エレンの妻です   作:ホワイト3

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08:生まれてこなければ

 ヒルフェンの死から一年が過ぎた。

 

 私の日常はマーレ軍中央病院という巨塔の中で、カセットテープのように繰り返されていた。

 『白衣の女神』という仮面の下で私は日に日に人間としての感情を摩耗させていく。

 若い兵士の屈託のない笑顔を見るたび、あの少年の最期がフラッシュバックした。

 

 拭いきれない罪悪感から逃れるように、私は臨床の最前線から少しずつ距離を置いていた。エルディア人ーー特に年若い患者を前にするとどうしてもあの日の光景が脳裏をよぎる。

 彼らと深く関わることを避け、停滞していた巨人化学の研究室に籠る時間が増えていた。

 数字と理論の世界は感情を挟む余地がないだけ、遥かに息がしやすかった。

 

 一時は改善の余地が見られた夫との食卓も、今や沈黙が支配していた。

 互いの心の闇に触れてしまいそうで自宅に帰ることすら億劫だった。

 

 その日の夜も当直室の硬いベッドで浅い眠りの中にいた。

 けたたましい真鍮の鐘の音と、御者の怒声が夜の静寂を切り裂くまでは。

 

 病院の玄関先に救急の馬車が乱暴に乗り付けたのだ。ガタガタと音を立てて開く扉、医療スタッフの緊迫した声、そして担架がきしむ音。

 日常茶飯事の光景であるはずなのに、今夜のそれは私の胸を不吉な予感でざわつかせた。

 

「ジル先生、今すぐ手術の準備を!」

 

 切羽詰まった同僚の声に弾かれるように、私は廊下へ飛び出した。運び込まれてくる二つの担架を見て息を呑む。

 一つの担架には血の気の失せた顔で見慣れた女性が横たわっていた。クサヴァーさんの奥様だ。

 そしてもう一つにはぐったりとしている少年。

 

「ニコラス……!」

 

 思わず漏れた声は自分でも情けないほどか細く震えていた。

 以前クサヴァーさんの研究室で会った時、屈託のない笑顔を見せてくれたばかりの少年が、今は青白い顔で生死の境を彷徨っている。

 彼の隣を茫然自失の体で歩いてくる男がいた。クサヴァーさんだ。その顔には色がなく、焦点の合わない瞳は虚空を見つめている。

 

 救急隊により事情が共有された途端、廊下の空気が変わった。あからさまな嫌悪と侮蔑の視線がクサヴァーさんの背中に突き刺さる。

 マーレ人を騙ったエルディア人。その罪の重さをその場の凍りついた空気で改めて思い知らされた。

 

「奥さんは……ダメです。脈も呼吸もありません。死後硬直が始まっています」

 

 ベテランの看護師が静かに、しかし残酷に事実を告げる。私の視線はニコラスの体に釘付けになった。

 首に乱暴に巻かれた布が、赤黒く染まっている。かろうじて、本当に糸のように細い脈が触れた。

 

(死なせない。この子だけは、絶対に)

 

 ヒルフェンの虚ろな目が脳裏をよぎる。あの日を、繰り返すわけにはいかない。

 

「この子は生きてる! 手術室へ! 今すぐ!」

 

 私の声が混乱の極みにあった救急処置室に一本の芯を通した。頭からクサヴァーさんとの親交も、周囲の視線もすべてが消え去っていた。

 ただ目の前の小さな命を救うこと。その使命感が私のすべてを支配していた。

 

 手術室の無影灯の下、私はただ無心に手を動かした。損傷した血管を縫合し、か細い呼吸を繋ぎ止める。

 原作ではクサヴァーさんの息子は死んだ。他ならぬ母親によって、その首を掻っ切られて。

 

 だが、執刀した私には分かる。ニコラスの首に残された傷は致命傷から僅かに逸れていた。

 

 おそらくすんでのところで躊躇ったのだ。彼女は実の子を殺す意思を最後まで貫けなかった。その一瞬の母性がこの子の命を繋ぎとめた。

 

