人外娘トロピカルアイランド開拓記   作:照喜名 是空

20 / 23
外遊

 走り烏に乗り、10人程度で漁村へと向かう。

 私達は6人だけど、残りは荷物届けに来たヴァンガードの帰り道に便乗したんだ。

 ジャングルの道を抜けて、1日程度でつくんだけどメティスが次から次に動物に興味を覚えて大変だったね。めずらしくテンションが高い。

 

「ねえ、フリージアお姉様。あの木の上にいるのは何かしら。猿のように見えてそうでないわ。おそらく爬虫類とはおもうのだけれど」

「はっはっは!わからん!が、こっちに手出しはしてこない奴らだな!」

 

 木の上を毛のない猿みたいなのが手で枝をつかんでひょいひょい移動してるし、その割に蛇みたいなシャーシャー鳴く声でコミュニケーション取ってるんだよ。

 体型的にはテナガザルみたいな小さ目の原始的な猿に似てる。

 ニホンザル系でもチンパンジーでもゴリラでもねえ。

 尾と手足が長くて頭が小さい奴だ。

 でも皮膚に鱗があるし、顔がトカゲなんだよ。

 ……リザードマンならぬリザードモンキーか。

 

「……警戒してるようね。少しづつ言葉がわかってきたわ。爬虫類の類人猿への収斂進化……興味深いわね。やっぱり果物を食べているのかしら?」

「メティスお前あいつらの言葉わかるの?すごくない?」

「お母さまが人間を模倣して形と言葉を理解したって前に話してくれたわよね?なら、アレの知性を模倣しようという意識があればだんだんわかってくるわ。やってみて?」

 

 あ~、模倣か。たしかにその理屈ならできるはずだわ。

 メティスはすでにいくつか単語を習得したらしくシャーシャー声をまねて見せてる。

 うーん、私もなんとなくはわかるな。表情とかで機微はわかるもんだし。

 

「ダレ?ナニ?ニンゲン……?ニンゲンコワイ、ニンゲンコワイ。ヘンナノイルゾ!」

「大丈夫、怖がらないで?お話がしたいだけなの。なんにも怖い事はしないわ。ほら、食べ物をあげる。どこに住んでいるの?どのくらい仲間がいるのかしら?」

 

 メティスそれは怖いよ。リザードモンキーちゃんたちドン引きしてるじゃん。

 

「コワイ!コワイ!シャーッ!」

「逃げられちゃったわ。残念ね」

 

 メティスは楽しそうに微笑むけどあっちは全力で観察されて怖かったと思うよ。

 トカゲ猿共は木の上にしゅたたた、と登って枝を伝って遠くに逃げて行った。

 

「お前それは引くよ相手が……まあ、動物の言葉がわかるっていう私たちの性能がわかっただけいいんじゃない?」

「ええ、そうね。やっぱり旅行に行ってよかったわ。新しい発見があるもの」

「まあ、だいぶ箱入りに育てたのはゴメンな」

 

 だって危ないし。村の外に出すの……

 

「はっはっは!姫は好奇心旺盛だなあ!海はもっと面白いぞ!さあ先を急ごう!」

 

 フリージアがこういう時締めてくれるからたのもしいね。

 私達はまた走り烏を発進させて獣道みたいなジャングルを進む。

 木は切り倒してあるが、やっぱ周囲の木が背が高くて昼でも薄暗いんだよね。

 日の光が緑に着色されて優しく降り注ぐ。

 目の前には一面の森。苔と樹と虫。そしてわけのわからねえ鳴き声の楽園だ。

 

 そんな道をちょくちょく休みながら進む。街中と違って蒸すね……

 そして、海への展望は唐突に開けた。

 森を抜けたらそこはビーチだった。

 

「すごいわ……」

 

 珍しくメティスが感情を表してた。

 

「いいね、綺麗だ……これが海か。オルテア、君はここを渡ってきたんだね」

 

 ロゴスも感慨深そうにエメラルドブルーの海を見ている。

 そういえば私も海久しぶりだわ。

 

