1日2回投稿です。
どれくらい書くかの塩梅が難しい。
そして、ついにその時がやってくる。
袖に控えていた射命丸文がステージの下手側前方へと飛び出ていき、いよいよ開会の挨拶が始まった。
「『サンフラワーフェスティバルin太陽の畑特設ステージ』の会場にお越しの皆様、こんにちは! 今回司会進行役を務めます、清く正しい射命丸文です! 本日はどうぞよろしくお願い致します!」
歓声と拍手によって迎えられた彼女はありがとうございます! ありがとうございます! と言いながら小さくお辞儀をしつつ、司会進行役としての仕事を進める。まぁ進めないと上が怒るからな。
「えー、それではまずは出演者の紹介から始めたいと思います。1組目! 鳥獣伎楽!」
ステージの真ん前に設置されている立ち見エリア。そこに陣取っている鳥獣伎楽ファンの妖怪達から野太い歓声が上がった。どうやら私が思っていたよりもファンが来ているようだ。
ちなみに今回からの新しい取り組みなのだが、観客達は基本は会場にて貸し出されるござを場内で敷き、座りながら観る事が推奨されている。
これだけを読むと、『おいおい、それだとライブらしい楽しみ方が出来ないじゃねーか!』と思われる方も居るかもしれないが、安心して欲しい。ござを敷くエリアとは別に、ステージ前方には立ち見エリアがちゃんと存在しており、ファン達は自身の目当ての出演者の出番の際に立ち見エリアへと移動する事が可能となっているんだ。
ちなみに噂によると、このござを敷くエリアの確保で地主とちょっと揉めたようだ。最終的には引越し対象となったひまわり達のケアの部分に予算が少し回されることで許可を得たらしいが、実行委員会はあの花の妖怪に対してよく根気よく粘ったな。
「そして2組目! Blood Devil's Kisses !!」
2組目の名前が出ると、キャー! という黄色い歓声が各所から上がる。このバンドはメンバーに甘いルックスの持ち主が多いため、里やその他地域の若い人妖のハイカラガール達に人気だ。普段は夜にしかライブをやらないという特性上、里ではファンの女の子達による門限破りが問題になっている。
「3組目! 飛行者天国!」
推しの一つであるこのバンドの名前が挙がり、私たちは人一倍大きな拍手をする。客席からは歓声よりも拍手の方が多いものの、何故か分からないが下手に歓声が上がるよりもしっくりきていた。なお、立ち見エリアにいる一部の妖怪達がメンバーの名前を絶叫しており、アレは多分我々とおなじ『非公認ファン国』の加入者だろうねぇ〜、と横ではたてちゃんがボヤいていた。
「そして4組目! トリを飾るは騒霊楽団時代も含めれば花フェス3度目の登場! プリズムリバーwithHだぁ〜〜ッ!」
この名前が呼ばれると、どっと会場が湧くのが分かる。まぁ、このバンドは幻想郷に住む者たちの心に残る曲を作るからな。花フェス皆勤の私がそういうんだから間違いない。と横にいるはたてちゃんに言ったら一言、
「後方古参ファン面」
と言われた。何がいけないんだよ! いいだろ別に!
「今回はプリズムリバーwithHのみならず、新たに3組の出演が決まりました。そのため、四季に咲く花のようにバリエーション豊かな催しになること間違いないでしょう!
それでは、良き音楽日和をお送りください! 1組目の鳥獣伎楽の登場です!」
そして壇上に鳥獣伎楽が登場すると、彼女達は初っ端からめちゃくちゃ重たくてラウドな曲をぶちかまし始めた。普段彼女たちの曲を聞かない観客達の多くは初めはその音楽性に驚いたものの、次第にそれを受け入れてノリ始めたため、当初の懸念は外れて場内は熱気に包まれた。
……
「文、おつかれ!」
「ありがとうはたて。この後も引き続き出番があるからまだまだ気が引けないわ」
「文お前、なかなかこなれてるな。他にもこういう仕事を受けてたりするのか?」
「まぁ、ぼちぼちですかねぇ。ただまぁ、天狗の合議でもよく司会を任されてるので、それで鍛えられました!」
「……天狗の合議って単語からしてなんか怖そうだなぁ。参加したくないな」
「超怖いわよ、私はいっつも何かしら理由付けて欠席してる」
「まぁ、実務的な面ならはたての代わりはいくらでも居ますからね」「なんですって!?」
酷い言われようだな……、ん? 実務的な面では?
