電気復旧祝いで保存肉を開けて焼いて食べたり歌を歌ったり、スケベしたりしてどんちゃんさわぎをして開けた朝。
なんか……図書館の周りにすごい一杯白い泥みたいなナメクジみたいなんがいたわ。
どういうことだ……?光に惹かれて集まってきたのか?
これ、どう考えても同族……だよな?
私たちがいつの間にか産んだのか?わからねえ……
「これ……どうしような……」
「私たちと同じアダマなのかしら、これ……?」
「ど、どういう意味で集まってるんですかね……?」
全員ちょっと引きながら窓の外に見える白い泥の群生を見ていた。
ひく……ぬちゃ…とゆっくり動いてはいるが。
「わからない、わからないが……オルテア。いつもの手でいこうじゃないか」
「そうだな……宴だ~!とにかく楽しそうにして仲間に入りたいと思ってもらおう!」
「ええ……?」
「た、たしかに私たちの時もあれは楽しそうだったわ。あんがい、今集まってるのも楽しそうにしてるからかもしれないわね!やってみましょう!」
そうだ。私たちには歌があるんだ。
原初では歌はまさにこういう不意の遭遇で敵意のない事を示すために使われたという。
ならこれは正しい使用法だ。
「じゃあまあ……「カーネーション」と「愛燦々」でいこう。最初はおとなしめで、ただ、生命の喜びを歌うように……」
なんか……おそらく生まれたばっかの君たちに『生き終わった』人が『生きるという事はつらいけど、でも美しいんだよ』と優しく伝えるような曲は……
どうなんだろうな。でも、これもまた正しい用法ではあるはずだ。
聞け同胞!これが人間というこの星にいたやつらの最後の輝きだーッ!
『……生きよう……何も要らない。私が今本当に欲しいもの等、唯一つ、唯一つだけ』
命を愛おしむように。
『ああ、未来達は人待顔して微笑む。人生って嬉しいものですね』
心からつらいことはあったけど、でも生きるってことはきっと美しいはずだと。
心を込めて。丁寧に。ありったけの力を込めて歌う。
正直、私みたいな小娘じゃ、この歌の良さを引き出せてない気がする。
それでも。伝わる物はあるはずだと。
人として生きることは不幸なことだけじゃないと!
「……奇跡だ」
歌い終えると、ロゴスがつぶやいてた。
私が顔を上げると、なんていうか……白くてのっぺりしたマネキンみたいなやつらがぎょろりとした目だけ向けて私を見てた。
わりとホラーだけど、わかる。
観察してるんだ。私を。
「……次、いこうか。『獣行く細道』と『冬の花』だ」
「ああ、やってみよう」
ド派手なトランペットが陽気に始まる。
『借り物の命が一つ。厚かましく使い込んで返せ。さあ貪れ、笑い飛ばすのさ』
『誰も通れぬほど、狭き道を行け!』
次は静かに。私たちは直接知らないけど、それでも人生と言うのは厳しいものだと刻み付けるように。
『悲しくって泣いてるわけじゃあない!生きてるから涙が出るの!!』
『こごえる季節に鮮やかに咲くよ!!ああ わたしが 負けるわけがない……!』
それでも、前を向いて生きる人間の姿を私は美しいと思ったんだ。
生きるという力強さを知ったんだ。
『ひと知れず、されど誇らかに咲け!ああ、私は冬の花~!!』
もう一度顔を上げると、なんか……私たち四人の顔を適度に混ぜ合わせたような人相の同族がすげえいっぱい私を見てた。
「……効いてるみたいだね。どうする?私の王。民はアンコールを望んでるらしい」
ロゴスが踊り疲れて息を切らしながら私を見た。
そう言われたら引き下がれねえよなあ!
「民が私の歌を聞きたがってるなら、歌うのが王の仕事だろ?」
「やろう、私の王。できるはずさ……」
「『ああ、私が負けるわけがない』ってね」
うなずいて覚悟を決めた。
「こうなったらとことん付き合うぞ!やろう、みんな!」
「ええ!」
「うへ……フヒィ、やってみますけど……」
そこから先、二〇曲より後は数えていない!
超歌ったよ!疲れたよ!
でもその甲斐はあった。
「まま?」
「ままかも……」
「ママだ」
「ママ~!!」
真っ白な幼女二〇名が突っ込んでくる!
そう!突っ込んでくる!