地の文の【悟】と【モモンガ】に関してですが、状況によって使い分けていますが、読みにくかったらすみません。
悟の例の【オーラ】と驚愕の合わせ技で、暫くの間、意識を失っていたアルシェであったが、ルプスレギナの信仰系魔法の効果も有ってか、生理現象によって目を覚ました。
それがルプスレギナからカツラギ&悟に伝わると、丁度、二人も情報の照らし合わせに加えて【ナザリック組が現地で使う立場】の確認も済んだようで、アルシェを通しても良いと返す。
尚、悟達の立場に置いては、カツラギに話した事によっての変更は無かったので、既に共有していたルプスレギナへの説明は必要無かった。
「さ、先程は、大変【失礼な事】をしてしまって、本当に申し訳ありませんでした……!!」
応接間にやってきたアルシェは、いの一番にモモンガに向かって頭を下げた。
様々な偶然が重なっての嘔吐とは言え、初対面の相手にして良い事では無かったのを素直に恥じたのだ。
本来なら、悟の魔力【そのもの】と、彼女を知るカツラギ&ルプスレギナの力にも疑問を持ったり、その関係も気になるモノだが、己の粗相の謝罪を最優先する辺り、アルシェの人の良さが伺える。
対して、悟は【事情は聞いたので、気にしないで下さい】と優しい笑みで謝罪を受け入れると、アルシェに自分達の立場を明らかにする。
「それでは、改めまして。私はモモンガと申します」
「配下のルプスレギナっす!」
先ず、原因不明の転移魔法に巻き込まれて【この大陸】に来てしまったのはカツラギと同じ。
その際、自分の傍に居たのはカツラギのみだったが、モモンガがチーム(実際にはギルド)単位で纏まって転移した一方、カツラギはチーム(ギルド)としては未所属だったので、一人だけカッツェ平野に飛ばされてしまったのだろうと推測した。
噂の二人組の魔法詠唱者をカツラギが【仲間である可能性は低い】と考えたのも、彼がモモンガも一人で転移されたと考えていた為だとしたら、アルシェとしては納得できる話だが……
実際には、転移の直前のモモンガの姿は【骸骨】だったので、噂の魔法詠唱者が女性だと言う時点で、悟の可能性は皆無だと思っていたのは御存知の通りである。
さて置き、仮に一緒に居るアルシェとカツラギが同時に転移トラップに引っ掛かったとして、何故か遠方のフォーサイトが巻き込まれ、かつカツラギだけ違う場所に転移すると考えると、少々無理の有る境遇である。
しかし、カツラギは実際、ナザリックから【弾かれた】と言う感覚で別の場所に飛ばされているので、強ち見当違いでは無く、そもそも、自分のアバターやNPCが現実のモノのになっているので、滅茶苦茶な作り話ながら、アルシェには何の違和感も与える事無く説明できてしまい、この時の彼女にも疑うと言う発想が無かった為、アッサリと転移についての話は終わりとなった。
続いて、転移されてからは【近隣に定住する事にしたチームの責任者】としてカルネ村と接触し、其処での情報を元に、カツラギを探す過程の一環として、先ずは冒険者となる為にエ・ランテルを訪れた結果、今に至ったとして締めた。
一応、カルネ村を救った話も、スレイン法国の偽装だったと言う事も含めてアルシェに説明し、やっぱり帝国の仕業では無かったか……と納得させているが、悟にとっては小さな力しか使っていなかった故に必要最低限に留めていた一方、その救援がたった4人による【奇跡】に近い快挙だったと彼女が気付くのは、後に実際に村を訪れた後の事であった。
また、モモンガの配下であると告げたルプスレギナ以外にも、チームメンバーは多数おり、いずれは紹介したいとも言っていたが、それは何時になるやら……
対して、この時のアルシェは、スレイン法国の部隊をチームで一丸となって追い返したのかと最初は考えたが、改めてモモンガの圧倒的な魔力を考えると、もはや想像の範疇を越えており、潔く現実を受け止めてゆく様に切り換えていた。(実際には《八肢刀の暗殺蟲》の功績なので、無理に頭を使わないのは正しい)
実は、彼女がモモンガの転移の説明について、特に疑問を抱かなかったのも、カツラギと同行する事を決めた時点で、今後、奇想天外な出来事が起きても受け入れてゆく覚悟を、ある程度は済ませていたからだ。
その為、馬車での雑談でカツラギが【仲間】の魔力の高さを匂わせていた事も有って、モモンガの【オーラ】のみならギリギリ耐えれた筈だったのだが、覚悟の範疇を越えた、美女が彼に抱き着いたと言う追撃で、アルシェのダムが決壊してしまったのは、御存知の通りである。