「……思ったんだがやっぱり仲良いよな? お前ら」
『良くない!』
……
鳥獣伎楽による45分間の演奏があっという間に終わり、現在は次のバンドへの転換中だ。
コイツらの演奏はなんというか、初めて見た時に比べてとにかくパワフルになっていた。正直、前見た時はこんなモン聴けたもんじゃねぇなと私は思っていたのだが、当初のコンセプトであるパンク的なアナーキズムは失わずに音楽性を向上させた楽曲の数々は、観客……特に立ち見エリアにいた者たちが頭をぶん回していた事からも、曲に眠る強いメッセージ性を観客たちへと訴える事に成功していたのではないかと私は思った。
さて、現在太陽の畑は快晴そのものだが、果たして吸血鬼達はどうするのか。
「いやぁ〜、鳥獣伎楽の演奏はアツかったですねぇ〜! 次に登場するのはBlood Devil's Kissesですが〜…………おっと? 空の様子が変わってきましたよ!? どこからともなく分厚い雲が出てきました! ですが皆様、ご安心ください! 暗闇でも舞台がみれるように照明スタッフが頑張ってくれるはずです!
それでは、Blood devil's Kissesの登場です!
引き続きお楽しみくださいませ〜!」
文のMCが入ると共に突如として空模様が一変したが、恐らくこれも演出のうちなのだろう。わざとらしい言葉を言うことで客の不安を煽らないようにしているのがわかった。
ステージから戻ってきた文がふぅ、とため息をついたあとにボヤく。
「実はパチュリーさん、最初は日食を起こそうとしたんですよ。流石にそれは洒落にならないからやめてくれと皆で言って、何とか彼女を思いとどまらせることが出来ましたが……」
「たしかにそれは洒落にならないな。わたしや長く生きてる妖怪なんかはそういったものは何度も見ているから大丈夫だが、里から来た人々は大層怯えるに違いない」
「こういう裏話あってこそのライブレポートよね〜」
……
私がこのバンドのライブを観たのは八橋ちゃんに誘われて一緒に霧の湖まで見に行った時以来だったかな。その頃にはもう固定の女子ファン達がいて、ライブ後に1人で帰れなくなったファン達皆を人里まで送るという地味にしんどい事をボランティアでやった記憶がある。
まぁ、そんなことはさておきバンドのレポートをすると、前半の二バンドは力の鳥獣伎楽、技のBDKという評価をしていいのではないか? と私は思った。
まず、このバンドは全体的に演奏が上手い。後ろ乗りなのにドライブ感を損なわないドラム、持ち前の能力故かタイム感バッチリのベース、完全なリズムギターかと思いきやメロウなソロもイケちゃうギターその1、独学とは思えない早弾きを披露するギターその2、数合わせかと思いきや結構目立つキーボード、空を飛んで分身し、股割りした後にステージ中を走り回るなど大暴れなのにも関わらず、音域を外さないボーカル。
意地でもイロモノバンドではないということをファンでは無い客達へと見せつけるような演奏だった。その結果、初めは期待していなかったのか立ち見エリアから後ろへと下がって行った鳥獣伎楽ファンたちがその後慌てて立ち見エリアに戻ってくるという珍光景が観れたため、彼女達からしてみればしてやったり! と言った感じだろうよ。
……
そんなこんなで、今は40分間の休憩中。
