エレンの妻です   作:ホワイト3

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29:壁の上から

「はっ!」

 

 地を舐めるような低空飛行でナナバは巨人の足元へ肉薄した。アンカーが石壁を穿つ刹那、反転する勢いのままに超硬質ブレードを閃かせ、分厚いアキレス腱を断ち切る。巨躯がぐらりと傾いだ。

他の巨人共の伸ばされる腕を紙一重で躱しながら、彼女は塔の上階へ向けてガスを噴射し、同僚へ叫んだ。

 

「足は削いだ!ゲルガー、後は頼む!!」

 

「おらぁぁぁ!!!」

 

 獣じみた咆哮と共にゲルガーが空から襲いかかる。体重の全てを乗せた両の刃が巨人のうなじの肉を骨ごと断ち割った。12m級の巨体はもはや呻き声を上げる間もなく轟音と共に地面へ崩れ落ちた。

 

「はぁ……はぁ……あらかた片付いたようね」

 

 ナナバは塔の最上階、胸壁の上に降り立ち、肩で激しく息をしながら呟いた。すぐ隣に、同じく息を切らしたゲルガーが着地する。

 

「ああ……こっちもブレードの替えが尽きた。ガスもギリギリだ。一旦打ち止めだな」

 

「ゲルガー、もう少し刃を労わりなよ。叩きつけるばかりじゃすぐに」

 

「これが俺のやり方なんだよ。それより……祝杯だ!こんだけ巨人を狩りまくったんだ、景気づけに一杯やろうぜ!」

 

 目を輝かせながら言うゲルガー。おそらく昨晩飲めなかった酒瓶のことを言っているのだろう。

 

「遠慮しておくわ。夜通し動きっぱなしだったしね。私は少し休ませてもらう」

 

「へっ、後で欲しがっても残しといてやらねーぞ!」

 

「……ふふ、本当にタフね。少し羨ましいくらいだよ」

 

 元気良く階下へ向かう背中にナナバは呆れたように小さく息をついた。しかし彼の底抜けの豪胆さのおかげで、張り詰めていた神経がいくらか和らいだのも事実だった。

 

「リーネ、念のため救援の狼煙を上げておいて。ヘニングは新兵達をここに。屋上が一番安全だろうから」

 

「了解」「承知した」

 

 塔という立体機動に適した地形にも助けられ、彼らは塔を破壊しかねない大型の巨人を辛くも全て討ち果たしていた。今は比較的小型の巨人だけが、獲物を求めるように塔の周囲や下層階に群がっている。

 

 残る巨人も殲滅したいところだが、ガスも刃も尽きた今それは叶わない。古城内部に築かれたバリケードが持ちこたえている間に、本隊の増援を待つ他なかった。

 

「馬さえ無事だったら、誰かが救援を呼びに行けたのにね……」

 

 リーネが空へ赤い煙を放ちながら、悔しそうに呟いた。

 

「仕方ないさ。命があっただけ儲け物だと思わないと」

 

「……そうね。でも……あの『獣の巨人』は一体何だったのかしら」

 

 戦いの興奮が冷め、冷静さを取り戻したナナバの脳裏にも、あの異様な巨人の姿が焼き付いていた。

 

「奴は明らかに私達の馬を狙って壁の上から岩を投げてきた。それにあのタイミングで、他の巨人達が一斉に壁際から接近してきたのも不自然すぎる。おそらく奴もアニ・レオンハートと同じ『知性』を持つ巨人……そう考えた方が自然じゃないかしら?」

 

「可能性は高そうね……。もし奴が投石を続けていたら、私達は全滅していたかもしれない」

 

 まさに薄氷を踏むような戦いだった。振り返ってみてもよくぞ生き残れたものだと、ナナバは乾いた笑いを漏らす。あの獣の気まぐれか、あるいは別の目的があったのか……いずれにせよ、今は感謝するしかない。

 

 やがてヘニングに連れられて、恐怖と疲労に顔を強張らせた新兵達が屋上へと上がってきた。その中に即席のギプスで腕を吊っているライナーの姿を見つけ、ナナバは事情を尋ねた。聞けば塔内でコニーへ襲いかかった巨人に咄嗟に自らの腕を噛ませて庇ったのだという。

 

 104期の新兵は優秀だと聞いてはいたが、これほどの覚悟と自己犠牲の精神をこの若さで既に身につけている者がいようとは。驚きと、それ以上の敬意が湧き上がった。

 

「うちの先輩(ゲルガー)にも見習ってほしいくらいだね……」

 

 視線の先では、ゲルガーが空になった酒瓶を逆さにし、最後の一滴までも飲もうと必死に振り回していた。リーネやヘニングもその光景を呆れたような、しかしどこか微笑ましげな目で見つめている。

 

