ありふれない傭兵は火を点ける   作:白2野1威

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前回からだいぶ時間が、かかってしまった。
夜勤だったり、このキャラはこう言うのかなとか考えるのが大変でした。一応個人的な目標として今年までにオルクス迷宮の攻略まで書きたいのですが無理かもと思う今日このごろ。

というわけで今話も楽しめたら幸いです、よろしくお願いします。


Chapter1−5 少し謹慎、そして月下の語らい

『どうも皆さん、エアです。今レイヴンは、牢屋の中で謹慎中です』

 

「誰に話してるんだ? エア」

 

突然、レイヴンは牢屋の中で謹慎中と困惑したかも知れないが、前回レイヴンは檜山達を制裁(ボコ)った結果、ハジメにリンチをした檜山達と共に数日の間、牢屋で謹慎しているのである。

 

『レイヴン、何故自ら牢屋の中に入ると言ったのですか? 今回の一件はハジメをリンチした檜山達だけを、牢屋に入れれば良かったと思うのですが・・・、メルド団長も、入る必要は無いと言っていたのに・・・』

 

(そうかも知れないけど、天之河が言っていた様に私は勝手に檜山達に私刑をした事実に変わりは無いから・・・)

 

『全くレイヴンは・・・。それにしてもあの天之河 光輝という人間は変な人です・・・。ハジメの大怪我を見て、白崎 香織が治した後に「檜山達がハジメを連れ出したのは戦闘訓練に来なくなって、努力が足りないハジメを強くするため、善意で自主的に訓練を手伝ったいたのに、レイさんが邪魔した挙句、怪我を負わされた檜山達は悪くない! 南雲達が悪い!」と聞いた時は私自身の耳を疑いました・・・』

 

(私もそれを聞いた時、自分の耳を疑ったわ・・・)

 

天之河がハジメやレイに対して、あまりにも酷い言いがかりをされて、その場に居たレイだけでなく、ハジメや白崎、そしてメルド団長達も引いたのである。

 

(今回の天之河の私達の対する言いがかりでわかったわ・・・。アイツ、私だけじゃなくハジメの事も嫌っているわね。私自身はアイツに嫌われる理由は色々あるけど、ハジメの事を嫌う理由なんてあったのか?)

 

『ハジメの事を嫌う理由は、天之河 光輝に聞いた方が早いと思いますが、一体どんな一言が返ってくるやら・・・。 もしかしてハジメのイジメを黙認していたのは、彼があのイジメの主犯格だったのでは?』

 

(もしくは、アイツはハジメのイジメを、イジメだと認識していない・・・とか?)

 

『アレは誰がどう見てもイジメです。もし本当にイジメと認識していなかったら、彼の頭はどうかしています・・・』

 

(今はもう天之河の事を考えるのはよそう。考えれば考えるほど、頭がおかしくなりそう・・・)

 

考えるのをやめて、おとなしくしていようとした時。

 

「お前達、今起きているか?」

 

メルド団長が来たのである。

 

「メルド団長? どうしたのいきなり?」

 

「お前達、もう出て良いぞ。 これから光輝達にも話があって、伝えないといけない事があるからな」

 

こうしてレイと檜山達の謹慎は解かれ、牢屋を出られたのである。

 

ハジメやクラスメイト達が集まった後、メルド団長が告げる。

 

「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ! まぁ、要するに気合入れろってことだ! 今日はゆっくり休めよ! では、解散!」

 

どうやら明日、【オルクス大迷宮】とやらで実戦訓練があるらしい。

 

(面倒な事が起こらなければ良いけど・・・)

 

 

 

 


 

 

 

 

【オルクス大迷宮】で訓練するため、【宿場町ホルアド】で宿泊することになった。新兵訓練によく利用するようで王国直営の宿屋があり、私達はそこに泊まる。

 

その一室でレイ達は会話をしていた。

 

「姉さん、この前はごめん・・・」

 