パス持ちの人用のテントの中で座りながら、オイ、なんでこんなに休憩時間が長いんだよ。これじゃもう1人くらい出演者だせるじゃないか。と、はたてちゃんに文句を言ったら知らないわよと返された。そりゃあ、そうだよな。ていうかそもそもの話、タイムテーブルを見るとトークタイムって書かれているけど文以外に誰が喋るんだよ……。
「出演者、並びにお客様の皆様、前半はお疲れ様でした! ここからはトークタイムに移らせて頂きます! 司会進行役は変わらず、清く正しい射命丸文でございます。
初めに皆様、後半も盛り上がること間違いなしなので、休憩の間に間食、お手洗い、グッズの購入などなどを済ませておくことをオススメします!」
なんだ、文が一人で話していく感じか……。
そう思っていた私たち二人は、文の口から放たれた次の言葉によって思わず飲んでいた水を噴き出すこととなる。
「えー、このトークタイムでは、実行委員会のメンバーであり、この太陽の畑の管理人でもある風見幽香さんにお話を伺っていきたいと思います! 幽香さん、ステージ上にどうぞ!」
「「ブッッハッ!」」
モニターを観ると、確かに文によって招かれた風見幽香がコツコツと足音を立ててステージ上に現れ、ザワザワとしていた客席が静まり返る。
「ごきげんよう。風見幽香よ。皆、楽しんでるかしら」
歓声は無く、ぱちぱちぱちぱち……という明らかに緊張をはらんだ拍手のみが会場に響く。
「……おい! コレ、大丈夫なのか?」
「私に言われても! てっきり文がペラペラ喋るだけだと思ってたわ!」
「私もそうだと思ってたよ。とりあえずこの会場にいる全員、今だけは変なことはしないでくれよ……」
「楽しんでくれているようね、良かったわ。でも、その前に」
『え?』
そう言うと、幽香は手に持っていた傘を空へと向けると、石突の先から突然極太レーザー弾を空へと放つ。横で行われた突然の凶行に対し、文は口をあんぐりとあけ、観客席は騒然としていた。
「うわああああっ! ちょ、ちょっと、幽香さん!? いきなり何やってるんですか!?」
「折角のサンフラワーフェスなのに陽の光がないのはつまらないと思わない? だから、天気を良くしようと思ったのよ」
「ちょっとホントに心臓に悪いですよ!!! 観客の方にもし何かあったらどうするんですか!?」
「確かにそれもそうね。私の思慮が浅かったわ」
「自分からぶっ飛んだことするなんて聞いてないぞ!?」
「常識の通用しない花妖怪には周りとか関係ないのよ。祈ろうが仕方ないことなのよ」
私たちがこんな事を噂している間にも、今回から始めた取り組みについてや出演者への印象等についてを文が地雷を踏まないようにしながら幽香へと質問するという、非常に危険が危ないコーナーが行われた。
なお、一部の酔狂なもの達がこのコーナーから花妖怪のファンになってしまったという噂をイベントの終了後にチラホラ耳にすることとなったが、そんな命知らずの馬鹿ははっきり言って救いようがないと思う。
なお、本来であれば空を覆っていた分厚い雲は休憩中に時間をかけて晴れる予定だったらしい。そのため、油断してテント外を出歩いていた吸血鬼(姉)が幽香の暴走のせいで大火傷を負ったという情報を後ほどとある消息筋*1から入手した。
その話を聞いた私達は思わず、
「吸血鬼なんでスグ油断するの?」
と口を揃えて言ってしまった。
……
「さて、名残惜しいところではありますが、このトークタイムは終わりの時間となりました。そして、いよいよ始まる花フェス後半! この人達のことを待っていたお客様もさぞ多いことでしょう!