 そうこうするうちに東の空が白み始め、柔らかな朝の光が古城を照らし出した。

 ナナバは冷たい石壁に背を預け、大きく伸びをする。巨人との死闘に没頭するあまり、休息を取ることすら忘れていた。蓄積された疲労が今になって全身にのしかかってくる。

 

「新兵の皆、よくぞ生き残った。本当に……何よりだ!特にライナー……恐怖と混乱もあっただろうに、咄嗟に己を盾として仲間を守るなんてね。その覚悟と判断力……君は兵士の鑑だ。君のような若者が調査兵団にいる限り、人類の希望は潰えていないと強く思えるよ」

 

 心からの称賛を込めてナナバが告げるものの、ライナーはどこか上の空といった様子で短く返事をした。

 

「やったね、ライナー。これで昇進間違いなしだよ!」

 

 クリスタが隣で囁くと、ライナーはようやくはっとしたように生気を取り戻した。

 

「他の皆もこの極限状況の中、本当によく耐えてくれた。今日行う予定だった壁の穴の特定調査は本隊と合流してから改めて行う。いや……下にまだ巨人がいる以上、今は籠城を続けるしかない、と言う方が正しいか。どちらにせよ今はひとまず身体を休め、英気を養ってくれ」

 

「あ、あの!よろしいでしょうか!少し気になることがありまして!」

 

 不意にコニーが恐る恐るといった様子で手を挙げた。

 

「うん?どうしたんだい、コニー?」

 

「……気のせい、かもしれないんですけど……塔の下にいる巨人達になんだか見覚えがあるような気がして……」

 

 ナナバの背筋に冷たいものが走った。あれほど騒いでいたゲルガーもいつの間にか酒瓶を手放し、固唾を飲んでコニーの言葉の続きを待っている。

 

「どういうことだ、コニー?昨日のお前の話と……何か関係があるのか?」

 

「わかりません……ただ、さっきまでは暗かったし、俺自身パニックになってたから気付かなかったんですけど……今、下にいる奴らの顔をよく見ると……俺の故郷の村の奴らに似てるような気がするんです」

 

「……ラガコ村で君が目撃したという巨人も、君の母親に似ていた……そう言っていたね?」

 

 ナナバの確認にコニーがこくりと頷くと、ナナバとゲルガーは互いの顔を見合わせた。言葉はなくとも、同じ疑念に至ったことは明らかだった。

 

「……コニー。その話、後でハンジ分隊長に報告しよう。もしかしたら……君の話は巨人の謎を解く重要な鍵になるかもしれない——」

 

「あ、あれは!見ろ!救援に来てくれたんだ!」

 

 ナナバの言葉を遮り、ライナーが北東の方角を指差して叫んだ。見れば地平線の彼方から土煙を上げ、多数の馬がこちらへ向かってくる。調査兵団の旗が見えた。程なくして到着したハンジ率いる本隊によって、古城に残っていた巨人は瞬く間に殲滅された。

 

 こうしてウトガルド城での絶望的な夜は明け、巨人との戦いは再び人類の勝利に終わった。しかし生き残った兵士達の心には勝利の安堵よりも遥かに重い疑念と、未知の脅威――獣の巨人、そして巨人の正体への底知れぬ不安が暗い影を落としていた。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 外界から100年もの間、時が止まった未開の地――はっきり言って、私はこの壁内文明を下に見ていた。実際に足を踏み入れてみれば、私がマーレにいた当時ですら骨董品だったような代物を人々が日常的に使っている有様で、その原始的な暮らしぶりに唖然とした。

 

 電気の恩恵はなく、夜の闇を照らすのが未だ松明やガス灯だというのだから馬鹿げているとしか言いようがない。

 

 何より、あの臆病な王に付き従った腰抜け共が築き上げた世界など大したものであるはずがないと、高を括っていた。

 

 しかしウトガルド城で見せた兵士達の巨人討伐の様を目の当たりにして、その評価を一部改めざるを得なかった。

 

(……凄まじいな。人間が巨人と渡り合えるものなのか)

 

 人の身で巨人に打ち勝つなど壁外の常識ではあり得ない。だが目の前で繰り広げられたのは、さほど大型ではないとはいえ、生身の人間がちっぽけな刃だけを手に、巨人の弱点であるうなじを的確に削ぎ落としていく現実だった。

 

 壁外の固定観念に凝り固まっていた私にとって調査兵団の戦闘技術――立体機動は既存の世界観を根底から揺るがすほどの衝撃であった。

 

 この閉鎖された島の中で、人類は独自の進化を遂げていたのだ。

 

 ウトガルド城にて巨人を殲滅した調査兵団は、なおも巨人の脅威が残る地上を避け、壁上へ退避することになった。

 巨大な壁の麓までたどり着き、これから壁を登るというまさにその時、私は隣を歩くリヴァイに思わず声をかけた。内心の不安と焦りが、皮肉めいた言葉となって口をついて出る

 

