不良生徒の暴動や違法に流通された戦車などで治安は最悪、少なくない戦闘により疲労は溜まる一方だった。

 

 

「それにしても本当にキリがない……これ、ちゃんと鎮圧可能なの!?」

 

「話が本当なら、問題はないはずなのですが……」

 

「兎に角、今はさっきの話を信じて行動するしかないでしょうね」

 

 

補給により少しだけ余裕のできた弾薬に目を向けつつ、彼女達は歩を進める。 そんな中、あまり聞きたくなかった情報を──七神リンは、伝えてきた。

 

 

『皆さん、ここでお話があります』

 

「いい話か悪い話か、聞いてもいい?」

 

『悪い話です』

 

「……聞かないって選択肢は?」

 

『ありませんね。 たった今、この騒ぎを引き起こした生徒が判明しました』

 

「その口ぶりからして、余程の大物みたいね」

 

『ええ。 その生徒の名は狐坂ワカモです』

 

「よりにもよって……!」

 

 

リンから聞いた名前によって、彼女達は騒めき立つ。 その名前は知っている、キヴォトスでも有名な不良生徒……『七囚人』と称される生徒の一人だ。

 

彼女はSRTの尽力により矯正局送りにされていたはずなのだが、どういう訳か脱走してしまったらしい。 いくら彼女達が先生の指揮のもといつもより動きがいいとはいえ、苦戦どころでは済まされないだろう。

 

 

「それで、リン代行的にはどうにかなると思ってるの?」

 

『……正直、厳しいというほかありませんね。 貴女方が弱いと言う訳ではありません、ただ単純に相手の戦力が厄介なだけです』

 

「ハッキリ言ってくれるわね……もう、こういう時にこそカナタさんの出番でしょうに!」

 

”カナタ……?”

 

 

ユウカ、ワカモ、ハスミ、チナツ、スズミ、リン……先生がこれまで聞いてきた名前にはなかったそれに、ついポロリと言葉を零す。 そんな先生のことを思ってか、補足説明のためにリンが通信してくる。

 

 

『カナタ……物部カナタさんと言うのは、先生と同じようにキヴォトスの外から来たらしい方です。 本人は三十路近いと言ってますが……』

 

「どう見たって未成年、正直リオ会長より年下にしか見えないのよね」

 

”はぁ……? それで、そのカナタって人の名前が出たのはどうして? キヴォトスの外から来たって言ってたけど”

 

 

キヴォトスの外から、その単語からして自分と同じ──銃弾一つでも危ないのではと言う印象を覚えるが、彼女達の反応からして違うようだ。

 

 

「どういう原理か分かりませんが……彼には、銃弾が効きません」

 

「効かないって言うより、身体強化で相殺してるって言ってたわね」

 

「それでいて戦闘能力もありますからね」

 

「出鱈目と言う言葉を擬人化させたらあんなふうになるんじゃないでしょうか」

 

”ず、随分辛辣だね”

 

 

少なくとも強さに問題はないらしい。 先生がどんな人なのかと考えを巡らせていた時、その瞬間は訪れた。

 

 

「ッ! 先生、前方に注意してください!」

 

”一体、何が……”

 

「アレが、先程話していた生徒……狐坂ワカモです」

 

 

ユウカ──早瀬ユウカが指さした先に、その少女はいた。

 

黒で統一された、着物と言うべき服装。 狐面を被りその表情は窺えないが、その角度から此方を視認したうえで様子見に徹しているようだ。

 

またそんなワカモの周りには多数の不良生徒が待ち構えており、ここが正念場と言っても過言ではないだろう。

 

 

「あら……誰かと思えば、連邦生徒会の子犬、と言ったところでしょうか」

 

「ッ! 先生、指揮をお願いします!」

 

「ふふっ……威勢がいいのは大変よろしいですが、その程度の戦力でどうにかなるとでも?」

 

「くっ……」

 

 

面から覗く眼光に、ユウカたちは思わず銃を持つ手に力がこもる。 先生も同様で、ワカモから漂うオーラに少しだけ圧倒されていた。

 

このまま戦えば死闘は必須、苦しい戦いが行われる──

 

 

「……ふふ、そんなに身構えないでくださいな。 甚振るような趣味は私も持ち合わせていません。 何より私の目的は別なので……ここは彼女達に」

 

「──困るなぁ、それは」

 

「ッ!?」

 

 

──かに思われたそれは、先生たちとワカモのちょうど中間地点に起きた大きな衝撃によって覆される。

 

 

「あら、あららららら……」

 

「あれ、あの人って……!」

 

「やばい、ヤバいぞこれ」

 

 

それまで余裕を見せていた彼女達が、途端に狼狽え始める。 それほどまでに現れた人物が脅威だと理解しているのだろう。

 

だが、そこではない。 先生にはそこは特に重要でも何でもなかった。 何故なら……

 

 

”あ、あれは……”

 

「? 先生?」

 

上弦の……参? どうして今ここに……

 

「先生?????」

 

 

そう、めっちゃ似ていたのだ。 スーパーヒーロー着地と言うか、登場の仕方が某ジャンプ作品にめっちゃ似ていた。 そのことに先生のテンションは爆上がりしていた。

 

 

「……? 成る程ね」

 

 

そんな先生の変化に気付いたのか、件の少年が此方をチラリと見てくる。 その青く蒼い瞳が先生たちを一瞥したかと思えば

 

 

──では、素晴らしい提案をしよう

 

「……?」

 

”あ、アレは……ッ! あの声は……!”

 

「先生?」

 

 

 

────お前も鬼にならないか?

 

「はい?????」

 

”うおぉぉぉぉぉ!! あのシーンの再現だ!! めっちゃカッコいい!!”

 

「先生?????」

 

 

 

シャーレの先生、子供心を失わない、めっちゃ無邪気な大人である。

 




前に何時間も悩んで結局書かなかったオリ生徒モノの小説があるんですが、何か寝て起きた5分の間に天啓が下りたんで執筆だけはしていこうかなと

こっちの方はかなり不定期更新でやっていきたい所存
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