人外娘トロピカルアイランド開拓記   作:照喜名 是空

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文明の灯

 次は水だ。

 屋上の貯水槽と、そのへんからかっぱらってきた空のドラム缶とかに雨どいからパイプを通して貯水タンクを作る。

 その上で貯水タンクの下に浄水器を取り付ける。

 浄水器はそれほど難しいものにはしていない。

 ペットボトルに砂と墨、布を詰め込んだものだ。

 砂も布も二度ほど煮沸消毒してある。

 

「とりあえず水はこれでいいか……」

「まあ、今までの水で当たっていないから効果は何とも言えないね」

「だろうなあ。少なくとも人間は死ぬと思う」

「やらないよりはきっとマシさ」

 

 今の所水に当たっていないからこれでいいっちゃいいんだろうけど。

 いずれ煮沸消毒もしたいよな……お茶を作るか。

 人間の作った紅茶とかもまだ飲めるものがあるはずだ。

 

「お茶とかで沸騰させればだいぶマシなんじゃない?」

「いいね、面白そうだ。今の所食べられるのがわかってる果物を干してみるよ」

 

 ロゴスはメタリックな果物をスパスパ切って日の当たるところに置き始める。

 乾くといいんだけどなあ……

 

「なるほどフルーツティーか!まあいろいろやるだけやってみよう。薬草はどう?」

「少なくとも、触れるだけでヤバい草はわかりました……フヒ、図鑑がそろっていきますね……これは薬草かも?って草はいくつかあるんですけど、あんまりわかりませんね……」

「まあゆっくりやっていこう。まずこの世界を知ることから始めなきゃいけないんだしね」

「そ、そうですね……」

 

 私たちはこうやってゆっくりとした歩みではあるが、少しづつ何が食べれるか、何が毒かという形で世界を理解し始めていた。

 そして、それは探索範囲が広がるという事であり、地図もだんだんでき始めている。

 

「オルテア!グラフィ!見つかったわよ!ロゴスの言ってた場所!」

「マジで!?」

「ええ!あったのよ!コインランドリーが!」

「でかした!」

「うふふ」

 

 アルマの手には洗濯機から引きはがしたであろうモーターが抱えられていた!

 そう、モーターがあれば逆に発電機が作れるはずだ。

 

 

 それから数日。私たちはモーターを片っ端からコインランドリーの洗濯機から取り出して、さらにモーターをバラして銅線と磁石に分類する。

 

「これから雷のバリバリがとれるの?」

「そ~らしいけど、まだ組み立ててみなきゃわかんないんだよ」

 

 磁石を正しい形に組合せ直して、導線でコイルを巻いていき、その先に電球を取り付ける。

 

「図書館の中に電気工作の本もあってよかった。たぶんこれで電気がつくはずだけど……」

「よし……回してみよう!」

 

 軸に取り付けられたハンドルを手に取ってグルグル回す。

 こうか?この向きか?あっ、こっちか。

 

「やったわ!これが、でんきのひかり?」

「ああ、これが文明の光だ」

「す、すごいですね……!これは、絵になりそうです」

「よしっ!とりあえず発電はできるようになったな!よーしここから忙しいぞ!」

 

 私たちの前で、白熱電球が光っていた。すごい。本当に電気流れるんだ。

 私もちょっと感動したね。発電ができれば……いずれはインフラが少しづつでも復旧できる!

 

 

 いくつかの試作を経て、発電機そのものは完成した。

 でも、動力が必要だ。タービン回さなきゃ。

 川も近くにある小川みたいなんじゃなく、もっと流れの強い川がいる。

 とりあえずは、風をたよりにしてみるか……

 

「これが風車?」

「……だと思うよ?たぶん」

「いいじゃないか。ちゃんと回ってはいる。アルマが自動車を見つけてきてくれたおかげさ」

「あのコロコロ面白かったわね!」

 

 雑誌の話ではない。ベアリングだ。

 ベアリングと車輪があればそこから風車を作るのは難しくなかったよ。

 ほら、私たちの手は工具なら何でも再現できるし、材料をくくる銅線はいっぱいあったのだから。

 風車部分は鉄パイプとかブルーシートとかでなんとかして……

 よし!発電機のタービンと風車の接続ができた!

 車があればチェーンベルトも存在するからね。

 

「う、うごいた!うごきましたよ風車が……!」

「ちゃんと電気が通ってるわ!電球が光ってるもの!」

「こ、これで図書館の設備も使えるようになるんですかね……?」

「いや、交流交換機がどこかにあるはずだから探そう」

「どんなのです?」

「youtube見ようか。調べよう」

 

 あったわ。交換機。図書館の中に。

 非常用設備の中にあったわ。

 よし……これで、つないで……

 

「し、信じられねえ……!図書館に灯りがついてる!」

「ちょっとちかちかしてるけど……でもすごいわ!」

「こ、これも絵画にできますね……窓が光ってる……すごいです。フヒ……」

 

 ロゴスですらちょっと興奮して夜に光る図書館を見ながら感慨深そうにつぶやいた。

 

「これは一人にとっては小さな一歩だが、我々の種族にとっては大きな一歩だ」

「なにそれ?名言?」

「ああ。人類が月に行った時の言葉のもじりさ」

「月かぁ……そこに向かう、最初の一歩、か……」

「ああ。私たちも、いつかいけるさ」

「……きっと私たちの子供とかがな」

 

 これが文明の光だ。今は闇夜に一つだけぽつんと光っている。

 でも、きっと、いつか……

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