「兵長。まさかとは思うが、あんな風に空を飛び回りながら剣を振り回す真似、強要したりはしないだろうな?正直、できる気が微塵もしないぞ?」

 

「無駄口を叩くな。お前に兵士としての戦力なんてハナから期待してねぇよ。後ろがつかえてんだ、分かったらさっさと登れ」

 

 このチビが。苦々しい思いを悟られぬよう、心中だけで毒づく。

 

 この男は巨人化学の副産物たるアッカーマン一族のミカサをも凌ぎ、『人類最強』の異名を欲しいままにしているのだ(この男自身もアッカーマンの血を引いていると疑ってはいるが、今は確かめる術がない)

 下手に逆らえばどうなることか。先の立体機動も加われば、まず間違いなく私の(アギト)では奴に勝てまい。

 

 気を取り直して私は先ほど叩き込まれた立体機動装置の操作方法を必死に脳裏で反芻する。理屈と構造は理解できた。ガス圧でワイヤーを射出し、巻き取ることで推進力を得る。腰の装置で姿勢を制御する……頭では分かっている。

 だが、50mもの壁を登るという現実を前に、成功するイメージよりも墜落する恐怖の方が遥かに強く心を支配していた。

 

 不甲斐ないとは思いつつも、私はリヴァイへ縋るような視線を送ってしまった。

 

「本当に……やらなければ駄目か?」

 

「テメェが言い出したことだろうが。『身体で覚えた技術は人格が変わってもそう簡単には忘れないはずだ』と。現に『できねぇ』と言っていた癖に馬には普通に乗れたじゃねぇか」

 

「乗馬とこれは次元が違うだろ……それに、資源の無駄遣いも気になるな。伝承に聞く氷爆石を、こんな非効率極まりない対巨人兵器の動力源に使うなんて正気の沙汰じゃない」

 

「いいから、とっととやれ」

 

 リヴァイの冷たい一言が、私の言い訳を容赦なく断ち切った。

 

 舌打ちをぐっと堪え、覚悟を決めてアンカー射出のトリガーを引いた。

 鋭い金属音と共にワイヤーが壁面を穿ち、固定される。巻き取りレバーを握りしめると、ふわりと身体が宙に浮いた。

 

「うわわわわっ!」

 

 意図しない浮遊感に悲鳴が漏れる。ガス噴射の加減が掴めず、身体が振り子のように左右に揺さぶられた。壁面に叩きつけられそうになるのを必死に堪え、慌てて逆方向へガスを噴射する。今度は勢いがつきすぎ、空中で無様にもんどりうった。眼下に広がる地面が急速に迫り、全身の血が凍りつく。

 

(落ちる――!)

 

 恐怖に目を閉じた瞬間、不意に身体が安定した。恐る恐る目を開けると、アンカーが壁にしっかりと食い込み、身体を支えている。どうやら無意識のうちに体勢を立て直していたらしい。

 

 ジルケ・シュタイナーとしての『私』が身体に刻み込んだ技術の残滓か、あるいは単なる幸運か。

 激しく打ち鳴らす心臓の音を聞きながら、安堵と混乱が入り混じる中、改めて壁を見上げる。頂上はまだ先だ。下からはリヴァイの呆れたような視線を感じる。

 

(……やるしかない)

 

 壁を蹴り、ワイヤーを巻き取っていく。風を切る感覚、眼下に広がる景色。それは恐怖であると同時に、今まで味わったことのない奇妙な高揚感をもたらした。まるで鳥になったかのような気分だ。

 

 これが壁内の兵士達が見ている世界か。彼らが『自由の翼』と呼ぶものの片鱗に触れた気がした。

 

「……最低限の立体機動はできるみたいだな。もっとも、それで俺から逃げ切れるとは思わない方がいい。追いかけっこなら俺も得意なんでな」

 

 ようやく壁上にたどり着くと、私より後から出発したはずのリヴァイが息一つ乱さずに既にそこに立っていた。その化け物じみた速さに、改めて戦慄を覚える。

 

「もし落ちていたらどうするつもりだったんだ?」

 

「巨人の力で勝手に治るんだろ」

 

「……兵長は手厳しいな。エレン・イェーガーの時は、彼の身を随分と案じていたと聞いたが。私にもその思いやりを少しでも分けてはもらえないものかな?」

 

「テメェとエレンとでは状況が違う。俺はまだ、お前が裏切る可能性は十分にあると考えている」

 

「裏切るわけがないだろう。壁内で同士討ちをしているほどエルディア人(われわれ)に時間は残されていないのだぞ?」

 

 その疑念に満ちた視線に私はわざとらしく肩をすくめてみせる。

 

