私はありったけの食事を3日かけて食べる。
カロリーを詰め込むだけ詰め込んで海岸に来た。
服を脱いで全裸の背中にリュックを乗せ、海へ飛び込む!
いや~ちょっと興奮するね。
私は自分の身体をわりとスタイル良いと思ってるから露出すると興奮するんだ。
ネットのクソ過激なポルノのせいだよ!
君たちのせいで完全に変態になっちゃったんだけどどうしてくれるんだよ。
とにかく……泳ぐ!泳ぐ!海流に乗ればかなり体力を節約できるはずだ。
ここより西にはたぶんフィリピンやインドネシアだった島があるはずだ。
道具や服は体から作り出せばいい。
どこかに……きっとどこかに話の出来る人がいるはず。
せめて犬っぽいコミュニケーションが取れる生物くらいはいるはずだ。
泳げ~!しっぽを生やそう。
エレン・ジョーとかサメ系Vチューバーみたいに腰の後ろあたりから。
息継ぎもなんか途中からしなくなってた。
この体水中呼吸もできるんだね!便利すぎる……
やがてかなり大きな海岸についた。
ここが島なのか、大陸なのか……
スマホで位置確認すると、最新の地図ではフィリピンが一塊になった島らしい。
仮にフィリピン島としておこう。
探そう。仲間を。
行く宛はあんまりない。あんまりないけど、水場や建物を目印に探していく。
街だ……街の廃墟だ。かなり大きい。マニラだったところかも。
緑に覆われてはいるが、文明の跡は私の心を落ち着かせた。
体には半袖のカワイイTシャツを精製してきておく。
私自身の身体はどうしても真っ白だ。
でも、道具にしたものは色付けできるんだよね。不思議だ……
尻尾は出したままで、いい感じにズボンも作っておこう。
しっぽ便利なんだよねバランスとりやすくて。
できるだけ大きな建物を目指そう。
上から見れば、誰かが火を焚いたりすれば見えるはずだ。
ここは、図書館か。
せっかくだし本を読んでいこう。
生きるのに必要な知識はまだまだある。
そして、本ほど暇つぶしにいい物はないのだから。
なんならこの島の探索拠点にもよさそうだ。
大きくて頑丈な建物だしね。
探索していたら、生活の跡があった。
焚き木を燃やした跡だ。かなり新しい。
ここには誰かいる。少なくとも火を使える知性のあるものが!
希望は……まだある!
足跡とかの痕跡を探し、そいつがいるだろう生活拠点を探っていく。
やがて、私はであった。
私と同じ、真っ白な姿の人型と。
「あー……こんにちわ?ハロー?マガンダン アラウ?ニーハオ?アッサラーム?」
私がそっと手を上げ、笑顔であいさつすると、相手はびくっとして後ずさった。
相手は私よりちょっと小さくて、130cmくらい。
女の子だ。白いロングヘアをセンター分けしてる。服は……白いドレスかな。
文明が期待できそう。
「ア、アー?ン、ア、エト……」
「大丈夫、だいじょうぶ。敵じゃない。ただ、友達になりたくて……ええと、そうだ」
私には歌があるじゃないか!
私はそっと座って、できるだけ穏やかな顔でしずかに歌い始めた。
歌はそうだな……島谷ひとみの「パピヨン」だ。
出会いにふさわしいだろ。
「歌を歌うよ。ただ君と仲良くなりたい……」
ギターを優しく弾いていく。そして、歌が流れた。
『手の平にこぼれてく、涙は苦いけれど何の意味さえもない、悲しみはないと思う。あなたが淋しさの峠を越える朝をプパヤの丘で待ってるわ』
彼女は後ずさるのをやめて立ったまま静かに聴いていた。
『「偶然世界」で出会い、絆は森になり、全ての命は歌うの悦びの歌を』
少なくとも彼女は落ち着いたようだし、こちらに敵意がないのは伝わった。
そのはずだ。
「どう?気持ち的には伝わったと思うけど。私はオルテア。君は?」
「……ン」
彼女は落ち着いた様子で手招きするとゆっくり歩きだした。
ついてこいってことらしい。
そしてありし日にはカウンターだったであろう場所で鉛筆を手に取るとメモにささっと書き始めた。
『はじめまして。同族とは初めて出会ったよ。私はここを住処にしてる。ただ、言葉という物が音を介して伝えるものだと知ってはいたけど、ここには発音を伝えるものがあんまりなくてね。これが読めるかい?』
渡されたメモにはタガログ語と英語交じりでそう書いてあった。
私も笑顔でうなずくと、英語とタガログ語を両記して書いた。
『わかるよ。初めまして。私はorta。名前だよ。君と友達になりたい。君の名前は?』
相手はにこっと笑った。いや普通にかわいいなこの子。
歯並びがいい。私のギザ歯と違うね。
ちっさいし……でもよかった。文字でならコミュニケーションできそうだ。
『名前……そうだな。名乗る時はこうしようと決めていた名前はあるんだ。Logos。これはなんて発音するんだい?』
私は身振り手振りを交えながらゆっくり発音して答えた。
「わたしの、なまえは、オルテア。きみの、なまえは……ロゴスだと思う」
「ロゴ?……ロゴス。ウン……。オルタ?」
「そうそう。私はオルテア。君がロゴスでいいや」
「ウン。ワカタ」
いやこの子頭の回転すげえな!あっという間に言語を模倣していくんだけど。
それからしばらくして……夕暮れごろにはもう普通に英語でしゃべってた。
「ロゴスは人に育てられたわけじゃないんだ?」
「ないね。気が付いたら『こう』だった。そこから本を読み始めて……人間という物がいたんだとわかった。で、自分の身体をより人に似せていったんだ。食べ物を得る知恵も本から学んだよ」
「すごいね。全部独学だったんだ。いや本当にすごいよ……できるもんなんだね」
「そうなのかな?まあ、できたさ。それで君は……これからどうするんだい?」
私は普通にロゴスと打ち解けられていた。
よかった……ママ、仲間ができたよ!!
