おっさんの大冒険   作:F-Shinji

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準備回(うんこ)


005:おっさんと商人

 

 

カツラギがフォーサイトに帝国の都市の調査を依頼し、一行が出発してから一週間後の朝。

 

今日も宿の二階から(頭を晒した)全身鎧姿の神殿騎士……カツラギが、階段を僅かに軋ませつつ【歌う林檎亭】の一階に降りて来た。

 

直後、彼はゆっくりと歩みを進めつつ、フロア全体を一望するかの様に顔を動かしながら口を開いた。

 

 

「おはようございますッ」

 

『おはようございま~す!』

 

 

カツラギの何気ない(……とは言え社会人として当然だと思っている)朝の挨拶に、視界の外の者達も反応しているのか、幾多もの黄色い声が返って来る。

 

対して彼は【今日も元気良いな~、此処の店の人達】と、仕事に対するモチベーションに感心しながらテーブル席に着く。

 

そして、以前、露店で適当に買った書物を静かに取り出すと、翻訳を可能とする《片眼鏡(モノクル)》を片手に鼻歌交じりに読み出したが、十数分が経つと店員の女性が朝食を持って来たので、ササッと書物と片眼鏡を片付けると、【いただきます】と手を合わせて朝食を開始する。

 

 

「おォ……うん、うん……!」

 

 

未だに全身鎧姿で食事をするのには違和感が有るが、自動でサイズを合わせてくれるユクドラシル仕様の装備ゆえにか、手つきは慣れたモノで次々とトーストや目玉焼きを平らげてゆくカツラギ。

 

朝食は店に【御任せします】と伝えている為か、毎日別のメニューが出て来るが、元の世界を考えると【こちら】の食事は何だろうと絶品で、今回も彼は、傍から見ると大袈裟すぎる程、心から美味しそうに料理を口に運んでいた。

 

一方、何でも美味しいから……と言う意味での【任せる】と言うリクエスト(?)に厨房側は連日、総出でメニューを練っており、今回も満足そうに朝食を摂るカツラギを見て各々がガッツポーズをしたりしているが、彼は裏でそんな【激戦】が行われているとは夢にも思っていない。

 

 

「ごちそうさまでしたッ」

 

「しッ、食器をお下げ致します!」

 

「ありがとうございます。本日も、非常に美味でした」

 

「勿体ない御言葉ですッ。料理長も喜ばれると思います……!」

 

 

丁寧ながら、あっという間に朝食を終えたカツラギの方へと、下膳目的の(他の者が悔しそうなので賭けに勝ったと思われる)店員の女性がやってくる。

 

そんな彼女に対し、微笑みながら頭を下げて礼を言い、下膳が終わった後に立ち上がると、着席前に壁に立て掛けて置いた剣を背中に収めるカツラギ。

 

狭い故に周囲の家具に当ててしまう事を気にしていたのか、その動作はややぎこちなかったが、その些細な行動ですら周囲には魅力的に映っていた。

 

 

『いってらっしゃいませ!!』

 

「(ホント"こっち"の食堂は凄いなァ……"あっち"じゃ考えられなかったよ)」

 

 

そして、表情を改めつつ颯爽と店を出るカツラギの背に、従業員の各々が声を揃えてお見送りの挨拶をした。

 

対して、カツラギは只の宿泊客に【何処の公爵屋敷だよ】と感心していたが……

 

一方、同じく朝食を摂っていた客……主にワーカーの男性陣は【orz】と言った心境で、オトコとしての格の違いを見せつけられていた。

 

お察しの通り、これ程の対応をされるのは、彼が【歌う林檎亭】の従業員の女性達の間で密かに注目されている人間だからである。

 

初見では傷だらけの全身鎧に、顔に小さな傷が多い警戒すべき人物に見えたが、いざ店員が対応すると、非常に紳士的に接する様子がまさに【ギャップ萌え】と言え、改めて見るとイケメンな笑顔にはやられてしまう者も続出していた。

 

帝都の女性達の間では【騎士はかくあるべし】と言われている【激風】の異名を持つ帝国四騎士のニンブル伯爵が一番人気だが、【歌う林檎亭】の中ではカツラギもそれに劣らぬ人気が有った。

 

実力としても、全身鎧は勿論、剣と盾も立派であるし、何より頻繁に同席している、あの【フォーサイト】が(言い方は悪いが)まるで子分や部下かの様に敬意を払っていたので、少なくとも実力は帝国四騎士と同等か、それ以上だと思われており、いざ(辛辣な)イミーナに聞いても否定されなかったので、女性陣の憧れの対象となるのも無理もなかった。

