おじさん、ファンタジーはもうこりごりなんだけど 作:ピンク髪大好きニキ
ブルアカ味多くなったけど、それはそれとして「おじさん過去に何あったん?」的な部分の補完しないとなと思ったんで
先に言っておきますがおじさんの異世界編の割合は地獄3:曇らせ3:無慈悲3:幸福1くらいの割合です
例えるなら一緒に旅したエルフは里の子供助けるために生きたまま虫に食われましたし路地裏で骨と皮になってもなお生きてる子供なんて数千人は見ましたし敵倒すために純血エルフ数万とハイエルフ一人の心臓抉って武器作ってるし体のどこにも転移前の肉はないくらいです
「おじさんの話が聞きたいぃ?」
”うん、是非聞いてみたいなって”
ある日のシャーレ、そのオフィスにて。 この日は当番として来ていたユウカとたまたま来ていたカナタが、先生と一緒に書類作業を行っていた。
今は作業をキリのいい所で止め、淹れたてのコーヒーとカナタが持参してきたスイーツを堪能しているところ。 そんな時、ふと思っていたことを先生はカナタに問いかけていた。
「あ、そう言えば私も気になります。 カナタさんって自分の過去をあんまり話さないじゃないですか」
「いや、こんなおじさんの昔話なんて需要あるか?」
「ありますって! キヴォトスの外の話ってだけでも私は気になりますよ」
”私も、ましてや異世界の話なんて小説投稿サイトで満喫したシチュエーションを実際に経験したなんて興味しかないよ”
「うーん……そういわれれば確かにそうかもな」
興味深そうに見てくるユウカと目をキラキラさせて見てくる先生の圧に気圧された……訳ではないが、そんなに気になるのであればやぶさかではない。 小休止のお供になるのであればとカナタは話すことにした。
「あれは、俺が新作のゲームを買いに普段乗らない電車に乗っていた時の話だな」
”ちなみに、そのゲームって?”
「ちょっとユウカの前じゃ言えないようなジャンルの」
”ああ……”
「え、何で二人で納得したような顔してるんですか。 ちゃんと言ってくださいよ」
「触手モノの凌辱エロゲー」
「やっぱ聞かない方が良かったです」
げんなりした表情を見せるユウカを他所に、カナタは話を続ける。
「後ちょいってところで、朧気ながら乗ってた車両の床に浮かんだんです……魔方陣が」
”何で構文風……?”
「んで、気付いたらお馴染み大広間! 偉そうな見た目の人! 俺は思ったね……このシチュエーション、なろうとカクヨムで擦りに擦ったよなって」
”あー、まあ確かに。 主流は確かに変わってたかも”
「悪役令嬢とか、現代ファンタジーとか他にもあったからな……そんで、偉そうな人が『儂らじゃ魔王倒せないから倒して♡』って言ってきて、魔王討伐に赴くことになった」
「モモイが喜びそうな話ね……それで、カナタさんは魔王を倒したんですか?」
「いんや? 俺じゃないよ。 そもそも俺勇者じゃないし」
”え? なら賢者?”
「勇者パーティーにいそうな職業じゃないよ、俺は本職クラフター……生産職だもん」
ユウカと先生は驚く。 カナタの戦闘力はユウカから聞いて知っている、だからこそ勇者ではなかったことに驚きを隠せない。
カナタでこれなら、勇者の戦闘力はどれほどのものなのだろうか? と。
「まあ今なら勇者に勝てるとは言わないけど、それなりにいい勝負が出来るんじゃないかな」
”そんな勇者が、10年経っても倒せてない魔王って……”
「言うまでもなく強いよ。 今の魔王だけでも数百万は死んでるし」
”数百万……”
「魔物も合わせれば数千万を超えるね。 実際召喚された時点で生き残ってる人類は……五千万いればいいところって感じかな?」
思ったよりヘビーな内容に絶句する。 そんな修羅の国みたいな異世界に自分がもし召喚されていたら……先生とユウカの背中に、冷たいものが走る。
「そんで、勇者君たちが魔王討伐してくれてる間は巻き込んじゃったその他大勢は自由にしてくれていいよってことになってね。 俺はお言葉に甘えて遊びまくることにした」
「遊びまくるって……」
「それしかないでしょ? 対して強いわけでもない非戦闘職が出しゃばっても何にも変わらないんだから……まあ、言いたいことは分かるよ。 実際その通りにしたやつらがいたし」
”と言うと、勇者じゃない人達が魔王を……?”
「そう、20人くらいかな? 勇者とか賢者じゃないけど、戦闘が出来る職業でパーティーを組んで協力して戦おうってね。 思えば異世界に来て魔法や武器が使えることに舞い上がっちゃってたんだろうねぇ」
「それで、結果は……?」
何処か縋るような顔でカナタを見るユウカ。 カナタはそんなユウカに悪戯っぽく笑い……
「──魔王どころか幹部の側近一人に全滅、後日全員の……文字通りボロ雑巾が国に送られてきたよ。 ご丁寧に防腐処理までされてな」
「──ッ」
”そ、れは……また……”
困った、これもまた思った数倍はヘビーな内容である。
「ま、そんなのを見ちゃったんだ。 不相応なことはしないで身の丈に合ったことをしましょうねってことで、魔王は勇者たちに丸投げだよ」
”それは、そうだね”
「まあ最終的に成り行きで幹部を3人くらい殺す羽目になったんだけどな」
「えっ」
「当たり前だけど、キヴォトスに来るほんの少し前の話だぞ? 10年近く魔物倒してダンジョンに潜りまくって、そうして漸く幹部3人だ。 割に合わないよ」
”勇者だと、どれほどな感じで……?”
