あと、タイトルに反して内容は真剣です。なぜこんなタイトルにしたのだ俺よ。
「なんとかなったみたいだけど...、おい、大丈夫か?」
俺はアホ面を晒してる上鳴のそばに駆け寄る。どうやら外傷はないっぽいな、よかったよかった。
「とりあえず、辺りはまだヴィランがいるだろうから...」
その時だった。また、あの不快な甲高い音が脳内に響いた。先ほど山岳エリアにモヤが現れた時とは比べものにならないほどの、圧倒的な“悪意”と“異物感”。
「ッ……!?」
思わず、俺は頭を抱えてその場にしゃがみ込みそうになった。サイコフレームが中央広場の方向に向かって過剰に反応し、視界の端が赤く明滅する。広場の方角から、とてつもない『悪』の気配がなだれ込んできていた。
「努紋さん!? どうなさいましたの!?」
「あ、あたしたちを庇って、どこか痛めたんじゃ……!?」
八百万さんと耳郎さんが顔色を変えて駆け寄ってくる。俺は首を横に振って、必死に言葉を絞り出した。
「いや……、大丈夫だよ。うぅ、それより…………!!」
指し示した先――、USJの中央広場。そこでは、黒いモヤの男と、全身に「手」を纏った異様な男。そして……圧倒的な異形を誇る巨大な怪物が、相澤先生を追い詰めている光景が広がっていた。
「な……何ですの、あの怪物……!?」
「相澤先生……! 一人でずっとあんな奴らと戦ってたっていうの!?」
耳郎さんの声が震える。相澤先生の身体はすでに傷だらけで、地面に伏せられている。だが、それでも眼光を衰えさせず、ヴィランたちを睨みつけ続けていた。
山岳エリアのヴィランとは桁が違う。あれはただの悪党じゃない。人を殺すことになんの躊躇もない、「本物」だ。
「……八百万さん、耳郎さん。上鳴を頼む」
「えっ……。努紋さん、まさか一人で広場へに突っ込むつもりですの!? 無茶ですわ!」
俺は白磁の拳を強く握りしめた。背中のスラスターが、俺の意思に応えるように激しい重低音を響かせ始める。
「八百万さん....、耳郎さん....、上鳴....、ごめん。.......俺は.....行くよ!」
返事を待たず、俺は足裏と背部のスラスターを全開にした。
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「死柄木弔…」
「……黒霧、13号はやったのか?」
今、緑谷出久の目の前に広がる光景は絶望そのものだった。自身の担任が脳が剥き出しの大男に容赦なくねじ伏せられている。その光景に、緑谷は自分が自惚れていたと悟った。
「行動不能には出来たものの、散らし損ねた生徒が1名……逃げられました」
「は?」
ガリガリ、ガリガリとヴィランが首を掻き毟る音のみが響く。
「黒霧……。お前……、お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしてたよ……」
死柄木は黒いモヤを口汚く罵る。合流されてしまった、その事実が更に緑谷を絶望させていく。
「流石に何十人ものプロ相手じゃかなわない。ゲームオーバーだ。あーあ……今回はゲームオーバーだ。帰ろっか」
すると、死柄木がまるで飽きた子供のようにそう言った。だが、緑谷は見てしまった。その視線が自分達に向いたのを。
「けどもその前に、平和の象徴としての矜持を削って帰ろう――」
死柄木の手が、緑谷たちの顔面へと急速に迫る。死を覚悟し、一瞬思考が真っ白になった緑谷の耳に届いたのは――。空間を切り裂くような激しい噴射音だった。
ゴォォォォォォォッ!!
