人外娘トロピカルアイランド開拓記   作:照喜名 是空

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愉快な遠足の始まりだ!

 子供たちはだいぶ情緒が育ってきた。

 情緒が育つにつれ、それぞれ姿に個性が出てきたんだよね。

 猫耳生やすやつとか私を真似してサメ尻尾生やすやつとか……

 まあ、これも文化が健全に育ってる証だろう。

 

「えー、じゃあそろそろみんないい感じに大きくなったので、明日から遠征するぞー。とりあえずグループを3つ4つに分けようと思う。というわけでリーダーやりてえやついる?」

 

 2人手を上げたな……やっぱなあ、という顔ぶれだ。

 

「リアとフリージア。お前らか~……まあそうだろうな。OK!ほんじゃ二人は離れて立って~、こいつらについてきたいヤツはそれぞれの側についてな~」

「私だ!フリージアだ!私についてこいッ!冒険するぞ~!するよな?母様?」

 

 こいつはアルマににた体つきのタッパあってスタイルいいタイプで、まあ野心が強い。

 要するに陽キャだ。リーダーになりたがると思ったよ。

 カッコよさそうという理由で頭に角生やしてるんだもん……

 要するにそういうやつなんだ。

 

「……行きましょう。私たちがしっかりしなくては」

 

 リアの方はロゴスに近いチビだ。

 こいつはなんか……なんていうか、文官?そういうタイプなんだよ。

 猫耳と猫尻尾生やしてるけど、狩りの時にこいつ尻尾を刃にしてた。

 たしかに猫科っぽいしなやかで素早い動きが得意だ。

 まあそういう……賢しいタイプだね。

 

「ほんじゃあ残りは残りで組もうね。4人だからちょうどいい」

 

 残りの4人もなあ……残る感じだよねっていうか。うん。

 でも生存戦略上はこういうイレギュラーこそ必要だったりするから。

 

「じゃあ、それぞれに名前つけるな。フリージアの8人は『ヴァンガード』。リアの8人は『テクノクラート』。4人は『アノマリーズ』で。それぞれ順番に遠征と留守番をやってくからな~。順番もヴァンガード、テクノクラート、アノマリーズでいくぞ~。そうしねえとお前うるさいだろフリージア」

「さすがわかっているな母様は!」

 

 良くも悪くも陽キャ~!人間の悪い所が出てる~!

 私はお前たちが本当に心配だよ。

 

「買ってはいるよ。買っては……リア。お前たちは我慢できる子だと私はわかってるからな」

「……はい。大丈夫ですよ」

 

 蛇か狐みたいな糸目笑顔やめてくれる?ごめんて。

 

「えーっとアノマリーズ……なんだかんだでお前たち必要だからな?違う答えってのが必要な時もあるんだ」

「あっ……はい……」

「ケッ」

 

 こういう……こういう感じなんで……一人でも生きていく術を教えようと思う……

 

「ほんじゃあ楽しい遠足の始まりだ!」

 

 歓声があがるけど、う~ん……まあ、教えられるだけを教えよう!

 

 

 ヴァンガード組だけどこいつらさあ……

 戦力としてはパーフェクトなんだ。

 ただ、集団生活でどうかっつーと、こいつらだけで成立させた方がいい。

 なまじ元気ありあまりすぎてるだけに他を圧迫するんだよ。

 

「よーし!お前ら森たどって海の方行くぞ!お前らどう考えても海が好きな顔だ!」

 

 全員タッパがでかくて目を離すと即はしゃぐからなこいつら。

 まあ頑丈だから死人出てないけど。

 

「おお!海って映画にあったあれか!やはり私の人徳だな!最高の遠征地になりそうだ!」

「よっしゃあ!青い海だ!楽しみだなー!!」

「行くぜー!いくぜいくぜいくぜー!」

「おっ、やるのか。やるならやらねば」

「俺はやるぜ!俺はやるぜ!」

 

 なんだろう。ハスキーかお前ら。

 道中もわけのわからねえデカい虫やよくわからねえシシ神みたいな獣とか狩りまくって、海でも巨大タコとかと格闘したりで。

 まあ……楽しくはあったよ。すげえ疲れたけど。

 海行ってからはBBQと遠泳しかしてねえこいつら!!

