ー明星桜花sideー
今日も学校から帰ってから各社の報告書を確認していると
リュウキュウから業務連絡がメールで来る
『明日、下記の住所で組織的敵犯罪への対処のための会議を行います
可能であれば下記の住所まで来てください
できなければオンラインで参加する事となるので
そのように考えておくように』
組織的敵犯罪ね…
死穢八斎會だろうな
取り敢えず俺は
『了解しました、出席します
医者からはどこかへ行く際は誰かに付き添ってもらうようにと言われているので一人連れていきますが
問題ありませんか』
と返信すると
『分かったわ、今回の会議が組織的敵犯罪への対処のための会議であることを留意して人選するように』
と返信が来る
それを確認して就寝した
next morning
第八十三話 憤怒
ー明星桜花sideー
翌朝、起床した俺は響香に付き添ってもらいながら
寮を出る
寮から出てすぐ緑谷に切島、蛙吹と麗日も出てくる
俺は4人に
「蛙吹と麗日は目的地は一緒だろうが
2人は何処なんだ?」
と聞く
すると緑谷が
「僕はナイトアイの事務所だよ」
と言い
続いて切島が
「俺もナイトアイ事務所だな
お前はどこなんだよ」
と言う
それに俺が
「俺もナイトアイ事務所だ」
と答えると
切島が
「お前もか!?」
と言う
それに俺が
「あぁ、今車回してもらってる
もう1台頼んであるから乗ってけよ」
と言うと
4人が
「おう!乗せてもらうぜ(うん、乗せてもらうね(ええ、乗せてもらうわ))」
と言う
そうしている間に
車が到着し、俺達はそれぞれ乗り込む
そしてナイトアイ事務所へ向かう
Three hours later
3時間後、ナイトアイ事務所に到着し俺達は車から降りる
ナイトアイ事務所に入ると
リュウキュウは勿論、ファットガムやロックロック
なんとイレイザーも居た
俺はリュウキュウに近付き
「リュウキュウ、明日から復帰させていただきます
御心配をお掛けしました」
と言う
するとリュウキュウは
「いいえ、大丈夫よ
明日からお願いね」
と言ってくれる
俺はそれに
「はい、ご評価に見合う働きをお約束します」
と応える
そんな話をしている間にナイトアイが入ってきて
会議が始まる
「あなた方に提供して頂いた情報のおかげで、調査が大幅に進みました、死穢八斎會という小さな組織が何を企んでいるのか、知り得た情報の共有と共に協議を行わせて頂きます」
と言うナイトアイの言葉と共に
「えーそれでは始めてまいります」
と言って
会議を始めたのはナイトアイ事務所のサイドキックであるバブルガールだ
「我々ナイトアイ事務所は約2週間程前から死穢八斎會という指定敵団体について...独自調査を進めています!」
きっかけはレザボアドッグスと名乗る強盗団の事故から、捕まった強盗団は事故にあって大怪我をするどころか、持病の虫歯やリウマチなどが綺麗さっぱり治っていたようだ、警察は事故で片付けたが...明らかにおかしい点がいくつもある、それに疑問を持ったナイトアイ事務所が追跡を始めたとのこと
「私、サイドキックのセンチーピーダーがナイトアイの指示の下追跡調査を進めておりました」
センチピーダーの調べによると、ここ一年以内の間に、全国の組外の人間や、同じく裏稼業団体との接触が急増しているとのこと
組織の拡大・金集めを目的に動いていると目星をつけたようだ
そして調査開始からすぐにとんでもない場面を見つけたとのこと
「敵連合の一人、分倍河原仁、ヴィラン名トゥワイスとの接触、尾行を警戒され、追跡は叶いませんでしたが...警察に調査を協力していただき、組織間でなんらかの争いがあったことを確認しました」
そうセンチピーダーは言った
ふむ…つまり死穢八斎會と敵連合は良好な関係ではないにせよ関わりはあると言うことだ
「えーこのような過程があり!「HN」で皆さんに協力を求めたわけで...」
「そこ飛ばして良いよ」
「うん!」
HN...ヒーローネットワークか、プロの免許を持った人だけが使えるネットサービス...全国のヒーローの活動報告が見れたり、便利な個性のヒーローに協力...つまりはチームアップを申請することもできる、かなり便利なネットワークだ、今回このネットワークを伝ってリューキュウにチームアップ要請が来た
「雄英生とは言えガキがこの場にいるのはどうなんだ?話が進まねえや、本題の企みに辿り着く頃にょ日が暮れてるぜ」
そう呟いたのは錠前ヒーロー ロックロック
まぁそれも一理あるが少なくともあいつらを連れてきたプロはあいつらの実力を認めてる筈だ
でなければこんな大捕物に呼ぶことはないだろう
「ぬかせ!この二人はスーパー重要参考人やぞ!」
ロックロックの言葉に反論したのはBMIヒーロー ファットガム
「俺...たち?」
「ノリがキツい...」
ファットガムの言葉にイマイチピンと来ていない切島と重い空気を醸し出す環先輩、あの二人が重要参考人か
「とりあえず初対面の方も多い思いますんで!ファットガムです!よろしくね!」
ファットガムがそう言うと麗日と蛙吹が
「丸くてカワイイ」
と言う
するとファットガムは
「お!アメやろーな!」
と言って二人にアメを投げていた
そして
「八斎會は以前、認可されていない薬物の捌きをシノギの一つにしていた疑いがあります、そこで詳しいヒーローに協力を要請しました」
とナイトアイが言うと
「むかしはゴリゴリにそういうんブッ潰しとりました!そんで!先日のレッドライオットデビュー戦!!今までに見たことない種類のモンが環に撃ち込まれた!.....個性を、壊すクスリ...!」
とファットガムが言う
個性を壊す...ブーストさせる薬なら聞いたことはあるが...壊す薬なんて聞いたことないがね
そんなもんが環先輩が撃ち込まれたと言うことは環先輩の個性が...なんて心配したが、環先輩の手が蹄になっているのを見た、とりあえずは大丈夫そうだ...