3番目のバンドは飛行者天国です!!!」
長かった休憩が終わり、いよいよ後半の開始である。休憩40分の間ずっと風見幽香と会話してたなんてあの天狗、なかなかにヤバいだろ。
とりあえず、ステージ中央から袖に戻ってきた文を労わなければ。
「文、頑張ったわね……」
「緊張で死ぬかと思った……」
「でも最後の方は案外ノリノリだったじゃないか」
「何とかなれー! の精神ですよ、妹紅さん……」
「あっ、2人とも! 始まるわよ!」
急いでステージに目をやると、八橋ちゃんは自分の妖器をコンコンと叩き始め、その音を不思議な力で反響させながら本日の一曲目『付喪神の引越し』を歌い始めていた。
暫くの間一人で語り口調で歌い続けたあと、二番のBメロから雷鼓によるハイハットワークが入り、二番のサビを歌いきると同時に竿隊がドギャァァンと不安を煽るような音を鳴らす。掴みは完璧、会場の空気感を完全に自分達の世界観で上塗りすることに成功した。
拍手と歓声を受けた三人は目も合わせることもなく、八橋ちゃんがキレのあるストロークを始め、それに合わせてドラム、ベースが入ってくる。
立ち見のファンたちはこれが二曲目、『妖怪ロック』だと判断して、その場でぴょんぴょんと跳ねたり、歌ったり、頭を振ったりと三者三様の反応を見せる。
最初期からあるこのミドルテンポの曲はすぐに聴く者達の心を掴み、気付けば袖にはほかの出演者、手のあいたスタッフ、地主などが勢揃い。今此処に揃ってる連中が異変を起こしたらとんでもないことになるよな? とはたてちゃんに言いつつ見ていると、熱狂の中であっという間に二曲目も終わってしまった。
続く三曲目は『祟られた!?』。
完全なるハイテンポで同じリフを弾き続ける曲であり、音源では勢いで乗り切るような曲だ。この曲では、ベース・九十九弁々が躍動。音源ではただのリフ回しだったセクションでまぁ動く。とにかく動く。それを聴いた観客達は待っていましたと言わんばかりの歓声を上げ、頭をブンブンと振って演奏に応えていた。
そして、アウトロのケツでドラムの堀川雷鼓がタム回しにクラッシュ連打と大暴走したあとに華麗に曲を締め、この曲は終了した。
少しの調律を挟んだ後、ベースの九十九弁々によるのんびりとしたリフによって始まるのは『丑三つ時の琵琶法師』。
この曲では途中までベースのリフとボーカルのみであり、もったりとした曲調が聴く者を何か別の世界に引き込むかのような作りとなっている。が、その後歌は一切なく、そこそこに歪んだギターがベースのリフを代わりに弾き、その間激歪みのベースソロが入っているのだ。
結果、休憩タイムかと思いきや突然低周波の帯域による暴力的な演奏を脳に直接受信した事により、飴と鞭のような精神攻撃を受けた立ち見のファン達は段々と白目を剥き始めた。
続いて演奏されたのは『地獄の沙汰も閻魔次第』。
前曲に比べれば多少はノリのいいミドルテンポのこの曲は、まぁやはりというかギターソロが聴所であり、このバンドの人気曲の一つである。
かつてメンバーが閻魔直々に説教を受けたというこの曲を三途の川に近い太陽の畑で演奏するという度胸に脱帽しつつ、白目を剥いたファン達がゆらゆらと揺れ動く異様な光景は袖で見ているこちらまで同じ状態になりそうだ。
……ただ、恐ろしいのはこれからだということを、今もなお正気を保っている私たちは知っている。
何故なら、まだ演奏を始めてから32分しか経っていないのだ。一時間尺なはずにも関わらず、だ。今の時点で主力曲をほぼ弾いてるこの状況、もし普通のバンドであれば限りなくヤバい。
けれど、彼女たちは違う。
この状況を打開する技を持っているのだ。
