家の歌姫様はだらしない。   作:せみふぁいなる

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息抜き投下。
解釈違いがございましたら、その時点で問答無用でブラウザバックしてください。この小説は多分ずっとこんな感じになります。


歌姫サマには監視が必要

 

 ………誰?

 

「ヤッホ、マスター! こっちじゃ初めましてだね! 私だよ、リンだよ! リン! 鏡音リン!」

 

 白く大きい特徴的なリボンを頭につける、黄色い髪の女の子。

 

「こらリン、声が大きい。マスターの迷惑になるかもしれないだろ? …あ、マスター。此方の世界では初めまして、鏡音レンです。これからよろしくお願いします」

 

 リボンを付けた子を冷静に諌める、短髪の同じく黄色の髪をした男の子。

 

 ……どう見たって、『あの』鏡音リン・レンで間違いない。自己紹介もしてくれたし。

 

 なんで?

 ボカロ界隈で流行ってるの?『PCの中から出てみた』的な感じで。

 

 ……あと、聞き間違いじゃ無ければ『これからよろしくお願いします』って言ってた?

 

「うん。言ったよ、マスター」

 

 ナチュラルに心読むのやめてね、レン君。

 いや、そんな事はどうでも良く……は無いけど、とりあえず置いといて。

 

「まさか、お二人もしばらくこっち側に滞在するおつもりで……?」

「そうだよ! だからしばらくよろしくね、マスター!」

「だからリン、声が大きい」

「あっはは、ごめんごめん」

 

 またレン君がリンちゃんに注意をする。

 いや、ミクさんだけじゃなくて二人も好きだからいいんだけどさ……?

 如何せん食費が……ね……?

 

「ちなみに、理由を聞いても?」

 

 一旦理由を聞いてみる。

 場合によっては全然仕方ないしね。理由、大事。

 

 理由を聞かれたリン・レンコンビは、何故か申し訳なさそうに視線を外す。

 何か不都合でもあるのか……?

 

「いや〜、その……。マスター、怒らないで聞いてくれるかな……?」

「事と場合によるかな」

「うっ……」

 

 レン君が胃の辺りを手で抑え、少し怯む。

 ……胃の辺りを抑えるのに慣れてる感じがする。苦労人なのかな?

 しばらくして覚悟が決まったのか、バッと顔を上げると、ビシッ!と指を指した。

 

「……後はリン、任せた!」

 

 ……リンちゃんに向けて。

 えぇ………。

 

「えっ?! 何でよレン! こういう説明は私苦手だから、レンがしてくれるって言ったじゃん!」

「前言を撤回する! いくら僕でも、こんな恥ずかしい説明はそう簡単に出来ない! 主に羞恥心で!」

「私もしたくないよ!!」

 

 目の前で醜い争いが始まった。

 説明役の押し付け合いという、醜い争いが。

 ……二次創作以外で、この二人の喧嘩が見れるとは。しかも生で。

 ……しばらく傍観してるか。

 

「っていうかここに来る前は全然余裕そうだったじゃん! 何で今になって日和っちゃうの?!」

「来る前は大丈夫だって思ってたんだよ! でも、リアルでマスターを目の前にして罪悪感が芽生えちゃったんだよ!」

「その気持ちは分かるけど! 私が説明するより、いつも落ち着いてるレンが説明した方がスムーズに行くじゃん! 唐突に土壇場で私を指名しないでよね! バカレン!」

「なにをー?! っていうか僕が説明するよりも、いつも俺より元気なリンが説明した方が、マスターに悪い印象を与えないかもしれないだろ?! リンは人当たりが良いんだから! 土壇場だからこそ頼りにしたんじゃないか、バカリン!」

 

 ……今日もコーヒーが美味しいなぁ。

 いやぁ平和な一日だ。

 ……喧嘩しながら相手を褒めるって、器用だね君達。

 

「バカレンにバカリンって言われた! 頼られるのは嬉しいけど、ちゃんと男見せてよ! 私だってレンを頼りにしてるんだから! マスターが優しい人じゃ無かったら、今頃私達追い出されてるんだからね!」

「そんなの分かってるよ! でもその優しいマスターだからこそ、あんな事そんな簡単に言えないよ! なんだよミク姉の監視って! その為だけに食費とかの生活費が増えるマスターの事を考えてみてよリン!!」

「それはそうなんだけど! っていうかそうだよ、そもぞなんでメイコ姉でもカイト兄でも無くて私達二人なのさ! いくらミク姉がだらしないとは言っても、二人も要らなくない?!」

「俺に言わないでよ! そのカイト兄さんとメイコ姉さんに言われたんだから仕方ないだろ?!」

「……確かに。レン、さっきはごめん」

「……こっちも、ごめん」

 

 …………あ、終わった?

 いやぁ、結局最後はちゃんと謝れるの、偉いなぁって思うよ。素直に謝るのって難しいからね。

 

 さて、と。

 

「……『ミク姉の監視』?」

「「……あっ」」

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「─────なるほどねぇ……。ミクさんがあまりにもだらしないから、こっちでも好き勝手に散らかさないよう監視を任された、と……」

「……はい。その、これを言うだけなのに目の前で喧嘩しちゃって、すみません。マスター」

「ごめんなさい……」

 

 二人ともシュンとして小さくなっている。可愛い。

 

「別に気にしてないよ。むしろ良い物見させて貰っちゃった。……それで、本題に移るんだけど。二人としては、このままこっちに居た方が良い……んだよね?」

 

 シュンとした状態から、少し立ち直ったレン君が頷いて答える。

 

「うん、マスター。帰ったらメイコ姉さんとカイト兄さんになんて怒られるか分からないし……」

「特に、メイコ姉は怒ると怖いからね〜……」

 

 怒られている時の事を思い出したのか、リンちゃんがブルブルっと身を縮こまらせて怖がっている。

 あら可愛い。……なんでリボンも怖がってる感じで動いてるの?どういう原理?