個性を壊す...使えなくする、成る程、だからイレイザーか
「回復すんなら安心だな、致命傷にはならねえ」
「いえ...その辺りはイレイザーヘッドから」
ナイトアイがイレイザーに呼びかけると、イレイザーが個性について話を始めた
イレイザーの個性、「抹消」は、個性そのものを攻撃しているわけじゃ無い、まず、基本となる人体に特別な仕組みが+αされたものが「個性」と呼ばれる、その+αが一括りに「個性因子」と呼ばれている
相澤先生の「抹消」はあくまでその個性因子を「停止」させているだけ...なのだが
「環が撃たれた直後病院で見てもらったんやが、その個性因子が傷ついとったんや、幸い今は自然治癒で元通りやけど」
とファットガムが言うと
リュウキュウが
「その撃ち込まれたモノの解析は?」
と聞く
それにファットガムは
「それが環の身体は異常なし!ただただ個性だけが攻撃された!
撃った奴らもダンマリ、銃はバラバラ、弾丸も撃ったきりしか持って無かった!
やけど切島が弾いてくれたお陰で中身の入った弾丸が手に入ったっちゅうわけや
そしてその中身を調べた結果、ムッチャ気色悪いモンが出てきた...
人の血ぃや細胞が入っとった」
と答える
思わず絶句する麗日と蛙吹、二人だけじゃ無い、ビッグ3や緑谷...切島も顔を青くしていた
響香は恐怖でその身を震わせていた
俺は響香の肩を寄せて慰めつつ
「つまり...その効果は人由来...個性ってこと?」
と言ったリュウキュウに続いて
「個性による個性破壊...」
と呟く
しかし話が見えてこない、その薬がどうやって八斎會と繋がるのか...
その疑問を晴らすようにファットガムが答えてくれた、どうやら切島が捕らえた男が使用した違法薬物、その薬物の出所を探った結果、中間販売組織の一つと八斎會は交流があったそうだ
それだけと言いたくなるが...先日、リュウキュウが捕らえた巨大化ヴィラン二名、そのうちの片方のグループの元締めが、その交流があった中間販売組織だったとの事
そして俺の腹を貫いた敵は死穢八斎會の下部組織の組員だった……
俺の中で疑問の点が線に繋がっていく
「巨大化した一人は効果の持続が短い粗悪品を打っていたそうよ」
と言ったリュウキュウに続き
俺が
「そして約1週間前に俺の腹に風穴開けた敵は死穢八斎會の下部組織の組員でした
離脱届出されてたので上は捕まえられませんでしたが」
と言う
「最近多発している組織的犯行の多くが...八斎會に繋げようと思えば繋がるのか...」
と誰かが呟いた
これだけの情報なら、どうにかして八斎會をクロにしたくてこじつけているようにも聞こえる、が、ナイトアイから決定的とも言える発言が飛び出してきた
「若頭、治崎の個性は「オーバーホール」、対象の分解・修復が可能と言う力です」
分解...一度「壊し」、「治す」個性、そして、個性を「破壊」する弾.....ナイトアイによると、治崎には出生届けのない娘が居るのだと、そして...その娘は先日、ミリオ先輩と緑谷が遭遇した、
その娘は、手脚に夥しく包帯が巻かれていたとのこと...
ここまで話をされれば誰でもわかる、嫌でも繋がっちまう
「まさか...そんな悍ましい事...」
「超人社会だ、やろうと思えば誰もが何だってできちまう」
「何?何の話ッスか...!?」
「...」
「....簡単な話だ」
んな馬鹿げた事があるかよ
どんな思考回路してればんな事ができる
.....分解し、修復する個性、そして個性を破壊する、人の血や細胞が入った弾丸...加えて夥しい包帯を巻いた娘...それから導き出される答えは...
自分の娘の身体を銃弾にし、それを捌いているという事
それを実際に売買しているのかはまだわかっていない、現段階では性能としてあまりに中途半端な個性を破壊する銃弾...