 

だが、それを面白くなく感じたワーカーも存在し、フォーサイト不在時、酔った勢いと無責任な煽りによって【新人の癖して挨拶も無しか】と絡む男が現れる……と言うハプニングが起きたが……

 

 

『それはそれは……大変申し訳ありませんでした。いかんせん、私は異国の出身の身でありまして、その辺りの定石には疎いのです。其処で宜しければ、是非とも挨拶すべき方達をお教え頂きたいのですが……?』

 

 

……みたいな事を立ち上がりかつ、丁寧に頭を下げて言われた為、一気に酔いが冷めてしどろもどろになってしまう。

 

直後、周囲を見渡すと、従業員+客の女性ファンが揃って【馬鹿野郎!】と言う視線を送っており、男連中は無情にも目を逸らしたので、絡んだ張本人は【こ、困った事が有ったら何でも相談しろよ】と言う誤魔化をして立ち去るしか無かった。

 

対して、カツラギは【誠意を持って謝罪したら許してくれた】と男には感謝したが、後日、彼はヘッケランとイミーナにシメられる事となる。

 

また、彼は【ある訪問】によって帝国に置ける身分を得て戻って来るが、近い未来、その役職を知った【歌う林檎亭】の各々は、やはり……と感心するのだった。

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

同日の午後、屋外に展開されているカフェ。

 

所謂、店舗スペースの一部を屋外形式にして、開放的な雰囲気の中でドリンクや食事が楽しめるように造られた喫茶店にて。

 

【ある用事】を終えたカツラギは、ロバーデイクにお勧めされた店でデザートを注文し、元の世界では考えられない贅沢……甘味を堪能していた。

 

そんな彼が先程出て来たのは【闘技場】であり、毎日の様に通っては、自分と同じ【強者】=プレイヤーが居ないかを調べていたが、違和感の有る参加者は、結局一人も見つからなかった。

 

勿論、ワールドアイテムでもある全身鎧を脱がない事で【見つけて貰う】のにも期待していたが、やはり(三日で導き出した)【無風】と言う感想は間違っていなさそうである。

 

 

「(しかし、アソコでの戦いの様子は、思った以上に勉強になってるな……見世物としても楽しめたし……)」

 

 

よって、闘技場でのカツラギの【本来の目的】についての成果は完全に空振りだったと言えるが、戦いの勉強をする機会としてはこの上ない場所と言えた。

 

賭けを成立させるのが理由か、強さと技量が大差なさそうな者同士が戦う事ばかりな為、どんな行動をした側が勝ったかを把握してゆくダケでも、今後に活かせそうな重要な情報となった。

 

その影響を受けてか、彼は娯楽に慣れていない事も有り、目立ちたくないにも関わらず、白熱した戦いでは思わず拍手や(静かに)応援をしたりもしてしまったが……

 

基本的には、黙って腕を組んで立ち見しているスタイルであり、第三者視点では、その姿勢のまま、まれにパチパチとする程度の動作しかしていない様に見えている。

 

 

「(特に【武技】と言うのがユグドラシルに無い技能だったな……試しにヘッケラン君や出場者が使ってた《肉体向上》とかを宿で真似してみたけど、ダメだったし……いずれは、私でも使えるように成るのかな?)」

 

 

また、事前にフォーサイトから聞けていた【武技】についても確認できたが、それも【ユグドラシルには無いのか】とヘッケランが不思議がっていたのはさて置き。

 

そんな【武技】……ブーストや必殺技の応酬によって、観客が理解できないレベルの高速戦闘が展開されようと、カツラギには遠目ながらも容易に目で追えてしまい、それには視力検査と動体視力には自信の無かった【彼自身】が一番驚いていた。

 

てっきり、自分は素人ゆえに力任せの戦いしかできず、現地の【武技】を使う達人が相手だと分が悪いのではないか……と懸念していたが、【武王】所謂チャンピオンを除くとぶっちぎりで強いと言われている不敗の天才剣士【エルヤー】の動きすら容易に見極められてしまったので、後は同格のプレイヤー相手に優位に立つ為にも、技量を磨き、知識を培う必要が有るのではないかと考える。

 