 それも可愛いけど。

 

「オッケー、分かった。そういう事なら、居てもらっても構わないよ。生活費は少し上がるけど……。まぁ、有難いことに、それこそ君達のお陰で少し余裕はあるから……大丈夫だと思うよ」

 

 居てもいい、と言われると、二人共嬉しそうに立ち上がった。

 

「ホントに!? やったー! マスター、ありがとう!」

「どういたしまして。レン君も、これから一緒に暮らすんだから、砕けた話し方でもいいよ」

「え、良いんですか?……ンンッ、じゃなくて……。分かった、ありがとう! マスター!」

 

 ええんやで……。

 二人が画面の中から出てきて俺と話してくれるってだけで、もうね……。

 十分な見返りですよ、ええ。

 

 完全に立ち直った二人は、そうと決まれば!と今後の事について積極的に話してくれる。

 

 家を借りる時に、一人なのに調子に乗って大きい場所を借りたから部屋はまだまだ余っている。

 なので好きな部屋を使っていい、という事。

 

 チャイムが鳴ったりしても、自分達では出ずに俺に言って欲しい、という事。

 お風呂やご飯の時間の事などなど、様々な事がすぐに決まった。

 

 チャイムが鳴っても俺を呼んで欲しいのは、何か騒ぎになったりして欲しくないからだ。

 ワンチャンコスプレイヤーと思われない事も無いだろうが、念には念を入れてというヤツだ。

 

 ここに住む上での話し合いは終わったので、後はこの子達の生活に必要なものを買うだけ。

 と言う事で、早速どんなのがいい?とベッドや机、椅子などの写真を見せてみた所………

 

「マ、マスター? その、僕……いや、俺達はほぼ居候みたいなものなのに、そこまでしてもらうのは流石に申し訳が……」

「レンの言う通りだよ! マスターは優しすぎると思う!」

 

 凄い申し訳なさそうな顔でレン君には拒否られ、リンちゃんには逆にお説教まがいの言葉を食らった。

 だって、無いと生活するのに不便でしょ?と伝えた所、「最低限あれば大丈夫。というか突然来た人に、さも当たり前かのようにどんな家具が良いか聞くのは優しいとかいうレベルじゃないと思う」と返された。

 

 長くいる事になりそうな気がしたから、お高めの買い物するかぁって思っただけなのに……。

 

 ちなみに、この話は俺のゴリ押しにより決着が着いた。

 押せ押せの精神で、とにかく勢いに任せて交渉した所、見事勝利した。

 

 服とかに関しては、いつの間にか外が暗くなってしまっていた為、明日に回すことに。

 ミクさんの部屋着パーカーであれば、ダボダボでも二人は着れるだろうけど……。ミクさん、許可してくれるだろうか?

 ……してくれない気がする。

 

 最悪の場合は、お風呂後も服を使い回して貰う事になりそうだ。

 かなり申し訳無い。

 

 そんな事を考えていると、ミクさんがリビングにやって来た。

 

「お水お水〜、お水は喉に良いのよ〜」

 

 なんかよく分からないが、ご機嫌らしい。

 水を求めてやってきたミクさんは、リビングにいるリンレンコンビに気付くと、小首を傾げる。

 

「あれ、リンちゃんとレンくんだ〜。どうしてここに?」

 

 何故PCの中から出てここに居るのか分からない様子だ。

 リンレンコンビはジト目でミクさんを見る。

 

「……ミク姉がマスターに迷惑かけてないか、監視する為だよ」

「え゛ッ」

「じー……。ミク姉、マスターの家でもあの調子じゃないよね?」

「う゛ッ」

 

 リンちゃんのリボンが「おっ?おっ?」とガンを飛ばすように動く。器用な事するなぁ……。

 

「私達もここに住む事になったから、覚悟してよね、ミク姉」

「俺達を戻そうとしても、カイト兄さんとメイコ姉さんのお願いで俺達ここに居るから、意味無いからな」

「あぁ〜、えっと……」

 

 しばらく目を泳がせていたミクさんは、ちゃんと当初の予定であった水を無言で汲むと、そのまま「その話はまた後で!」と部屋に帰って行った。

 ……ミクさん……哀れなり……。

 

 リンちゃんはそんなミクさんを見て、俺に問いかけてくる。

 

「……マスター、正直に答えてね。ミク姉、こっちでもかなりだらしなかったりしてる?」

 

 望み薄だけど、一応聞いておこうとするリンちゃん。

 うーん、ここは流石にミクさんの株の為にも肩を持ってあげたい……

 

「うん!!!!!」

 

 満面の笑みで答えた。

 

 

 翌日から、四人での生活がスタートした訳だが。

 ミクさんはしばらく、リンちゃんとレンくんの監視の目に怯えていたという。

 




口調が安定しないよキャッキャッ!

言うとる場合か。
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