ー明星桜花sideー
緑谷が何やら発見してから数刻
俺達は巨大な岩の影に隠れながら隠されていた仕掛けを解いていた。
「うーん…何だ? 何がどうなって…」
緑谷がパズルを解いていると、轟が指示を出す。
「こうじゃないのか?」
「それだと、元に戻って…」
「ならここは?」
「それだと、結局さっき試したパターンと同じになっちゃうんだ」
轟の指示で試行錯誤するが、緑谷は上手くパズルを解けなかった。
「難しいな…」
「解いた事ないタイプだしな」
さて…どうしたものか……
と考えていると
なかなかパズルが解けないのに苛ついた爆豪が
「貸せ! こんなの俺の爆破でブッ壊してやんよ!」
「あ〜ダメだよかっちゃん!」
「ケッ」
と力技で解こうとすると緑谷が止めた
やれやれ…そろそろ真剣に解く方法を考えないとな
そんなことを考えていると、パズルをしばらく観察していたロディが急に閃き緑谷に声をかける。
「デク、ちょっと貸してくれないか?」
「わかるのか?」
「似たようなパズルを、ガキの頃やった事がある…」
そう言って、ロディは慣れた手つきでパズルを解いていく。
パズルが解けると、カチッと音が鳴った。
「よし! これで…」
ロディが解けたパズルを左右に引っ張ると、中から何かが出てくる。
「あっ!」
緑谷が出てきたものを咄嗟に拾った。
出てきたのは、情報チップと中指程の大きさの半透明の板だった。
「ん…? 何だろう…」
「こっちは情報チップか? よし、麓に町があったはずだ。そこで調べてみよう」
そう轟が言ったので俺は
「まぁ待て、良いもんがある」
と言ってパソコンを取り出す
パソコンとは言っても我が社で開発した衛星通信可能な軍用PCなんだが
まぁそれは置いといて
早速見てみようかね…情報チップの中身を
ーthird personー
彼らが情報チップの中身を確認している頃
ヒューマライズの本拠地では。
オセオンの警察庁長官が、フレクトターンに報告していた。
『目標が、隣国のクレイドへ…私の権限でこれ以上の捜索は…』
「構わん」
『え?』
「クレイドならば、計画遂行中にここへ来る事もできまい。計画を実行に移す時は来た!」
そう言ってフレクトターンは通信を切り、団員達に語りかけると剣のような機械を振りかぶった。
すると団員達は、声を揃えて呼応する。
「「「「「人類の救済を!! 人類の救済を!! 人類の救済を!! 人類の救済を!!」」」」」
「人類の…救済を…!」
フレクトターンが機械を作動させると、モニターに世界地図が表示され、世界中のヒューマライズの基地が示される。
その頃、ニューヨークの司令部では。
「緊急事態! ヒューマライズが、インターネットを通じて放送を始めました!」
「表示しろ」
オペレーターが報告すると、長官が命令する。
オペレーターは、巨大なモニターを作動させた。
すると赤い画面をバックにヒューマライズのマークが表示され、フレクトターンの声が響き渡る。
『我々ヒューマライズは決起する。“個性”という名の病に冒された者達から、“無個性”と呼ばれる『純粋なる人類』を守るために、我々が開発した『人類救済装置』は世界25ヶ国に配置され、既に動き始めた。人類救済までのタイムリミットは今から2時間。だが、我々も無慈悲ではない。この計画を阻止したいと願うなら『人類救済装置』を設置した地域をお教えしよう。我々と異なる考え方をしていようとも、チャンスは平等にあるべきだ…』
その言葉を最後に、フレクトターンからの通信が切れた。
するとトリガーボムの設置区域が表示され、オペレーターの1人が報告する。
「長官! トリガーボムの設置区域、全25ヶ所…全てヒューマライズの支部がある区域と一致しています!」
「また罠の可能性が…」
「たとえ、そうだとしても…」
長官は罠の可能性を疑うが、オールマイトは世界中の人々の危機を放ってはおけなかった。
オールマイトと長官は顔を見合わせて頷き、長官が指示を出す。
「待機中のヒーローチームに出動要請を!!」
「はっ!」
だがその直後、モニターに警告画面が表示された。
「トリガーボムの全設置区域でパニック発生!」
「設置区域以外にもパニックが波及!」
「交通機関が次々と麻痺していきます!」
その頃、日本チームの待機ホテルの近くでは。
フレクトターンの発表が原因で人々がパニックを起こし、道路でも事故や渋滞が多発していた。
「ヤベェ!」
「サンイーターは怪我人の救出を!
