人外娘トロピカルアイランド開拓記   作:照喜名 是空

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フルコース

「とりあえず料理をするからには、塩と酢と油があったほうがいいよね。そういうわけで、建物を一個一個探検していって調味料を集めよう。あとそのためにお互いの狩りの技術を伝え合おうね」

「いいわね!あの槍ってどうやって作ってるの?」

「こう……曲がれ~!細くなれ~!硬くなれ~!っていう……こういう感じかな」

 

 私は目の前で人差し指を伸ばしてそこから槍を作って見せる。

 

「それで、棒をもう一本作って……槍をはめる溝と突起を作って……棒の上に槍をのせて……投げる!こうね。これがアトラトル。人間がずっと昔に作った狩りの武器だよ」

「こうかしら?」

「いいじゃん。そんな感じそんな感じ」

 

 それから私たちはアルマの皮膚に鎧を作る技術を教えてもらったり、私が服の作り方を教えたりした。

 

「服を作って体から切り離していれば、毒を防げるし、布のひらめきは触覚の代わりに風を感じやすくさせる。皮膚に触れる前に棘とかを防げるわけ」

「服っていいわね!おしゃれね!」

「フヒ……似合ってますよ、アルマ」

 

 アルマは筒みたいに長い白ワンピースを作って見せた。

 でも巨乳でスタイル良いからまるでギリシャのエロ彫刻みたいでとてもいい。

 グラフィはTシャツジャージが気に入ったらしい。

 

「で、服の布を作る技術は糸を作る技術だから……丈夫な糸を作って、両端に小石を結べば……ボーラになる。これをぶんぶん回して放つと、結構まっすぐに飛ぶし、獲物の手足に触れると絡まるからスゲー便利なんだよね」

「こうかしら」

「うおっ、それはでかすぎ……どっちかといえば鎖分銅じゃん。でも大型の虫とかには使いやすいと思うよ」

「ありがとう、使ってみるわ!」

 

 アルマは拳サイズの石を体から生み出したロープでくくりつけてぶんぶん回す。

 風を切る音が尋常じゃないですよ!

 これはこれで十分威力ありそうな武器だからいいか。

 

「よし……こういう武器を使って狩っていこう。でも狩りはついでだからね。まず塩、次に酢、余裕があれば油を取っていこう!ご安全に!」

「ごあんぜんに!」

 

 そういうわけでゆっくり周囲の探索が始まった。

 今までそこまで建物内にまで探索してなかったからね。

 

「あったわ!塩!」

「砂糖だねそれは。でもそういうのだよ!そういう袋どんどん持ってきて!」

「まかせて!」

 

 塩5kg、砂糖3kg、酢10L、油5L。唐辛子も100gくらい。

 とりあえず数日でこれらは簡単に手に入った。缶詰とかのできあいの食料もね。

 午前中は探索に精を出し、午後からはゆっくり収穫をながめ、料理を作っていく。

 

「まずは油で揚げてみよう。唐揚げっておいしそう」

「たのしみね!」

 

 訳の分からない獣系の生物や鳥っぽい生き物をさばいて肉にして片っ端からその辺で拾った鍋に食用油を満たして揚げてみる。

 

「生き物を描くのも面白いですね……フヒ。勉強になります。こ、このノート使ってもよかったんですか?」

「まさに生きるための記録だから、そのノートも本懐というものさ。これは……そうだな、丸くてサッカーボールくらいで鼠っぽいものだから……オオマルネズミとでも名付けよう。肉は捨てるところなし、と……」

「味はねえ、うーん。普通に肉のから揚げだな。食べやすくて特にコメントはないね」

「パリパリしてておいしいわ!」

 

 グラフィとロゴスがそれぞれの生き物に名前を付け、簡単なスケッチにして図鑑を作っていった。

 私とアルマが料理と食レポ担当だ。

 

「どんどんやっていかないとね。葉っぱ系の植物も揚げてみて食べられるものを探そう。何か薬草とかあるかも」

「いいねー。天ぷらって初めて作るよ。これであってんのかなあ?」

「慎重に行こう。全部少しづつで、効能を確かめよう。味がおかしいと感じたら危ないかもしれない。スパイスに使えるかもしれないけど、それは同時に多量に食べたら毒であることには違いないのだから」

 

 しかしまあ……見た目がヤバいよね。

 腕くらいあるぜんまいみたいなやつとか、完全に円形の葉っぱがついた青い草とか、棘のないウチワサボテンみたいなのとか。

 実もちょっとづつ食べてはみる。たまにスパイシーなのがあるね。

 香辛料に使えるかも。

 

「いやあ……食ったなあ。デザートとサラダまであるんだからすごいよ」

「とはいえ、この世界には季節もまだ存在するかもしれない。そうなれば乾期や冬もあるかも……保存できる食料があるに越したことはない」

 

 ロゴスが小さ目の口で葉っぱの天ぷら食べてる……かわいいね。

 

「というわけで、食べれそうな獣肉から保存していこうね。まずラードを作ろう。確実に食えるってわかってるオオマルネズミとニジイロオオニワトリの肉から。それぞれ種類ごとにわけて……脂身だけとっといたやつを鍋で良く焼くわけね」

「ちょっと脂っこすぎて嫌だわ……」

「今食べるわけじゃないから、匂いがイヤな場合は離れてね」

 

 私はやるけど。言い出しっぺだからな。

 匂いで胸やけしそう。脂っこい。

 

「並行して煮沸した川の水で、サルベージした瓶を煮て……」

「どのくらい煮込むの?」

「瓶も油も2時間くらいだからたまの休憩の時に代わってくれればいいよ」

「そ、そうね……」

 

 これで鼠油と鶏油ができた。

 まだどろどろしてるやつをみっちり詰めて空気が入らないようにふたを閉める。

 あとは冷やすだけだ。

 この油が初の保存食第一号だな。

 

「できた。これでうまくいけば油が保存できるようになる」

「うまく行くといいわね!」

 

 ついでに余った肉と油でコンフィっていうか油漬けも作る。

 ウェルダンに焼いたブロック肉をよく塩コショウ、ニンニクで味付けと殺菌して、さっきの煮た瓶に入れて、油で封をする。

 本来はこれにハーブも入れるらしい。

 けどまあ、殺菌という面ではこんなもんだろ。

 

「……できた!肉の油漬けだ」

「これが本当に保存できてるのかわかるのは当分先だね」

 

 ロゴスはあまったスパイス肉をつまみ食いしながらノートに記録をつける。

 いつどうやって作ったのかは記録が大事だからね。

 

「だねえ、ちょくちょく肉が足りないときに使って行って、どのくらいまで保存できるか確かめてみようね」

「そうだね。変色したらさすがにやめておこう」

 

 油はキラキラと透明な黄金色に光っていた。さー、これでどれだけ持つかなあ?

 

「この油……ひょっとしたら絵に使えるかも……?フヒ」

「余った分は油絵にしちゃっていいよ。なんでも試してみるべきだからね」

 

 こういう食えるものと食えない物の種類分けと図鑑づくりはこまめに継続的にやっていくつもりだ。

 特に植物は薬効をしらべていくのが大事だしね。

 

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