ー明星桜花sideー
雨が降り頻る夜。
ナイン達との戦いの後、俺達は島民達と共に島の避難施設に避難していた。
響香は、“個性”を酷使して必要な物資を創造し続ける百と、バッテリーを貯め続ける上鳴を心配していた。
「二人共、“個性”使い過ぎだって…」
「いつ敵が来るかわかりません…」
「ここで無理しなくていつするんだウェイ…」
「ウェイウェイしてきたじゃん…」
上鳴がアホ面を浮かべながら言うと、響香がツッコミを入れる。
一方常闇は食事の配当に並ぶ島民達を誘導しており、俺と尾白、切島、葉隠は、食事を島民達に配っていた。
「どうぞ」
「ありがとう」
「熱いから気をつけて」
尾白と切島は、豚汁を島民達に配っていた。
そして俺と葉隠はお握りを配っている
「1人1つでお願いします
今だけで構いません指示に従っていただければ
必ず状況を打開します」
「皆の分あるからねー!」
一方飯田は、必要な物資を運んでいた。
飯田は、憔悴した島民達を見て心を痛める。
すると村長が飯田に声をかける。
「敵はどうなったかの?」
「安心して下さい! 皆さんは我々が必ずお守りします」
一方芦戸、蛙吹、砂藤は島民と一緒に食事を作っており、瀬呂が食材を運んでいた。
「食材が豊富な島で良かったわ」
「ああ。とりあえず食事の心配は無さそうだ」
蛙吹の言葉に砂藤が同意する
すると瀬呂が食材を運んできたので、芦戸が尋ねる。
「捕まえた敵、どうしたの?」
「ああ…地下のボイラー室に閉じ込めたんだよ。いくら尋問しても何も言わないらしいぜ」
芦戸が尋ねると、瀬呂がそう答えた
ーthird personー
とある一室
その部屋では緑谷と爆豪含む怪我人の処置をしていた
その部屋に麗日が入室し、緑谷と爆豪の様子を見ていた轟と障子に聞く
「轟くん、デクくんと爆豪くんはどうかな」
「まだ意識が戻らない。ずっと熱が下がらないままだ」
「診療所の先生が処置してくれているが…」
轟と障子が言うと、麗日は二人の方を見る。
二人は高熱で苦しそうにしており、怪我の痛みもまだ引かない様子だった。
麗日は、医師達の分の食事を運んでくる。
「お疲れ様です」
「すまんな。ワシらの“個性”で出来るのは、傷口を塞ぐくらいじゃ」
「これ以上は本当の病院じゃないと……」
医師二人が言うと、麗日達は心配そうな表情を浮かべる。
すると後ろから活真が声をかけた。
「僕に手伝わせて」
その声に三人が振り向き、麗日が尋ねる。
「活真くん…?」
麗日が言うと、活真の隣にいた真幌が話し始める。
「活真の“個性”は、『細胞の活性化』らしいの。熱が引くかどうかはわからないけど…」
「デク兄ちゃんは、僕らを守って怪我したんだ! だから…!」
活真は、そう言って麗日達に訴えかけるような目を向けた。
すると医師達の方から活真に頼み込む。
「こっちからも頼むよ、活坊」
「うん!!」
その頃、要塞内のナイン達のアジトでは。
スライスは、“個性”の酷使で寝込むナインを看病していた。
するとキメラが入ってくる。
「ナインの様子は?」
キメラが尋ねると、スライスが答える。
「大丈夫。数時間もすれば起き上がれるはず。…! マミーは!?」
「いねェのか。…まさかヒーローに!?」
「そんな…」
「だとしても計画は進める。必ず…必ずだ!」
キメラは、“個性”だけが支配する社会を実現する為の計画を続行する覚悟を決めた。
キメラは、かつてその容姿のせいで迫害を受け、敵ヴィランに身を堕とした。
ナインは同じような境遇を抱える他二人も仲間にし、自身の理想を叶える為敵連合に協力して“個性”強化実験の被験体になる事にした。
キメラは、かつて自分を助けてくれたナインの為に計画に身を捧げると決めたのだ。
