実験に利用された挙句捨てられた少年   作:明星桜花

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第十五章 劇場版『ヒーローズ:ライジング』
第百二十話 ヒーローズ:ライジング Ⅰ


ーthird personー

12月下旬、山沿いの道路を一台の装甲車と複数の自動車が走っていた。

自動車にはロックロックをはじめとしたヒーローが乗っており、装甲車に乗っている敵ヴィランを追跡していた。

装甲車の車窓からはスピナーの顔が見え、ロックロックが自動車を運転しながら声を上げる。

 

 

 

「伊口秀一!!」

 

 

 

「やはり…(ヴィラン)連合!!」

 

 

ヒーローの一人がガトリングのような形状をした左腕を向けると、スピナーはハンドルを切る。

すると装甲車が右にカーブし、ロックロックの乗っていた車が岸壁に叩きつけられる。

 

 

 

「チッ…!」

 

 

スピナーは、さらにハンドルを切って装甲車で自動車に体当たりを仕掛け、ヒーローの乗っている自動車を崖から落とす。

すると落ちた自動車が爆発して爆炎を上げる。

 

 

 

「クソ!!」

 

 

追跡していたヒーローは、自動車の中からガトリングで攻撃を仕掛ける。

だが、装甲車はびくともせず、装甲車に銃弾が跳ね返って火花が飛び散る。

 

 

 

「やはり硬え…!」

 

 

 

「接近するぞ!!」

 

 

 

ロックロックの声を合図にするかのように、ヒーロー達の自動車は加速した。

ロックロックの車に乗っていたヒーローは、さらにガトリングで攻撃をする。

すると車窓から荼毘が現れ、左手をヒーロー達の方に伸ばして蒼炎を放つ。

ロックロックは、咄嗟にハンドルを切って蒼炎を回避した。

 

 

 

「『本締デッドボルト』!!」

 

 

 

ロックロックは、運転していた自動車を横転した状態で『施錠』し、道路上に固定する。

固定された自動車は盾となって蒼炎を防ぎ、他のヒーローの車が岸壁を走って接近する。

ロックロックは、同乗していたヒーローを肩に担ぎながら車から脱出していた。

 

 

「チッ…!!」

 

 

 

「荼毘!!」

 

 

岸壁を走っていた車からヒーローが飛び出し攻撃を仕掛けるが、装甲車に弾き飛ばされて道路上を転がっていく。

すると装甲車のハッチからMr.コンプレスが顔を出す。

 

 

 

「いよいしょ…しつこいよっと!!」

 

 

 

Mr.コンプレスは、“個性”で圧縮したビー玉を地面へ投げる。

するとその瞬間、ビー玉がバリケードに変わり、バリケードに激突した自動車が投げ飛ばされ、地面に激突した瞬間爆発する。

だが、ヒーローの一人が装甲車に喰らい付いてよじ登ってきた。

 

 

 

「貴様ら、何を企んで…!?」

 

 

 

「無意味な質問するなよ」

 

 

 

ヒーローが攻撃をしようとすると、荼毘が蒼炎を放ってヒーローを焼き尽くす。

 

 

 

「ぐわぁ!!」

 

 

一方装甲車を運転していたスピナーは、苛ついた様子で拳をハンドルに叩きつける。

 

 

 

「何でヒーロー共が…!?」

 

 

 

「情報が漏れてるなァ…」

 

 

 

「漏れてるって、どこから!?」

 

 

 

「さあなァ…」

 

 

 

苛ついている様子のスピナーに対して荼毘が言うと、Mr.コンプレスが尋ねる。

荼毘は、それに対して気怠げな返事をした。

一方、連合を逃したヒーロー達は連絡を取り合っていた。

 

『追跡班! 突破された!! あとは…』

 

 

 

「みなまで言うな。俺に任せろ」

 

 

 

無線で連絡してきたヒーローに対してそう答えたのは、エンデヴァーだった。

すると、スピナーが目を見開いて声を漏らす。

 

 

 

「なっ…エンデヴァー!?」

 

 

 

