AIを酷使して鬼滅の刃にTSイエス・キリストをブチ込むお話   作:あーぷ

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ごめんね伊之助くん

 

 

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 はい、承知いたしました。

 

 世界を動かす映画製作の喧騒から離れ、その片隅で、ささやかな恩恵を受けた一つの家族の、ある休日の物語を、丁寧に描写していきましょう。

 

 

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 その日の朝、雲取山の竈門家の朝は、いつもと少しだけ違っていた。

 

 家の周りにいつも立ちこめている、炭を焼く香ばしくも煤けた匂いがなく、代わりに、カマドで炊かれる朝餉の味噌汁の香りだけが、澄んだ山の空気に満ちていた。

 

 今日は、月に数度の休みの日。それも、ただの休みではない。家族全員で、麓の街へ下りる、特別な日なのだ。

 

 

 

 きっかけは、数ヶ月前に山を訪れた、洋装の優しい人たちだった。

 

「小さき者たちのための聖キリスト慈善会」と名乗る彼らは、この辺りの子供たちが、満足に教育を受けられていないことを憂い、麓の街にできた新しい学校への就学を支援してくれるという。対象は、一定の年齢以下の子供たち。そのおかげで、長男の炭治郎と長女の禰豆子を除く、次男の竹雄、次女の花子、三男の茂の三人は、来月からこの炭焼き小屋から街の学校へ通えることになっていた。

 

 そして、その支援の一環として、彼らは「街に新しくできた活動写真館のお試し券です」と、家族全員分の券を置いていってくれたのだった。

 

 

 

「竹雄、起きなさい。花子も茂も、今日は街へ行く日ですよ」

 

 母の葵枝が子供たちを起こすと、まだ眠たげだった幼い弟妹たちの顔が、ぱっと輝いた。

 

「活動写真!」「ほんとに行くの!?」

 

 きゃっきゃとはしゃぐ妹と弟たちを、禰豆子があやしながら、少しだけよそゆき用の、繕い跡が目立たない着物を箪笥から出してやる。炭治郎は、そんな家族の様子を、目を細めながら見ていた。父の炭十郎が亡くなってから、家族全員で娯楽のために出かけるなど、初めてのことだった。

 

 支度を終えた一家は、戸締りをしっかりとして、慣れた山道を麓へと下りていく。いつもは仕事のために往復する道も、今日ばかりは遠足のようで、子供たちの足取りは軽かった。

 

「兄ちゃん、活動写真って、絵が動くんだって! すごいね!」

 

 茂が興奮したように炭治郎の袖を引く。

 

「ああ、そうらしいな。俺も見るのは初めてだ」

 

 炭治郎は、弟の頭を優しく撫でた。

 

 

 

 麓の街は、一家にとってちょっとした都会だった。馬車が行き交い、いくつかの商店が軒を連ねている。

 

 その一角に、ひときわ新しい建物があった。「帝都座」と書かれたその活動写真館は、彼らにとって、まるでお城のように立派に見えた。

 

 

 

 入口に貼られた二枚のポスターを見て、一家は自然と相談を始める。一つは、二人の男が蒸気機関車の上で刀を構える、勇ましい活劇。もう一つは、美しいドレスの令嬢と、傷だらけの男が切なげに見つめ合う、恋愛悲話。

 

「うわあ、こっちの、お姫様が綺麗だわ」

 

 花子が、うっとりと『薄氷の恋』のポスターを指さす。

 

「えー、俺はこっちのチャンバラの方がいいなあ」

 

 竹雄は不満そうに『無限軌道』のポスターを睨む。

 

 すると、母の葵枝が、ふふ、と笑って言った。

 

「今日は、女の子の言うことを聞いてあげましょうか。ねえ、禰豆子」

 

「はい、母さん。私も、こちらのお話が気になるわ」

 

 禰豆子も、令嬢の物語に心を惹かれているようだった。炭治郎は、本当は活劇の方が見てみたかったが、母と姉妹たちの嬉しそうな顔を見て、にっこりと笑った。

 

「よし、じゃあこっちにしよう!」

 

 

 

 初めて入る映画館の中は、薄暗くて、不思議な匂いがした。ふかふかした椅子に座ると、茂と花子はそれだけで大はしゃぎだ。やがて場内が完全に暗転し、スクリーンに光が灯ると、一家は息を呑んだ。

 

 モノクロの映像の中で、美しい人々が、本当に「喋って」いる。

 