「すまない、アルシェ君。君には色々と隠している事が有る。私が使える信仰系魔法についても、そうだ……」
「鎧を外せば、カツラギさんからも、同じオーラが見えると思います。ルプスレギナからも、きっと……」
「私は第九位階までっすけどね~」
「言っちゃった!?(こ、こう言う娘なのか……カツラギさんの連れだから良いけど、時と場所によっちゃァ大問題だぞ……?)」
————ナーベラルに続いて、ルプスレギナにも、力を隠す意味と重要性をしっかりと理解していないと言う、相応の扱い難さが有る模様。
「……そうですか……や、やっぱり、カツラギ様も……?」
「……ッ……」
「アルシェさん……恐ろしいですか? 私達が……」
「!? そッ、そんな事は有りません……!!」
モモンガ達の【転移後からカツラギと再会する迄】の経緯の説明が終わると、話題が変わり、アルシェは自身タレントにより【見えた物】についての真意を問われていた。
対して、彼女は質問の前にカツラギを見ていたが、彼は黙って頷く事で【モモンガと同等位階の魔法を使える】と認め、アルシェの返答によっては、残念ながら離脱も止む無しと考えたが……
彼女はモモンガの【恐ろしいか】と言う問いを全力で否定し、むしろ、カツラギの高位の信仰系魔法によって家族が救われたのだと、勢い良く立ち上がりながら、強い理解を示した。
そんなオーバーアクションに対し、モモンガは(実際には少し違うが)吐くまで影響を受けたと言うのに【強いのですね】と感心したように返し、アルシェも改めて、それでも嘔吐してしまって申し訳ないと再び謝罪した上、三人に【他にも隠し事が有っても、私は皆さんを信じます】と加えた事で、少なくとも悟のアルシェを見る目は変わり、ルプスレギナも【なかなか見る目が有る娘っすね】と興味を抱いていた。
カツラギ・モモンガ・ルプスレギナが高位階魔法を使える事を他言する気も毛頭無い様だし、この時点で、タレントによって見えた【オーラ】についての話は終了したのだが……
「私の【仲間を探す】と言う目的は、早くも達成されてしまったけど……ひとまず、彼女(?)達が第二の拠点としているカルネ村に向かおうと思ってる。でも、その前に冒険者に登録しつつ、(都市では無く領地的な意味での)エ・ランテルが抱えている問題について探るのは、継続するつもりだ」
「私とルプスレギナも、カツラギさんにお供しますが、アルシェさんはどうしますか? 彼との同行を続けるのか、冒険者への登録はどうするか……御家族の事も有るでしょうし、一晩、ゆっくりと考えて下さい」
「は、はいッ」
「(流石はモモンガ様……アルベド様の優しさをしっかりと再現してるっす……人間相手に【そこまでやるか】って感じっすけど……)」
お察しの通り、アルシェの建前としての役割は、既に終わっている。
あんな旅立ちをしながら、カツラギはアッサリと【仲間】と再会でき、早くも旅の目的を果たしてしまったからだ。
そうなると、本来であれば、アルシェは帝都に【戻されるべき】だが、カツラギとモモンガは彼女に自分で選択する様に告げた。
これに関して、カツラギにとっては、どちらの選択をされたとしても、同行中に気が変わったのなら帝都に戻れば良いし、後から同行したくなったら連絡をくれれば許可するしで、後から容易に軌道を修正できる案件でも有るので、現時点では単純に考えていたが……
「(あの娘は、やっぱり……明日、思い切って聞いてみるか……!)」
「(私の答えは決まってるけど、アレについて知らない訳には……)」
————水面下では、悟とアルシェに一つずつの疑問が浮かび続けていたのだった。
…………
……………………
……そして、翌朝。
ロフーレの屋敷の応接間で、二人の女性(?)がテーブルを挟み、真剣な表情で向かい合いつつソファーに座っている。
それはモモンガ(悟)とアルシェであり、意外にも【お互いの希望】で、アルシェが選択を告げる前に、二人ダケで話をする機会が設けられていた。
しかし、最初の数十秒は、二人とも緊張の為か黙りこくっていたが……
「え~っと」「あ、あのッ」
「!? す、すみませんッ」
「アハハッ。被ってしまいましたね……では、そちらからで構いません。何か、私に聞きたい事が有る様ですが……?」
「はい。失礼な質問かもしれませんが、どうしても知りたくって……」