 この原作との乖離が何を生むのか。今考えても仕方がない。

 どちらにせよ、あの家に以前のような幸福が訪れることはもう二度とないのだから。

 

 永遠にも感じられる格闘の末、最悪の事態だけは回避した。

 ニコラスは生きている。だが彼の意識がいつ戻るのか、戻ったとして心に傷は残らないのか、誰にも分からなかった。

 

 手術室の重い扉を開けると、ひやりとした廊下の空気が火照った肌を撫でた。壁に背をもたせ、崩れるように座り込んでいる人影があった。クサヴァーさんだ。

 彼は私の姿を認めると、力なく顔を上げた。その瞳は深い絶望の沼の底のように淀んでいた。

 

「……ニコラスは助かりました。ただ、いつ目覚めるかはわかりません」

 

 医師として事実だけを伝える。しかし私の言葉は彼の心に届いていないようだった。彼は虚ろに頷くと、壊れた人形のように同じ言葉を繰り返した。

 

「私のせいだ」

 

 その言葉が私の心の古傷を容赦なく抉った。そうだ、私も同じだ。

 私もあの日、一人の少年を間接的に殺した。甘い言葉で希望を見せ、その結果彼は地獄で化け物になった。

 そのトラウマが呼び起こされた。

 

「……私が愚かだったんだ」

 

 かき消えそうな声で彼は言った。後悔、自責、そして取り返しのつかないことをしてしまった者だけが持つ魂の慟哭が滲む。

 

「もっと早く彼女の苦しみに気づいてやれていれば……。いや……違う。私が……私がマーレ人だと偽ったばかりに……! すべて私のせいだ……!私のせいで妻と息子は………私なんて生まれてこなければ――」

 

 嗚咽と共に吐き出された言葉は断片的でありながら、この悲劇の核心を突いていた。目の前の男が生きることを諦めようとしている。その事実が私の心の奥底にある何かを激しく揺さぶった。

 

(生まれてこなければ、だって?)

 

 腹の底から、冷たい怒りが込み上げてきた。それは()()()()()に対する怒りであると同時に、無力な自分自身への、そしてこの理不尽な世界そのものへの怒りだった。

 私の右腕はまるでそれ自身の意志を持ったかのように振り上げられていた。

 

 パァン!

 

 乾いた音が静まり返った廊下に響き渡る。私の平手は的確にクサヴァーの頬を捉えていた。

 叩かれた彼は驚くでもなく、ただゆっくりと顔を私に向けた。彼の頬がじわりと赤く染まっていく。

 

「……ふざけないで」

 

 絞り出した声は震えていた。

 

「ニコラスは生きているのよ! あなたまでいなくなったら、あの子は本当に独りになってしまう! 父親なんでしょう!?二度とそんなこと言わないで!」

 

 それは友人への叱咤であると同時に、生きることを渇望しながら巨人になったヒルフェンへの届くことのない贖罪の叫びだった。

 

 クサヴァーの大きな瞳から改めて一筋の涙がこぼれ落ちた。それは静かに彼の頬を伝い、顎の先で雫になる。

 怒りも衝動も急速に冷えていく。残ったのは目の前の友への憐憫と、どうしようもない無力感だけだった。

 

 その時だった。廊下の向こうから複数の硬い靴音が近づいてくるのが聞こえた。それは病院のスタッフのものではない。規則正しく、威圧的な響きを持った足音だった。

 やがて姿を現したのは見慣れた国防色の軍服をまとった一団。マーレ治安当局の者たちだ。

 

 その先頭を歩く男の顔を見て、私の背筋に冷たいものが走った。

 

 グロス伍長。蛇のような視線と残忍さを隠そうともしない笑みの男。

 そして彼の隣には、感情を一切読み取らせない鉄面皮の男が静かに佇んでいる。夫のエレン・クルーガーだ。

 

「これはこれは、ジル先生。夜分遅くにご苦労様です」

 