氏子の実験を受けたナインは、見事オールフォーワンの“個性因子”に適合し、9つの“個性”をその身に宿す事に成功した。
だが“個性”を使えば使う程体細胞が死滅していくという副作用も悪化し、長くは戦えない身体となった。
そのデメリットを解決する為、ナインは活真の“個性”を狙っていたのだ。
一方活真は、“個性”で二人を癒し続けていた。
すると真幌が心配そうに声をかける。
「活真、少し寝ないと」
「ううん、まだやる…!」
「でも…「やるんだ!!」
活真は“個性”を酷使して苦しそうだったが、それでも“個性”の使用をやめなかった。
すると二人が少し動いた
「デク兄ちゃん」
「バクゴー」
その頃A組は、倉庫に集まって現場を確認していた。
「まずは現状の報告。通信電力網が破壊され、救援を呼ぶ事はできない」
飯田が言うと、桜花がその隣から言った
「それについては先刻衛星通信で我が社の部隊に出動指令を出しておいた
だが到着にはある程度時間がかかるだろう」
「それまで敵が待ってくれるとは思えない…」
尾白も言った。
飯田は、自分達のやるべき事をクラスメイトに伝える。
「今我々がやるべき最優先事項は、島の人々を守り抜く事」
「どうやって?」
「緑谷と爆豪をあそこまで痛めつけた敵だぞ!」
飯田が言うと、砂藤と峰田が反論する。
すると轟と耳郎も言った。
「俺らが戦った奴も、かなりの手練れだった」
「戦うにしても、ヤオモモや上鳴は“個性”かなり使っちゃってるし…」
「ウェイ」
すると蛙吹と切島も言った。
「わかってるだけでも、敵はまだ三人いるわ」
「一斉に襲われたらひとたまりも無えぞ」
「せめて… 敵の目的が分かれば…」
「うん…」
飯田が言うと、麗日が頷く。
すると活真がA組の方へ駆けつけていく。
「活真…!」
「敵が狙ってるのは僕だよ!」
活真が言うと、A組は一斉に活真の方を見る。
「…何だって?」
「僕の“個性”を奪うって言ってた!」
「“個性”の強奪…」
「まるでオールフォーワンみたいね…」
「でも敵の目的はわかった!」
「この子を連れて逃げればいいだけ「そう簡単にはいかねェ」
常闇と蛙吹が言うと、麗日と芦戸は前向きな発言をした。
すると轟が芦戸の発言を遮る。
「相手は敵だ。『この子を差し出さないと島民を殺す』とか言い出しかねねェ」
「じゃあどうすりゃいいんだよ!?」
轟が言うと、峰田が慌てふためく。
すると活真が口を開く。
「僕を敵に渡して!!」
「……え?」
「『殺さない』って言ってた!! 僕の“個性”なんか無くなってもいい! それで島の皆が助かるなら…」
活真が自分を敵に差し出すように言うと、桜花が言った
「君が犠牲になる必要はない
どんな時でも犠牲になるべきなのは市民じゃない
我々ヒーローと呼ばれる者達だ」
「でも…!! 僕は、こんな“個性”なんかより島の皆が…「ダメだよ、そんなのダメだ」
活真が自分を犠牲にしようとすると、誰かがそれを止めた。
見ると、緑谷と爆豪が立っていた。
「デク兄ちゃん…!」
「君が怖い思いをする事なんかない。その為に僕達がいる」
緑谷は、笑顔を浮かべながら活真を安心させる。
するといつの間にか扉にもたれかかっていた爆豪も言った。
「要するにあのクソ敵共をブッ殺せばいいだけの事だろが!」
「爆豪!?」
爆豪が言うと、切島が驚く。
緑谷は、爆豪と向き合って頷いた後、活真と真幌の方を向いて言った。
「必ず、君達を守るよ!!」
「敵共をブッ潰す!!」
緑谷が言うと、爆豪も拳を打ち付けて爆破を放ちながら言った。
「島の人達も絶対に助ける!」
「絶対に勝つ!」
二人が言うと、活真と真幌は目を見開いて笑顔を浮かべた。
「緑谷、爆豪、その意見乗った」
「私も! 島の人達を守りたい! 戦おう!」