「――なっ!?」
空中から降下した一筋の白い閃光。白磁の装甲を纏った異形の巨体が、両腕を大きく振り上げた状態で死柄木の背後へと突如降臨した。重厚な質量が広場の石畳を叩き割り、激しい衝撃波と白煙が爆ぜる。突然の頭上からの襲来と地響きに、死柄木が驚愕で目を見開いた――。その瞬間の隙を、見逃さず、白い機体はスラスターの噴射熱を撒き散らしながら、死柄木のガラ空きとなった側頭部へ、怒りを乗せた一砲の如き拳を容赦なくねじ込んだ。
「グハッ……!?」
凄まじい衝撃とともに吹き飛ばされた死柄木が地面を無様に転がり、その勢いで脳無の拘束が僅かに緩む。その絶妙な隙を逃さず、白い機体は強引に緑谷たちを脳無の間合いの外へと弾き飛ばした。背中のスラスターが「シューッ……」と激しい熱気を吹き出し、白い装甲の隙間から漏れ出す排熱が空間を揺らしている。間一髪で死を免れ、地面に尻餅をついた緑谷が、目を見開いて見上げる。
「もしかして、努紋君……、なの……!?」
「……ああ、そうだ。緑谷、相澤先生を連れてここから離れてくれ。今からこいつらと戦うから」
「わ、わかった!! 努紋くんも、気をつけて……!」
カシャン、と甲高い金属音を立ててバイザーの奥に光る無機質な双眸。そのツインアイには、目の前の悪意に対する静かな怒りと、抑えきれない強い苛立ちが苛烈に揺れていた。
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「このクソガキが!!邪魔しやがって!!」
「死柄木弔、お気をつけて。恐らく……、彼はかなり手強いです」
「チッ、脳無!!このクソガキを殺せ!!」
イレイザーヘッドを抑えつけていた脳無はすぐさまその巨体に反した俊敏さで接近し、その豪腕で顔面を破壊しようとする。
「――させねぇ!!」
脳無の拳が迫る一瞬の刹那、俺の叫びに呼応して、白磁の機体から暴風のような眩い“赤い光”が溢れ出した。装甲が次々とスライドし、内部のサイコフレームが赤く発光する。頭部の一本角が左右に割れて黄金のV字アンテナとなり、隠されていたガンダムの素顔が露わとなった。
『デストロイモード』――。真の力を解放したユニコーンガンダムの両腕が、超音速で振り下ろされた脳無の豪腕を正面からガチリと受け止めた。
「な……。脳無の攻撃を止めたのか!?」
死柄木が驚愕で声を裏返らせる。
「人の命をゲームみたいに弄んで……! その汚い悪意を、今ここで潰してやるっ!」
俺の叫びに呼応し、デストロイモードの両前腕部装甲から展開された発生器が、眩いピンク色の光刃を形成する。
『ビーム・トンファー』――。
機体性能が向上した影響か、トンファーの光が先程よりも鮮やかな光を放つように感じた。超高熱の光の刃を両腕に纏い、俺は脳無の巨躯へ肉薄する。必殺の光刃を、音速を超えて脳無の胴体へと叩き込む!
ブォンッ! ズシャッ! ズォンッ!!
空間を焼き切るビームの断続的な重低音。だが――、手応えがおかしい。本来ならあらゆる物質を両断・蒸発させるはずの光刃が、脳無の肉体に触れた瞬間、その凄まじい熱量と破壊の衝撃がズルりと泥沼に吸い込まれるように消えていく。
(切り込めない……!? 衝撃も熱も、全部吸い取られてる……!?)
「ハッ! 無駄無駄! そいつには『衝撃吸収』が備わってんだよ! お前がどんだけビームで殴ろうが切りつけようが、脳無には1ミリも効かないのさ!」
死柄木の高笑いが広場に響く。直後、衝撃と熱を殺した脳無が、反撃とばかりに丸太のような腕を振るってきた。
「ぐッ……!?」
思わずトンファーを引っ込めシールドで受け止めたものの、その理不尽なまでの重圧にデストロイモードの装甲すらミシミシと悲鳴を上げる。押し込まれる脚。足場の石畳が激しく砕け散る。勢いに負けじと、俺も俺で体から力を引き出していく。
「引き下がるな、スラスター!! 俺の意志に機体がついてこられないでどうする!」
「さらに言えば、そいつには『超再生』も備わってんだ。どんだけ削ろうが切り落とそうがすぐに元通り。 お前がいくら足掻いたところで、結果は変わらないんだよ」
死柄木が愉快そうに嘲笑を撒き散らす。脳内の高解像度イメージの連続処理と、全身のサイコフレームから逆流してくる過負荷の余波で、視界の端が明滅し、全神経がじわじわと焼けつくように激しく痛む。頭蓋骨を内側から殴られているような激痛に視界が歪み、吐き気がこみ上げてくる。
(くそっ……! 脳ミソが……焼き切れそうだ……!)
限界なんて、とっくに超えている。だが俺は激痛に耐えて奥歯をガチリと鳴らし、軋む両足に力を込めて、粉砕された地面を強く踏み締めた。
「確かに、俺一人じゃ勝ち目なんてないのかもしれない……」
「だったら、大人しく死ねよ!」
「『それでもっ……!!!!』」
叫びとともに、全身のサイコフレームがこれまで以上に眩く、烈火の如き“赤”に輝き出す。
「『それでも』俺は……! 誰かを守る、
紅色のオーラを放つサイコフレームの輝きが脳無を押し返していく。俺はすぐさま右背中のバックパックから突出したビーム・サーベルの柄へと手を伸ばす。柄を掴むと同時に、高密度のビーム粒子が噴出し、長大な光の刃が形成された。俺は赤く過熱し、ドロドロに溶けかけた石畳を強く蹴り飛ばした。
自身の脳内にユニコーンの戦闘シーンを投影しつつ、それをなぞるように体を動かしていく。
ブゥォォォォンッ!!
