これに関しては言い訳もないっす…あとこれからも不定期に投稿しやす…
砂に半ば呑まれたビルの一室。
かつての会議室らしき空間の中央に、脚の歪んだ長机が一つだけ残っていた。
梔子ユメは、その上に静かに横たえられる。
呼吸は浅いが規則正しい、だが意識は戻らない。
彼女の周囲に、淡い緑の輪郭がかすかに灯り、音もなく安定を保っていた。
入口側には立つのは白衣の影――ガスターは、言葉を発さずにホシノをただ、観測する。
部屋の中央には小鳥遊ホシノが立ち、
銃は下ろしているが、視線は一瞬も緩まない。
砂を越えてきた疲労が、肩の線をわずかに沈めている。
ガスターの視線はホシノの顔へ向ける、正確には――目に。
砂塵を映したオレンジとシアンの色の瞳に、既視の輪郭が重なる。
【サンズ】
かつて時間の狭間で見続けた、彼によく似ている瞳をしている。
やがて、その観測を終えたかのように、ガスターの視線はゆっくりと机上のユメへ移る。
水と日陰のおかげで、均衡はかろうじて保たれている。
だが、緑の輪郭はときおり微かに明滅し、長くはもたないことを示していた。
ガスターは壁面へ歩み寄る、崩れた塗装の上に、指先で空をなぞる。
見えない線が重なっていく感覚だけが残る。
「このままではユメが危険だ、提案がある。扉に特殊な記号を刻み、既知の地点へ短絡する扉を私は形成することができる、だが…」
壁に寄りかかるホシノの肩が、わずかに動いた。
視線は逸らさない。
「形成には、小鳥遊ホシノ、君の血液が必要だ」
次の瞬間、銃口がまっすぐガスターへ向けられていた。
「……理由を」
「私はこの世界の地理情報を保持していない、座標の確定には、この世界に属する個体の同定情報が要る、血液は最も安定した鍵となる」
ガスターは一歩も近づかない。
視線だけが、ホシノの目を捉える。
机上で、ユメの胸がわずかに沈む。
緑の光は揺れず、ただ守る。
「……その扉の行き先は?」
「実行者が“訪れたことのある場所”に限定される」
銃口は揺れないまま、ホシノが短く息を吐き、言う。
「……わかった、嘘だったらタダじゃおかない」
足元の瓦礫の陰に、縁の欠けた小さなガラス瓶が転がっている。
彼女はそれを拾い、指先を裂いた。
赤が、瓶の底に少しずつ溜まっていく。
ガスターにホシノが瓶を差し出す。
受け取ったガスターは、ホシノの横を通り過ぎ、部屋の扉に視線を向けた、閉ざされたままの既存の境界。
ガスターは扉の前に立ち、指先を血に浸し、扉に次々と記号を描く。
⧫︎♓︎❍︎♏︎ ...
血で描かれた記号に合わせて、扉の周囲の空気がわずかに層を変える。
見えない位相が、音もなく揃っていく。
かつてサンズを作った時、白い頭蓋の内側に当時研究していた時空技術の記号を刻んだ、
観測の果てに、彼は【ショートカット】という力を得た。
観測結果からあの時の記号を改良し、もっと簡易的にそして強力にしていた。
記憶は手順だけを残して退く。
いま必要なのは、この境界の再配置。
ガスターの指が最後の記号を描いた。
扉は開かない、だが向こう側の“距離”だけが、ゆっくりと折り畳まれ始めた。
机上で、梔子ユメの呼吸が、かすかに上下する。
淡い緑の輪郭は、まだ守り続けていた。
久しぶりに自作した設定資料引っ張ってきて見たけどガバが多すぎて笑えへん。