実験に利用された挙句捨てられた少年   作:明星桜花

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第八十五話 箝口令

ー明星桜花sideー

偵察の翌日、俺は通常通り学校へ登校する

何をするにも前の会議がちらつき、訓練に身が入らない等と言うことはなく

むしろ、決行日までに少しでも力を付けておこうと訓練にも気合いが入っていた。

 

そんな日々の昼下がり、私は食堂で昼食を取っていた。今日のメニューはカレーだ。向かいには緑谷とその隣に飯田、轟がいる。インターンでゴタゴタしてたから、こうやってゆっくりクラスメイトと皿を並べてご飯食べるのも久しぶりな気がする。

 

「緑谷、食わねぇのか?」

 

「え、あっ、食うよ!食う食う!」

 

好物らしいカツ丼を前にジッとして動かない緑谷に轟が話しかける。取り繕ったけど思い詰めた表情だった

俺は正直平静は保てているが内実は怒りでどうにかなりそうだ

そして彼の中でもまだ整理のつかない部分があるんだろう。壊理ちゃんのこと

……サーナイトアイとオールマイトのこと

 

「大丈夫か?」

 

「インターン入ってから浮かねぇ顔が続いてる。」

 

「……そうかな。」

 

「本当にどうしようもなくなったら言ってくれ、友達だろ?いつかの愚かな俺に君がかけてくれた言葉さ、職場体験前の。」

 

緑谷は飯田の言葉にハッとした表情になる。飯田の言う通り、さっきの言葉は職場体験前にお兄さんのことで悩んでいた彼へ緑谷くんがかけた言葉だった。あの時の自分のように、誰にも言えず悩んでいる緑谷へ返したのか。さすがは委員長、緑谷の事をよく分かってるな

 

言葉を噛み締めるように黙っていた緑谷だが、いきなりボロボロと涙を零し始めた。大丈夫大丈夫と彼は言うが、傍から見てたら全然大丈夫じゃない。飯田もテンパってる。まぁ、飯田の優しさが緑谷の溜め込んでいたものを少しだけ洗い流してくれたからだと思う。泣いてるけど、前よりずっと良い表情している。

 

「ヒーローは泣かない……!」

 

「いや、ヒーローも泣くときゃ泣くだろ、多分。……蕎麦半玉やろうか?」

 

「ビーフシチューもあげよう!」

 

「……ありがとう。」

 

彼らは何も言わず、聞かず

ただ、緑谷に慈悲を与える

それは緑谷にとって得難い幸福である

 

 


 

Same day, night

 

ー明星桜花sideー

怒りを紛らわす為に仕事を続けていると

響香に後ろから抱き締められ

拘束されて仕事ができなくなる

俺は響香に

「あの、響香?仕事ができないんだけど」

と言うと

「分かってるんだよ?

桜花が今回の事で誰よりも憤りを感じてるの

それでそれを紛らわそうとしてるんだよね?

でももう8時間もやってるよ?

これ以上は桜花の身体が持たないよ」

と言ってくる

俺はそれに

「あぁ、だが何かしてねぇと昨日視たのを思い出しちまうんだよ

目的の娘がバラされてる光景を

思い出しただけで腸煮えくり返る」

と返す

すると響香は

「分かってるよ

さぁ寝よう?」

と言って俺を部屋に連れていく

そうして俺は強制的に寝かしつけられるのだった

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