空間を焼き切るビーム・サーベルの凄まじい重低音。
真紅の光の軌跡を空間に刻み込みながら、俺は空気抵抗すら力任せに切り裂き、脳無の胸元へと一瞬で肉薄した。真紅の光の帯を空間に焼き付けながら、吸収のキャパシティを強引にこじ開ける勢いで高熱の光刃を振り下ろす。一瞬、限界を超えた熱量に肉体が灼き切られ、脳無の胸部に深い傷が刻まれた。脳無の巨躯が広場の中央へと派手に叩き落とされ、猛烈な土煙が舞い上がる。
だが――、衝撃吸収を突き破って刻んだはずの傷口から、ドロドロと不気味に肉芽が蠢き出した。
「なっ……灼き切った先から、傷が瞬時に塞がっていく……!?」
「ハッ……! 効いちゃいるが、無駄なんだよクソガキが! 潰せ、脳無!!」
死柄木の歓喜の叫び。不気味な光を瞳に宿した怪物が、何事もなかったかのように立ち上がってくる。
「ハァ……ハァ……くそっ……! サーベルの熱量すら……押し切るっていうのか……!?」
俺の膝がガクガクと激しく震える。過剰なイメージの投射とサイコフレームから流れ込む過負荷が全神経を焼き焦がし、いつの間にか機体の装甲が「カシャン……」と音を立ててユニコーンモードへ強制解除されてしまった。
(くそっ...からだ、が……動か、ねぇ……!)
視界が真っ黒に明滅する。目の前には、圧倒的な殺意を抱えて迫る脳無の巨拳。
絶体絶命。死の圧迫感が俺を押し潰そうとした――まさに、その時だった。
ドォォォォォォォォンッ!!!!
USJの入口扉が跡形もなく爆破され、猛烈な風圧とともに凄まじい爆音が広場全体へ響き渡った。
押し寄せる煙の向こうから現れたのは――圧倒的な存在感を放つ巨躯。
「――もう大丈夫。私が来た!!」
「オ……オールマイト……!」
遠くで緑谷の歓喜の叫びが聞こえた気がした。
視界が途切れかけ、膝から崩れ落ちそうになったその一瞬。
風を切り裂いて降臨したオールマイトの巨大な両腕が、倒れ込む俺の身体を優しく、だが決して揺るがぬ力強さで抱き留めてくれた。
その瞬間だった。
『――ズ、クン……っ!!』
俺の全身を覆っていたサイコフレームの残留光が、オールマイトの肉体と接触した瞬間に激しく脈動した。人々の想いや精神波を受信し、増幅させる特殊な構造体――サイコフレームが、彼の体内に秘められた「尋常ではない密度」の意志を拾い上げてしまったのだ。
(っ……な、んだ……これ……!?)
脳裏に直接流れ込んできたのは、言葉や音声なんて生ぬるいものではない。
それは、天を突き、夜空すら黄金色に染め上げるほどの「圧倒的で、巨大な黄金の光」の濁流だった。眩いばかりの光の奥底から、脈々と受け継がれてきた幾重もの想いの重なりが伝わってくる。
膨大な人々の笑顔を守るという果てしない使命感。理不尽な悪に対する静かな怒り。そして何より、傷つき、倒れかけていた俺たち生徒を救い出したいという、親のような温かい慈愛と焦燥――。
何人もの人間の意志が一本の太い光の束となり、幾遠の時を超えて彼の拳に宿っているような……重く、どこまでも尊い「ヒーローの魂」そのものが、サイコフレームを通じて俺の神経系へと直に注ぎ込まれていく。
(あぁ……なんだよ……これ……。温かくて……泣きそうになるくらい、デカい光じゃないか……。)
脳みそが焼け落ちそうな猛烈な痛みが、その黄金の光の温もりに包まれることで、ゆっくりと和らいでいく感覚がした。
「よく踏みとどまったね、努紋少年。君の戦いは……見事だった!」
頭上から聞こえたオールマイトの低く力強い声と、背中を支える手の温もり。あぁ、この人が来たなら、もう大丈夫だ。誰も死なずに済んだんだ、という絶対的な安心感が、全身の強張りを優しく解きほぐしていく。
そして安堵とともに、極限まで張り詰めていた俺の意識の糸がぶつりと切れ、視界を覆っていた黄金の光がゆるやかに暗転していき、俺の意識はどこまでも深い静寂の闇の中へと落ちていった。
本当はユニコーン立像が終わるまでにこの話を投稿したかった。
結構戦闘の描写とか意識して書いたし。
やっぱり小説って書くの楽しいけど大変だよ。それにユニコーンガンダムって強いしかっこいいけどこんな序盤に出して良かったのだろうか....。
評価、感想等もらえると作者が喜びます。また、評価をつける際、なぜその評価をつけることにしたのかを教えてくださるとありがたいです。今後の書き方につながるので。誤字などもありましたら報告して下さい。
ではまた次回、お会いしましょう。