烈怒頼雄斗レッドライオットとリアルスティールは避難経路の確保や!
敵が居っても構うな
敵は怖くて頼もしい人らが対処してくれる!」
「「「了解!」」」
ファットガムの指示で、三人は動き出した。
天喰は、指先をタコの触腕に変形させる。
「『キメラ・クラーケン』!!」
天喰は、タコの触腕で次々と人々を救い出した。
「行くぜぇ!!」
「『烈怒頑斗裂屠』!!」
鉄哲と切島は“個性”で身体を硬化して同時に駆け出し、道を塞いでいたトラックを殴り飛ばした。
「ここから避難を!」
「急いでください!」
道を作った二人は、周りの民間人に声をかけた。
一方、プレゼントマイクとセメントスはというと。
『セメントス!』
「行きますよ、マイク!」
セメントスはプレゼントマイクがしゃがみこんだ地面に手をつき、“個性”を発動させた。
するとプレゼントマイクを乗せたコンクリートが高速道路に向かって伸びていき、プレゼントマイクは大きく息を吸って叫んだ。
『OKエブリバディ!! 道ができたぜ!! ここから下へGOGO!!』
プレゼントマイクが避難誘導をすると、民間人はコンクリートの上を滑っていく。
「大丈夫! 慌てないで!」
セメントスは、民間人の避難誘導をしつつも索敵班のいるビルの屋上の方を振り向いた。
「頼みます、索敵班!」
その頃日本チームの索敵班は、エコーロケーションで索敵をしていた。
「必ずトリガーボムを探し出すぞ! いいな!!」
「「了解!!」」
ギャングオルカが言うと、耳郎と障子が返事をした。
その頃、フランスでは。
麗日が浮かせた車を、蛙吹が舌で絡め取って引っ張る。
「ケロッ!」
「こっちの避難誘導は任せてください!」
そう言って麗日は、車を浮かせていく。
リューキュウは、隣にいた波動に指示を出す。
「私達はトリガーボムの捜索を!」
「はい!」
リューキュウが指示を出すと、波動やサイドキック達が返事をする。
一方、アメリカでは。
「ツクヨミ!避難誘導はアメリカ側に任せて、俺達は空からトリガーボムを捜索する!」
「了解!」
ホークスが指示を出すと、常闇が返事をする。
ホークスは、空から大量の羽根を飛ばした。
「行け剛翼! 隅々まで調べつくせ!」
その頃、シンガポール・マレーシアでは。
八百万は、“個性”で大量のセンサーを創造していた。
「取蔭さん! このセンサーを使ってトリガーボムを!」
「わかった!」
取蔭は、身体をバラバラに分解させて肉片に一つずつセンサーを持たせ、肉片を四方八方に飛ばした。
「必ず見つけてみせる!」
するとそこへマジェスティックが現れ、八百万を魔法のリングに乗せる。
「百ちゃん! 次の現場に向かうよ!」
「はい!」
そしてその頃、エジプトでは。
巨大化したMt.レディが自動車を抱えるようにして避難誘導をしていた。
「こんな広範囲の区画で爆弾見つかるのかよ!?」
峰田が文句を言いながら走っていた、その時だった。
「君達! 君達! 君たーち!!」
「「「サラーム!?」」」
“個性”でペラペラになったエジプトのヒーロー『サラーム』が車の間を縫って渋滞を通り抜けていく。
「見つかるのではなく、見つけるのだよ! 我に続け!」
「「速え〜!」」
「ペラペラなのは伊達じゃねえ!」
サラームが言うと、上鳴、峰田、瀬呂が舌を巻く。
その頃、オセオンでは。
エンデヴァーは、別の場所を探していたクレアボヤンスと連絡を取る。
「クレア、トリガーボムは!?」
『この区域にはないわ、次の区域に移動する!!』
(焦凍、何をしている!? 早く戻って来い!)