「どうしたのいきなり? 何でハジメが謝るのよ」

 

「あの時、僕が姉さんの忠告を聞かずに一人で行ったせいで、姉さんが牢屋で数日いる事になったから・・・」

 

「気にしなくていい。それより私が牢屋にいる間、大丈夫だった? あの三下共以外に嫌がらせとか無かった?」

 

「それは大丈夫、天之河君がちょっかい掛けること以外はほとんど近寄って来なかったから」

 

「天之河以外は近寄って来なかった?」

 

「たぶん、檜山達の惨状を見て、僕に何かあったら、姉さんから何かされると思って、近寄らなかったんだと思う」

 

それを聞いたレイは、少し複雑な気持ちになった。

レイが暴れたせいで、ハジメを孤立させてしまった事に少し罪悪感を覚えた。

 

そんなレイの心中を察したのかハジメは。

 

「姉さんのせいじゃないよ。元々僕はあのクラスで孤立していたようなものだし」

 

「色々言いたいけどわかったわ、これ以上は何も言わない。さて、明日に備えて今日はもう・・・」

 

寝ようと言いかけた時、ドアをノックする音が聞こえた。

レイは素早く、ドアに近づく。

 

「誰だ・・・」

 

「レイさん、白崎です。ハジメ君とレイさんに少し話したい事があって来ました。入っても大丈夫ですか?」

 

声の主は白崎 香織であった。

 

「わかった、今開ける」

 

レイがドアを開けるとそこには純白のネグリジェにカーディガンを羽織っただけの香織が立っていた。

 

「何の冗談よ・・・」

 

「え、何かありました?」

 

「直ぐに部屋に入って」

 

レイは白崎を部屋に招き入れた。

 

「白崎さん?どうし・・・ってなんでやねん」

 

「なんでやねん? どうしたのハジメ君? レイさん?」

 

「どうしたも何も、何でそんな格好で出歩いてるのよ。いくら王国直営の宿屋だからって、そんな格好で歩いたら悪意を持った誰かに襲われてもおかしくなかったわよ」

 

「大丈夫でしたよ。とくに他に起きてるような気配?とか無かったと思いますし・・・」

 

白崎自身の格好の危機感が足りないと思ったレイだが、とりあえず話しとやらを聞こうとする。

 

「色々説教したいところだけどもういいわ。で・・・話したい事って何?」

 

「明日の迷宮なんですけど・・・ハジメくんとレイさんには町で待っていて欲しいと思って。教官達やクラスの皆は私が必ず説得します。だから! お願いします!」

 

話している内に興奮したのか必死に懇願する白崎。ハジメやレイは困惑する。低ステータスのハジメだけならともかく、皆で一番ステータスが高いレイも待っていて欲しいと、二人は首を傾げた。

 

「何でそんなお願いをしようと思ったの? ハジメは低ステータスだからわかるけど、高ステータスの私も待っていて欲しいのはどうしてなのよ?」

 

「それは、なんだか凄く嫌な予感がしたんです。さっき少し眠ったんですけど・・・夢をみて・・・ハジメ君とレイさんが居て・・・声を掛けても全然気がついてくれなくて・・・走っても全然追いつけなくて・・・それで最後は・・・」

 

その先を口に出すことを恐れるように押し黙る白崎。レイ達は、落ち着いた気持ちで続きを聞く。

 

「「最後は?」」

 

白崎はグッと唇を噛むと泣きそうな表情で顔を上げた。

 

「・・・消えてしまうんです・・・」

 

「・・・」

 

「・・・そっか」

 

しばらく静寂が包む。

 

再び俯く白崎を二人は見つめる。

 

(嫌な夢を見た・・・か。夢なんて所詮夢だから大丈夫だと、言うのは簡単だけど。こういう予感というのは当たってしまうなんて事はあるかも知れない・・・)

 

