ー明星桜花sideー
翌日、俺達はオランダからベルギーへ向かう
ベルギー、ブルージュまでは約2時間40分の移動だ
Twee uur en veertig minuten later
2時間40分後、ベルギー、ブルージュに到着
そのままブルージュの旧市街を歩きつつ
最初の目的地、Begijnhof*1に向かう
俺はブルージュの旧市街を歩きつつ
「このブルージュの旧市街はベルギーの『天井のない美術館』と称される場所だ
この旧市街は9世紀、外敵から守るための要塞としてフランドル伯によって建設された
1134年、大きな高潮によって『ズウィン』*2と呼ばれる入り江が形成され、町が北海と直接つながった。
これにより、ブルージュは一躍国際的な港湾都市へと変貌した
13世紀から15世紀の間、ブルージュはロンドンやパリと並ぶ、あるいはそれ以上の重要性を持つ都市となっていた
ハンザ同盟の重要な在外商館が置かれ、イギリスの羊毛、イタリアの絹織物、ロシアの毛皮などが集結した
そして「テル・ブールゼ(Ter Beurze)」という宿屋の前で商人たちが取引を行った
これが世界初の証券取引所とされている
この事が現在の「証券取引所(Bourse)」の語源になったと言われている。
富を得た商人や貴族たちがパトロンとなり、ヤン・ファン・エイクなどの『フランドル絵画』が黄金期を迎えたんだ
16世紀から19世紀の間で、入り江*3に砂が堆積し、大きな船が入れなくなった
これによって貿易の主役は隣町のアントワープへと移り、ブルージュは急速に衰退。
皮肉なことに、この『貧困による停滞』が、中世の町並みを壊さずにそのまま残す結果となった
しかし19世紀末、この旧市街はある小説がきっかけで再び注目を浴びた
『死都ブリュージュ』: ジョルジュ・ロデンバックの小説により、その静謐な美しさがヨーロッパ中で話題になり、観光地として再発見された
そして、ブルージュは2000年にその完璧に保存された中世の都市構造が評価され、「ブルージュ歴史地区」としてユネスコ世界遺産に登録された
このブルージュの旧市街は『一度忘れ去られたからこそ、中世がそのまま凍結された街』だと言えるだろう」
とブルージュの旧市街について話す
そうして歩いている間にBegijnhofに到着
Begijnhofに入る前に
「この庭園は単なる公園ではなく、13世紀に設立された『ベギン会』という夫を亡くした女性や独身女性が、修道誓願を立てずに自立した共同生活を送った組織の生活の場だったんだ
3月下旬から4月頃には広大な芝生一面に黄色い水仙が咲き誇る
この時期が一番美しいだろうね
庭園に植えられている背の高いポプラの木は
修道女たちの祈りの声を象徴していると言われていて
その木が空に向かって真っ直ぐ伸びる姿は、天(神)への階梯を表現しているんだよ
13世紀から続くこの場所は、現在もベネディクト会の修道女たちが暮らしている
そしてこれが一番大事なところだ
庭園は『沈黙』を重んじる場所であり、観光客も私語を慎むのがルール。
その『静けさ』そのものが庭園のデザインの一部となっているんだ」
と言ってから
Begijnhofに入り
静かにその庭園を見て回る
数時間じっくりと見て回った後、Hotel Heritage*4へ向かいチェックインを済ませて諸々の所用を済ませて就寝した