人外娘トロピカルアイランド開拓記   作:照喜名 是空

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書き溜めがなくなったので、一端ここで止まります。
アイデアも練り直したいですので、しばらくは塩漬けです。
すいません…
ここまで読んでいただきありがとうございます。


戦い続ける歓びを?

 しばらくして、ウォレスさんが持ってきた通信機で話を聞いたり、ウォレスさんの持ってる映像ファイルでユーラシアで意味のない戦いをしてるやつらの映像を見たりしてみた。

 一言で言うなら……それは熱かった。

 何の意味もない戦いなのに、人間は生命を燃やしていた。

 考えこんじゃうよね。

 

「……なんで笑いながら戦ってるんだ?これ意味ない戦いなんだよね?」

「……私にもわからないさ。でも、なぜだろう。彼らから学べることはまだある気がするんだ」

 

 二人して浜辺のコテージでサイボーグ限界ファイトを見てるんだから奇妙なもんだよ。

 あっ!メティスが後ろから見てる!教育に悪い……

 

「ロゴス母様、それはきっと彼らにとっては戦うことは手段ではなく目的なのよ。種の存続とか救済をさも目的のように言ってるけど、きっと本当はちがうわ。彼らにとってはこの灼熱の刹那で命を燃やすことそのものが目的なのよ」

「そっ……かあ……わからないでもない、わからないでもないけどさあ……」

 

 それはそうなんだろうけど、悩んじゃうよね。なんか。

 何が出来るわけでもないんだけど。

 その次にメティスは意外なことを言った。

 

「ならばお母様。彼らはきっともう救われているわ。事態の解決なんてせずともね。彼らにとっては解決は二の次。そうして命をきらめかせる闘争を続けることがすでに彼らの救いなのよ」

「引くわ」

 

 ドン引きすぎてシンプルなコメントしか出なくなるよね。人間に。

 マジか~!事態の解決なんてどうでもよくってその場で燃える戦いができればそれでいいの?人間って!?

 いやまあ、ウォレスさんやママみたいな例もあるしそれが全員じゃないんだろうけど。

 でもユーラシアで意味もなくバトルしてる勢はそうなんだろうな……

 いや引くわ。

 

「でもたしかにそうなんだろうな~人間て種族は……マジか~」

「……残念だけど、そうなんだろうね。人間は楽園よりも地獄を、地獄よりもヴァルハラを求める種族だった……そういうことなんだろう」

「は~……マジかがっかりだよ……」

 

 そんな野蛮すぎる種族だったのかよ……

 そうなってくると私のやったことの正当性がグラッと崩れるじゃん。

 

「ロゴス。私たちは……『人間』らしくなったのは……本当に正しかったのかな?」

「少なくとも、人を模倣しなければそう悩むことができるだけの知性も持てなかっただろうね。ウォレスさんも言っていたじゃないか。『良いものだけではなかった』と……ならば、少しでも良いものを多く残すしかない。というか、成り行きに任せるしかないのかもしれないね。人がそうであったように」

「それもまあ、そうか……」

 

 もう少しよく考えるべきなんだろうな。私たちの在り方ってものについて。

 

「メティス。お前は……こうなるなよ」

「どうかしら、私もこのあり方が正解とは思わないけど、生命はより多様なものが生き残るでしょうね」

「だからってお前がそうなることも……いや、私自身考えがまとまんねえわ。とにかくすぐには決めるなよ。こういう生き方を……」

「そうね、私自身なにが生の実感を得ることかはまだわからないしね」

 

 修羅に落ちないでくれ~!その時は私がやんなきゃいけないのか?

 いや、そもそもそこまで口出しすべきなのか?

 その視点は正しいのか?

 もっとシンプルに悪事を行ったらそれは王として親として罰するでよくないか?

 わからねえよ……

 

 

 そんなことを考えてたらウォレスさんから通信が入った。

 

「オルテア、少し困ったことになった……これを見てくれ」

 

 通信タブレットに映るのは犬だ。柴犬とかコヨーテに近い茶色のもふもふだ。

 ただ、歩いている。二足歩行で。

 手もアライグマのように5指あってかなり器用に動くらしい。

 遠景からの群れを撮影したものだが……

 

「なんすかこれ。犬……?っていうかコボルトみたいですね」

「ああ。この近くの島だがこんな生き物がいた。おそらく取り残された犬が環境に適応したものだ……」

「それで人間ぽく進化するものなんですかね……?」

 

 別の写真では彼らがカメラの側に何やら祈りを捧げたり祭りのようなものをやってる様子が見える。

 ロゴスが画面を興味深そうに見てつぶやいた。

 

「彼らもまた、人間になりたかったのかもしれない。犬にとって最も身近な最強の生き物は人間だった。ならば困難に陥った時、人間のようになろうとするのは自然なことだろう」

「まあ……人間がいたころの動画で自分が人間だと思ってる犬とかざらにいたからな」

 

 ロゴスははかなげにふっと微笑んだ。

 

「あるいは、彼らの遺伝子が覚えているのかもしれない。自らにとって最良の友をね」

「ロマンチックだなー。でも、そういうのエモいよね」

 

 ウォレスさんは通信の向こうでため息をつく。

 

「おそらくは、そんなところだろう。だが、今の人類は彼らの知るものではない……我々はもはや暖かな手も与えるべき餌も持っていない……血濡れの、鋼鉄の手しかない。彼らの求めている物をやることがもはやできん……だから、もしよければだがお前たちが彼らに会ってみてほしい」

 

 あ~。まあ今の鋼鉄ボディで会いに行っても犬側が人間と思えねえだろと。

 それはそうだけど、悲しいね……

 

「それはつまり……私達に彼らの主人になれってこと?」

「そうだ。彼らがそう望めばだが」

「ん~!すぐにはお返事できないけどいいすか?」

「ああ、もとより身勝手な願いだからな」

「前向きにはやってみます」

 

 いや~しかし犬か!犬っぽい蜘蛛も飼ってるけどやっぱ本物の犬は見てみたいなあ!

 成れの果てではあるんだけど。

 うまく意見調整できたら私も行きたいな~!もふもふコボルトアイランド。

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