とりあえずスマホショップや家電店をサルベージできたのはよかった。
これでいざという時の備えができる。
最悪私が死んでも、群れを分散できるようにだ。
まずスマホを2台、私のスマホからデータを完全にコピーする。
人類の最悪なところも記録したある意味「黒の章」だ。
残りのすべてのスマホは多少選別したデータをぶち込んでいく。
主に文化や芸術、そしてサバイバル技術に、科学番組とかが入ってるし、なんならテトリスとかのシンプルなゲームは入ってた。
「黒の章」バージョンの2台はそれぞれリアとフリージアに渡す。
きっと、いつか間違いなく必要になるだろうから。
残りは全員で分けることにした。
情緒と技術がどんどん上がっていくよ~。
なんかみんなナチュラルに変形を使いこなしてるもんね。
呪術廻戦とハンターハンターはちょっと刺激的すぎたかもしれない。
ここで電気工事のモチベを上げておいて、無線機持たせて川に水力発電を作ってもらう!!
これは大変だった。図書館で私がフリージアと共に何基も発電機を作って、現地で水車と交流交換機につなげてもらうわけ。
一応テクノクラートで工業系に興味あるやつらにも立ち会って再現できるようにしたからまあ……当分は安泰だろう。
電線は電柱ごとそこら中に落ちてるのを使って、まあ……なんとか電力の安定供給ができたよ。
「どうだ!私たちはすごいだろう!とうとう電力の安定供給を果たしたぞ!私に感謝して電気を使うがいい!」
「まあ、エアコンが使えて灯りが付けられることに関しては感謝してますよ」
リアとフリージアは相変わらず対抗意識あるよね。
しょうがない、ここでリアにもなんかデカいプロジェクト頼むか。
いずれは、工業も再生産しなきゃいけないね、というのは皆に話してある。
いつまでもサルベージ品を使うわけにはいかねえからな……
「まず火をちゃんと扱えるようにしよう!というわけで研究だ!」
「何に使うにしろ、炉が要りますね。そうなるとレンガも作れるようにならなければ」
「そういうわけで粘土とってきて陶芸から始めよう!ノウハウをちょっとづつ積み上げていくんだ。わかる?」
「はい。これはヴァンガードにはない我々の強みになるでしょう。いずれは製鉄にも手を伸ばしたいですし」
リア、お気持ちはわかるけどさあ……
協力してね?まだ24人しかいねえんだよ私たち。
文明の最初から対立しないでくれる?
いやまあ、分けたのは私だけどさ……
「フヒ、これは創作意欲を刺激されますね……いいものを作りましょうね……」
「そういう感じで頼むわ……!」
グラフィがまっとうに陶芸している……!
そのうち縄文式土器みたいなの作りそうで期待できるよね。
「とりあえず需要が多い壺や瓶を作ろうね。水を溜められるって大事だから」
「土をこねてると何か心がやすらぐわね!」
「わかる。なんか落ち着くわ。私たち自身が粘土生物だからかもね」
アルマがいつものように邪気のない顔で笑う。
土をこねこねすると本当に心が安らぐんだ……
そのうち楽器も作りたいね。私たちの身体による再現じゃなくてさ。
「母様!私たちにも何かないか!」
「そーだなー。じゃあ好きに開拓していいよ。ブッシュクラフトで家の建て方は教えたよな?残りの教材もスマホに入ってるだろ?どんどん基地を立てていこう。さしあたって、海に漁村つくるのはどう?」
「おお!楽しみだな!魚を届ければいいのか!?」
「うん。ついでに塩漬けにしよう。干物とか。こっちからは資材とか陶器を都合するからがんばってね」
これで食料の安定供給ができるからな。
実際、人が捕獲しない状況では海産資源はほぼ無限だし。
「あと、君たちがいろんなものを見つけてくれるのを期待してるよ。サルベージした遺物だけじゃなく、新しい食えるものとか、なんかに使えそうなもんとか」
フリージアはアルマ譲りのデカパイをばるんばるん揺らして子分に演説する。
「聞いたかみんな!私たちで遺物をサルベージして立派な海の家を作るぞ!」
「おー!」
「俺はやるぜ俺はやるぜ!」
「そうかやるのか。やるならやらねば」
「ケッ、もし敵がいたら?俺たちと同等の知識種族のよ」
そういえばアノマリーからヴァンガードに移った子いたわ。
確か名前は……Jで……ジェニーか。
私たち24人だからアルフェベットひとつづつ振って名づけが楽なんだよ。
ジェニーはなんだかんだ気難しいが、でもヴァンガードの中で貴重な頭脳派とストッパーができるので助かってる。
「まず対話だね。話し合いでなんとかなるなら何も殺し合うことないじゃん」
「まあ確かに道理だな。お優しいこって……」
「できればでいいよ。お前たちの安全が優先なのはそうだし。ただ、後々で何人も死んでから話し合いするより、最初から話し合いで済ましたほうが無駄がなくてよくない?」
「ロジカルだなあ、そう理屈通りにいきゃあいいんだがなあ」
こういう皮肉屋なところは……どうなんだろうね。無駄につっかかっていく癖はなおったからいいか。
「はっはっは!安心しろ母様!仮にほかの知的種族がいても私が説き伏せてみせようじゃないか!」
私とジェニーは顔見合わせてため息をついた。
「期待してるわ。何事もできるって自信がなきゃできないのはそうだし」
「まあ……お前の能天気さでうまく回る事があるのは私もわかってんよ」
「そうだろう!私を褒めるがいい!」
「よーしよし」
かくして、状況は開拓から開発へとフェーズが変わっていく。
そんな中、私はどうも妊娠したらしい。マジで?