異世界建国「哲学好きな僕が王様に成り上がった話」   作:アサシン・零

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第16話「終戦と新たな始まり」

アルデンベルクの王宮、秋の終わり。冷たい風が石壁を叩き、冬の気配が漂う。イグニス(17歳、アスデガルド王)は玉座に座り、戦後処理の書類に目を通していた。ミスリル製の片手剣が脇に置かれ、赤いミスリル腕輪が松明の光に輝く。ルシウス(52歳、宰相、緑がかった白髪)、ビョルン・スタルフェルト侯爵(40代半ば、軍師)、アドルフ・ディスタリア侯爵(30代、防衛責任者)、セレノア、アスナが脇に控えていた。

 

イグニスはハラルドの遺体を火葬し、シグルド12世の墓に埋葬した。墓前で、彼は呟いた。「養兄…貴方の野心は王国を裂いた。だが、養父と共に眠れ」セレノアがそばで頬の傷を隠し、言った。「ハラルドの暴行…貴方が終わらせた。ありがとう」イグニスはプラトンの言葉を思い出した。「正義とは、皆が互いを助け合うこと」。統一された王国は、新たな試練を前にしていた。

 

王宮の大広間、帝国の貴族アルフォンス(40代、灰色の目)が再び現れた。「皇帝が終戦を望む。調印式を執り行いたい」イグニスは頷き、帝国の首都へ向かう準備を命じた。ルシウスが内政を整え、ビョルンが軍事の警戒を維持。アドルフがストーンヴァルとリーフ村の防衛を固めた。アスナがライブでイグニスの疲れを癒し、呟いた。「陛下…帝国、信用できる?」イグニスは答えた。「分からない。だが、戦争を終わらせ、民を救う」

 

帝国の首都「ルクセンベルク」、赤い大理石の宮殿。皇帝レオニダス(50歳、赤い目・髪・マント)が玉座に座る。威厳ある姿だが、目は疲れを隠せない。調印式で、イグニスとレオニダスは和平協定に署名。アスデガルド王国と帝国は正式に終戦を迎えた。民の歓声が宮殿に響き、兵たちが安堵の息をついた。調印後、イグニスは無礼を承知で尋ねた。「皇帝、魔物研究とは何か? 焔の雫がアスナを拉致した。帝国の意図は?」レオニダスは笑い、答えた。「君の前の世界でも、動植物の分類があっただろう? 魔物も同じだ。強さ、習性を知る。先帝が奨励したが、私は詳細を知らん。帝国には学者が多いだけだ」イグニスは目を細めた。「魔物研究には光と影がある。貴方は本当のことを言っているな」

 

レオニダスは頷き、言った。「戦争は終わるが、帝国と王国は互いを監視する。忘れるな、王よ」イグニスはマキャベリの『君主論』を思い出した。「君主は敵を知り、味方を増やす」。魔物研究の「帝国の鍵」、アスナの父の秘密は、未だ解けぬ謎だった。

 

王都に戻ったイグニスは、玉座でルシウスに命じた。「街道の進捗を調べろ。王国を豊かにする基盤だ」ルシウスが報告した。「リーフ村から王都まで8割完成。フォレストエルフの木材が工事を加速させた。だが、王国の農地は痩せており、産業はリーフ村に及ばない」イグニスは頷き、京都の記憶――戦後の復興、農業改革――を思い出した。「農地改良と交易を進める。リーフ村の成功を全国に広げる」

 

ゲラルト・シーグリス(26歳)とエリス・カーマイン(35歳、闇魔法使い)は名前を変え、町を転々と逃亡していた。ビョルンが斥候の報告を伝えた。「ゲラルトは偽名で商人に、エリスは辺境で隠れている。追跡は難しい」イグニスは答えた。「今は民を救う優先だ。だが、目を離すな」

 

王宮の夜、ルシウスとビョルンがイグニスに進言した。「陛下、アスナ殿と結婚を。民の希望となり、王国の絆を強める」イグニスは驚き、だが微笑んだ。「彼女なら…俺の全てを捧げる」アスナが呼ばれ、頬を赤らめた。「陛下…私でいいの?」イグニスは彼女の手を握り、言った。「アスナ、幸せにするよ。共に王国を築こう」アスナは目を潤ませ、答えた。「陛下を一生支えます」彼女の光魔法は弱いが、ライブで民を癒し、フィジカルエンチャントアビリティで力仕事に貢献していた。セレノアが微笑み、言った。「アスナ、貴女は王妃にふさわしい」カイル(15歳)、リナ(12歳)、エリ(10歳)が祝福に駆けつけた。

 

 

リーフ村、冬の雪が降る。イグニスは村に戻り、農地改良を指導。ナス、ネギ、大根、ジャガイモの栽培技術を全国に広める計画を立てた。バイコーンの畜産は順調で、子が育ち、農作業を支えた。フォレストエルフから届くミスリルと木材が、武器と建築を強化。ストーンヴァルの要塞は、王国の西の守りとして機能した。

 

イグニスは館の執務室で、アスナと未来を語った。「王国はまだ貧しい。農地を豊かにし、交易を広げる。リーフ村のような希望を全国に」アスナが呟いた。「私の父…魔物研究を知ってた。陛下、真相を突き止めて」イグニスは頷き、焔の雫の「帝国の鍵」を思い出した。カントの言葉が響く。「人は目的そのものであり、手段ではない」

 

夜、王宮の窓から雪を見上げ、イグニスは二つの肖像画を見て呟いた。「シグルド、養父上…王国を一つにした。次は民を豊かにする」『君主論』が浮かぶ。「君主は機会を逃さず、運命を掴む」。ゲラルトとエリスの逃亡、帝国の魔物研究、未解明の謎が王国を脅かす。だが、アスナの笑顔、フォレストエルフの絆、リーフ村の信頼が彼を支えた。「王国を守る。それが私の使命だ」

 

 

 

 

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