人外娘トロピカルアイランド開拓記   作:照喜名 是空

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新たな発見

 この島の乾期が終わり、雨期に入った……

 要するに秋冬だ。熱帯気候ならたぶんそうだろう。

 でも全然寒くない。サルベージした温度計では夜でも24度。真昼で30度だ。

 めちゃくちゃ居心地がいい!!

 

「しかし雨かあ……降る時間がだいたい夕立に限定されるのはいいんだけどな」

「仕方ないさ。朝方に狩りにいけるだけマシと思わなきゃね。それよりも貯水を今のうちにきちんとしよう」

 

 ロゴスはいつもの薄手のドレスの上にケープを羽織っていた。

 夜はちょっと肌寒いからね。かわいいね。

 

「ああ、それは大丈夫。最近陶器窯ができたからデカい壺焼けるんだよね」

「そうなるとあとは保存方法か……塩素かアルコールになるかな」

「酒は割と見つかってるから多少混ぜてみるわ」

 

 そう、デカい壺を屋上に並べて雨水をためてるのだ。

 一応炭と砂で濾過してから煮沸する予定ではある。

 でも飲料にするのはちょっと怖いな……と思ってたらメティスがなんと塩と水から次亜塩素酸ナトリウムを作ってた。塩水を電気分解したらできるんだと。

 はえ~。同じ動画見てるはずなのにしっかり覚えてるなあ。

 

「とりあえず塩素消毒剤はできたわ。でもレモンみたいな酸性の果実液でもある程度の殺菌はできるみたい。余った水でためしてみていい?」

「おめ~頭いいなあ!正直すごいよ……」

 

 メティスがもう「実験」してたわ。できた子だあ……

 

「効能があるかどうかはテミスに鑑定を頼むわ。これで夏でもたくさんのお水が使えるわね……」

「テミスにもお礼言っとけよ。私からも言うけど」

「ええ、もちろんよ」

 

 テクノクラートはといえば、炉を使い少量の金属加工はできるようになったらしい。

 とはいえ、大規模にやるのはやっぱ危ないから基礎研究は大事だね……

 副産物で簡単な電球はできたが、まだ材料がビンと鉛筆の芯でサルベージ品だから完全な自給自足生産には遠い。

 

「電球できたんだって!?すごくない?」

「王、来てくれたんですね。全員、王に礼だ!」

「やめろよ~。そこまでありがたがられる王じゃないって。まだね」

 

 これがベティだ。

 長い髪をポニーテールにしてモデルみたいな長身体系。

 男っぽい性格で、なんだかんだ頼れるし信用してみようかなって感じがする。

 

「王、残念ですが正直まだ自信をもって俺たちの作品だと言えるようなものは作れていない……正直、俺は材料調達だけしかしていないから、大きなことは言えないが」

「いやでもこの短期間で試作品できただけでもすごいよ。なんなら工房ごとできたじゃん」

「……チームのおかげです。本当によく頑張ってくれた」

 

 図書館の駐車場にレンガ造りの工房まで立てたんだよねコイツ。

 わりとしっかりしてる作りだからすごいわ。

 工房の中は自作の電球で薄暗く照らされている。

 サルベージした事務机の上には失敗作がいくつも転がっていた。

 

「まあ、今は基礎研究で素材づくりが大事だから、ゆっくりやってね」

「ありがとうございます。それから、リアの事ですが気にかけてやってください」

「なんかあったの?」

「いずれ、あいつはテクノクラートを率いるでしょう。リーダーとしての心構えをしっかり伝えてやってほしいんです」

「まあ……それは私自身もちゃんとやれてるか心配なんだけどなあ。でもまあやってみるわ」

「お願いします」

 

 本当にしっかりしたやつだ……こいつに任せておけばゆっくりではあってもいずれそれなりの工業力はできるだろう。

 

「ていうか、研究もいいけど子作りもしてくれよ?結局今私たちに足りないのは人口だし」

「うっ、善処はしてみます」

「うーん、これと言った相手がいない感じか?」

「なんとかします……なんとかするさ……」

「ま、まあぼちぼちな……」

 

 全員で20人しかいないし、なんなら普段は10人づつくらいだしなあ。

 その中でこれっていう相手がいなければ難しいよね。

 

 

 そういうわけでヴァンガードは少しづつ島内を探索し、テクノクラートは技術の復興を進めてはいたが、最後にボトルネックになるのはやはり人口だ。

 こればっかりは無理強いするのはちょっとなあ……と思っていたら、ヴァンガードがすげえもん見つけてきた。

 

「母様!とうとう見つけたぞ!私たちの故郷を!」

「これがそうなんだ……マジかよ」

 

 私は走り烏に相乗りしてヴァンガードが見つけた「故郷」を眺めた。

 それは巨大な滝つぼだ。そこに数百はくだらない数のアダマがいる。

 全員まだ泥状態だ……

 数百……数百かあ~!

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