「少しは信用したらどうだ?あんたら『壁内人類』には知り得ない情報を提供したし、今後も貢献していくつもりだぞ?私だってな、同胞くらいには優しく接したいと思っているんだ」

 

「当の本人が人命を耳クソほどにも考えていねぇ口ぶりなんだ。信用できるわけねぇだろうが。お前のような人間は、地下街で腐るほど見てきた。目的のためなら手段を選ばねぇ……そういうツラだ」

 

「勝手に分かった気になるなよ。兵長、あんたモテないだろ?」

 

「……分かるさ。モテたことくらい、ある」

 

 語尾が尻すぼみになっていくのが見て取れ、思わず吹き出しそうになるのを必死で堪えた。張り詰めた空気の中でほんの少しだけ気が紛れる。

 

 案外、この男をからかうのは面白いかもしれない……命懸けではあるが。

 

「ま、その真偽は後で確かめさせてもらうとしてだ。今はあの子の身柄を確保するのが先決だろう。彼女はどこにいる?」

 

 リヴァイが忌々しげに舌打ちし、顎をしゃくった。その先では丸坊主の少年や長身の青年二人組と話している金髪の少女の姿があった。装備を身に着けていない様子を見るに、彼らが先刻までウトガルド城で籠城していた104期新兵達に違いない。

 

「金髪碧眼の小柄な少女……確かにニック司祭から聞いた特徴と一致する。あの子がクリスタ・レンズ――いやヒストリア・レイスか……」

 

 ついに見つけた。長年探し求めてきた王家の血を引く末裔。革命軍の、いや大陸に残された全てのエルディア人の悲願が、今目の前にいる。

 その事実に抑えきれない感情が込み上げてきた。視界が急速に滲み、熱いものが頬を伝うのを感じる。

 

「そうか……あの子が王家の……」

 

「何泣いてやがる。気色悪ぃ」

 

「……お前らには分かるまい。我々革命軍がどんな思いで王家の末裔を探し続けてきたのか……!」

 

 私は袖で乱暴に涙を拭い、長年の無念と、今ようやく掴んだ希望を込めて、ぽつりと吐き出した。

 

 この少女を守らねばならない。マーレの手に渡すわけにはいかない。エルディアの未来のためにも。

 

 そこへ駐屯兵団の先遣隊が壁上まで駆けつけ、調査兵団と合流した。彼らの報告によると――壁のどこにも巨人が侵入した痕跡、つまり破壊された箇所が見つからなかったという。

 

(巨人化薬を打って回るなど、人手も必要だし露見のリスクも高いしで現実的ではない。やはり……ガス兵器は完成したと見るべきか?)

 

 方法は未だ不明だが、マーレ軍がここウォール・ローゼ内部まで侵攻、あるいは干渉しているのは明白だった。いや、既にウォール・シーナへと新たなスパイが紛れ込んでいるかもしれない。早急に対策を講じなければ、壁内は内側から崩壊する。

 

「兵長、鎧や超大型の正体を兵団はまだ何も掴めていないという認識で本当に間違いないのか?アニ・レオンハートと同郷の者が紛れ込んでいないか調査していると、分隊長殿から聞いたが」

 

「残念ながらそこまで手は回ってねぇ。誰かさんがストヘス区で盛大に暴れ散らかしたおかげで、人員がそっちに割かれちまったんでな」

 

「ならば急いだ方がいい。マーレ軍と鎧・超大型の本体が接触すれば、エレン・イェーガーが『始祖』を持っているかもしれないことが本国に筒抜けになる。そうなれば獣や車力がしゃしゃり出てくる可能性が高い。壁の穴どころの騒ぎではなくなるぞ」

 

 リヴァイが大きく舌打ちする。彼も事態の深刻さは理解しているのだろう。

 

「相変わらずクソみてぇな状況だな」

 

「民族存亡の危機だと何度も言っただろう?」

 

「……危機感を煽ることに関しちゃ、テメェの右に出る奴はいねぇだろうな」

 

「褒め言葉として受け取っておくよ……ま、個人的な見解を述べるとだ。仮に鎧や超大型がこの場にいたとしても、おいそれとエレンを連れ去ったりはしないだろう。本国の部隊と合流できるかもしれぬ絶好の機会だ。普通の人間なら下手に動いて危険を冒したりはしない」

 

「だが、ふざけた野郎なら話は別だろ」

 

「まあ……な」

 

 ふざけた野郎……か。私はちらりと己の手の甲を見やる。

 

 別人格である「ジルケ・シュタイナー」は、自分の巨人能力が周囲に露見するリスクを厭わず、知人の命を奪った女型を討つという衝動的な選択をした。早くから王家の血筋に目をつけ、どういうわけか調査兵団の機密事項にまで精通していたはずの人間が、だ。

 

 それまでの抜け目のない振る舞いからは考えられない、理解不能な行いだ。その衝動に駆り立てた何かが、きっと彼女の中にあったのだろう。

 

