閑話 Endeavor
―轟炎司side―
林間合宿の翌週の休日となる今日、明星君から会談の申し出があった
いったい何の話かと思い、それに応じることにした
さて、そろそろ来るはずだが……
ding-dong
来たか、では出迎えに行こうか
clank clank
「よく来たな、歓迎しよう」
俺はそう言って明星君を招き入れる
そして、俺が先導する形で客室へ向かう
取り敢えず茶を出し、体面に座る
そしてすぐに本題を切り出す
「では、本題に入ろう」
俺がそう言うと明星君は
「ええ、私も貴方も暇ではありませんからね
本題はですね、あなたの家庭のことです
将来の不安定要素は潰しておきたいので言わせてもらいます」
と言った
俺の家庭のこと?
まさか、冷や焦凍達……燈矢のことか?
そんなことを思っていると明星君が
「貴方は力を、強さを欲していた
そのために努力を積み重ねた
努力せねば上には立てないと思っていた
そして、努力することが好きだった
ヒーロー名を努力を意味するEndeavorとするほどに
プロになってから少しずつ階段を上っていった
そして、No.2になった
その時、知ってしまった
No.1…オールマイトとの大きな差を
それでも、諦めなかった
努力を重ねていった
それでも届かなかった
だから自分の子に期待した
轟燈矢、瀬古杜岳にて個性の暴走により死亡
息子の死により後に引けなくなった
そして現実か目を逸らした…違いますか?」
と言った
鋭い、と思った
俺が長年考えてきたことを突き付けてきた
現実を見ろ、と言っている
「確かに…その通りだ
俺はもう後に引けない」
俺がそう言うと明星君が
「轟…焦凍も変わろうとしています
オールマイトが巨悪、
そんな今No.1が揺らぐことは許されません
そして人が変わるのに遅いということはありません
その意思があるか、否かです」
と言った
……変わる時が…過去を省みる時が来たのかもしれないな
そう考えていると明星君が
「まずやることは分かりますよね?」
と言ってきた
俺はそれに
「あぁ、感謝しよう」
と答えた
許してもらえるとは思えない
だが、伝えねばならない
the day after tomorrow
―no side―
とある会場多くの記者が現No.1エンデヴァーより報告があるとの通達を受け、集まっていた
スーツ姿のエンデヴァーが姿を現した
そして、席に着くや否や言葉を発した
「本日はお集まり頂きありがとうございます
本日は、エンデヴァーではなく轟炎司として告白することがあります
私は努力によって昇りつめました
しかし、No.2となったときNo.1との大きな差に打ちひしがれました
そして、私は次男燈矢に期待しました
息子は私を超える火力を持っておりました
しかし、幾ばくか経ったある日妻の体質を受け継いでいることが分かりました
そしてその後は燈矢から目を逸らし、末子の焦凍に目をかけました
その結果燈矢は個性の暴走により命を落としました
その後は焦凍を厳しく鍛えました
それが厳しすぎた……結果として妻は心を病み、入院しています
少し前、ある実業家に人が変わるのに遅いということは無い、あるのはその意思があるか否かだと
そして、オールマイトと言う大きな柱が倒れた今No.1が揺らぐことは許されないのだと諭されました
それ故皆様の前で告白させていただいております
また、妻や子らとも話し合い、すでに清算はつけてあります
国民の皆様にはオールマイトの引退でご不安をお持ちのところこのような告白をお聞かせすることお詫び申し上げます
最後に轟炎司ではなくエンデヴァーとして一言申し上げます
此度失うであろう信頼を取り戻す為日々邁進するつもりだ
だから皆で俺を見ていてくれ」
エンデヴァーの告白に衝撃を受ける者、不安を感じる者、その姿を自宅で、寮で、職場で見つめる者
その姿を見た者達はそれぞれ異なる反応を見せるがエンデヴァーに対する非難はあまり多くなかった
―明星桜花side―
エンデヴァーの会見の後、エンデヴァーから連絡があった
それは
『俺以外の者たちが住む家の手配と周辺の警戒を頼む
掛かりは俺に請求してくれ
割増でも構わん…礼だ』
と言うものだった
俺はそれに応え、手を配し、shelaの一部を配備した
後日轟からエンデヴァーが
「お前達に誇れる父になるまで一人で暮らす」
と言ったと聞いた
種を蒔いたのは俺だが
エンデヴァーも短期間で大きく変わったものだな