 その分食料調達は肉中心で捗ったが……

 

 

 はい次。テクノクラート。

 

「お前らは……どう見てもシティー派だな。街の遺構をたどろう」

「ふふっ、そうでしょうとも。きっと成果を出して見せますよ」

「お、おう……」

 

 こういう感じだよ……お前ら眼鏡が似合いすぎる。

 眼鏡要らないけど私たち。

 

「とりあえずさあ、お前らとヴァンガードが合わないのは私もわかるわけ。ほんで、お前たちが頭良くって私の話をよく理解してんのはわかんの」

「……我々に何か足りないものがあると」

 

 こうしてる間も油断なく尻尾で獲物とって背中のリュックに入れてるからなこいつ。

 

「少なくともお前らなまじ頭がいいから間違いを認めるのつらいだろ。だから方針転換が苦手だ。一度間違うと間違い続ける」

「ぐっ……いい返せませんね……」

「お前らに足りないのはそれだよ。リスペクトとか素直さとか。私はこういうのは残念だけど役割分担だと思う。理屈を考えるやつ、手を動かすやつ、変なやつ。どれも要るんだよ。カワイソーだとは思うが。でもどれも等しく生存に必要なんだ。わかる?」

「理屈は、まあ……」

 

 嫌そうなのが素直に顔に出るのがコイツのいい所だよ。

 かわいげがあるよね。

 

「素直でよろしい。まあ、あれだ。私はヴァンガードを開拓団、お前らを図書館の守りに置きたいと思う。今の時点ではな。正直そっちのがお前らも楽だろ」

「本を読むのも機械をいじるのも嫌いではありませんね。そうですか。我々をそこに……なるほど」

「一つだけ言うなら……どれが優れてるとか劣ってるかじゃない。どれも一長一短なんだ。悲しいことにな」

「……そうですね。残念なことです」

 

 わかってくれるか!

 

「だからさあ、こういう不本意に私たちが人間から受け継いじゃった業をお前にはいずれ解消するアイデアを考えてほしいわけ。下手に知識をため込むよりお前は問い続けろ。アイデアマンになれ」

 

 リアは苔むした都市の中に生えた果実を一つむしり、軽く口をつけてから私にうなずいた。

 

「私は、問い続ける者であるべき、ですか……覚えておきましょう」

「たのむよ~?実際しっかりしてるのはお前だからな」

「ふふ、任されました」

 

 結局、テクノクラートはバイクショップと家電店、さらに稼働可能な車を1台見つけた。

 いやすごくない?お前ら本当にすごいよ。

 でもその分いつか総括!とかやらかしそうで私は心配だよ。

 

 

 アノマリーズにはそれぞれに合った「一人でも生きていける生き方」を教えた。

 

「あ~、とりあえずお前らには徹底的にサバイバルを仕込むよ。だってお前ら群れの中で生きてくのつらいだろ」

「あ……まあ……」

「へっ、悪いかよ」

「まあ、私のやりたい事から外れてませんので聞きますわ」

「……そうね」

 

 この感じ~!まあ、ゆっくりやっていこうかね。

 

「まず家から建てよっか。ブッシュクラフトね。見本を一緒に作ろう」

 

 これはそこまで難しくなくって、四角い家の場合は四隅の柱とその真ん中の壁の支えになる杭をそのへんの木で打って。

 あとは籠を編むみたいにして枝を編んでいって壁と屋根にして、最後に葉っぱを屋根にたっぷり乗っける。

 

「もっと簡単なのはこうだな」

 

 三辺に木の杭を三角形に打って、そこに枝を張り巡らせ、最後にブルーシートとかのテントを巻き付けるか、葉っぱのついた木の枝で屋根を作る。

 

「あ……じゃあ……」

「自分で作れんなら、私ゃ一人部屋にするぜ」

「たしかに一人一部屋のほうがいいですわ!」

「私も一人でいいわ。自分でできるもの」

 

 全員1人部屋にしやがったこいつら……まあそうだよね。

 そうでなきゃ余ってないよね!

 

「あ~、まあなんだ……いいんだよ。大丈夫。お前らは一人で生きていい。それもいいんだ。それも、私のママが私たちにゆだねたことだから。群れで生きるかどうか。人間らしくあるかどうか。それも私たち一人ひとりが決めていいんだ」

「……そうですか」

「そう、私の事は、私が決めていいのね……」

 

 活きがいい2名はもう勝手に狩りを始めてるしさあ。

 マイペースなやつらだよ。

 

「まあ、お前らに期待する役目はあるんだよ。ちゃんと。それはジョーカーだ。トランプでいう所のね。群れがおかしくなった時、外からおかしいと言える者。それでいいんだ。いつも群れでいなくていい。群れからはぐれた者もまた必要なものらしいんだ」

「……私が、切り札……?」

「……まあ、一人でいていいなら、それでいいわ」

 

 ……これはきっと、私の罪だろう。

 人間は役割分担をする生き物だった。そしてそれは不幸なことだった。

 私が人間をまねた結果、人間のもっともイヤな部分も無意識に真似てしまった。

 ……そういうことだろう。

 ……背負って行かなきゃな。これも……

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