レイは心の中で、白崎が言った嫌な予感を考えた。こういう予感な時ほど、嫌に当たることがあるからである。しかし、嫌な夢を見たという理由で待機が許可されるとは思えない。許された場合はクラスメイトから批難の嵐だろう。そんな事をすれば本格的に南雲姉弟の居場所を失う。故に、レイとハジメに行かないという選択肢はない。

 

「夢は夢だよ、白崎さん。今回はメルド団長率いるベテランの騎士団員がついているし、天之河君みたいな強い人も沢山いる。むしろ、うちのクラス全員チートだし。そして何より一番強い姉さんもいるから大丈夫だよ」

 

「そうよ、今回はメルド団長達が全力でサポートをしてくれるから余程の不測の事態が起こらない限り安全よ。それに私とハジメは数日前の事もあって下手に不参加はできないからどの道、待機は許してもらえないわ」

 

語りかけるレイとハジメの言葉に耳を傾けながら、なお、白崎は、不安そうな表情で二人を見る。

 

重い空気の中、レイはふと思い出した事があった。

 

「そういえば、変な事を聞くけど異世界召喚されたあの日、戦争に参加するかしないかの話の時に、白崎は何であの時、反対したの? 私の勝手なイメージだけど、アンタは八重樫も参加すると言った時、てっきり「私も参加するよ」と言うかと思ったのよ」

 

「え? 私は皆が傷ついて欲しくなくて反対をしたんですけど」

 

「そう白崎が思う何かが、アンタにはあったと私は思った。改めて聞く、どうしてなの?」

 

真っ直ぐ白崎の目を見ながら質問する。

 

「・・・レイさん、ハジメ君、私と雫ちゃんが初めて会った時の事を覚えてますか?」

 

「僕は覚えてるよ。あの出来事はとても忘れるような内容じゃないし」

 

「私も覚えてるわ。ハジメが誰かに見られている気がすると聞いて、あの日、アンタ達を私が捕まえたんだから」

 

「ファミレスまで行って話し合いしていた時に、不良達に絡まれて、ハジメ君が私達を庇おうとしたけど、レイさんが一人で追い払ったんですよね」

 

3人は出会った時を思い出す。

 

「でもそれがどうかしたの?」

 

「不良達を追い払った後、ファミレスで食事をさせてもらって、会話していた時、レイさんが「平和な国で、平和な時代で暮らすのはとても良い。戦争は無いのが一番良い・・・」って何処か遠くを見ながら言ってたのを思い出して」

 

「よ・・・よくそんな事覚えていたわね・・・」

 

香織にレイが言った一言を言われて、少し恥ずかしさを覚えた。

 

「それにレイさんが戦う時は決まって、ハジメ君の為だったり、レイさんの友達が怪我をさせられそうになった時以外、無闇に暴力を振るったりはしない人だって、見ていて思いました」

 

「い・・・言っておくけど、余程の事をしてない限り、私は最初は必ず、話し合いで解決しようとするわよ・・・本当よ・・・」

 

「怖い所はあるけど、優しいレイさんやハジメ君、雫ちゃん達を人殺しになって欲しくないって思ってあの時は反対したんです」

 

「・・・」

 

あの時、香織が反対した理由を聞いてレイは・・・。

 

(知らないとは言え、こんな私にそう言ってくれるなんてね・・・)

 

もはや、血と硝煙、企業の策謀が絡み合う、ルビコンでの資源戦争を知る者は、世界で私とエアのみ。

 

(私達は、自分の目的の為に多くの人間を殺した。)

 

仕事で敵対した者は勿論、戦場を共にした者、そして私を支えてくれた支援者(ハンドラー)さえも・・・。

 

(今の私を、ウォルターが見たら何て言って・・・いや無いな。あの人を裏切った私に言うことなんて・・・)

 

ハンドラー・ウォルター。厳密に言えば、私がウォルターを殺したわけじゃないけど、脳を焼かれて、AC(アーマード・コア)操縦以外の機能が死んでいた私を買い、仕事の為以外にも支えてくれた人。