「遠慮は要りませんよ?(アルベドの生年月日やスリーサイズは、流石に分からないけど……)」
「で、では……モモンガ様は、カツラギ様と、お、おおおお付き合いをされているのでしょうかッ? 若しくは、御婚約されているとか……!?」
「へッ?」
————予想外の問いに目を丸くさせる悟な一方、アルシェは顔を真っ赤にしつつ続ける。
「今迄のお話の中では【仲間】との事でしたが、冒険者組合の前での再会の様子から、どうしても、そう言う御関係に思えてしまって……!!」
「……(うわァ……うわァ……あッちゃ~ッ、そう言う風に見えてたのかよ……!)」
「も、モモンガ様ッ?」
「!? ご、ごめんなさい。予想外の質問だったから、少し驚いてしまって……」
「すみませんッ。そうですよね……」
「でも、安心してください。私とカツラギさんは【そんな間柄】では有りませんよ? 本当に【仲間同士】というダケの関係です」
「で、では……涙を流されていたのは……?(既にチームのメンバーが居たと言うのに、男性一人に……)」
————ちなみに、あの時のアルシェは【それドコロでは無かった】事も有り、悟が何と叫んでいたかは覚えていない。
「アハハッ。恥ずかしい話でしたが、彼は特に親しい【友人】ながら、転移による状況が状況ゆえに、一生会えない事も覚悟していましたので……」
「あくまで、再会の感動による生理現象だったと……?」
「その通りですッ」
「ですが、今後、男女の関係に成る可能性も……」
「な、無い無い無いッ、絶対に無いですッ! 今の私は、チームを纏める為に、異性に現を抜かしている場合では有りませんので……!!」
「ならば、チームが纏まった後なら……?」
「アルシェさ~ん? もう、意地悪は止めてくれませんか?」
「ハッ!? す、すすすすみませんッ! 正直、意外でしたので……」
「意外?」
「はい……御二人とも素敵な方ですから、むしろ、お似合いのカップルだとも……」
「そう、ですか……盛大な勘違いですね。もう少し、客観的な視線の事を考慮するべきでした……貴重な意見に感謝します……(俺が男なのは勿論、本来はアルベドの体なのに、勝手に恋人を作るだなんて、言語道断だしな……)」
「いえ……此方こそ、御答え頂いて、有難う御座いました……」
アルシェの疑問。
それは、カツラギとモモンガが恋人同士なのではないか? ……と言う事。
答えは言うまでも無く、もし食事の場で言われたら盛大に吹き出されるだろうが、アルシェにとっては重要な疑問であった。
彼女の【女の勘】としては、旅の道中でカツラギが【仲間】としか言っていなかった事から、恋人である可能性は低いと信じたかったが、いざ再会した際に、あんなにも美しい女性であり、泣きながら抱き着いていた事を考えると、モモンガが【恋人では無い】と断定する方が無茶な話であり、こうして聞く事にしたのである。
……とは言え、実際に彼と彼女(?)が恋人同士だったとしても、帝国四騎士の【バジウッド・ペシュメル】の様に、複数の愛人を持つ事など当たり前の世界なので、簡単に身を引く気は無かったが、この否定の仕方なら微塵にも恋愛感情は無さそうであり、それはそれで良い意味で予想外と言えた。
だとしたら、モモンガがチームメンバーの中から、あえてルプスレギナを選んでいると言う事は……それ以上は失礼なので、思考を中断するとして。
両手を突き出してブンブンと振るリアクションをするモモンガが不思議と可愛く感じ、自然とアルシェらしからぬ【余計な事】も言ってしまったが、何はともあれ、彼女は喉のつかえが取れた様な気分となった。
「ではでは、私からも、聞きたい事が有ります」
「な……何でもお答えしますッ」
「カツラギさんの事を、どう思っているのですか?」
「!?!?」
……対して、今度は悟のターンである。
一応、アルシェの見た目(年齢)を考えて、好きなのか、愛しているのか……とまでは聞いていないが、その意図は伝わったのか彼女は激しく動揺する。
そして、再び真っ赤になって俯いてしまうが、既にモモンガに答えて貰っている以上、アルシェは覚悟を決めて、十秒足らずでゆっくりと顔を戻した。
「アルシェさん?」
「……率直に申しますと、異性として、意識しているんだと思います……」
「それでッ?」
「ですが、現時点ではまだ……好意や愛情よりも憧れの方が強く、引き続き一緒に居させて頂きたいと言うのが、私の素直な気持ちですッ」
