いや……なんかさ、おなかをふくらませて疑似妊婦プレイ~。
とかやってたらお腹が戻んないしなんかトクントクン存在感を感じるんだよ。
マジ!?私たちこういう仕組みだったの!?
「いや……びっくりしたね。これで『正解』ならいいんだけど」
ロゴスも珍しく困惑してたわ。
真似して妊婦プレイやっちゃったアルマもなんか妊娠したみたいだし。
「いつ生まれるかもわからないのは困ったわね……」
「何が正解かもわからないのはなあ……」
そんなふうにしてたら3日くらいで生まれたわ。
卵が。
「これ……あっためんの?中から出てくんのかな?」
「とりあえずそっと包んでみようか」
「そうだな……あっ、これだわ。これきっとこうだわ」
私は卵をそっと両手で包んだ瞬間にひらめいた。
これきっとこのまま私の肉を与えるんだよ。
私の肉で肉付けしていくもので、これはスライムコアみたいなもんなんだ。
できた……
足りない分の肉は妊娠で膨れたぶんの腹の肉を腕に持っていく!
なんか……しぜんと生まれたコアは赤子の形になったわ。
「これが、私たちの子というわけか……たしかに赤ん坊の形になっているね」
「みたいだなあ……息してるわ。正解だ。かわいいね」
髪も肌も紙みたいに真っ白な赤子だ。
でもちゃんと息してるしもぞもぞしてる。
あたたかい……これが命……涙出てくるわ。
「私たちの子もできたわ……これが、赤ちゃん……なんてかわいいの」
「フヒ……や、やりましたねアルマ……」
固唾をのんで部屋の外で見守ってた子供たちにドアを開けて、赤ん坊をそっと見せる。
図書館の奥で産んだんだよねタマゴ。
みんな集まってくれてうれしいよ私は。
「見てくれ。なんか生まれたわ。やり方は後で教えるね。これが私の子、私たちの子だ……」
やはり前に進み出て祝福してきたのはフリージアとリア。
「おめでとう母様!これが……赤ん坊か。こうして生まれるのか……名は何とするんだ?」
「そうだなあ、ロゴスなんかある?賢そうな名前」
「おや、君は私たちの子に賢くあってほしいんだね。ならそうだね……メティス。知恵の女神の名を冠そう。あとで違和感があったら変えればいいじゃないか」
ロゴスはそっとメティスの頭を撫でて優しく祝福する。
「ならロゴス、私たちの子の名前もお願いしていいかしら?グラフィ、どんな名前がいい?」
「そ、それはもう……アルマの子ですから優しそうな子になってほしいですね」
「ふむ……ならば公平と慈悲を司るテミスなんかどうだろう?」
「良い名前だわ!」
ここでリアが進み出てテミスをおくるみの上からそっと撫でてテクノクラートのみんなに合図した。
「では、私はお祝いにお二人に食事を作りましょう。とはいえ、ここで肉と野菜を選ぶ、というような妙な縁起がついても嫌ですし、肉はヴァンガードが、野菜と鍋は我々が。もしよければアノマリーズには火加減を頼みましょう。選択ではなく団結を……今日だけは願おうではありませんか」
こいつやるなあ~!どこからでもお政治につなげるなあ~。
でもまあ、今日のイベントとしては悪くないか。
「いいんじゃねえの。フリージア、たのめる?」
「もちろんだ!盛大な宴にしよう!」
そういうわけでなんかすげえ大規模な芋煮みたいなんができたわ。
金属の平たい鍋にクソデカヤシガニと牛くらいあるカタツムリの肉を切り分けてぐつぐつ煮る。そこにタロイモみたいな根っこが食える系のイモっぽい植物をごろごろ入れて、さらに水色のキャベツみたいな葉っぱが食える奴を投入してぐつぐつ煮ていく。
「じゃあまあ、誕生を祝して!カンパーイ!」
「乾杯!」
なんとか全員そろえて木の実を絞ったフルーツジュースで乾杯だ。
芋煮もふつふつと煮えてうまそうだ。
うん、うまい……秘蔵してた味噌と塩を入れた甲斐があったわ。
食って力をつける!力を……つける!
その分で肉を増やし、その肉を赤子に分け与えていく。
「んあ……あう……」
「ふにゃ、ほにゃ……」
テミスとメティスはすやすや寝てた。
でも一気に大人サイズにはできない。
私たちの身体にも減らせる限界があるし、なんか与える限界もあるっぽいのが感覚で分かった。
あ、これ以上あげてもこれ吸収しきれないな、ってわかるんだよ。
不思議なもんだねえ。
「今日ほどめでたい日はないね。この日を私たち初の記念日にしたいくらいだよ」
「いいね、いつかカレンダーもちゃんと作り直してさ……祝おうか来年」
「そうだね」
今日はめでたい日だ……