 グロスが芝居がかった口調で言った。その目は私を通り越し、壁際に座り込むクサヴァーに注がれている。

 

「通報があったものでね。悪魔の血エルディア人に騙された哀れな妻子が心中未遂を図った、と。後ろのエルディア人には後で話を聞くとしてだ。ジル先生、あなたにも少々事情を伺ってもよろしいですかな?」

 

 その言葉は私の鼓膜を不快に震わせた。

 

「……事情聴取には応じます。場所を移してください」

 

 私は努めて冷静に答えた。ここで感情的になることは誰のためにもならない。特に無防備なクサヴァーの前では。

 

「では、こちらの部屋をお借りしよう」

 

 クルーガーが初めて口を開いた。彼の声は低く、抑揚がなかった。

 

 彼が指さしたのは応接室だった。私は頷き、うなだれるクサヴァーにそっと手を差し伸べようとしたが、その指先が彼に触れる前に治安当局の兵士が二人の間に割って入る。彼らは無言でクサヴァーの両腕を掴んだ。

 抵抗する力も残っていないクサヴァーはなされるがままに連行されていく。その姿を見送りながら、私は唇を噛み締めた。

 

 古い薬品の匂いが染みついた応接室は、息が詰まるほどに空気が重かった。私はパイプ椅子に腰掛け、向かいに座るグロスとその脇に立つクルーガーと対峙していた。

 

「ジルケ・クルーガー」

 

 クルーガーの呼びかけは静かだったが、その一言で部屋の空気がさらに張り詰めた。夫としての顔などない。治安局の人間としての冷徹な響きだけがあった。

 

「当局の調査では、トム・クサヴァーはエルディア人としての出自を偽り、マーレ人として生活していた。だが、その妻が偶然にも奴の血液検査の結果を発見して正体を知ってしまった。そして息子を道連れに無理心中を図り、自ら命を絶った……これが我々が掴んでいる事件の概要だ」

 

「さて、ジル先生。単刀直入に伺いますが、トム・クサヴァーがエルディア人であることはご存知でしたかな?」

 

 グロスの質問は刃のように鋭く私の核心に迫ってきた。一瞬心臓が凍りつく。

 知っていたか、知らなかったか。答えは一つしかない。

 

「……いいえ。知りませんでした」

 

 声がわずかに震えたかもしれない。だが、せめて私はグロスの目をまっすぐに見つめ返した。

 ここで動揺を見せれば、私自身にも嫌疑の目が向けられる。そうなれば、場合によっては私まで楽園送りだ。

 

「ほう。あれほど親しくされていて、ご存知なかったと?」

 

 グロスは疑いを隠そうともせずに唇を歪める。「敬愛する巨人学者の一人として交友関係を持っていたに過ぎません」と私が返すと、彼はつまらなそうに鼻を鳴らした。

 

「悪魔の末裔と肩を並べて、高尚な議論にでも興じていたと? その結果、善良なマーレ人の奥方は命を絶ってしまった。あんたが早くあの悪魔の正体に気付いてやれば、防げたとは思わんかね?」

 

 この男、私のせいだと言いたいのだろうか。

 だが、ここで感情的になってはならない。私は逸る気持ちを必死で抑える。

 

「……おっしゃる通り、私にも落ち度はあったのかもしれません。ですが、最大の罪は己の出自を偽り、善良なマーレ市民を欺いたあの悪魔の邪心です」

 

 私の返答にグロスは満足げに歯を見せて笑った

 

「ジル先生の言うとおりだ。諸悪の根源はあのエルディア人にこそある。エルディア人が存在する限り、このような悲劇は終わらないでしょう。つきましてはトム・クサヴァーの処遇ですが……法に従えば、まあ当然楽園送りですな」

 

 楽園送り。その言葉が鼓膜を打った瞬間、一年前の記憶が鮮烈に蘇った。

 

 潮風の生臭い匂い。壁の上から見た、絶望に満ちたヒルフェンの最後の叫び。そして人が人でなくなる、あの悍ましい光景。

 