「いずれは、恋人同士に成れればと?」
「は……はいッ。こんな小娘が、あの様な御強い方に、烏滸がましい限りですけど……」
————真剣な表情のモモンガに、アルシェは手痛い苦言を覚悟したが、彼女(?)の反応は予想外なモノであった。
「そうですかッ。では、私は応援します!」
「えッ?」
「あの人、三十にもなって独り身なので、いい加減、良い人を見つけるべきだと思っていたんですよ。ですから、アルシェさんは丁度良いポジションにおりますし、是非ともカツラギさんの心を射止めて欲しい所ですねッ」
「わ、わわわ私がッ!?」
「フフッ。その為なら、私も協力を惜しみませんよ~?」
「……モモンガ様……」
アルシェの知るカツラギは、帝国四騎士は勿論、フールーダまでをも凌駕する実力を持っており、遣ろうと思えば直ぐにでも帝国の英雄として君臨できる存在である。
対して、自分は没落貴族の娘で、実力も遠く及ばない為、彼と同等の能力を持つと思われるモモンガには【身の程を知れ】と切り捨てられても仕方ないとも思っていた。
しかし、まさかの全肯定であり、今度はアルシェが目を丸くさせてしまう事となった。
実は、コレは悟の(自称)巧妙な計画の第一歩であり、所謂【自分がゲームに誘ってしまった事で巻き込まれたカツラギ】に対し【こっち】では男として良い思いをして貰いたいと言う彼の(強引な)気遣いであった。
悟視点だとアルシェは十二分に可愛いし、カツラギを意識しているし、かつ、カツラギ自身が連れている=信用しているのだから、伴侶候補として申し分ない存在と言えた。
一方、カツラギは【向こう】でも設定でも【妻に先立たれた男性】である為、先に【こっち】ではどう言う環境とするかを相談する必要が有ると考えた悟は、焦るアルシェをそのまま、早い段階で話題を変える事とした。
「はいッ。ですから、もう他人では有りませんし、私の事を【様付け】するのは止しませんか?」
「そ、それでは……モモンガさん……?」
「結構。なら私も【アルシェちゃん】と呼んでも良いですか? 場所によっては弁えますけど」
「!? 構いませんッ」
「有難う。それでは、アルシェちゃん? 改めて、宜しくお願いしますね?」
「此方こそ、色々と勉強させて頂きますッ。モモンガさん……!」
「(言葉遣いを変える事も考えたけど、コレよりも柔らかくすると、俺の方がドキドキしちゃうんだよなァ……)」
「(何て心の広い人なんだろう……い、何時かは【お姉さま】とか呼びたい……かも……)」
そんな訳で、悟はアルシェがカツラギを慕っているかどうかを知りたかったのだが、結果的に、カツラギの恋人候補の一人と(勝手に)認め、彼女の恋が実る様に支援する事を考え、握手も交わしつつ親しい間柄となってゆくのだった。
こうした悟のムーブは、まさに、良い歳して結婚(もしくは再婚)しないカツラギに、花嫁候補を紹介し続ける【親戚のおばさん】に近いモノが有ると言えよう。
それはそうと、この後、再び四人で応接間に集まって、カツラギがアルシェに返答を求めた訳だが……
アルシェは冒険者登録を行うのは勿論の事、仲間と再会できたので有れば【定住を考えた場所の周辺を安全にするのを手伝う事も当然】と積極的に同行を望んだ。
この際、悟が意外にも、カツラギの予想に反してアルシェの選択を絶賛したのだが、彼の真意を知れたのは、それなりの時が過ぎてからとなる。
尚、例の【通り魔】事件の犯人を探る方法だが、アルシェとルプスレギナとの共有を考えて前日では語っておらず、これから訪問する冒険者組合での登録を終えた後に説明してくれるらしい。
「そう言えば、カツラギさん。アルシェちゃんの事を、どう思っているんですか?」
「私の協力者としては勿体無い程、良い娘だと思うよ。本来の悟君の婚約者としても、申し分なかったと思うなァ」
「うわァ、そう来ますか……(ぜ、前途多難だなァ……)」
■サトベド■
・アルベドがモモンガと一時的に精神を入れ替え、鈴木悟の精神が入った状態のアルベド
・おっさんに対しての恋愛感情はゼロ(当たり前だよなァ?)
・サキュバス
・アルベドの純白のドレスを黒くして足元を見せ、胸元の露出を無くした感じの服を着ている
・元人間
・本体は骸骨(精神はアルベド)
・ビルドも入れ替わっており、覚えていた魔法をそのまま使える
・良い歳して再婚(?)しないカツラギに花嫁候補を紹介する親戚のおばさんムーブをする