 そして、敵が――鎧や超大型が、そういう冷静さを欠いた精神状態にならないという保証はどこにもないのだ。

 

(ジルケ・シュタイナー、お前は一体何を考えて――)

 

 そこまで考えた、まさにその時だった。すぐ傍で雷光が迸り、凄まじい轟音が響き渡った。

 

 吹き荒れる突風と粉塵に壁から吹き飛ばされそうになった私を、リヴァイが腕を掴んで引き戻す。その小さな身体からは想像もつかない力だった。

 

「下がれ!奴らが巨人化した!狙いはエレンだ!」

 

 リヴァイの叫び声が耳をつんざく。煙と風に目が霞む中、視線の先には壁上にその巨躯を出現させた鎧の巨人と超大型巨人の姿があった。壁の一部が衝撃で砕け散り、破片が雨のように降り注ぐ。

 

 鎧は既にエレンを掴み、その硬質な身体で壁を滑り降りながら逃走を図っている。

 その傍らで超大型巨人は、薙ぎ払うように巨大な腕を振るい、壁上の調査兵達を吹き飛ばそうとした。

 

 もっとも調査兵達には愚鈍な超大型の攻撃は当たらなかったが――それは陽動だった。超大型の真の狙いはその巨腕で掴み上げた金髪の小柄な調査兵――ヒストリア・レイスであった。

 

「あのクソノッポ!我らが主を口の中に入れやがって……!」

 

「奴ら、クリスタの秘密に気付いていやがったのか……?」

 

 私の口から抑えきれない怒りと憎悪が迸り、リヴァイの声にも疑問の色が混じる。

 

 まずい。『始祖』と王家の血――エルディア復権の二つの鍵が同時に失われれば、我々に未来はない。マーレによって根絶やしにされる。

 

 その焦燥を抱いたのとほぼ同じタイミングで、壁下へ落下していく鎧の掌で再び閃光が走った。爆ぜるようにして現れたのは15m級の巨人だった。

 

「エレンか……巨人化は間に合ったか」

 

 リヴァイのどこか落ち着いた声が、この極限状況下で妙に私の神経に気に障る。こいつ、今がどれほど危機的な状況か本当に理解しているのだろうか。

 

「兵長!私に巨人化の許可を!(アギト)なら鎧の硬質化を破れる!奴を殺してエレンを奪還するならこの機会しかない!」

 

「落ち着け。エレンもそこまでヤワじゃねぇ」

 

「部下を信頼している場合じゃないのよ!?エレンを失えば、この壁の中に未来はない!エルディアの未来が潰えるのよ!」

 

「状況の確認が先だ。ハンジの指示を待つ。それまでお前を自由にさせるわけにはいかねぇ」

 

 リヴァイの刃が音もなく私の首元に当てられる。抜刀の瞬間すら目で追えなかった。

 

「このクソチビ……!いい加減に信用しなさいよ!?そんな甘っちょろい判断をしてるようじゃこの先やってけないわよ!」

 

「はっ……ようやく女っぽい喋り方をするようになったじゃねぇか」

 

 いがみ合う私達の元へ、伝令であろう赤毛の調査兵が息を切らして駆け寄る。

 

「戦況報告です!超大型巨人は駐屯兵、調査兵、および新兵のクリスタ・レンズの三名を拉致!熱風を放出し続ける超大型には立体機動で近付けないため、ヤツの燃料が切れるまで待機するようにと、ハンジ分隊長より全兵士に向けて指示がありました!」

 

「了解だ。ニファ、鎧のクソ野郎はどうすると言っていた?」

 

「はい!敵の最大の狙いはエレンを攫うことです!我々の刃が鎧に通用しない以上、エレン独力で一時的に鎧を無力化し、戦線を離脱する必要があります!我々はエレンのサポートに徹するように、とのことです!」

 

「そ、そんなの無茶だ!硬質化能力のないエレンじゃ鎧に何もできやしない!すぐに私を戦わせろとハンジに伝えろ!」

 

 ニファと呼ばれた調査兵は、リヴァイの隣で騒ぐ私へ不審な目を向けた。

 

「あの……彼女は一体……?」

 

「俺のお守り相手だ。それで、ハンジは俺に何か言っていなかったか?」

 

「え、えーと。『機を見計らってジルケを戦線に投入しろ。エレンと連携し、あわよくば鎧を無力化して脊髄液を採取してくれ。タイミングとやり方はリヴァイに任せる』と……すみません、意味を測りかねたのでそのままお伝えします」

 

 その言葉を受けて私はリヴァイに鋭い目線を送る。彼も渋々といった様子で頷いた。

 

「ただし暴走の兆候が見えたら、即座にお前をうなじから引っ張り出す。それで良いな?」

 

