子作りの方法が分かった以上、食料増産は急務だ。
ヴァンガードには塩と魚の確保のために海への開拓を。
テクノクラートには農業と牧畜の開発を頼んだ。
成果はすぐにはでない。
無線によればヴァンガードは海辺での家づくりとまず自給自足に手一杯だし、テクノクラートはとりあえず木を切り倒し雑草を焼いて農地を作ってみたはいい物の……という感じだ。
リアとこの畑どうしような……と悩んでたら意外な奴らが来た。
「なんだか大変そうだから余った肉を分けておくわ」
「あ、あの……おめでとう」
「ディアドラ、ナンシー。あなたちがまさか……とはいえ、ありがとうございます」
こんな時に助けてくれたのがアノマリーズだ。
なんと飯を分けてくれたり、意外と子守がうまかったりした。
「お困りのようですわね!テクノクラートの皆さん!この花案外食べれますわよ!すぐ育ちますし、実は甘味に葉は煮物に向いてますの!」
「グロリアまで!我々が困っていた選定をこうもあっさり……助かります。我々はこの恩を忘れません。王もまたそうでしょう」
「うん、やるじゃんお前ら。大きくなったな……ありがとう。なんかあったら言ってくれよ?離れても、仲間だからな」
こうして、食料問題は緩和して少しづつ成果を出し始めた。
とりあえず何だろうなこの草は……野イチゴみたいな草は果実の安定供給と確実に安全な野菜をもたらした。
農業はさらに発展させていかなきゃいけない。
よりたくさん。より安全に。
食べれる野菜と果物を増やし、最終的には穀物がいる。
どんぐりは……南洋ではむずかしいかもな。あると便利なんだけどね。
「母様!いいものを見つけて来たぞ!」
「マジかよお前ら。チョコボ見つけてきちゃったの?!」
一方ヴァンガードも意外な方向から成果を出してきた。
「母様、これはどっちかといえばセクレトじゃないか?」
「いや、お前らがセクレトって言うならそれでいいけど」
青黒い走鳥だ。大きさは馬くらいある。
外見的特徴からして元はカラスとかかな?
とても賢く大人しいし、めっちゃ早くてパワフルだった。
「魚を分けておくぞ!メティスとテミスに食べさせてやってくれ。なんならこの鳥……走り烏って名付けたんだが、いくつか置いておこうか?」
「あ~、今はまだいいかな。そのうちなんか返せるものがあればもらうわ」
「はっはっは!何を言う!母様がいなければ走り烏を見つけることも、飼おうと考えることもなかった!存分に私を褒めてくれればそれでいい!」
「よっしゃよっしゃ。お前はスゲエ奴だよ!」
走り烏から降りたフリージアをハグして頭わしゃわしゃしておく。
なんだかんだで良いところもあるやつなんだよ。
そんなんしてたら、私のスカートを娘がひっぱる。
まだ幼女サイズなんだよね娘。
「おかあさん。これはなに?」
「お~、私も今知ったんだけどさ。走り烏つってこうやって乗れる鳥らしいんだわ。もうちょいお前が大きくなったら飼おうな!」
「へえ、わたしたちのてで、そだてることができるのね。そう、おもしろいわ」
メティスは手のかからないというか、ものすごく頭が良くてクールな子に育った。
だってこの子まだ10歳に満たないくらいなんだけど「資本論」とか「社会契約論」を読んで理解してるからな。
親の欲目もあるけど、将来が楽しみだ~。
「きっと、まだまだそだてられるカチクはいっぱいいるのでしょうね。たのしみだわ」
「おお!姫は生き物が好きか~!大丈夫そうなやつがいたら送ってやるからな!たくさん食べて大きくなるんだぞ!私のようにな!」
「ええ、わたしきっとつよくなるわ」
ロゴスの教育の影響もあるけど、ちょっと哲学的すぎて倫理観がゆるいのは怖いけどな。
まあ、子供だし変わっていくだろきっと。そうだといいな。
「はっはっは!そうか!楽しみだ!テミスは?」
「いつもの『試食会』だな。よく食うよあいつは」
「ああ、テミスの特技か!そのうち二人とも海に来ると良い!新鮮な魚はうまいぞ!」
テミスはほっとくとそのへんのものを食っちまうんだけど、不思議に食えるものと食えないものの判別がついていた。
一度ガチ目に叱ったら判明したんだが、テミスにはどうも物事が『有害』かどうかの『判断』が直感的にわかる特技があった。
とんでもないチート能力じゃない?すごすぎない?
なのでとりあえず、試食役のポジションをすでに与えた。
食べなくても毒かどうか判断つくので重宝されてるよ。
今もちょっと離れた所でグロリアが取ってきた食べ物の判別とテクノクラートが見つけてきた農作物候補の試食を延々してる。
あっ、こっちきた。
「ひさしぶりね、フリージアおねえさま。また魚?」
「おお!でっかくなったな!もちろんだ!一杯食べてもっと大きくなるのだぞ!」
「まあ、たべかたをくふうしてみるわ。ありがと」
こんな感じだよ。いつもダルそうで実際わりと怠け者なんだけど、でも善性はわりとしっかりあるからむしろ安心できるんだよね。
「フリージア、そっちはどんな感じだ?大丈夫か?食べ物とか困ってたら自分たちを優先しろよ。お前は開拓団の長なんだからな」
「もちろんだとも!その上で分けるほどうまくいっているぞ!じゃあな母様!また魚を分けに来る!」
「ああ、ありがとう。お前も頼りになるよ」
フリージアは素焼きの壺に入った魚の塩漬けや干物を走り烏からおろすと、走り烏に乗って森の中へ消えた。
速いな~あの鳥。
なんにしろ、少しづつ発展のサイクルがまた回り始めた。