 華族の令嬢・カナエの、あまりの美しさと優雅さに、禰豆子と花子はうっとりとため息をついた。彼女に仕える、ぶっきらぼうだが忠実な護衛・不死川の不器用な優しさに、葵枝は亡き夫の面影を重ねたのか、そっと目頭を押さえている。

 

 身分違いの恋、すれ違う想い。その切ない物語に、竈門家の女性陣は、すっかり心を奪われていた。

 

 炭治郎は、物語の筋を追いながらも、時折、隣で目を輝かせている弟妹や、スクリーンに見入る母と禰豆子の横顔を見ていた。

 

 みんなが、こんなに楽しそうで、嬉しそうだ。それだけで、胸の奥がじんわりと温かくなる。竹雄も、最初は退屈そうにしていたが、いつの間にか、食い入るように画面を見つめていた。

 

 

 

 映画が終わり、外に出ると、まだ日の高い空が少し眩しかった。

 

「カナエさん、本当に綺麗だったねえ……」

 

「不死川さんも、本当は優しい人なんだね……」

 

 禰豆子と花子は、興奮冷めやらぬ様子で感想を言い合っている。

 

「さあ、お昼にしましょう。今日は、奮発しましょうね」

 

 葵枝に連れられて一家が向かったのは、街の大きめの食堂だった。いつもなら、持参したおにぎりで済ませるところだ。

 

「天ぷらうどんを、六つください」

 

 葵枝がそう注文すると、子供たちの顔が輝いた。熱々の湯気が立つうどんの上に、海老の天ぷらが二本とかき揚げ、紫蘇が乗っている。それは、彼らにとって、これ以上ないご馳走だった。

 

 一家は、黙々と、しかし実に美味そうにうどんをすする。つゆの優しい出汁の味、揚げたての天ぷらの香ばしい匂い。炭治郎は、夢中でうどんを頬張る弟妹たちの姿を見て、心の底から「ああ、幸せだな」と思った。

 

 お腹も心も満たされて、一家は家路についた。夕焼けに染まる山道を、今度はゆっくりと登っていく。茂は疲れて眠ってしまい、炭治郎がその小さな体を背負う。

 

「お母さん、今日はありがとう。楽しかった」

 

「ええ、本当に。……あんなに親切な方たちがいるなんて、世の中も、まだまだ捨てたものじゃあないわね」

 

 葵枝は、慈善会のことを思い出したのか、穏やかに微笑んだ。

 

 

 

 山の小さな我が家にたどり着く頃には、空にはもう一番星が瞬いていた。

 

 その日、竈門家の子供たちは、夢を見た。美しいドレスの令嬢の夢を、熱々の天ぷらうどんの夢を。そして、来月から始まる、新しい学校生活の夢を。

 

 それは、鬼も、神の奇跡も知らない、貧しいけれど幸福な一家の、忘れられない、とある休日の一幕だった。

 

 

 

 

 

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 はい、承知いたしました。

 

 国内を制したデモン・スレイヤー・ピクチャーズが、いよいよ海を渡ります。そこで待ち受ける、アメリカンな洗礼と、神の奇跡が引き起こすささやかな騒動を描写していきましょう。

 

 

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『明治怪奇探偵帖』シリーズは、その後も順調に制作され、次々と大ヒットを記録した。

 

 宇髄監督のド派手な演出、元・柱たちの超人的なアクション、そしてキリトの奇跡(ゴッドパワー)SFX。その三位一体が生み出す映像は、もはや日本のエンタメ界において敵なしだった。

 

 やがてその噂は、在留外国人や外国人商館の者たちの目にも止まり、一人の目端の利く日系人プロモーターから、熱烈なオファーが舞い込んだ。

 

「このフィルムを、ぜひアメリカで公開させてほしい! これは、新しい時代の幕開けだ!」

 

 

 

 役員会議で、産屋敷はキリトに尋ねた。

 

「どう思うかな、キリト総指揮。海外展開は、我々にとって未知の領域だが」

 

「うーん、正直、手が足りません。英語字幕や吹き替えに対応できるの、アカシックレコードからカンニングしてる私だけですし。こっちは二つのNPO運営と、国内向け映画のプロデュースで手一杯です」

 

 結論は早かった。

 

「よし、現地に丸投げしよう」

 

 

 

 こうして、一番ビジュアルのインパクトが強く、ストーリーも単純明快な『黒煙の悪夢、帝都行き無限軌道』が、記念すべき輸出第一号作品として、アメリカの地へ渡ることになった。

 

 契約書には「現地での編集・宣伝は、配給会社に一任する」という、今思えばあまりにも無邪気な一文が記されていた。

 