「了解。あと、こちらも一言言っておく。脊髄液を採取するなどという悠長な真似は約束できない。鎧はここで確実に始末する」

 

「あの、だから貴女は誰——」

 

 戸惑うニファを無視して壁の縁へ向かって駆け出す。眼下では二体の巨人が人類の存亡などまるで意に介さぬかのように、ただ原始的な破壊の限りを尽くしていた。

 

 硬質化された鎧の拳が振るわれる度、大地が抉られ、木々が紙屑のように薙ぎ払われていく。

 巨人化したエレンの猛攻はことごとく硬い装甲に阻まれ、逆にカウンターの一撃を浴びて無様に吹き飛んだ。砕け散った顔の肉片が近くの木の幹に、おぞましい模様を描いてへばりつく。

 

 まずい、やはりエレンでは鎧に勝てない。

 

(エレンを……エルディアの希望を、マーレに渡すわけにはいかない……!)

 

 始祖の喪失はエルディア復権の灯火が完全に潰えることを意味する。マーレへの憎しみ、壁の王への憤り、そして失われた栄光への渇望がマグマのように滾り、私は手の甲を――そこに刻まれた見えない傷跡を――強く噛み切った。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 商業都市としても名高いトロスト区の街並みはまるで時が止まったかのように静まり返っていた。常の賑わいは嘘のように消え失せ、道には風に舞う埃と、主を失った荷車の残骸が転がるばかり。

 兵士達の硬い靴音だけがこの放棄された街に虚しく響いていた。閑古鳥が鳴く、とはまさにこのことだろう。

 

 理由は単純明快だった。住民は皆、より安全なウォール・シーナの内地へと避難していたのだ。

 

 駐屯兵団司令官にして人類領土南部最高責任者ドット・ピクシスは兵士だけが街を埋め尽くす異様な光景を壁上から見下ろしながら、手にした酒瓶をゆっくりと傾けた。琥珀色の液体が喉を焼く感覚だけがこの非現実的な状況下で唯一確かなもののように感じられた。

 

「司令、またお酒を!もうお年なんですから、あまり無茶をなさらないでください。私、司令のおしめのお世話をするなんて嫌ですよ?」

 

 隣に立つ副官のアンナが子供を諭すような口調で窘める。

 

「美人に世話してもらえるなら望む所じゃわい。して、状況は?」

 

 悪戯っぽく笑うピクシスから慣れた手つきで酒瓶を取り上げると、アンナは手元の報告書に目を落とし、作戦状況を語り始めた。

 

「リコ達精鋭班が率いる防衛線に巨人が現れなくなってから久しくなります。索敵部隊を送ってはいますが、それでも殆ど巨人を見つけられなくなったそうです」

 

「ふむ……壁沿いを走るハンネス達の先遣隊が無事であれば、そろそろ帰りつく頃合いじゃな」

 

 ピクシスは懐中時計を取り出し、銀色の蓋を開けてみせる。鈍い光を反射する文字盤が静かに時を刻んでいた。

 

「その場合、やはり巨人との遭遇も少なかったということじゃろう。壁に穴が空いていたのなら、そう易々と帰っては来れまい。それに……」

 

 ピクシスは言いかけて口を噤み、言葉を濁した。

 

「それに?」

 

「……いや、何でもないわい」

 

 訝しげに問い返すアンナの視線から逃れるように、ピクシスはちらりと遥か北……内地の方角へ視線を向けた。そこには、この壁内の運命を左右するであろう秘密が隠されている。

 

 ストヘス区で調査兵団が『女型の巨人』を捕獲する――その極秘作戦の概要はエルヴィンから事前に聞かされていた。ピクシスも人類の存続に関わる可能性を鑑み、避難誘導のための人員を提供するなど可能な限りの協力は惜しまなかった。

 

 しかし、その後現場に居合わせた兵士達から断片的に漏れ伝わってきた話は、ピクシスの想像を遥かに超えるものだった。

 

(まさか……女型とは別に、新たな巨人まで現れようとは――)

 

 それ以降内地からの情報は途絶えている。結局、事態はどう収拾したのだろうか。その新たな巨人は一体何者なのか。とにかく情報が足りなかった。

 

「ピクシス司令」

 

 不意に背後から声がかかった。振り返ると、エルヴィンが立体機動装置のガス噴射音と共に、音もなく壁上へ舞い降りてきたところだった。

 

 そして、その隣には予想だにしなかった人物の姿があった。

 

 旧知の仲であるエルヴィンはともかく、まさか憲兵団師団長たるナイル・ドークまでがこの巨人出現の最前線に顔を見せるとは。普段は内地でふんぞり返っている男が、だ。

 

 ピクシスは「ほう」と隠すことなく驚きの声を上げた。その声には単なる驚きだけでなく、事態の異常さを察知した響きも含まれていた。

 