轟に続けて、麗日も加わった。
すると上鳴と飯田も立ち上がる。
「しゃーねーな、松田さんちの耕運機、直さなきゃウェイだし!」
「俺だって! 佐藤のお婆さんには長生きして欲しいと思っている!」
二人が言うと、切島と常闇も声を上げた。
「俺もやるぜ!!」
「俺もだ」
切島と常闇に続けて、耳郎と葉隠も立ち上がる。
「ウチも!」
「もちろん!」
瀬呂と尾白も、席に座りながら賛同した。
「俺も!」
「ああ!」
芦戸と蛙吹も、席から立ち上がりながら賛同した。
「あたしも!」
「ケロ!」
「よっしゃやろーぜ!」
「俺達はヒーローなんだ!」
「不可能なんて乗り越えてみせる!」
峰田、砂藤、障子の3人も賛同する。
「ここで立たねばいつ立つのか
我等がいただいている期待に応えねばなるまい」
桜花もそう言って立ち上がった
すると八百万がフラフラの状態で立ち上がりながら言った。
「いつも言ってますもの…」
「更に向こうへ!」
「「「「「Plus Ultra!!!!!」」」」」
八百万と飯田の掛け声を合図に、A組は一斉に叫んだ。
その後、A組は全員で作戦会議をした。
轟が緑谷に作戦を尋ねる。
「緑谷、作戦は」
「確認できた敵は3人。後ろが断崖絶壁の城跡を拠点にして、敵の進行ルートを一つに絞らせる。そして先制攻撃で敵を分断。それぞれの地形を利用して…「奴等を叩きのめす」
緑谷が作戦を説明すると、爆豪が遮って言った。
すると緑谷は作戦の説明を続ける。
「島の人達は、断崖絶壁の洞窟に避難。活真くんと真幌ちゃんは、僕らで護衛。いざという時の脱出経路も確保」
緑谷が言うと、轟は気になっていた事を尋ねる。
「“個性”の複数持ちへの対応は?」
「僕達が戦った時、突然相手が苦しみ出した。おそらく、“個性”を使いすぎると身体に負担がかかるんだ。だから活真くんの“個性”、『細胞活性』を奪おうとしていた」
「なるほど、消耗させんのか」
「敵には、波状攻撃を仕掛けて“個性”を使わせる
“個性”を奪われるから、接近戦はなるべくしない方向で! それで敵を倒せれば良し、たとえ倒せなくても…」
そして夜明け時、緑谷達は城山の頂上にいた。
「救援が来るまで持ち堪えれば…!」
「皆を守れる」
「違え」
緑谷が言うと、轟も言った。
すると爆豪が反論する。
「絶対に勝つんだよ」
A組は、全員揃って準備を整えた。
そして、夜が明ける。
一方その頃、偵察をしていたスライスがナインに報告する。
「ナイン! ターゲットは城山の頂上。ヒーローもね」
「チッ! 籠城かよ」
スライスが報告すると、キメラが舌打ちする。
するとナインは、全く気にする事なく振り向いて真っ直ぐ城へと歩いていく。
「目標に向かうぞ。王となる者に小細工など要らない」
一方、城山から偵察をしていた障子が向かってくる三人を発見する。
「来たぞ! 三人! 予想ルートを固まって歩いてる!」
そしてその頃八百万と桜花は、持ち場で待機していた。
八百万は、単眼鏡で三人の様子を確認しながら桜花に報告する。
「
「あぁ、さぁ開戦の号砲だ」
「5、4、3、2、1…!」
「炎魔-骸……
八百万が合図をすると、桜花は骸炎弾雨を放つ
継続的に放たれる骸炎砲によってキメラとスライスが分かれた
「分かれた!」
八百万の報告に桜花は更なる攻撃を始める
「
桜花の放った骸炎巨砲はあらぬ方向へ飛んでいく
「どこを狙って…」
スライスが笑った直後、スライスの足元が崩れる。
「何!?」
スライスの下の地面が崩れ、スライスはそのまま地面の下に落ちていった。
「チッ…!」
一方キメラは、砲撃から逃れると森の中へと飛び込んでいった。
するとそれを確認した八百万が地面に膝をつく。
「第一段階…終了…!」