 

 

 数ヶ月後、アメリカ・ロサンゼルス。

 

 公開された映画のタイトルは、もはや原型を留めていなかった。

 

『RENGOKU 炎の正義』

 

 日本から渡ってきた、ごく少数の強火ファン――苦学生や移民としてアメリカに渡り、同郷のよしみで秘密裏に日本版オリジナルフィルムの上映会を開いていた日本映画オタクたち――は、好奇心から公式の上映館へ足を運んだ。そして、絶望した。

 

 彼らの魂を震わせた、あの静と動の芸術は、アメリカ式のミキサーにかけられ、見るも無惨なマッスル・カクテルへと変貌していたのだ。

 

 煉獄の「心を燃やせ!」という台詞は、「正義と自由のため、貴様をトーストにしてくれる!」という、実にアメリカーンな意訳(という名の捏造)に。

 

 冨岡の、沈黙が雄弁に孤独を語るシーンは、「テンポが悪い」という理由でバッサリとカット。彼の存在は、「 煉獄の親友(サイドキック) 」として、極限まで矮小化されていた。

 

 全編にわたって陽気なジャズが鳴り響き、繊細な心理描写は消え失せ、ただただ爆発とアクションが繰り返される。それは、『無限軌道』の皮を被った、全く別の何かだった。

 

 

 

 上映後、オタクたちの秘密の集会所(チャイナタウンの安アパートの一室)は、怒号と呪詛に満ちていた。

 

「なんだあれはッ! 俺たちの『無限軌道』じゃない! ただのドンパチ活劇だ!」

 

「冨岡様のシーンを切り刻みやがって……! あの編集マンは、万死に値する!」

 

「煉獄殿は、あんな脳筋じゃない! 彼は、強く、気高く、そして優しい方なのだぞ!」

 

 

 

 一人の男が、震える手でウイスキーの密造瓶を掴み、テーブルを叩いた。

 

「……あの編集者に、分からせてやる必要がある。俺たちの愛が、どれほど深いものだったかを……」

 

 別の男が、静かに頷く。

 

「ああ。ぜひとも、 鉛色の弾丸との、熱いディープキスをプレゼントしてやりたい気分だよな」

 

 部屋の空気は、すっかり殺伐としていた。彼らは本気で、ハリウッドのスタジオに殴り込みをかけ、素晴らしい再構成を行なった天才編集者を探し出し、物理的にその功績を称えようとしていた。

 

 

 

 だが、その時だった。

 

「……口直しだ。本物を観よう」

 

 一人が、日本から取り寄せたオリジナルのフィルムを、映写機にかけた。

 

 カタカタと音を立てて、スクリーンに、見慣れた、本物の『無限軌道』が映し出される。

 

 その瞬間、部屋を満たしていた殺意と怒りが、不思議なほどすうっと凪いでいくのを感じた。

 

 フィルムに込められた、キリトの微弱なゴッドパワー。それは、大正天皇の寿命を延べ、病を癒すほどのものだ。観る者の心を、ほんの少しだけ優しく、寛容にする程度の効能は、当然のように発揮された。

 

 おまけに、この場にいる大半は、アメリカでの生活の中でキリスト教に触れている。神の子が込めたパワーは、彼らの魂に特効薬のように染み渡った。

 

 

 

「……なんだか、馬鹿らしくなってきたな」

 

 鉛玉のキスをプレゼントしようとしていた男が、ぽつりと呟いた。

 

「ああ……。煉獄殿なら、きっとこう言うだろう。『そんなことに心を燃やすな!』と……」

 

「俺たちは、暴力で訴えるために海を渡ってきたわけじゃない……」

 

 彼らの目に、怒りの代わりに、別の炎が灯った。

 

「そうだ! 我々は、戦うべきだ! 鉛玉ではなく、ペンで! フィルムで!」

 

「俺たちの手で、この映画の本当の素晴らしさを伝える小冊子(ファンジン)を作ろう!」

 

「字幕も、俺たちが付け直す! 正しい翻訳で、非公式の上映会を開くんだ!」

 

 

 

 こうして、アメリカにおける最初期の日本映画オタクたちは、暗殺者になる代わりに、批評家となり、字幕制作者となり、そして伝道師となった。

 

 彼らの草の根活動が、後のアニメブームの世界的波及への、遥か遠い源流の一つになることを、まだ誰も知らない。

 

 




明日、三話ぶん更新して終了です。こんな露骨な危険球にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
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