六曲目『地獄百三十六ヶ所巡礼』はこのバンドを象徴する曲と言っても過言ではないだろう。同じ名前を冠するEPレコードに収録されたこの曲はなんと一曲の総時間が25分であり、コードチェンジはあれどとにかく同じフレーズを聴かせる事に重点を置いた一曲である。1stアルバムでは短縮されて10分以内に収まったが、それでも一部のファンから即席阿片と呼ばれる程の恐ろしい効能は依然として健在であった。
元々実力のある者、そして普段のライブで鍛え抜かれた精鋭達を除いた観客(袖に居たものも含む)が続々と正気を失う中、耳栓を着けたスタッフ達の奮闘によって悪夢の15分間は幕を閉じた。
7曲目『飛行者天国思案中』。
先程の異変レベルのトランス曲から一転、ハイテンションでガンガンいきたくなる曲である。ここにこの曲を持ってきたのはまさに彼女達の計算通り以外の何物でもなくて、それまで白目をひん剥いていたオーディエンスが続々と我に返り、無意識のままに首を降り始める。
3分間のこの曲が危うく三途の川を渡りかけた観客達を引き戻すことに成功した。
最後は『月ひとつ』。
しっとりとした曲で、作曲した八橋ちゃん曰く、
「バラード……バラードなのかな……?」
というふわっとした認識で作られたこの曲は、嵐の如く会場を掻き乱したバンドのエンディングにピッタリであると私は感じた。
曲を聴いていた立見席のファンたちはそのうち一人、また一人と大きく手を振り始め、最後に八橋ちゃんの歪みつつもメロウなソロが入り、しっとりとしたムードの中演奏は終わった。演奏終了と同時に観客席で振られていた手が拍手に変わった瞬間がなんというか、すごく心に響いた。
開始の挨拶すら無しにひたすら演奏を続けた八橋ちゃんが最後にただ一言
「飛行者天国でした。ありがとうございました」
と言ったことで、観客たちは溢れんばかりの大歓声を上げ、次に控えるトリのプリズムリバーwithHへと襷が渡されることとなった。
……
「はぁ〜、ヤバいわね。これ、本当は芸歴20年目くらいなんじゃないの?」
「私、初めて不老不死になってよかったと思えた」
メンバーの三人を待ちながらはたてちゃんとそんなことを話していると、八橋ちゃん達が戻ってきた。
「はぁ、あっ、妹紅さん! 観てくれましたか?」
「勿論だよ。このデカい会場でこのバンドの曲が聴けた事が嬉しすぎて、今逆にショック受けてる」
「ちょっと、流石にそれは言い過ぎでしょ妹紅! でもありがとう! ごめんだけどアタシはまだ出番あるから向こう行くね!」
「頑張れよ、次も楽しみにしてる」
「ありがとー! 頑張るよー!」
雷鼓は次のPLwHも出演のため、最低限の感謝を伝えると足早に立ち去ってしまった。こればかりは仕方ない。どうやら、はたてちゃんは姉妹にインタビューを行っているようだし、私は先に袖に行っておくか。
……
「弁々さん! 袖横からずっと観てたけどめちゃくちゃカッコ良かった!」
「ありがとう。はたてさんはよく褒めてくれるから嬉しい限りだわ」
「私、弁々ファンなので!
……そうだ、お二人共。他の出演者さんにも聞いているんですけど、演奏後の感想などを伺っても?」
「じゃあ義姉さん、まず私からでいい?」
「大丈夫よ」
「えっと、やっぱり目標にしていたフェスに出られたので、一区切り付けたのかなと自分では思ってます。ステージの上から見た景色は中々に気持ちよかったので、また来年も出れたら良いなと思いました」
「ありがとうございます! それでは弁々さんもお願いします!」
「今回幽香さんから推してもらったことで出ることが叶ったから、憧れていた身としてはとにかく嬉しい限りね。新しい挑戦をしつつ、来年もまた出たいわ」
「ありがとうございます! それではお二人共、最後になにか一言貰えますか?」
「見に来て下さりありがとうございました」
「あっ見て、もうプリズムリバーwithHがはじまるわよ」
「あのさぁ、義姉さん……」「いや、だって……」
「まぁまぁ、弁々さんらしくていいじゃないですか。お二人共、お疲れの中ありがとうございました!