クレアボヤンスが報告をする一方で、エンデヴァーは戻って来ない轟達を心配していた。
そしてその頃、クレイドでは。
緑谷がカードをパソコンに差し込むと、画面に大量のファイルが表示される。
「うわ! すごい数…どこから調べれば…「どけ! タイムスタンプの最新…この動画ファイルだ」
緑谷がアワアワしていると、爆豪がパソコンを操作して動画ファイルを開いた。
すると、動画ファイルから音声が流れる。
『私の名は、アラン・ケイ。ヒューマライズに拉致された科学者の一人だ』
「拉致…?」
『ヒューマライズは多くの科学者達の家族を人質に取り、“個性”因子誘発爆弾の製造を強要した…それを使った最初の無差別テロは、優秀なヒーロー達をヒューマライズの支部がある場所に集めるための布石…』
「「「「ん!?」」」」
「ふむ…」
アラン・ケイと名乗る男が言うと、緑谷達4人が目を見開く。
『その上で、“個性”因子誘発爆弾を使い、そのヒーロー達を根絶やしにしようと考えている…』
「「「「なっ…!!」」」」
ヒューマニズムの目論みを聞いた桜花を除く4人は、更に大きく目を見開いた。
『トップヒーロー達を失った社会は崩壊…その混乱に乗じて、“個性”能力者を絶滅させ、“無個性”者のみの世界にする。それが、ヒューマライズの…フレクトターンの真の目的だ……
私のこの声が、ヒーローに届くことを望む。そして、私と同じく拉致された『エディ・ソウル』が命にかえて作ってくれた爆弾の解除キーで…どうか世界を救ってほしい…!』
それを聞いた桜花はロディの肩に手を置き
「誇れ…家族を人質に取られながらも対抗する手段を遺したお前の父を…偉大な父を誇れ……」
と言った
その瞬間、桜花が着けていたインカムからアイゼンベルクの声が聞こえた
『旦那様、ヒューマライズが世界各地に爆弾を設置、2時間後…リアルタイムで1時間52分後、爆発するという犯行予告を出しました
ヒューマライズが公表した爆弾設置区域はパニックが発生しており、現在避難誘導及び爆弾回収作業にあたっております。』
それを聞いた桜花はすぐに
「あぁ、報告感謝する
可及的速やかに回収し、事態の収束に努めろ」
と命じた
すると轟は、パソコンを操作して情報を公開しようとした。
「統括本部にこの情報を送って、ヒーローチームの撤収を…「するわけねーだろ!」
轟が情報を公開しようとすると、爆豪が遮った。
すると緑谷も爆豪に同意する。
「うん。ヒーローはトリガーボムを探し続ける。たとえ爆弾の標的が自分達だったとしても罠だとわかっていても…救いを求めている人たちがいる限り…その人達を置いて逃げるなんて事、ヒーローなら絶対にしない…そこまで考えての作戦なんだ…!」
緑谷が悔しそうに言うと、全員が沈黙した。
するとその静寂を打ち破るように轟が言った。
「だったらその解除キーで、トリガーボムを止めるまでだ!」
「…! 確かに、そのタイプのキーなら誰にでも解除可能だけど…でも、どうやって…」
緑谷は、考えあぐねていた。
問題は、『どうやって見つけ出すか』だった。
すると爆豪は、轟を押し退けてパソコンを操作した。
「どけ! 答えはこン中にあるに決まってんだろうが! 鍵を作っておいて、ドアの位置を報せないアホがいるか!」
爆豪は、犯行声明のポイントが表示された世界地図と、チップの中に残されていた世界地図を重ね合わせる。
「犯行声明にないポイント…」
すると一ヶ所だけ、2枚の世界地図が示す場所が一致しないポイントがあった。
「ここがクソどもの本拠地!」
すると緑谷は、思い出したように爆豪に尋ねる。
「かっちゃん、トリガーボムの制御システムは!?」
「やっとるわ、クソナード!」
爆豪は、基地の内部構造を表示した。
制御システムがあるのは、本拠地の最下層だった。
「一番奥の地下…!」
「場所が分かったが、ここから直線距離で400キロ以上ある…」
「車で行っても…間に合うわけないか」
「クッ…」
場所が特定できたのはいいが、問題はその距離だった。
すると桜花が
「問題ないぞ
こう言う状況で使うのではなく
帰還に使う予定だった小型機がある
運転は俺ができる」
と言った
それに続いてロディが
「俺も操縦の仕方は分かる
俺が連れていく
だから、頼むぜ?ヒーロー」
と言った