「これはこれは、ナイル・ドーク師団長殿。貴殿のような憲兵団の長が、このような巨人の脅威に晒された場所までお越しになるとは。珍しいこともあるものじゃな。内地はそんなに暇なのかの?」

 

「……少々、込み入った事情がありましてね」

 

 皮肉を込めた問いかけに、ナイルは苦虫を噛み潰したような顔で歯切れ悪く答えた。心なしか、その顔色も普段より悪いように見える。

 

「左様か。ところでエルヴィン。例のネズミっ子は、首尾よく捕らえられたのかの?」

 

「ええ……。ただ、どうやら『ネズミ』は我々の方だったようです」

 

 エルヴィンは自嘲気味に、しかしその瞳の奥に底知れない光を宿して笑った。常に冷静沈着でポーカーフェイスを崩さないこの男にしては、実に珍しい表情だった。その言葉の意味するところを測りかね、ピクシスの眉間に皺が寄る。

 

 エルヴィンはその顔に浮かんだ疑問符を読み取ったのか、すっとアンナの方へ視線を送り、席を外すよう無言で促した。

 

「安心せい。伊達にこやつは長年ワシのお守り役をしとらんわい。口は堅い」

 

 ピクシスが取りなそうとしても、エルヴィンの意思は固かった。アンナは諦めたように一つ頷くと、無言で敬礼して壁下へと降りていく。

 彼女の姿が見えなくなるのを見届けてから、エルヴィンはようやく重々しく口を開いた。

 

「すみません、司令。彼女のことを信頼していないわけではありません。これからの話を考慮すればこそ、彼女の身を案じての判断です。知らぬ方が……幸せなこともある」

 

「……どういう意味じゃ、エルヴィン。お前は一体何を知っておる?」

 

「ストヘス区にて、女型と共に現れたもう一体の巨人……『顎の巨人』については司令もご存知でしょう。我々は、その『本体』である人物と接触し、壁の外……世界の真実に関する情報を聞き出すことに成功しました」

 

 ピクシスの全身に電流のような衝撃が走った。体内に残っていたはずのアルコールの酔いが一瞬にして消し飛び、命の次に大事にしている酒瓶を思わず手から滑り落としてしまった。硬い石畳にぶつかり、甲高い音を立てて砕け散る。

 

()()によれば『壁内人類』は我々が想像している以上に、極めて危険な状況に置かれています。我々はいつ滅びてもおかしくない、と」

 

「……超大型や鎧の脅威が残っておる以上、それはそうじゃろうて。お主がわざわざ言いたいのは、そんな分かりきったことではあるまい?」

 

「ご明察の通りです。我々が真に相手にしなければならない敵の正体は……人であり、我々を遥かに凌駕する文明であり――言うなれば、この世界そのものなのです」

 

 エルヴィンは淡々と、しかし一言一句に重みを込めて語り始めた。壁の外には壁内とは比べ物にならないほど多くの人類が存在すること。外の世界の人々は『壁内人類』の死滅を望んでいること。

 

 そして、この壁を築き、民を守るはずの王自身がその滅びを甘んじて受け入れていること。

 

 その全てがピクシスの100年間の常識を覆すには十分すぎる衝撃だった。彼はただ驚愕のうちに言葉を失い、エルヴィンの言葉に耳を傾けるしかなかった。

 

「……『壁内人類』の置かれた現状はご理解いただけたかと思います。その上で、司令に折り入ってご相談したい事がございます」

 

 エルヴィンの纏う雰囲気が一変した。人払いしてまで語ろうとした本題が今まさに切り出されようとしている。ピクシスはゴクリと喉を鳴らし、彼の次の言葉を待った。

 

「我々『壁内人類』が直面するこの最大の危機に対し、今の王政はあまりにも無力です。いえ、無力であるばかりか壁の王は自らの滅びを積極的に望んでさえいる。これは民を道連れにした、王による緩やかな集団自殺に他なりません」

 

「ふむ……じゃが、強欲な議会の貴族連中がむざむざ己の領地と財産を諦めるとは思えんがのう。奴らなら意地でも反抗するじゃろうて」

 

 ピクシスは長年見てきた王政内部の醜さを思い浮かべながら、現実的な反論を口にした。

 

「貴族の兵力など壁外の敵の前では雀の涙にもなりません。それに彼らが最終的に頼りにしているのは、壁の王が持つ巨人の力。しかし、その力を行使すべき王自身の牙が抜かれていては元も子もない。依然として我々の生存は絶望的なのです」

 

「エルヴィン。お主、一体何が言いたいんじゃ」

 

 ピクシスは核心を突くように問い詰めた。エルヴィンの青い瞳が壁上の風を受けて鋭く光る。

 彼は周囲に聞き耳を立てる者がいないか、改めて鋭く目を配った。誰もいないことを確認した上で、彼は厳かに、確固たる意志を込めて宣言した。

 