……最も、それらを鍛える方法は、今のカツラギにとっては見当もつかない訳だが……年齢ゆえに、プレイヤーとしての【この世界】に対する順応は、悟を始めとした若者達には大きく遅れていると言う自覚が有った。

 

 

「……うん?」

 

 

よって、未だに気が抜けない……ながらも、食事の誘惑には負け続けており、悟に心の中で謝罪しつつ帝国での調査を継続しているカツラギだったが……

 

彼が一人で座る丸テーブルに、何者かが通りすがりに一枚のメモを残していった。

 

対して、何となくその【差出人】が分かったカツラギは、デザートを食べ終えると《片眼鏡》で中身を確認した。

 

 

「……良し」

 

 

その内容に満足したのか、カツラギは立ち上がると、テーブルに立て掛けてあった剣の柄を握る。

 

直後、広さ故にかギュルギュルと頭上でそれを回転させ、チンッ……と背中に収めると、食器を返却して颯爽と喫茶店を去って行った。

 

そんな一連の動作は【鮮やか】と形容でき、中には感嘆の声を漏らす客も居たほどであったが……

 

 

「(なッ、ななな何なんですか!? あの男は……!!)」

 

 

実は、客の中に紛れて、ずっと一人の男がカツラギの様子を窺っており、その名はエルヤー・ウズルス。

 

性格には問題が多々有るとは言え、彼はワーカーチーム【天武】の一流の剣士。

 

闘技場に何度か出場する際、普通の観客とは違う雰囲気を漂わせるカツラギの存在には気付いており、いずれは自分に挑戦する為の観戦だろうと予想し、狡猾ゆえに今回は偵察を兼ねて尾行していて、頃合いを見て会話……軽いジャブでも行おうと思っていたのだが、まさかの【神業】に驚愕し、エルヤーは立ち去る彼の背中を眺めている事しかできなかった。

 

 

「(周囲の凡人達は気付いていないでしょうが、あれ程の大きな剣を高速で回転させて置いて、周囲に当たらないのは勿論、一切の風圧を始め【何も】影響を(もたら)さなかったッ! あの何気ない動作に、どれだけ卓越した技量が必要になるかは、考えるまでも有りません……顔と鎧の傷然り、間違い無く、彼は只者では無い歴戦の猛者……!!)」

 

 

————いずれ、あの様な【化け物】が自分に挑戦して来る可能性が極めて高い。

 

滝のような汗を流しながら、そう結論付けるエルヤーに、チームメンバーの奴隷エルフ三名が困惑するが、それを無視して思考を続けた結果。

 

エルヤーはカツラギが帝都を去るまでの間、闘技場で挑戦者を募るのを避け、現れもしない【化け物】からの関心を逸らそうと無駄に足掻くのであった。

 

 

「(全く……天才と言う者は、時には理不尽な枷に悩まされるモノですね……!!)」

 

 

彼の過剰な自意識に反して、(エルフの虐待現場も見ていないし)エルヤーがカツラギの眼中に入っていないのは当然として。

 

カツラギが喫茶店で行った【神業】の正体は、実は某国民的旧作RPGの主人公の、戦闘勝利後の動作を再現した屈指の【ネタモーション】である。

 

つまり【ネタモーション】である故に、動作をしている瞬間は剣に当たり判定が無く、風圧すら起きないのだが、それは剣を扱っていればいるほど異常な現象であり、エルヤーが此処まで驚いたのも必然だったと言う訳だ。

 

【歌う林檎亭】では使っていなかった辺り、本来は戦闘後にでも機会が有ったら……と言う予定だったのだが、先程のメモの内容に多少舞い上がっており、場所が開けている事も有ってか【うっかり】使用してしまったと言う訳だ。

 

しかし、幸い、あのモーションを疑問に思ったのはエルヤーしかおらず、逆に彼に絡まれるのを防げたとも言えるので、結果的にはプラスと考えて良いかもしれない。

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

……翌日。

 

カツラギは帝国の中で最も力のある【興行主】である大商人、オスクの巨大な屋敷を訪れていた。

 

何故かと言うと、帝国から【自分達への影響を抑制できそうな手段の目処】として、元の世界では巨大複合企業が国家を支配していた経験から、甚大な財力を持つオスクの存在を気に掛けており、カツラギは闘技場に通いつつも、其処のプロモーターである、彼の情報収集も兼ねて調査を行っていた。

 