「繰り上がりのNo.1か…!」

 

 

 

「フン…こんな真夜中に、ご苦労なこった!!」

 

 

 

「『ジェットバーン』!!!」

 

 

 

荼毘とエンデヴァーは、ほとんど同時に炎を放った。

すると二人が放った炎は互いに打ち消し合い、ちょうど中間地点で相殺される。

 

 

 

「チッ!」

 

 

 

「おいおいおい!! 轢いちまうぞエンデヴァー!!」

 

そう言ってスピナーは、装甲車のアクセルを踏み込む。

するとエンデヴァーは、両腕を交差させて構える。

 

 

 

「Mr.下がってろ」

 

 

荼毘が言うと、Mr.コンプレスが装甲車の中へと引っ込む。

それと同時に荼毘は両手から蒼炎を出し、一気に解き放った。

だが…

 

 

 

「『プロミネンスバーン』!!」

 

 

 

エンデヴァーは、膨大な量の炎を解き放った。

すると荼毘の放った炎はいとも簡単に打ち消され、周囲を覆い尽くす炎は装甲車にも及んだ。

 

 

 

「クソッ、ここまでか…!」

 

 

 

「エンデヴァー…」

 

 

 

装甲車の中にいた3人は炎熱で溶けて消え、炎を上げた装甲車は崖から投げ出された。

その後、エンデヴァーが装甲車が投げ出された場所へ行くと、人影があった。

 

 

 

「ん…来ていたのか。少しは手伝ったらどうだ、ホークス」

 

 

 

 エンデヴァーが声をかけると、ホークスは笑顔を浮かべながら振り向く。

 

 

 

「今来たばかりですって! エンデヴァーさん」

 

 

 

「連合の連中は?」

 

 

 

「全員トゥワイスの複製でしたよ」

 

 

 

 エンデヴァーが尋ねると、ホークスが答える。

 

 二人は、早速装甲車の中を調べた。

 

 するとエンデヴァーが変わったデザインの座席を見つける。

 

 

 

「何だこれは…?」

 

 

 

「生命維持装置…ですかね? 新型の脳無を輸送していたとか…」

 

 

 

「何だと!?」

 

 

 

ホークスが言うと、エンデヴァーが驚く。

ホークスは、顎に手を当てて考え込んでいた。

 

 

 

(死柄木達は一体…何を運んで…?)

 

 

 

 

ーthird personー

一方、日本のはるか南に位置する離島・那歩島では。

休日という事もあってか、海岸は海水浴に来た客で賑わっていた。

 

 

 

「「ねえねえ!! 俺らと一緒に遊ぼうよう!! ポウポウ!!」」

 

 

 

「結構です!」

 

 

 

二人のチャラ男が、二人の女性に対して変な踊りを踊りながら声をかけていた。

二人の女性は、呆れながら去っていった。

それでもチャラ男二人は、しつこく女性を追いかけようとした。

 

 

 

「「そんな事言わな…あだあ!?」」

 

 

 

チャラ男二人は、突然転倒して地面に顔を打ち付ける。

チャラ男二人の足の裏には、紫色のボールがくっついていた。

 

 

 

「何だこれ…!?」

 

 

 

「取れねえ…!」

 

 

 

「お怪我はありませんか? お嬢さん!」

 

 

 

その声に女性二人が振り向くと、精一杯の笑顔(※イケメンスマイルのつもり)を浮かべた峰田がいた。

 

 

 

「ありがとう!」

 

 

 

「助かりました!」

 

 

 

女性二人は、礼を言いながら峰田の横を通り過ぎていく。

女性二人は、そのまま峰田の後ろにいた尾白に駆け寄った。

 

 

 

「いえ…! 今のは俺ではなくて…!」

 

 

 

「下!! 視線下ぁ!!」

 

 

 

尾白が照れながら否定していると、峰田が悔しそうに飛び跳ねていた。

その頃障子は複製した耳と目で海岸を監視していた。

 

「蛙吹! 岩場の向こう70m! 子供が溺れている!!」

 

 