「出自を偽った罪は重い。未来永劫、無垢の巨人となって悪魔の島を彷徨い続けるのがお似合いでしょう」

 

 ダメだ。それだけは絶対に。親しい友人が、意識の戻らない息子を残して、地獄へ送られてたまるか。

 

 私の脳が猛烈な勢いで回転を始める。

 何か、何か方法はないのかーーある一つの可能性が閃光のように突き刺さった。原作で読んだ、あの流れ。まさか私がその引き金を引くことになるとは。

 

 運命からは逃れられないというのか。

 でもこれしかクサヴァーさんを救う方法はない。

 

「……お待ちください」

 

 私は乾いた唇を舐めて言った。声は奇妙なほどに平坦に響いた。

 

「彼を無垢の巨人にするのは、あまりに惜しいと思いませんか?」

 

「どういうことですかな? 罪人の肩を持つつもりじゃないでしょうね?」

 

 グロスとクルーガーの視線が、訝しげに私に注がれる。

 

「『九つの巨人』を彼に継承させるのです」

 

 応接室に沈黙が落ちた。グロスは一瞬きょとんとし、やがて腹を抱えて笑い出した。

 

「はっはっは! これは傑作だ! ジル先生、あんたは面白いことを言う!罪人に『九つの巨人』の一つをくれてやれ、と? 正気ですか?」

 

「本気です」

 

 私はグロスの嘲笑を意にも介さず、続けた。

 

「クサヴァーは巨人の生態に精通した研究者です。特に彼が進めている『巨人の記憶』に関する研究は、マーレにとって計り知れない価値を持ちます」

 

 クルーガーの眉が微かに動いたのを、私は見逃さなかった。

 

「彼が『九つの巨人』を継承すれば、その身をもって巨人の記憶を直接探ることが可能になる。代々の継承者が何を見てきたのか、巨人の力の本質とは何なのか。その謎を解き明かすことができればマーレにとっても有益なはずです」

 

 クルーガーが目線を向ける。

 分かっている。革命軍が代々守ってきた知識を漏らすつもりはない。あくまで、マーレが知り得る範囲での話だ。

 

「伝え聞けば、始祖の巨人を有する歴代の王家は無垢の巨人を自在に操ることができたとか……巨人の力は未だ謎が多い。彼の研究によって、もし制御不能な無垢の巨人を操れるのならマーレの国益になるのではないでしょうか?」

 

 私の熱弁に、グロスもようやく笑いを収めた。しかしその表情は依然として懐疑的だった。

 

「理屈は分かりますがね、先生。とはいえ前例が……」

 

「もちろん、ただの医者である私の言葉に重みなどありません。治安当局のお力添えがなければ、このような提案は夢物語でしょう」

 

 私はグロスの言葉を遮る。彼の功名心をくすぐるように、言葉を選ぶ。

 

「考えてもみてください。この提案は単なるエルディア人の処遇を決める話ではありません。知っての通り、戦闘終了後の無垢の巨人による二次被害は国際社会でも批判の的になっています。制御不能な兵器が各国で根深い禍根を残し、軍部も巨人の利用に及び腰になっている、とも聞いております」

 

「存じてはおりますが、しかしそれとこれとは話が……」

 

「罪人の研究が上手くいけば、マーレの悲願である『無垢の巨人の制御』に繋がるかもしれない……これは歴史的な一手です。成し遂げた者が一体どれほどの栄誉を得られるか。発案者として我々の名はマーレの歴史に刻まれるやもしれません」

 

 グロスの目が値踏みをするように細められた。彼の脳裏で、天秤が揺れ動いているのが見て取れる。

 懐疑心と、それを上回る強欲とがせめぎ合っていた。

 

「……危険極まりないとは思いませんかね?裏切り者のエルディア人にこれ以上の力を与えるなど」

 

 彼の口調から先ほどまでの嘲りが消えていた。

 

「任期は13年。その間、厳重な監視下に置けば問題ありません。それに、彼にはこの病院で生死の境を彷徨っている息子がいます。息子が人質である限り、彼がマーレを裏切ることはないでしょう」