その結果、オスクは生粋の【武具のコレクター】と知り、初回の訪問時には留守だったが、応対して来た従者(鑑定のプロ)に《無限の背負袋》内の武器を幾つか魅せつつ面会を求めた所、直ぐに確認を取ってみると言われ、結果的に先程の喫茶店で日時を指定した【OK】の返事を貰えたと言う訳だ。

 

そして、いざオスク(+護衛の兎)との面会となり、先ずは屋敷の中を案内され、彼のコレクションの武器と防具を見せて貰ったが……実際に効果の有る四つの【ルーン文字】が刻まれた剣……ユグドラシルでは装飾でしかなかった為、多少は驚かされたモノの……【この程度の剣】が、込められた魔力が最も多い自慢の逸品らしく、良くて【最上級】レベルじゃないかと、カツラギを色々な意味で困惑させた。

 

実際、彼はオスクの目に適う武器を提供する事の見返りとして、自分とフォーサイトに他者からの手が及ばない様、圧力を掛けて欲しい……と頼むつもりだった。

 

その為、(繰り返すが)オスクにとって【相応の価値】の有る貴重な武器を差し出す必要が有る訳だが……こうも武具のランクが想定以下だと、強力過ぎる武器を渡すと大騒ぎになりそうだし、逆に下手な武器を選び難くなってしまったと言えた。

 

 

「それでは……こちらの武器では如何でしょう?」

 

「!? おッ、おぉ! コレは……!?」

 

「名は《デゼールブレード》と言い、斬れ味は勿論の事、石化を無効にする魔力が込められた剣で御座います」

 

「おッ、おい! 直ぐに鑑定するんだ!!」

 

「ハハッ!」

 

 

よって、考えに考え抜いた末、一振りの剣を差し出すカツラギ。

 

ユグドラシルでは容易に手に入る【店売り武器】であり、石化のみを防ぐ効果が有るが、耐性そのまま武器種が変わったり、武器の性能は据え置きで耐性が違ったりと、駆け出しを抜けたプレイヤーが新たな狩場に赴く際、当たり前の様に何本も買われるラインナップの一本に過ぎなかったが……

 

オスクは剣の輝きを見たダケで驚きの声を上げ、客間の入り口に控えていた従者に声を掛けると、彼は小走りで近付いてから《道具鑑定》を唱え、その結果を驚愕の表情で告げる。

 

 

「……石化無効が付与されている事は間違い御座いません。また、筋力と器用さを上昇させる効果も付いている様です。間違い無く、王国の五宝物に匹敵する武器かと……!」

 

「完全に無効!? ご、五宝物に匹敵!? 何と、何と言う事だ……!!」

 

「私の、此方の武器の御鑑定も……」

 

「!? オスク様……?」

 

「行って差し上げろ」

 

「……フム……其方は……ドラゴンに対する強打……ですか……」

 

「龍に特攻!? ほほォ……!!」

 

「その通りで御座います。やや限定的なモノですね(……"それ"しか分からない事は知ってるけどね)」

 

 

尚、カツラギが提出した武器は、自分で買った店売り商品であるゆえに手放す選択が出来ている。

 

逆に、悟……モモンガから貰った装備は、今の所、手放すつもりは無い。

 

フォーサイトに貸し出しているマジックアイテムも、ソロ狩り時に自分で手に入れたモノであった。

 

さて置き、カツラギが石化無効の武器を選んだのには理由があり、難度83の対ギガント・バジリスク戦を想定して決定していた。

 

ギガンド・バジリスクは冒険者の一つの到達点……アダマンタイト級と称される為の最後の壁で有り、コイツの【石化の視線】が有るからこそ手が届かない。

 

だったら、それに耐性が有る武器から攻めてみるか……と実行に移した結果、オスクからは予想以上の反応が返って来た為、すかさず《龍殺しの剣(ドラゴンスレイヤー)》を鑑定させて、《デゼールブレード》の株を更に上げる小細工も忘れない。

 

勿論、《龍殺しの剣》は神器級ゆえに《道具上位鑑定》でもなければ【上辺】の性能ダケしか判明しない上に、それでも知り尽くせない効果を持つ事は、既に自分で実証済みである。

 

 

「何とッ、何時も愛用されている剣よりも優れているモノを、手放されると言うのですかッ?」

 

「ハハッ。優れているとは、やや心外ですね。単純な威力でありましたら、コチラの方が上です」

 

「おっと、それは失礼致しました……ところで、一体、これ程の【名剣】を何処でッ?」

 