 

「ケロ!」

 

 

 

障子が言うと、蛙吹は海に飛び込んで泳ぐ。

そしてその頃砂藤は、猛スピードでボートを漕いでいた。

 

 

 

「うおおおおお!!」

 

 

その頃、障子が発見した子供は波に飲まれて泣き叫んでいた。

 

 

 

「ママァ!!」

 

 

 

蛙吹は、波に飲まれた子供を舌で掬い上げて救出する。

そしてそのままボートを漕いでいた砂藤に渡す。

 

 

 

「だ、大丈夫かい…?」

 

 

砂藤は、子供を抱きかかえながら尋ねる。

だがボートを全力で漕いで疲れていたせいか顔色が悪くなっており、その顔を見た子供は怖がって大泣きした。

 

 

 

「うわあああああん!!」

 

 

 

「何故泣く!?」

 

 

 

「顔が怖いのね…」

 

 

 

砂藤が何故突然子供が泣いたのか分からずにオロオロしていると、蛙吹が呆れながらツッコミを入れた。

その頃常闇は、黒影(ダークシャドウ)を召喚して海岸にいた客達に呼びかけていた。

 

 

 

「遊泳禁止!! 遊泳禁止!! 岩場の向こうは遊泳禁止!!」

 

 

 

瀬呂は、セロテープを伸ばして『立入禁止』と表示されたバリケードを張った。

 

 

 

「ここから先は危険だから入らないで下さいね!」

 

 

すると海水浴に来ていた客達は、二人に拍手と歓声を送る。

 

 

「すげーぞ!」

 

 

 

「やるな…!」

 

 

 

それを見ていた轟は、呆れ返った様子で呟く。

 

 

 

「見せもんじゃねぇんだが…」

 

 

 

すると、海の家の店主が轟に声をかける。

 

 

 

「ショートくん! また氷頼めるかな?」

 

 

 

「はい…」

 

 

 

店主が手を合わせて頼むと、轟は巨大な氷塊を出す。

すると店主は驚いて目を丸くする。

 

 

 

「どうぞ」

 

 

 

「大きすぎ!!」

 

 

 

轟が言うと、店主は呆れながらツッコミを入れた。

一方、その様子を幼い男の子が崖の上から目を輝かせながら見ていた。

 

 その隣には、男の子の姉と思われる少女が立っていた。

 

 

 

「うわぁ…! ヒーローがいっぱい…!」

 

 

 

「ふーん…」

 

 

 

「お姉ちゃん?」

 

 

 

ー明星桜花sideー

さて、島に来ていたA組が借りているいおぎ荘では。

 

 

「雄英ヒーロー事務所です! はい、すぐに向かいます!」

 

 

かかってきた電話を取った芦戸は、要件を聞くと立ち上がって上鳴に声をかける。

 

 

 

「上鳴! 西地区の松田さん! バッテリーがまた上がったって!」

 

 

 

「またかよ!? あのオッサンいい加減買い換えろって…」

 

 

 

芦戸が言うと、上鳴は面倒臭そうに席から立ち上がる。

すると芦戸が上鳴を応援した。

 

 

 

「頑張れチャージズマー!」

 

 

 

「「「ゴーゴー!!」」」

 

 

 

「ゴーゴー!!」

 

芦戸に続けて響香達もコールを送ると、上鳴はノリノリで飛び出して行った。

麗日は電話をかけてきた女の子の相談に乗っており。

 

 

 

『弟が…迷子になってどこにもいないの…!』

 

 

 

「大丈夫だよ。落ち着いて、まずは…」

 

 

 

百は、電話をかけてきた女性の相談に乗っていた。

 

 

 

「心配ありませんわ。はい! 飯田さん! 佐藤のおばあちゃんがギックリ腰に」

 

 

 

「わかった! 直ちに急行する!!」

 

 

 

飯田は、席から立ち上がるとヘルメットを被ってすぐにいおぎ荘を飛び出していった。

女の子の相談に乗っていた麗日は、席から立ち上がってA組に呼びかける。

 

 