「王の独善を、これ以上看過するわけにはいきません。民を見捨てた王に、この壁を統べる資格はない。我々の力で現王政を打倒し、我々自身がこの壁に残された人類すべての実権を握るのです」

 

 その声には揺るぎない覚悟と覇気が籠っていた。それは紛れもなくクーデターの宣言だった。

 

 しかしピクシスはそのあまりに大胆な提案の裏に、わずかな違和感を拭えなかった。

 

 エルヴィンが博打打ちなのは知っている。だが、ほんの少し前に世界の真実を知っただけで、これほどリスクを伴う策謀に思い至ることができるだろうか。

 

「――それは本当にお主自身の考えか?」

 

「……クーデターという提案自体は()()から受けたものです」

 

 エルヴィンはあっさりと認める。

 

「しかし彼女から世界の真実を聞き、現状を改めて鑑みた結果、もはやこの手段こそが我々『壁内人類』が生き残るための唯一の方法であるという結論に至りました。これは私の――調査兵団団長としての判断です」

 

 隣に立つナイルも不承不承といった様子ではあるが、静かに頷いた。彼もまた苦渋の末にこの結論を受け入れたのだろう。

 

 ピクシスは大きく、重いため息をついた。

 

「この狭い壁の中でついに人同士で血を流し合うというのか……いつかその日が来るとは思うとったが……いざ現実となると腰が重いのう。血を流さずに済む道はないものか……」

 

「この場でどうこうしようというわけではございません。本日はまず私の考えを司令にお伝えしたまでです。詳細は後日改めてゆっくりと語らせていただければと思います」

 

「当たり前じゃ。人類の命運を左右する話を立ち話で決めるわけにはいくまいて」

 

「……ええ。その前に片付けねばならぬ問題が山積みです。ウォール・ローゼ内に発生した巨人共……これをどうにかせねば、王政打倒も何もあったものではありません」

 

 エルヴィンの言葉には、冷静に現状を見据える指揮官としての顔が戻っていた。ピクシスも頷き、砕けた酒瓶の残骸へと視線を落とす。

 

「うむ……まずは目の前の脅威じゃな。して、お主に入れ知恵した魔女は今どこにおる?」

 

「前線へ向かってもらっています。なにぶん壁の穴を塞げるかもしれぬ硬質化能力を使えるのは、現状彼女しかおりません。脅威の排除も、彼女の力なくしては立ち行かないでしょう」

 

 エルヴィンにそこまで言わせるとは。内心で、その壁外からやってきたという人間への期待値が静かに上がっていた。あるいは、警戒心と言うべきか。

 

 ピクシスは、この事態を引き起こしたであろう元凶の女に強い興味を抱いていた。一体どんな人間なのか、自分の目で確かめねばなるまい。

 

「壁を塞いだついでに、超大型あたりを仕留めてくれれば文句無しじゃな。その者は美人なのか?是非とも一度、お目にかかりたいものじゃが」

 

「ええ。理知的で、非常に美しい方ですよ。少々思い込みの激しいきらいがありますが、きっと司令のお眼鏡にも適います。近日中に話し合う場を設けますので――」

 

 エルヴィンの言葉は壁下で響き渡った兵士の切羽詰まった声によって遮られた。

 

「先遣隊が帰還しました!ピクシス司令にお伝えしろ!!」

 

 息も絶え絶えになりながら馬を走らせてきた駐屯兵団の先遣隊へ、ピクシス達三人は駆け寄る。先遣隊の顔は土埃にまみれ、疲労と恐怖で歪んでいた。

 

「か、壁に穴などの異常は見当たりませんでした……!」

 

「そうか、やはりのう……」

 

 ピクシスの呟きは安堵よりもむしろ不安を増幅させた。ならば巨人はどこから来たのだ?

 

「し、しかし!道中、大変な事態に遭遇いたしました!我々はトロスト区へ報告に向かう帰路で、ハンジ分隊長率いる調査兵団と合流したのですが……その中にいた104期出身の兵士数名のうち……その中の2名の正体は巨人でした!」

 

 兵士達の間に一気にどよめきが広がる。その喧騒を制するように、エルヴィンは先遣隊の兵士に落ち着き払った様子で問いかけた。

 

「正体が判明した後、どうなった?」

 

「調査兵団は超大型巨人・鎧の巨人と交戦……!我々がその戦闘に加わった直後に決着が――!」




更新頻度落ちます(大嘘)
マイペースに投稿していきますので引き続きお付き合いください。

どこが舞台の閑話が良い?(なるべく原作ネームドキャラを登場させる予定)

  • 革命軍
  • レベリオの市民病院
  • マーレ軍病院
  • ヒィズル国
  • ウォール教開拓地
  • 訓練兵団
  • 調査兵団(王政編後)
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