「私の故郷のユグドラシル……其処の砂漠に埋もれた古代王国の廃墟から発見された剛剣で御座いますが、生憎【向こう】では石化に対する脅威が少ないゆえに持て余しておりまして、この機会に提供させて頂こうと思った次第であります。私の鎧には石化耐性も有りますしね。それよりも……どうぞ、御遠慮なくお持ちになってみて下さい」

 

「!? ほほォ! 見掛けによらず、随分と軽い……! 本当に、形容し難い名剣ですなァ!!」

 

「ではオスク殿。お気に召して頂けたと判断しても……?」

 

「当然ですともッ! 私に何か【頼み】が有るとの事ですが、何なりと仰って下され!!」

 

「そ、それでは————」

 

 

既に手放す気は無いのか、剛剣《デゼールブレード》に頬擦りまで始めているオスクに若干引きながら、カツラギは自分の要望を口にする。

 

先ず、闘技場の【武王】ゴ・ギンの様な知名度は一切要らないが、オスクの商会【お抱え】の傭兵と言う身分が欲しいと言う事。

 

この後の相談でオスクの雇っている護衛達の(無給ゆえに)名ばかりの【オクス商会:剣術指南役】の神殿騎士(但し帝国に限る)と言う形で落ち着いたが、この役職ならばオスクに接触しようと近付いて来る者達に対しても【専門外】と言う事で通るし、兎の上司みたいな存在と考えると、立場上は強いと言っている様なモノだが、皇帝ジルクニフとて、まず手を出せなくなる。

 

ちなみに、カツラギの実力については、この時点で兎が『超絶にやばい……超絶にやばい……』と立ったまま泡を吹いて呟いていたので、疑う由も無いのは余談として。

 

カツラギの身分、所謂オスク商会の人間だと言う事を示す、カードの様なアイテムを発行して貰うと言う事で、ひとまずは纏まった。

 

勿論、皇帝に目を付けられない為【だけ】の仮の身分なので、そう言う状況に成らない限りは、滅多に役職を明かさないし、オスクとしては勿体なく思うだろうが……商会の人間として動く気も毛頭無いと言う認識で、互いに合意している。

 

続いて、フォーサイトについて。

 

彼らにオスク側が忖度してやる必要は全く無いが、カツラギの依頼の終了後……

 

アルシェがフルト家に赴き、妹の双子を引き取る際は他のメンバー三人も同行し、両親に【白金貨50枚を叩き付ける】と言って置きながら、信用できないゆえに借金はしっかりと代わりに完済するだろうが、残された両親が例の【タチの悪い金貸し】から新たな借金を作らない様に圧力を掛けて欲しいと頼んだ。

 

つまり【誰に断って商売してんだ!】のアレであり、それでも働かずに残りの金貨150枚を溶かすモノなら、実家を引き払うのを手伝い、安い物件や商会の仕事でも紹介してやって欲しいとも言って置いた。

 

カツラギの要望は【以上】であり、対するオスクは拍子抜けした感じで【フルト家を一生養わなくて良いの?】みたいな疑問を返して来たが、そんな【羨ましい】事などさせる気は無い。

 

よって、困惑するオスクと強引に握手する形で(無理矢理)交渉成立としたが、当然、屋敷をひっくり返してまで金を搔き集めるつもりだった彼としては【話が美味すぎて】素直に喜べない様子であり、(頬擦りしてたのに)本当に譲って貰っても良いのかと何度も聞き直す始末であったが……

 

 

「闘技場では幾度も勉強となった試合を提供して頂きました。そのお礼も兼ねているのですよ」

 

 

……と笑顔で返されては、それ以上は何も言えず、以後、オスクは彼の要望に応えようと尽力するのであった。

 

その後、カツラギは当初の契約通り、他国に赴いた際はオスク商会を【都合の良い後ろ盾】とする事は一度も無かったが、オスクはそれによる悪影響も【どんと来い】の精神で臨んでいたそうな。

 

そんな訳で、全ての準備を終えたカツラギは、更に翌日、ロバーデイクを肖って【青い十字架が描かれた貫頭衣or法衣みたいな白い布】を全身鎧の上に纏いつつ、異国の神殿騎士(かつオスク商会の剣術指南役)としてフルト家を訪れるのであった。

 




エルヤーを改心させられる訳無いだろ! いい加減にしろ!
捏造武器のデゼールブレードは、タクティクスオウガの剣です。

多分、次回でオープニング(帝国編)が終わります。
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