……よし! それじゃあ、私達も袖の方に行きましょ!」
「了解です!」「了解よ」
そんな私たちのやりとりとほぼ同時に、文の疲れを感じさせないMCが入った。
「さていよいよ最後のバンドの登場です。プリズムリバーwithH!!!」
……
アンコールが終わり、鳴り止まぬ拍手の中から四人は戻ってきた。その達成感に満ちた姿はまさに幻想郷を象徴するバンドの在り方そのものと言える雰囲気を醸し出していたと言えるだろう。
そして、文と幽香の謎コンビによる閉会の挨拶が行われる中、私たちは姉妹と雷鼓に本日最後のインタビューを敢行した。
「花果子念報の姫海棠はたてです!
今回、PLwHは普段あまり演奏されない曲たちを演奏されていましたね? セットリスト*2の方はどなたが考えられたのですか?」
「今日のセトリはリリカが決めたんだよ〜!
私たちは前提として幻想郷の色んな人とコンタクトをとって、今までに解決された異変だとかの話を聞くことで、そこから発想を得て曲を作ってるんだけど、その中でも異変の中心人物とか怖い人達からインスピレーションを受けて作った曲をメインにしたって、リリカが言ってた!」
『ブッッハアッ!』
メルランお得意の爆弾発言により、その場にいた全員が噴き出してしまう。 …そのチョイス、絶対今日の対バン相手が問題児寄りなやつばっかだったからだろ!曲を聴いてる時に今日物販で暴れてたやつとかの顔を思い出したのはそういうことか……。
「……ちょ、ちょっと、メルラン姉さん!? 何全部包み隠さず言っちゃってんのさ!?」
「本当に貴方は口が軽いわね、メルラン」
「騒霊楽団マル秘情報、気になる事があればメルランに聞け!!!」
『雷鼓も余計なこと言わなくていいの!!』
……
「でもさ、正直普段のライブでやらない曲ばかりだったから楽しかったなぁ〜! ねぇねぇ、皆もそう思わない?」
「間違いない!」
「まぁ、確かにそれはそうね」
「普段私達の曲聴かなそうな人も盛り上がってたしね〜」
「ふむふむ、ライバルの出現という逆境に負けず、騒霊楽団は新たな境地を開拓する事に成功か? これからの活躍にますます期待……っと。
質問は以上です。お時間頂きありがとうございました!」
『ありがとうございましたー!』
……
「……よし、これで終わりか。私達もぼちぼち帰るとするか?」
「そうね!
……あっ! そうだ妹紅、折角だから二人でファンクラブ特典のヒコテンのライブレポート作らない? 花果子念報出張版的な感じでさ」
「おいおい、勘弁してくれよ。私は慧音に会ったり、永遠亭に急患連れて行ったり、焼き鳥屋やるので忙しいんだからさ」
「えー!? 今日一緒にインタビューしたり、演奏中にメモしてる時の妹紅、すごく楽しそうだったよ? 絶対書いた方がいいって!」
「いやだ!」「やりたい!」「いやだ!」「やる!」
「……いやだ!」「絶対やる!」
「…………分かった、やるよ! やればいいんだろ!」
「やったー! さすが妹紅、分かってるぅ!」
「肘で小突くのやめろ! 鬱陶しい!」
「またまたぁ、そう言ってても顔は赤くなってるよ?」
「うっ……、がああああ! お前、あんま調子乗ってると焼き鳥にしてやるからな!」
「うわぁー! 妹紅が怒った!! 逃げろー!」
興奮冷めやらぬ次の日、結局二人でめちゃくちゃ原稿書いた。
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騒霊楽団のセトリが難産すぎて…。
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