そんな人を私は、ある可能性を信じて裏切った。

 

最後、あの人には何も言えなかったけど、もし言えたら・・・。

 

「姉さん、どうしたの?」

 

「レイさん、大丈夫ですか?」

 

黙ってしまったレイを心配するハジメと香織。そしてレイはというと。

 

「あ~あ、辛気臭い話をしすぎちゃったから外の空気を吸いたくなってきた。ちょっと外に出るわね」

 

「ええ!? 姉さん、急に何を・・・!?」

 

「白崎、ちょっと耳を貸しなさい」

 

「え? あっはい!」

 

そう言い、レイは香織に耳打ちをする。

 

(白崎、ハジメに伝えたい思いがあるなら今のうちに言っておきなさい)

 

(レイさん!? いきなり何を・・・!)

 

(好きなんでしょ?、ハジメのことが)

 

「ええ!?」

 

「どうしたの二人とも!?」

 

「何でもない、ハジメは待ってなさい」

 

驚く香織とハジメをよそにもう一度レイは香織に耳打ちをする。

 

(普段からアンタのハジメに対する態度を見てたら、恋愛が興味の無い私でもわかるわ。だから伝えたいなら今伝えなさい)

 

(ええ!? でも急にどうして・・・?)

 

(明日何か起こるか、わからないから、ハジメに言うだけ言いなさい)

 

そして最後、レイは香織に言う。

 

(伝えないまま後悔するより、伝えて後悔しなさい。もし私だったらそうする・・・)

 

(レイさん・・・)

 

(あっ、でもアンタにもう一つ言っておく、私がいない間にハメ(・・)外すような真似、するんじゃないわよ・・・)

 

(・・・!? はい、わかりました!?)

 

「良しっ! じゃあ私は外の空気吸ってくるから私が戻るまで二人は待っていなさい」

 

「姉さん!? ちょっと待っ・・・!?」

 

止めようとするハジメを無視してレイは部屋から出た。

 

『レイヴン、ただ外の空気を吸いに行くわけじゃないですよね?』

 

(ええ、外に出てもう一人、言っておかないといけない奴がいるからね・・・)

 

そしてレイはある人物に伝えるために歩き出す。

 

 

 


 

 

 

「何で・・・何でアイツのいる部屋に香織が・・・」

 

緊張のせいか中々寝付けずにいた檜山は、トイレついでに外の風を浴びに行った。涼やかな風に気持ちが落ち着いたのを感じ部屋に戻ろうとしたのだが、その途中、ネグリジェ姿の香織を見かけたのだ。

 

気になって後を追うと、香織は、とある部屋の前で立ち止まりノックをした。その扉から出てきたのは……レイだった。

 

それはつまりハジメのいる部屋でもあったのである。

檜山の頭の中は真っ白になった。自分では釣り合わないと感じ、光輝が相手だったら、所詮住む世界が違うと諦められた。

 

しかし、ハジメは違う。自分より劣った存在が香織の傍にいるのはおかしい。それなら自分でもいいじゃないか、と端から聞けば頭大丈夫? と言われそうな考えを檜山は本気で持っていた。

 

そう頭の中で檜山が考えていたその時。

 

「おい、檜山・・・」

 

「!? お前は・・・南雲レイ・・・!」

 

レイが檜山に話しかけてきたのである。

 

「外の空気を吸いに来た者同士、少しお話しない?」

 

「・・・!? わ、わかりました・・・」

 

数日前にレイに手酷く制裁(ボコ)られた檜山は彼女の言うことに逆らえず、お話をすることになったのである。

 

 




今話は如何でしたか?。
ちょっと香織を告らせる展開は強引だったかな〜?とかあったかも知れませんが後の展開に必要なので月下の日に告らせようと思います。

ハジメの答えは、レイが檜山にお話する内容は何なのかは次回で。

次回も気長に待ってくれたら幸いです。
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