「……そうだね。こんな海だったよ。でもだいぶ村発展してるじゃん!やるねえフリージア」

「そうだろうとも!ここだって街に負けていない!いい村になっただろう?私を褒めていいんだぞ母様!」

「いや本当にがんばったなお前……」

 

 ビーチは、ゴミ一つない真っ白な砂浜にゼリー細工のような水色の透明な海。

 そこに木の板で作ったリゾート風のコテージが立ち並ぶ。

 高床式で涼し気でおしゃれな家だ。屋根には発電用の風車がある。

 美しい……

 

「スゲーきれいだし、いい村に見えるよ。電気ももうあるんだろ?」

「ああ、潮力発電も併用してバッテリーに貯めてるから停電はそんなにない!」

「よくがんばったよお前ら。よくやった」

「そうだろうとも!さあ、歓迎させてくれ!」

 

 そう言うとフリージアは腰に下げた小さなラッパ……たぶんその辺に落ちてたチャルメララッパを思い切り吹き鳴らした。

 

「私だ!帰ってきたぞ!そして王の行幸だ!さあ成果を見せろ!」

「えっ、何?」

 

 なんかフリージアが叫ぶと全部の家からバッとヴァンガードのやつらがアロハ衣装みたいな派手な水着と腰ミノ姿で楽器をかき鳴らして踊り出した。

 巨乳がぶるんぶるん揺れてる。

 

「なんの何の何!?歓迎?」

「まあ、すてきね。歓迎式典かしら」

「オルテア、まあいいじゃないか。ここは彼らの村だし、歓迎を受けておきたまえよ」

「お、おう……派手だなー」

 

 一方のアルマたちの一家は困惑のほほえみだ。

 

「な、なんだか陽気すぎますね……」

「でも、歓迎してくれてるのはうれしいわね!」

「ひたすらやかましいじゃない?」

 

 まあ、曲調がサンバとかのそれだからな……

 そんなことを思ってたらサーっと左右に分かれて手で花道つくりやがんの。

 先頭にいるのはヴァネッサとNo3のチャーリーだ。

 要するにまあ……中身ハスキー犬の美女軍団とチャラいやつらだ。

 

「やあやあ!ようこそお越しくださいました最初の四人様!そしてお姫様たち!心ばかりの歓迎の歌ですがお気に召しましたでしょうか?」

「チーッス!王様お越しでーす!お待ちしてましたーっ!」

「王様だ」

「王様だ」

「歓迎するのか?」

「するならやらねば」

 

 やっぱめちゃくちゃチャラく成長したなコイツら……

 海で理性が蒸発している。まあ、それでダメってわけじゃないけど。

 

「お、おう……心意気は伝わったよ。ありがとうな」

「よっしゃあ!やったぜオメーら!ウェーイ!」

「それは何よりです!皆よろこんでいますとも。さあさあ、走り烏を降りてこちらへこちらへ。宴の席を用意してるんですよ!いやあ、行幸されると聞いたときから実に待ち遠しく……皆でどう歓迎しようかと準備をしていましてね!ああ、フリージアもお疲れ様です!」

「うむ!お前たちいい歓迎だったぞ!パーフェクトだ!」

「感謝の極みでございます!さあさ、長旅お疲れ様でした!どうぞこちらへ!」

 

 なんかもうテンション高すぎて笑っちゃうよね。

 ちょっと引く。

 

 そんなこんなで烏降りてからはあれよあれよと一番でかい村役場みたいな建物に通されて朝まで宴だよ。

 スタイルのいいダンサーがきわどい格好で踊り狂いつつウェイな音楽で太鼓叩き狂ってるんだわ。

 飯はまあ……バナナの葉っぱの上にフルーツとかイモとか青いバナナの焼いたやつとか、スパイシーな魚煮込みとか、海鮮盛りとかそんなんだよ。

 刺身はうまかったけどさあ……それどころじゃないよね。

 行ったことないけどホストクラブとかこんな感じなのかな。

 ひたすらウェイなパーティーだった……疲れた……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。