「できれば、ここかこの近くに住んでもっと仲間を集めたいかな。私は……文明ってやつを良いところは受け継ぎたいんだ。人間の文明をまるでなかったことにするのは……なんか、いやだ」
ロゴスは少し考えてうなずいた。
「いいよ。この建物はまだまだ部屋が余ってるし。仲間を集めて文明を受け継ぐ……いいアイデアだと思う。人間が滅びかかって脅威にならないならね」
「あー、うん。多分そんな感じ。じゃあ、これからは同居人だな。よろしくね」
「ああ、よろしく頼むよ。……ところで、君はスマホってやつを持っているのかい?」
「うん、まあね。見る?」
「実に興味があるね」
ロゴスはめっちゃ夢中でスマホを見てた……
ソーラーバッテリーを持ってきててよかったよ。
ロゴスはそれからひたすらスマホ見てた。20倍速で。
私は食べ物取ってきたりいい感じの部屋を寝床にしてたりした。
そして、数日たってロゴスがスマホを見終わると、私を見て微笑んで言う。
「ありがとう。十分見たし当分はいいかな。ごはんも作ってくれてありがとう」
「まあそれで仲間になってくれて、部屋も使っていいなら十分だよ」
「そうか……しかし、ロゴスとオルテアか。夜明けの光と、言葉……『はじめに言葉ありき』そしてその言葉は『光あれ』って言うくらいなんだから、運命を感じるね」
「ロマンチストだなあ」
私たちは玄関の土間部分で焚火をしながらのんびりしてた。
私は自分の身体から作ったギターを弾いて、暇をつぶしている。
ロゴスはもう少し私に体を近づけた。
「君の目的は……仲間を集めて、文明を作るだったね?ならば君は王になることだ」
「おおげさだなあ……いや、そうか。それって王だわ」
そういえばそれって王の仕事だわ。私は王になりたかったのか。
なりたいのかな……?いやでもやることは王になっちゃうんだよ。
なら王でいいか。
「そして、君が王になるなら……私は女王になりたい」
そう言ってロゴスはいきなりキスしてきた。舌ねじこむやつだよ。
ウワーッ!
あっ、ギター溶けて私の身体に戻っちゃった。
「ええ……!?私たちってそういえばそのへんどうなってんの!?穴はあるけど」
「それはきっと体が知っているさ。さあ子孫繁栄しようじゃないか。それとも、イヤかい?」
「……イヤじゃないな。いや、むしろ興味あるかも」
「そうだろう?」
そういえばスマホの中にはpornhubも入ってたっけ。
私の下腹部が熱をもって、ぐぐっと立ち上がる。
ええ……?そうなるの私の身体。
ええい、女は度胸だ!なんでもやってみるものさ!
■
情熱的な一夜が明けた。
結論から言えばできた。私たちはそのへんどうとでも変形するものらしい。
入れたり入れられたり、最終的には腰から下が融合したりで焦ったけど。
まあ……なんとかなったしすごい気持ちよかったよ。
「フフ……可愛かったよオルテア」
「ロゴスは綺麗だったね……すごかった……」
「粘土生物だからできることさ。きっと人間以上の快楽だったと思うよ」
「だろうなあ……」
私とロゴスは全裸でイチャイチャしてた。
きれいだ……
まあ、私たちの服って私たちの体の一部なんだけど。
「じゃあ、十分眠ったしそろそろ行こうか」
「行くって……仲間探し?」
「もちろんだよ。君が仲間を束ねるんだ。きっとできるさ」
「お、おう」
私は露出が好きだけど、こいつはこいつで集団プレイが好きだったりするのかな?
いやでもまあ……仲間探しを手伝ってくれるなら助かるわ。