がしかし、仮に、その弾丸が試作段階であるならば?サンプルとして、それを色々な所にばら撒いているとしたら?
それを仲間や資金集めに使っている可能性だってある、事実、似たような事件が全国で起きている
現時点では半端な弾丸、だがもし、その弾丸の完成形が、個性を「完全に破壊する」物だとしたら....
確信があるわけじゃ無い、が、ここまで条件が揃って仕舞えば嫌でもその可能性が頭に浮かぶ
「想像しただけで腹ワタ煮えくり返る!!今すぐガサ入れじゃ!!」
「こいつらが子供保護してりゃ一発解決だったんじゃねーの?」
「全ては私の責任だ、二人を責めないで頂きたい、知らなかったこととはいえ...二人ともその娘を救けようと行動したのです」
緑谷は、リスクを背負いその場で保護しようとし、通形先輩は先を考え、より確実に保護できるよう動いた、どちらの行動が悪かった、という話ではない、どちらも正しかった
「今この場で一番悔しいのはこの二人です」
「今度こそ必ずエリちゃんを...!」
「保護する!!」
「それが私たちの目的になります」
そう言い放ちながら立ち上がる二人にロックロックが言い放つ
「ケッ、ガキがイキるのもいいけどよ、推測通りだとして、若頭にとっちゃその子は隠しておきたかった核なんだろ?それがなんらかのトラブルで外に出ちまってだ!あまつさえガキんちょヒーローに見られちまった!素直に本拠地に置いとくか?俺なら置かない」
ロックロックの言葉も一理ある、攻め入るにしても、その子が「居ませんでした」じゃあお話にならない、攻め入るには、そのエリちゃんと言う娘がどこにいるか特定してある必要がある
「確かに、どうなのナイトアイ」
「問題はそこです、何をどこまで計画しているのか不透明な以上、一度で確実に叩かねば反撃のチャンスを与えかねない」
そこで、ナイトアイ事務所が八斎會と接点のある組織・グループ、及び八斎會の持っ土地、それらを可能な限りリストアップしたとの事
「皆さんには各自その箇所を探っていただき、拠点となり得るポイントを絞って貰いたい!!」
全国にある土地やグループ...成る程、それらを調べ上げるため、地方のマイナーヒーローまで呼んだわけか、土地勘のあるヒーローが選ばれたのだろう
「オールマイトの元サイドキックな割に随分慎重やな、回りくどいわ!!こうしてる間にもエリちゃんいう子泣いてるかもしれへんのやぞ!!」
「我々はオールマイトにはなれない!だからこそ、分析と予測をかさね、救けられる可能性を100%に近づけなければ!!」
ファットガムの言葉も、ナイトアイの言葉も、どちらも正しい、が、俺達はオールマイトじゃ無い、どちらかしか出来ない...
が、それは俺が居なければの話だ
「....お話の途中すみません」
俺がそう言うと議場の全員の視線が俺に向く
そして続けて俺は
「...今お話しした件ですが...私なら、本拠地に居るかどうかであれば、連れて行ってもらえればすぐにわかります」
と言えば
「ホンマか!?」
とファットガムが言う
「...チームアップを行う以上、我々の“個性”についても知っていますよね?」
俺は資料を指で弾き、そう言い放つ、ナイトアイやファットガムも“個性”については目を通していたらしく頷いてくれた
「俺の数ある“個性”の1つ
空間把握、この“個性”であれば死穢八斎會の組長邸であればおそらく問題ないかと」
と言う
それにナイトアイが
「分かった
明日、復帰すると聞いている
復帰早々申し訳ないが明日お願いしよう」
と言ってくる
そして続く
「娘の居場所の特定、保護、可能な限り確度を高め、早期解決を目指します、ご協力よろしくお願いします」
と言うナイトアイのその言葉を最後に、資料を配られ会議は終了した
「....胸糞悪い話ですね」
「ええ...皆のところに行かなくていいの?」
「はい、後でそれぞれに一声掛けときます
あいつらはそれで十分気ぃ持ち直しますよ」
会議の後、俺はリューキュウと二人で事務所内のソファに座って話している、思い返すだけでふつふつと怒りが湧いてくる
もう絶対に俺のような体験はさせない
この俺の名に誓って必ず救う
そんなことを考えていると
リュウキュウが俺の肩に手を置いて
「...あまり気負い過ぎないでね、気持ちは私も同じよ」
と言ってくれる
「...はい」
...そうだ、皆同じ気持ち...一番悔しいのは、目の前にいながら救えなかった緑谷と通形先輩だな
俺個人の私怨は仕舞っておこう
「....勝ちましょう、絶対」
「....えぇ、頑張りましょう」
俺とリューキュウの呟きは、夕暮れに消えていく
ー明星桜花sideー
「緑谷、お前が今回の事でその子の希望を失わせたと思ったなら
それ以上の希望を与えてやれ
希望に満ちた笑顔を浮かばせてやれ!」