 

「商店街で迷子! 手の空いてるヒーロー、一緒に!」

 

 

 

「断る」

 

 

 

「早…!」

 

 

 

麗日の呼びかけを爆豪が即拒否すると、麗日がツッコミを入れる。

すると切島が爆豪を窘めながら立候補した。

 

 

 

「そういう事言うなって爆豪! 麗日、俺が一緒に…」

 

 

 

「おめーの“個性”で迷子が探せるか!」

 

 

 

「うぐ…」

 

 

 

立候補した切島に対し爆豪がツッコミを入れると、切島が押し黙る。

すると響香が立ち上がってジャックを振り回しながら言った。

 

 

 

「迷子探しならウチの出番だね」

 

 

 

すると緑谷が立ち上がって声をかける。

 

 

 

「麗日さん! 僕も行くよ!」

 

そう言った緑谷に続いて俺も

「俺も行こう、上空から探してみるよ」

と言って続く

 

 

響香の“個性”を使って方角を特定し、俺が飛んでやっと正確な場所

を特定した。

滑り台の前で、男の子が姉を探していた。

 

 

 

「おねーちゃん! どこー!? どこにいるのー!? おねーちゃん!」

 

 

 

男の子が姉を呼んでいると、緑谷が駆けつけてくる。

 

 

 

「活真くん!? 島乃活真くんだよね!?」

 

 

 

緑谷の姿を見た男の子、活真は目を輝かせる。

 

 

 

「ヒーロー…!」

 

 

 

「お姉さんとはぐれたんだよね? さ、僕が一緒に…」

 

 

 

緑谷が笑顔で活真に手を差し伸べると、活真はその手を取ろうとする。

するとその時だった。

 

 

 

「遅い!! 遅すぎる!!」

 

 

 

そう言って女の子が怒りながら滑り台を降りて緑谷の前に立った。

 

 

 

「お姉ちゃん…!」

 

 

 

「あなた名前は!?」

 

 

 

女の子は、高圧的な態度で緑谷に詰め寄って指を差す。

すると緑谷は若干オドオドした様子で答える。

 

 

 

「で、デクです! あの、君は…?」

 

 

 

緑谷が名乗ってから女の子に尋ねると、女の子は怒ったまま答える。

 

 

 

「活真のお姉ちゃんの真幌!!」

 

 

 

「え…じゃあ、弟さんを見つけてたんだね…良かった」

 

 

 

怒って尋ねてきた女の子、真幌が活真の姉だとわかると、緑谷は安心して笑顔を浮かべる。

すると真幌はさらに怒った様子で緑谷を捲し立てた。

 

 

 

「ちっとも良くない! 迷子探しに10分もかかるってどーゆー事!? あの雄英ヒーロー科のくせにダメダメじゃない!! これなら前にいたおじいちゃんヒーローの方がよっぽど良かったかも!!」

 

 

 

真幌が緑谷を指差したまま捲し立てると、緑谷は思わず尻餅をついて萎縮する。

 

 

 

「す…すみません…」

 

 

 

「ま! 仕方ないか、まだ高校生だし!」

 

 

 

「すみません、すみません…」

 

 

 

真幌が棘のある態度で言うと、緑谷は真幌の前で正座をしてひたすら平謝りする。

そこに俺が降り立つ

そして

「申し訳ないのだが試験的目的での通報は控えて頂きたいこの島に派遣されているヒーロー候補生は決して多くない

プロのヒーローならばいざ知らず我々は候補生

一部を除いて経験は乏しい

経験が乏しいなら戦力を集中運用せざるを得ない

今回の通報で出動したのは私と隣のデクを含めて4名だ

それが正当な通報でなくても少なくともそれが重大な事案であれば少なくとも2名、多ければ10名以上が出動する

それによって他の事案に対応できなくなる可能性がある

それ故今後はこのような事はしないようにお願いする

謝罪は不要なのだ今後は留意してくれ

では失礼する

デク、帰所するぞ」

と言い

2人に

『事案解決、帰所する』

と連絡を入れた

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