「2年目には5人パーティーで幹部を一人倒したって本人たちに聞いたよ」
恐るべし勇者パーティーである。
「まあ、そんな異世界でやりたいことやって生きてたらキヴォトスに来る羽目になったってのがおじさんの昔話ってことで」
「それは……何というか、お疲れ様です?」
”素直に脱帽です……”
「ははは、労っても何も出ないぞ? 神桃食べる?」
「いや、普通に出してるじゃ……って、美味ッ!!? この桃あり得ないくらい美味しいんですけど!?」
”ウメ……ウメ……”
「美味かろう、向こうじゃ貴族しか使わないような特殊な金貨で取引される果物だしな」
「これ、一体幾らするんです……?」
「キヴォトス換算だと一つ5億くらい?」
”ごっ!!????”
「5億!!?」
「因みに一切れ食べると1年は全盛期の容姿を維持できる」
「5億捻出するので一つ売ってもらっても?」
”ユウカ?????”
乙女はアンチエイジングに余念がない。 いやユウカはまだまだ必要ないのだが。
「そんな訳で荒事は任せなさいな。 伊達に年は取ってないんだよ」
「まあ、そこは全然心配してないんですけど……あれもありますし」
そう言ってユウカはアレと呼称したものを指差す。 そこには横一列に並んで一心不乱に書類を捌いている……言うなれば『ゴーレム』だろうか? ゴーレムが書類の山を捌いていた。
「学習機能があるからね、書類の不備も見落とさないし後は先生が軽くチェックして判子を押すだけで良いまである」
”アレのおかげで日付を跨ぐことが少なくなって大変重宝しております……”
「ゴーレムがあっても日を跨ぐことがある書類の方に突っ込みを入れないといけないと思うんだけどなぁ」
「この量は確かに異常ですけども。 これ明らかにやらなくていいものまで入ってません?」
「面倒事を押し付けたな……それか『先生と言うのであればこのようなものも捌いてもらわないと』って思ってるか」
”でも、先生としてはその言葉には頷かないとね”
「それで倒れないんなら良いんだよ。 セリナから聞いたぞ? 先生床で死んだように寝てたって」
「先生?」
”ごめんって”
大人は学ばない、ユウカは覚えた。
なんてことは放っておいて、カナタは残った桃の一切れを口に入れつつ机へと歩いていく。
「さ、話すことは話したんだし残りの書類も片付けるぞー」
”うぅ……書類、書類の山が消えない……”
「若干トラウマになってるじゃないですか」
────────
”カナタ、お疲れ様”
「先生? お疲れ……どうしてここに?」
”まだ、聞きたいことがあったから……かな?”
場所はシャーレの屋上、そこでカナタは手すりにもたれながら煙草を吸っていた。
先生は注意しようと口を開き……「いやでもカナタは成人済みだったな……」と寸での所で言葉を飲み込んだ。
「分かる、見た目未成年だからつい突っ込みたくなるよね」
”心を読まないでほしいかな……”
「今のは読まなくても分かったぞ。 すげぇ顔に出てたし」
”面目ないです……”
「……で? 聞きたいことって? 大体想像は付くけど」
吸い終わった煙草を魔法で消滅させたカナタが先生を見つめる。 その若干哀愁が漂う姿に言葉を詰まらせつつも、先生は聞きたかったことをカナタに問いかけた。
”……元の世界にいる家族の事、どう思ってるのかなって”
「家族ねぇ……」
”それと、戻りたいって思わないのかなって”
「まぁ、戻る方法を探さなかったわけじゃないよ。 その過程で転移を覚えたわけだし……結果的に、異世界と異世界を超えるような転移は人の身じゃ無理だってことが分かった」
「家族もまぁ、申し訳ないなとは思ってるけど自分の中で納得してる。 悲しんではいるだろうけど、俺の親に妹だから時間が経てば立ち直れるって信じてるからねぇ」
”強いんだね、カナタは”
「強いって言うより、自分の中で納得させて今を楽しもうって言う……何て言うの、適応力? が高いんだろ」
「起きてしまったことは仕方ない、故に今出来る事を目一杯楽しもうってのは、親から教わった数少ない教訓……教え? だな」
”いい両親なんだね”
「ちなみに飲み屋のねーちゃんのおねだりには決して乗るなってのも父親から教わったぞ。 母親の鉄拳制裁で顔腫れあがらせてたな」
”……いい、両親なんだよね?”
どうしよう、いい話だと思ったのに急に雲行きが怪しくなってきた。 返答に困る先生にケラケラ笑いながらカナタは続ける。
「いい親だよ、またあの親の下に生まれたいって思うくらいにはね」
”……そっか”
「それに、完全にあきらめたわけじゃない」
”え?”
「先生がキヴォトスに来たんだ。 なら俺だって戻れる可能性も無くはないだろ」
”そっか、それもそうだね”
「ゆくゆくはキヴォトスと行ったり来たり出来るようにして見せる……そう思いながら暮らしても誰も文句は言わないでしょ」
晴れやかに笑いながらそう答えるカナタに、先生も笑みが零れる。
夕焼けに背中を照らされたカナタの笑顔、それはこれからのカナタの旅路を日が後押ししているように思えたのは、きっと錯覚ではないだろう。
多分この話を更新してるとき昨日あたり言ってた新作も一緒に投稿されてると思うのでそっちも見てもらえると嬉しいです
更新されてなかったら多分温めてるんでしょう、だってこれ予約投稿ですし
おじさんも、投稿されるであろう新作も感想やお気に入り、評価などめっちゃ待ってる