 

 私は自ら非情な言葉を口にしていることに見て見ぬ振りをした。

 ニコラスを、人質として利用する。だがそうでも言っておかなければ、ニコラスは楽園送りにされてしまうかもしれない。

 

「しかしですなぁ、我々にそのような権限などありませんし……」

 

 それでも治安当局の反応は煮え切らなかった。グロスは腕を組み、クルーガーは黙して語らない。私の提案があまりに前例がなく、常識から外れていたのだろう。

 

 その膠着した空気を破ったのは、応接室の扉がノックもなく開けられた音だった。そこに立っていたのは長身で、鋭い眼光を持つ軍服の男。

 

 先の戦争で見知った顔となった、マーレ軍の若手将校テオ・マガトだった。

 

「……興味深い話をしているようだ。私も混ぜてもらおうか」

 

 彼の登場に、グロスとクルーガーの顔に緊張が走る。治安当局と軍。協力関係にありながら水面下では互いを牽制しあう二つの組織の力関係が、この狭い部屋に凝縮される。

 

「マガト殿。これは治安当局が管轄する案件でして……」

 

 グロスが牽制するように言いかけたのを、マガトは咳払いで制した。彼の視線は私に向けられていた。

 

「巨人の継承が絡むとなれば、治安当局だけの話ではあるまい。我が巨人部隊が関わるのは当然だ。クルーガー女史、失礼ながら貴官の発言は廊下で聞かせてもらった……実に興味深い提案だ」

 

 その声にはグロスのような嘲りはない。純粋な興味と、冷徹な分析官の色が浮かんでいた。

 

「女史の提案は党の正式な議題として軍から上申させてもらう。決定が下るまで、罪人の身柄は軍で保護しよう」

 

「しかしマガト殿!」

 

 グロスが食い下がろうとしたが、マガトの射るような視線に言葉を呑んだ。治安局の下士官と軍の上級士官では、発言力は比較にもならなかった。

 

「よろしいですな、クルーガー伍長」

 

 マガトは念を押すようにクルーガーに言った。軍の優位性を誇示するかのように。

 

「……ご判断に従います」

 

 クルーガーは静かに頭を下げるしかなかった。

 

 なんとか最悪の事態を免れ、私は安堵からくる体の震えを必死に抑えた。

 まだ決まったわけではない。しかし、友人とその息子をあの地獄へ送らずに済むかもしれないのだ。これであの親子は救われるーー

 

 その安堵はすぐに氷のように冷たい自問に変わった。

 

(これで本当に良かったの?)

 

 原作通りこのままクサヴァーが生き延びれば、いずれ彼はジーク・イェーガーと出会う。そしてその出会いはエルディア復権派の……私とクルーガーの破滅へと繋がる。

 父子を救うために、私は夫と同胞を裏切る未来への引き金を引いてしまったのかもしれない。

 

 ーーだが、そこまで考えてやめた。鉛のような疲労感が全身を支配する。

 もう何も考えられない。今はただただ休みたかった。

 

 関係者が次々と部屋から出ていき、とうとう夫と二人きりになる。彼は窓の外の暗い空を見やりながら、静かに口を開いた。

 

「今回の件で、マーレはより疑り深くなるだろう。マーレ人を装う『悪魔』がまだどこぞに潜んでいるのではないか、と。国を挙げてのエルディア人狩りが始まる……荒れるな」

 

 その言葉は誰に言うでもなく、しかし確信に満ちていた。彼の言葉が思考を放棄した私の心に重い錨のように沈んでいく。

 応接室の窓から見えるレベリオの街の灯りが、やけに頼りなく、儚く見えた。




次話からまた展開変わります。

以下余談
エグいことやからかしたクサヴァーさんが楽園送りになってないの割と謎だったので、おそらく原作でも表には描かれていないだけでこういう無茶な思惑が働いたのではないかと考え、本作ではこのような設定にしました。
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